SaaSカオスマップとは?見方・種類・自社に合うSaaSの絞り込み方

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  • SaaSカオスマップは分野別の業界地図
  • 掲載条件・分類・公開日の3点で読む
  • バーティカルとホリゾンタルで使い分け

SaaSカオスマップとは、SaaSの企業やサービスを分野ごとに分類し、ロゴを1枚の図に並べた業界地図のことです。デジタル大辞泉では、特定の業界に属する企業や製品・サービスの特徴や相互関係を整理し、一枚の図にロゴマークを配置してまとめたものと説明されています。SaaSは数が多く、1社ずつ調べても全体像がつかみにくいため、導入するSaaSの候補を探す人や、SaaS市場を調べる人が使います。ただし、カオスマップは作成元の掲載条件と分類によって中身が変わり、載っていることは推奨ではありません。この記事では、意味、見方、バーティカルとホリゾンタルの違い、主なカオスマップの比べ方、総務省調査から見る日本企業のクラウドの使い方、自社に合うSaaSの絞り込み手順、作り方を、公式ページや公的資料をもとに整理します。

カオスマップで最初に見る領域はどこ?2問で目安がわかります

Q1. SaaSカオスマップを見る目的は、どちらに近いですか?

目次

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  1. SaaSカオスマップとは|意味と、載っているもの
  2. SaaSカオスマップの見方|掲載条件・分類・公開日の3点を確認する
  3. バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaS|カオスマップの2つの種類
  4. 日本企業はクラウドを何に使っているか|総務省調査で見る領域の選び方
  5. SaaSカオスマップの活用方法|導入検討・市場調査・事業企画の3場面
  6. カオスマップから自社に合うSaaSを絞り込む手順|5ステップ
  7. SaaSカオスマップの作り方|自社で作る4ステップと注意点
  8. SaaSカオスマップとあわせて聞かれる話題|三大SaaS企業・SaaSの死・40%ルール
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|SaaSカオスマップを使いこなすために押さえる5つのこと
  11. 参考文献

SaaSカオスマップとは|意味と、載っているもの

SaaSカオスマップとは、SaaSの企業やサービスを業務や業界ごとに分類し、ロゴを1枚の図にまとめて市場の全体像を見渡せるようにした業界地図です。

カオスマップは、カオス(混沌)とマップ(地図)を組み合わせた和製の語で、小学館のデジタル大辞泉に収録されています。辞書は「業界地図」と言い換えています。新しいサービスが次々に生まれて数が増えた分野ほど、1枚の図に整理して見渡す価値が出ます。(出典:コトバンク デジタル大辞泉「カオスマップ」)

SaaSカオスマップでは、ロゴがカテゴリごとの枠にまとまって置かれます。たとえば、ベンチャーキャピタルのOne Capitalが2024年9月24日に公開した「ホリゾンタルSaaS カオスマップ」は、全368プロダクトを、Sales / Marketing、Backoffice、Collaboration、Technology / Automationの4つの大きな区分に分けています。Backofficeの中にはHR、Accounting / Finance、Legal、Operation / Workflow(受付管理、稟議申請など)があり、Collaborationの中にはCommunication(バーチャルオフィス、チャットなど)があります。(出典:One Capital「最新版「ホリゾンタルSaaS カオスマップ」を公開」)

このように、SaaSの分類には、稟議申請などの承認を扱う領域と、チャットなどの連絡を扱う領域が並んでいます。カオスマップは「どんな種類のSaaSがあるか」を教えてくれますが、自社のどの仕事から載せ替えるかまでは決めてくれません。申請と連絡の手間を減らしたい会社は、この2つの領域から調べ始めることになります。ここでは、その2つの領域の一例として、承認を扱うワークフローシステムのコラボフローと、連絡を扱うビジネスチャットのChatworkを、役割の違いで並べます。

カオスマップのWorkflow領域とCommunication領域にあたる2つのサービス|役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:コラボフロー。承認経路を直感的な操作で設計でき、運用中にフォームの追加・修正ができます。

