DXリスキリングとは?意味・学ぶ内容・進め方と助成金の確認点を解説
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- DXリスキリングは必要なスキルを学ぶこと
- 学ぶ内容はDSS-LとDSS-Pで整理する
- 助成金は募集状況と要件を先に確認
DXリスキリングとは、DX(デジタル技術とデータを使って業務や事業を変えること)を進めるために、社員が必要なデジタルのスキルを学び直す取り組みのことです。IPAの「DX動向2026」では、DXに取り組む企業のうち、DXを推進する人材の「量」が不足していると答えた企業が85.5%ある一方、DX推進に必要なスキルを把握できていない企業も52.8%ありました。本記事では、意味と似た言葉との違い、学ぶ内容、進め方の4ステップ、助成金など公的支援の確認点を整理します。内容は2026年10月22日時点の公式情報にもとづきます。
DXリスキリングを始める前に、社内で次に整えたいことを診断
Q1. DXリスキリングについて、いま一番の悩みはどちらですか?
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DXリスキリングとは|意味と、リカレント教育・OJTとの違い
DXリスキリングとは、DXを進めるために、今の仕事で必要になるスキルの変化に合わせて、社員が必要なデジタルのスキルを学ぶことです。
「リスキリング」の定義は、経済産業省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」(第2回、2021年2月)に、リクルートワークス研究所が提出した資料「リスキリングとは」に示されています。資料では、リスキリングを「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義しています(経済産業省の検討会資料)。「獲得する/させる」とあるため、本人が学ぶ場合だけでなく、会社が学ばせる取り組みも含む言葉と読めます。
DXは、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード」で、データとデジタル技術を使って製品・サービス・ビジネスモデルや、業務・組織・企業文化まで変革し、競争上の優位性を確立することと示されています(東京都のページが引用。https://dx-reskilling.metro.tokyo.lg.jp/)。つまりDXリスキリングは、ツールの使い方を覚えることではなく、業務や事業を変えるためのスキルを、会社として計画的に学ばせる取り組みです。
| 言葉 | 意味 | DXリスキリングとの関係 |
|---|---|---|
| リスキリング | 上の定義のとおり、必要なスキルを獲得する/させること | DXで業務が変わる場面に絞った学び |
| リカレント教育 | 社会に出た後も、仕事に必要な学びや時代に合った能力・スキルを得ること。職業と直接結びつかない技術や教養も含む(文部科学省「マナパス」) | 範囲が広い言葉。DXリスキリングは、そのうち仕事のDXに直結する学び |
| OJT・Off-JT | OJTは日常の業務をしながら学ぶこと。Off-JTは、通常の業務を離れて研修などを受講して学ぶこと(東京しごと財団のページの説明) | 学ぶ手段の区別。リスキリングは目的で、OJT・Off-JT・eラーニングは手段 |
リスキリングという言葉の使われ方は、資料や制度によって少しずつ違います。助成金などを使う場合は、言葉の意味ではなく、各制度が示す対象の要件で確認してください。
学びを仕組みにする|DXリスキリングを支えるeラーニング3サービスの役割
DXリスキリングは、受講の記録と理解度の確認まで仕組みにすると、続けやすくなります。
IPAの「DX動向2026」では、DXを推進する人材を育成する予算を「大幅に増やした」「やや増やした」と答えた企業は25.6%で、約半数は「変わらない」でした。限られた予算と時間で学びを続けるには、同じ内容を全員に配り、受講状況と理解度を確かめる運用が欠かせません。その手段の1つがeラーニングです。相性のよい3サービスを、役割の違いで並べます(商品ページ・公式サイトの情報にもとづきます。DX専用の教材かは各社の資料で確認してください)。
DXリスキリングの学びを支える、eラーニング3サービスの役割
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:OneCompliance(ワンコンプライアンス)情報セキュリティなどの研修を、管理画面で受講状況を見ながら進められます。
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資料を無料ダウンロード| サービス | Smart Boarding |
SAKU-SAKU Testing |
|
|---|---|---|---|
| 向いている会社 | 情報セキュリティなどの基礎を、全員に同じ基準で学ばせたい会社 | 自社のOJTや手順書を、階層別のコースにしたい会社 | 学んだあとに確認テストを出し、理解度を集計したい会社 |
| 特徴 | 法務・労務・情報領域の研修をeラーニングで提供。自動リマインダーと受講状況の集計で管理工数を抑える | 研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで実施。自社資料を使ったコース作成と、進捗・理解度の確認ができる | CBT技術を活かしたeラーニング基盤。テスト作成、配信、受講管理、帳票出力などの機能がある |