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この状況に合う一例:Chatwork。チャットに加えて通話機能やタスク・ファイル管理などを使い、連絡と共有を1か所に集められます。

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サービス コラボフロー Chatwork
向いている会社 稟議や申請の承認を、紙やExcelの回覧で回している会社。承認の経路や入力項目を自社で調整したい会社 社内外の連絡や情報共有を、1か所にまとめたい会社。まず無料のプランから試したい会社
特徴 誰でも思い通りのワークフローを簡単に作成できる。シンプルで直感的な操作で承認経路を設計できる。運用中にフォームレイアウトの追加・修正ができる チャットだけでなく、通話機能やタスク・ファイル管理などの機能が充実している。無料で始められるフリープランがある。社内外でも使いやすいシンプルさ
注意したい点 クラウド版には、1ユーザーにつき5GBの容量制限がある より高いセキュリティとサポートの手厚さを求める場合は、エンタープライズの契約が必要
資料・詳細

2サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)

まとめて資料をダウンロード

表は横にスクロールできます。2サービスの内容は商品ページで確認した情報です(確認日2026年10月22日)。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

稟議や申請の承認を、紙やExcelの回覧からシステムに移す場合の一例が、株式会社コラボスタイルのコラボフローです。商品ページでは、誰でも思い通りのワークフローを簡単に作成できること、シンプルかつ直感的な操作で承認経路を設計できること、運用中にフォームレイアウトの追加・修正ができることが紹介されています。一方で、クラウド版には1ユーザーにつき5GBの容量制限があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社コラボスタイル

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簡単な操作とワークフロー向けで初心者におすすめ

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  • 誰でも思い通りのワークフローを簡単作成
  • シンプルかつ直感的な操作で承認経路を設計
  • 運用中にフォームレイアウトの追加・修正が可能
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気になる…

  • コラボフローのクラウド版には、1ユーザーにつき5GBの容量制限がある

コラボフローの導入事例では、「いち髪」「漢方セラピー」「ねるねるねるね」などの商品を展開するクラシエ株式会社が、グループ各社で別々だったワークフローを統一する中でコラボフローを導入しました。事例ページで、機構改革推進室長(当時)が導入の効果を次のように述べています。

決裁にかかる時間が導入前と比較して約半分に短縮されました。

出典:コラボフロー 導入事例 クラシエ株式会社

社内外の連絡や情報共有を1か所に集める場合の一例が、Chatwork株式会社のChatworkです。商品ページでは、無料で始められるフリープランがあること、チャットだけでなく通話機能やタスク・ファイル管理などの機能が充実していること、年齢や性別を問わず社内外でも使いやすいシンプルさが紹介されています。一方で、より高いセキュリティとサポートの手厚さを求める場合は、エンタープライズの契約が必要とされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

Chatwork株式会社

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タスク管理やビデオ通話も◎初めて導入する中小企業におすすめ

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  • まずは無料で始められる「フリープラン」の提供
  • チャットだけでなく通話機能やタスク・ファイル管理などの機能が充実
  • 年齢性別問わず社内外でも使いやすいシンプルさが魅力
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気になる…

  • より高いセキュリティとサポートの手厚さを求める方はエンタープライズの契約が必要

Chatworkの導入事例では、東京・四谷で食肉の卸売と小売を営む有限会社並木商店が、社内の連絡を極力Chatworkに集約した効果を紹介しています(取材は2024年11月)。事例ページの「効果」には、次のように書かれています。

1日60件あった電話が2件程度まで激減した

出典:Chatwork 導入事例 有限会社並木商店

ここからは、カオスマップを読むときの確認点から順に、種類、日本企業のクラウドの使い方、絞り込みの手順、作り方を整理します。

SaaSカオスマップの見方|掲載条件・分類・公開日の3点を確認する

SaaSカオスマップは、掲載条件・分類の軸・公開日によって中身が変わるため、載っているロゴの数より先に、この3点を確認してから読みます。

同じ「SaaSカオスマップ」でも、作った組織が違えば、載るSaaSも分け方も違います。次の表は、公式ページで確認できた4つのカオスマップを並べたものです(確認日2026年10月22日)。順位や優劣を示す表ではありません。

カオスマップ作成元と対象掲載の条件分類と規模公開日・版
One Capital「ホリゾンタルSaaS カオスマップ」ベンチャーキャピタルのOne Capital。業界を限定しないSaaSスピーダ(旧INITIAL)に掲載のある国内スタートアップ。調査終了や上場企業の子会社などは除くSales / Marketing、Backoffice、Collaboration、Technology / Automationの4区分。全368プロダクト(前年は328)2024年9月24日公開
One Capital「バーティカルSaaS カオスマップ」One Capital。業界特化型SaaS上と同じ(スピーダ掲載の国内スタートアップ。調査終了や上場企業の子会社などは除く)米Redpointのカテゴリを適用。最多はRestaurants, Hotels, and Events(29プロダクト、前年比32%増)2024年8月20日公開
不動産テック協会「不動産テックカオスマップ」一般社団法人不動産テック協会。不動産テックのサービス協会の掲載ガイドラインの掲載要件。同一企業が同一カテゴリー内で複数のサービスを展開する場合は、代表的な1サービスのみ掲載生成AI、VR・AR、IoT、建設テックなど14カテゴリー。第12版は592サービス第12版を2026年8月20日に発表(第1版は2016年6月)
ITreview「B2B IT / SaaS カオスマップ」IT製品のレビュー・比較サイトのITreview。B2B ITとSaaSページ本文からは掲載条件を確認できず。「掲載をご希望の方」の案内があるカテゴリごとのマップの一覧「2026年10月最新版」と表示

確認点1 掲載条件|載っていないSaaSがある理由

One Capitalのカオスマップは、掲載の対象を、国内の未上場スタートアップに絞っています。この条件では、上場企業のサービスや海外企業のSaaSは載りません。不動産テック協会のカオスマップにも、先進的なテクノロジーを活用しているサービスなどの掲載要件があり、要件に当たらないサービスは載りません。つまり、載っていないからといって、そのSaaSが使えない、品質が低い、という意味にはなりません。(出典:One Capital Landscape、不動産テック協会 カオスマップ)

確認点2 分類の軸|同じ業務でも呼び名が変わる

分類の軸は、作成元が決めます。One Capitalのバーティカルマップは、グローバルと比べやすくするため、2024年版から米Redpointのカテゴリを当てはめました。ホリゾンタルマップも、2024年版からカテゴリを見直したと書かれています。不動産テック協会は、第11版から「業務支援 – 設計・施工」の名称を「建設テック」に変更しました。同じ業務を指していても、版によって呼び名が変わるため、昨年の記事や資料と比べるときは、カテゴリの名前ではなく中身で対応づけます。

確認点3 公開日|「最新版」でも古いことがある

カオスマップは、公開した時点の情報です。確認日時点で、One CapitalのLandscapeページに並ぶ最新のマップは、2024年8月と9月に公開された版でした。一方、不動産テックのカオスマップは、第1版が2016年6月、第12版が2026年8月に発表されています。ITreviewのページには「2026年10月最新版」と表示されています。「最新版」と書かれていても、公開日と対象の範囲を確認してから使います。

バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaS|カオスマップの2つの種類

バーティカルSaaSは特定の業界に特化したSaaS、ホリゾンタルSaaSは業界を問わず共通の業務に使えるSaaSで、カオスマップもこの2種類に分けて作られます。

比べる点バーティカルSaaSホリゾンタルSaaS
意味特定の業界に特化したSaaS(One Capitalの条件では「業界特化型SaaS」)業界を限定しないSaaS(One Capitalの条件では「業界を限定しないSaaS」)
カオスマップの分け方の例業界・セクター別。One Capitalの2024年版は、Business Products & Services、Healthcare、Financial Servicesなどに分類業務・機能別。One Capitalの2024年版は、Sales / Marketing、Backoffice、Collaboration、Technology / Automationなどに分類
向いている探し方自社の業界に固有の業務(建設の施工管理、物流、診療など)のSaaSを探す業界を問わない共通の業務(営業、人事、経理、承認、連絡など)のSaaSを探す
見るときの注意業界ごとに別のマップが作られることがあり、自社の業界のマップを探す必要がある領域が広く、同じ領域に多くのSaaSが並ぶため、3社前後に絞る手順が要る