| 注意したい点 | 費用は受講人数に応じた課金体系。DXのスキルを学ぶコースは一覧にない | 手厚いサポートは「充実サポートプラン」のみ | 事務局運営やカスタマーデスクを使う場合はオプション扱い |
| 資料・詳細 |
3サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
DXで扱うデータや生成AIを、全員が同じ基準で安全に扱えるよう、情報セキュリティ、個人情報保護法、著作権などの基礎を先に学ばせたい場合の一例が、株式会社Oysterが提供するOneCompliance(ワンコンプライアンス)です。商品ページでは、コースの自動アサインや自動リマインダー、受講状況の集計で、研修担当者の負担とミスを減らせると紹介されています。公式サイトのコース一覧には情報セキュリティ、個人情報保護法、著作権などがありますが(2026年10月22日確認)、DXのスキルそのものを学ぶ教材ではありません。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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なぜ今DXリスキリングが必要か|IPA「DX動向2026」の数字で見る人材不足と準備の遅れ
DXリスキリングが必要とされるのは、DXを推進する人材が量・質ともに不足し続けている一方で、育成の土台を整えている企業が少ないためです。
IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」(2026年7月30日公開。日本企業1,799社の回答)から、人材に関する主な結果を整理します。対象は、DXに「全社戦略に基づき全社的に」「全社戦略に基づき一部の部門で」「部署ごとに個別に」取り組んでいると答えた企業です(DX動向2026 本文PDF)。
| 項目 | 結果(2025年度調査) | 読み取り |
|---|---|---|
| 人材の「量」が不足(「やや不足」「大幅に不足」の合計) | 85.5%(「大幅に不足」は50.1%。2023年度62.1%、2024年度58.5%) | 不足感はやや解消傾向だが、高い水準が続く |
| 人材の「質」が不足(同) | 88.8%(2024年度86.1%) | 量より質の不足感が強い |
| DX推進の人材像を設定し、社内に周知している | 16.2%(2024年度20.4%) | 誰を育てるかが決まっていない企業が多い |
| DX人材の評価基準 | 「基準はない」が76.1% | 学んでも成長を測る物差しがない |
| DX推進に必要なスキルの把握 | 「把握できていない」が52.8% | 何を学ばせるかを決められない |
| DX推進人材の育成予算を増やした(「大幅に」「やや」の合計) | 25.6%(約半数は「変わらない」) | 不足感に対して、予算の増加は限定的 |
従業員規模別では、「量」が不足していると答えた割合は301人以上の企業で9割を超え、100人以下の企業でも6割を超えています。「質」の不足は、100人以下の企業でも7割を超えています。規模が小さくても、不足は他人事ではありません。
スキルを把握しているかどうかも、結果と関係しています。DX推進に必要なスキルを把握している企業では、人材の「質」が「大幅に不足している」と答えた割合が40.6%、把握できていない企業では64.0%でした。DXの成果が出ている企業ほど、必要なスキルを把握できている傾向も示されています。
AIの影響を踏まえた人材育成・確保も、準備は始まったばかりです。ほとんどの項目で「検討の予定はない」が3割以上で、「着手している」が1割を超えたのは「効率化・自動化が見込まれる既存業務の把握」の19.0%だけでした。
IPAのディスカッション・ペーパー「DX動向2025-AI時代のデジタル人材育成」(2025年10月公開。執筆者の見解で、IPAの公式見解ではないと注記されています)は、日本企業の85.1%でDXを推進する人材が不足していて、米国・ドイツと比べて著しく高いこと、リクルートワークス研究所の調査で、OJTや自己啓発の実施割合が調査対象7か国中で下位であることを紹介しています(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/discussion-paper/dx2025_digital_talent_ai_era.html)。
ここから分かる順番は、人材が足りないと嘆く前に、必要なスキルの把握、人材像の設定、評価の物差しという土台を先に整えることです。次の章から、その土台に当たる「学ぶ内容」と「進め方」を整理します。
DXリスキリングで学ぶ内容|デジタルスキル標準で、全員向けと推進役向けを分ける
DXリスキリングで学ぶ内容は、全てのビジネスパーソン向けのDXリテラシー標準(DSS-L)と、DXを推進する人材向けのDX推進スキル標準(DSS-P)の2つを軸に整理できます。
IPAと経済産業省が示すデジタルスキル標準(DSS)は、ビジネスパーソンがDXに関するリテラシーを身につけて変革に向けて行動できるようにするDSS-Lと、DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルを定義したDSS-Pからなります。IPAのページの記載では、2026年4月16日にver.2.0が公開されています(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/index.html)。