バーティカルSaaSの分類の細かさは、作成元によって違います。不動産テック協会のように、1つの業界を14のカテゴリーに分けたカオスマップもあれば、One Capitalのように、複数のセクターを1枚のマップにまとめたものもあります。自社の業界に特化したマップが見つかれば、業界固有の業務を探しやすくなります。見つからなければ、ホリゾンタルのマップで共通の業務から探します。分野別のカテゴリマップと選び方の5つの基準は、SaaSサービスとは?代表例・分野別カテゴリマップと選び方の5つの基準で整理しています。

日本企業はクラウドを何に使っているか|総務省調査で見る領域の選び方

総務省の令和7年調査では、クラウドを使う企業は83.5%で、用途は「ファイル保管・データ共有」73.3%、「社内情報共有・ポータル」61.4%が上位です。

総務省の「令和7年通信利用動向調査」は、令和7年8月末を調査時点に、公務を除く常用雇用者100人以上の企業を対象としています。有効回収は2,489企業です。クラウドサービスを一部でも利用している企業は83.5%で、全社的に利用している企業は60.0%と、前年から6.9ポイント増えました。カオスマップのどこから見るかを決めるときは、こうした公的調査で、多くの企業がすでにクラウドに載せている用途を見ると、領域を選びやすくなります。(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」)

次の表は、同調査の「利用しているクラウドサービスの内容」の上位と、カオスマップ(One Capitalのホリゾンタル2024年版)で探すときの領域の目安です。右の列は本記事の対応づけで、公的な分類ではありません。

クラウドの用途(令和7年)利用企業の割合カオスマップで探す領域の目安
ファイル保管・データ共有73.3%Collaboration(Groupware / Storage)
社内情報共有・ポータル61.4%Collaboration(Knowledge / Document、Communication)
電子メール57.4%カオスマップによって扱いが異なる
給与、財務会計、人事56.3%Backoffice(HR、Accounting / Finance)
スケジュール共有53.6%Collaboration(Productivity)
取引先との情報共有26.8%Collaboration(Communication)
営業支援22.9%Sales / Marketing(Sales)
プロジェクト管理21.3%Technology / Automation(Project Management)

上位の用途は、情報を置く、共有する、連絡する、といった部署を問わない共通の業務です。一方で、この調査の用途の選択肢には、申請・承認(ワークフロー)の項目がありません。承認はカオスマップのOperation / Workflowにあたる領域ですが、公的調査の用途には出てこないため、自社の状況は自分で確かめる必要があります。社内情報共有が61.4%、取引先との情報共有が26.8%と、情報を共有する用途でクラウドを使う企業は多くなっています。連絡と共有の置き場所をどう整えるかは、多くの会社に関わるテーマです。

社内外の連絡や資料の共有が、メール、電話、個人のチャットに散らばっていると、必要な情報を探す手間が増えます。連絡と共有を1か所にそろえる選択肢として、ビジネスチャットがあります。

Chatwork

社内外の連絡や情報共有を、1か所にまとめたい会社に

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SaaSカオスマップの活用方法|導入検討・市場調査・事業企画の3場面

SaaSカオスマップの主な使い方は、導入するSaaSの候補探し、競合や市場の調査、新規事業の企画の3つで、目的によって見るべき地図と順番が変わります。

導入するSaaSの候補を探す

導入する側は、自社の課題を先に決め、その課題にあたる領域を見ます。たとえば、承認を扱う領域ならOperation / Workflow、連絡なら Communication、といった具合です。領域の中に並ぶロゴは、候補の洗い出しに使います。載っているからおすすめ、という意味ではないため、各社の公式ページや資料で機能と対象を確かめて、3社前後に絞ります。

稟議や申請の承認を、紙やExcelの回覧で回している会社では、どの段階で承認が止まっているかがわかりにくくなります。承認の経路と書式をそろえるワークフローシステムは、カオスマップの中でも、最初に見る価値のある領域の1つです。

コラボフロー

稟議や申請が、いまどこで止まっているかわかりにくくなっていませんか?

こんな会社に向いています

稟議や申請の承認を、紙やExcelの回覧で回している会社

承認の経路や入力項目を、運用しながら自社で調整したい会社

コラボフローの資料を無料で見る

競合や市場を調べる

市場を調べる側は、同じカオスマップの版を並べて、増えた領域と減った領域を見ます。One Capitalのバーティカルマップの2024年版では、「Agriculture, Chemicals & Gases」のプロダクト数が前年から倍増したと書かれています。ホリゾンタルマップでは、全体のプロダクト数が前年の328から368に、12%増えました。不動産テック協会の第12版では、生成AIや不動産データを活用したサービスが増えたと説明されています。

ただし、掲載数の増減は、掲載条件の中での数です。市場規模や需要の大きさをそのまま示す数字ではありません。市場規模は、スマートキャンプ(BOXIL)の「SaaS業界レポート」(2017年に初版を発行、2026年1月時点の最新版『SaaS業界レポート2025』は2025年10月に発刊)のような、年次の資料で確かめます。(出典:スマートキャンプ「SaaS業界レポート2025 AI特化版」を公開、不動産テック協会 第12版公開のお知らせ)

新規事業を企画する

SaaS事業を考える側は、ロゴが少ないカテゴリを、参入余地のある領域の候補として見ます。ただし、少ない理由が、需要が小さいからなのか、掲載条件から外れているからなのかは、地図だけではわかりません。顧客の声や既存サービスの機能を調べて、確かめてから判断します。

カオスマップから自社に合うSaaSを絞り込む手順|5ステップ

カオスマップから自社に合うSaaSを選ぶには、業務の課題を書き出し、領域を決め、候補を3社前後に絞って、資料や確認項目で比べる5ステップで進めます。

  1. 課題を書き出す:「承認が止まる」「連絡が散らばる」など、困っている業務を先に書く。ロゴを見る前に決める
  2. 領域を決める:課題にあたるカテゴリを、カオスマップから選ぶ。ホリゾンタルのマップなら業務別、バーティカルのマップなら業界別に見る
  3. 候補を3社前後に絞る:公式ページで、対象の会社規模、主な機能、無料で試せるかを確かめる。掲載順や大きさで選ばない
  4. 確認項目で比べる:機能のほか、セキュリティや運用の確認項目で比べる。IPA(情報処理推進機構)の「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」には、選択時6項目、運用時4項目、セキュリティ管理5項目の計15項目のチェックシートがある
  5. 資料を請求して社内で見比べる:複数社の資料をそろえて、承認する人と使う人で確認する

4つ目の確認項目は、IPAが公開している「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版の付録7にあたります。クラウドサービスは、事業者に任せる部分が出てくるため、機能だけでなく、付随するセキュリティ対策も確認してから使う、と手引きに書かれています。(出典:IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」)

SaaSが増えたあとに起きる管理の死角

SaaSは部門ごとに手軽に導入できるため、数が増えると、全社での管理が追いつかなくなります。管理のプロは、SaaSが増えた結果として、「誰がどのSaaSを使っているか分からない」「毎月いくら払っているか把握できていない」「辞めた人のアカウントが消されずに残っている」の3つの死角が生まれると整理しています。(出典:株式会社管理のプロ「情報システム・IT管理 SaaSカオスマップ」)

カオスマップで候補を選ぶ段階から、導入したあとの管理者と、アカウントを付与・削除するときの申請と承認の経路を、決めておくと安心です。申請と承認の記録が残る仕組みがあれば、誰がいつ許可したかをあとから確認しやすくなります。

次のチェックで、いまの社内の状況を確かめてみてください。

SaaSの選び方と使い方、今のやり方で足りている?セルフチェック

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SaaSカオスマップの作り方|自社で作る4ステップと注意点

SaaSカオスマップは、対象の範囲を決め、分類の軸を決め、掲載する企業を洗い出し、ロゴを分類に沿って配置する4ステップで作れます。

  1. 対象の範囲を決める:対象の主要な企業やサービスを先に選ぶ。バーティカルなら業界、ホリゾンタルなら業務領域を決める
  2. 分類の軸を決める:業界別、業務別、企業規模別などから選ぶ。分類の名前と定義を文章にしておく
  3. 掲載する企業を洗い出す:掲載の条件を決め、条件に当てはまる企業を調べる
  4. ロゴを分類に沿って配置する:カテゴリごとの枠にロゴを置き、公開日と掲載条件を図に書き添える

この手順は、SEデザインなどの解説でも近い流れで紹介されています。(出典:SEデザイン「SaaSカオスマップで分析するSaaS業界の勢力図と未来」)

作るときに大切なのは、載せる条件と分類の定義を、図と一緒に公開することです。不動産テック協会は、カオスマップの掲載ガイドラインとして、掲載要件と各カテゴリーの定義を公開しています。第11版からは、同一企業が同一カテゴリー内で複数のサービスを展開している場合は、代表的な1サービスのみを掲載するルールも加えました。One Capitalも、2024年版の2本の記事で、掲載条件を書き、カテゴリを変えた点も書いています。条件を書いておくと、読む人が「なぜ載っていないのか」を判断できます。

社内で使うだけなら、ロゴを並べた図ではなく、Excelの表で十分です。社外に公開する場合は、掲載する企業のロゴの利用条件が会社ごとに異なることがあるため、各社の案内を確認してください。

SaaSカオスマップとあわせて聞かれる話題|三大SaaS企業・SaaSの死・40%ルール

SaaSの「三大企業」や「1位」に公的な定義はなく、「SaaSの死」は特定の1人の言葉ではありません。40%ルールは成長率と利益率の合計を見る目安です。

日本の三大SaaS企業とSaaS業界の首位は決まっている?

「日本の三大SaaS企業」や「SaaS業界の1位」を決める公的な基準は見当たりません。売上高、ARR(年間経常収益)、導入社数、ユーザー数のどれを使うかで、順位は入れ替わります。カオスマップは、SaaSを分類して並べた図で、順位を示すものではありません。上場しているSaaS企業の財務指標の見方はSaaS銘柄の見方|財務指標を解説、日本のSaaS企業の業種別の整理はSaaSを提供する日本企業とは?、SaaS企業のビジネス構造はSaaS企業とは|ビジネスモデル・業界マップ・重要指標を解説で整理しています。

SaaSの死を誰が言い出したのか

「SaaSの死」は、特定の1人が定義した言葉ではありません。日経クロステックは、2024年に一部の技術者やベンチャー投資家がブログやSNSでこの言葉を使って注目を集め、同年12月に米マイクロソフトのナデラCEOが、伝統的なビジネスアプリケーションはAIエージェント時代に崩壊する可能性があると発言して広がった、と説明しています。スマートキャンプは、2026年1月の『SaaS業界レポート2025 AI特化版』の中で、生成AIやAIエージェントがタスクを代行するようになる中で、対応できないSaaSは競争力を失うと指摘する議論がある一方、SaaSはビジネスに欠かせないインフラとして再定義されるという見解もある、と整理しています。年表と用語の整理は「SaaSの死」とは|年表と用語で読み解く論争の全体像に任せ、ここでは、カオスマップを読むときの注意だけ書きます。AI関連のカテゴリは、カオスマップごとに追加や見直しが行われることがあるため、版を比べるときは、カテゴリの定義を確かめてください。(出典:日経クロステック「生成AI台頭で「SaaSの死」が議論に」)

SaaSの40%ルールとは

40%ルールとは、成長率と利益率の合計が40%以上であれば、健全なSaaS企業とみる経験則です。2015年2月に、投資家のBrad Feld氏がブログで紹介しました。同氏の例では、成長率が20%なら利益率20%、成長率が40%なら利益率0%、成長率が50%なら10%の赤字まで許容できます。成長率は、月次経常収益(MRR)の前年比などで測ります。元の記事は、売上が5,000万ドル以上の規模のSaaS企業を想定しています。規模の小さい企業は、目安として使うにとどめます。計算の手順や注意点は、前述のSaaS銘柄の見方|財務指標を解説で紹介しています。(出典:Feld Thoughts「The Rule of 40% For a Healthy SaaS Company」)

※この項は一般的な情報提供であり、特定の企業の株式の売買を推奨する投資助言ではありません。投資判断は、各社が公表する一次資料を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。

カオスマップで候補を見つけても、導入したあとに、承認と連絡の置き場所が決まっていなければ、使われないSaaSが増えます。まず承認と連絡の2つを整える場合、承認を扱うコラボフローと、連絡を扱うChatworkの役割の違いを、資料で確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. カオスマップとは何ですか?

A. カオスマップとは、特定の業界に属する企業や製品・サービスを分類し、ロゴを1枚の図に並べて、特徴や相互関係を把握できるようにした業界地図です。カオス(混沌)とマップを組み合わせた和製の語で、デジタル大辞泉にも収録されています。

Q2. SaaSカオスマップはどこで見られますか?

A. One Capitalが公開するバーティカル・ホリゾンタルSaaSのカオスマップ、ITreviewのB2B IT / SaaSカオスマップ、不動産テック協会の不動産テックカオスマップなどがあります。公開日と掲載条件は作成元ごとに異なるため、見る前に確認してください。

Q3. SaaS業界で首位の会社はどこですか?

A. 公的機関が定めた順位はなく、売上高、ARR、導入社数、ユーザー数など、どの指標を使うかで入れ替わります。カオスマップは分類の図で、順位を示すものではありません。

Q4. SaaSの40%ルールとは?

A. 成長率と利益率の合計が40%以上であれば、健全なSaaS企業とみる経験則です。2015年にBrad Feld氏がブログで紹介した例では、成長率が20%なら利益率20%、成長率が50%なら10%の赤字まで許容できます。目安であり、企業の規模や使う指標で結果は変わります。

Q5. カオスマップに載っていないSaaSは使えませんか?

A. 使えます。カオスマップは、作成元が決めた掲載条件で選んだ一覧です。たとえばOne Capitalのマップは、国内の未上場スタートアップが対象です。載っていないことは、SaaSの品質や使えるかどうかを示しません。

Q6. 自社でSaaSカオスマップを作るにはどうしますか?

A. 対象の範囲を決め、分類の軸を決め、掲載する企業を洗い出し、ロゴを分類に沿って配置する4ステップで作ります。掲載条件と公開日を図に書き添えると、読む人が内容の範囲を判断できます。

まとめ|SaaSカオスマップを使いこなすために押さえる5つのこと

SaaSカオスマップとは、SaaSの企業やサービスを分類してロゴを1枚の図に並べた業界地図です。次の5つから、取り組みやすいものを選んで確認してください。

  1. 意味を押さえる:SaaSの企業やサービスを分野別に整理した業界地図で、載っていることは推奨ではない
  2. 見方を決める:掲載条件・分類の軸・公開日の3点を、公式ページで確認してから読む
  3. 種類を使い分ける:業界固有の業務はバーティカル、営業・人事・経理・承認・連絡などの共通業務はホリゾンタルのマップで探す
  4. 絞り込む:課題を書き出し、領域を決め、候補を3社前後に絞って、IPAの確認項目や資料で比べる
  5. 運用を整える:申請・承認と連絡の置き場所を決める。ワークフローのコラボフローとビジネスチャットのChatworkの資料で、自社に合う進め方を検討する

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