| 対象 | 学ぶ内容 | IPAのページの記述 |
|---|---|---|
| 全社員 | DSS-L: 「Why」DXの背景、「What」DXで活用されるデータ・技術、「How」データ・技術の利活用、「マインド・スタンス」新たな価値を生み出すための土台の4つ | DXを自分事ととらえ、変革に向けて行動できるようになることをねらいとしている(DSS-L概要) |
| DXを推進する人 | DSS-P: DXの推進で必要な役割のうち主なものを、6つの「類型」に分けて定義 | 類型どうしが協働し、連携することが重要とされている(DSS-P概要) |
| DSS-Lの学習の入口 | 情報処理技術者試験のうち、ITパスポート試験が「特に有用」、情報セキュリティマネジメント試験が「有用」とIPAのページで整理されている | 試験は学習の目安の1つ。資格の取得がDXリスキリングの目的ではない |
DSS-Pの6つの類型は、次のとおりです(IPAの記述を要約しています)。
| 類型 | 役割 |
|---|---|
| ビジネスアーキテクト | 変革で実現したい目的を定義し、ビジネスモデルと業務プロセスを設計して、関係者をまとめながら成果を出す |
| デザイナー | 顧客・ユーザーの視点なども踏まえ、製品・サービスの方針やコミュニケーションの設計、デザインを担う |
| データサイエンティスト | データの収集・解析や、AIの仕組みの設計・実装・運用を担う |
| データマネジメント | データの安全性・信頼性の確保と、継続的に流通させる仕組みの設計・運用を行い、データの利活用を促す |
| ソフトウェアエンジニア | デジタル技術を活用した製品・サービスのための、システムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う |
| サイバーセキュリティ | 業務を支えるデジタル環境のサイバーセキュリティリスクを抑える対策を担う |
全員向けのDSS-Lは、自社の業務に置き換えて問い直すと、研修の題材を決めやすくなります。次の質問は、4つの要素を職場で使うための設計の例で、IPAが示したものではありません。
| DSS-Lの要素 | IPAの記述 | 自社に置き換える質問の例 |
|---|---|---|
| Why | DXの背景 | 自社の業界で何が変わっていて、顧客や取引先から何を求められているか |
| What | DXで活用されるデータ・技術 | 自社の業務で扱うデータは何か。どのツールやAIが使われているか |
| How | データ・技術の利活用 | 自分の担当業務の、どの作業にデータやツールを使えるか |
| マインド・スタンス | 新たな価値を生み出すための土台 | 変化や失敗を前向きに扱い、学び続ける行動を評価に入れているか |
中小企業では、1人が複数の類型の役割を兼ねることが多いため、まず全員にDSS-Lの4つの要素を学んでもらい、そのうえで「自社のDXに今必要な役割」を1-2類型に絞って育てる進め方が考えられます。各類型の育成計画や企業の事例はDX人材育成とは|進め方5ステップ・DSS-LとDSS-P・助成金・事例を解説、類型ごとの人材の確保はDX人材とは|DSS-P ver.2.0の6類型と中小企業の育成・確保の進め方で整理しています。
学ぶ入口としては、経済産業省とIPAのポータルサイトマナビDXがあります。厚生労働省のリカレント教育のページでは、デジタルに関する知識・スキルを身につけられる講座を紹介するポータルサイトとして案内されています。生成AIに関する社内研修の設計は生成AI研修とは?企業向けの学ぶ内容・選び方・助成金・定着の進め方で扱っています。
DXリスキリングの進め方4ステップ|棚卸しから、測って見直すまで
DXリスキリングは、スキルの棚卸し、対象と到達目標の決定、学び方の設計、測定と見直しの4ステップで進めると、学びが実務につながりやすくなります。
ステップ1. 必要なスキルと現状を棚卸しする
まず、自社のDXに必要なスキルと、社員の現状のスキルを一覧にします。「DX動向2026」では、必要なスキルを「把握できていない」企業が52.8%あり、把握している企業ほど人材の不足感が低い傾向が示されています。DSSの4つの要素と6つの類型を物差しにして、「全員が持つべきもの」「推進役が持つべきもの」「今は外部に任せるもの」を分けると、学ばせる範囲が見えてきます。マーケティング部門を例にした整理はDXマーケティング(マーケティングDX)とは?進め方5ステップと企業事例、人材育成まで解説にあります。
ステップ2. 対象者と、学んだ後にできることを決める
人材像を設定して社内に周知している企業は16.2%でした。「誰を」「どの役割に」育てるのか、学んだ後に業務で何ができるようになってほしいのかを、1-2文で書き出します。例えば「経理担当は、請求書のデータを自動で集計できる」のように業務の言葉で書くと、研修の内容を選びやすくなります(この書き方は設計の例で、公的な書式ではありません)。
ステップ3. 学び方を決め、自社の業務に結びつける
学び方は、仕事をしながら学ぶOJT、業務を離れて受けるOff-JT(外部の研修やeラーニング)、自己啓発の組み合わせで決めます。外部の講座やeラーニングは基礎を広くそろえるのに向きますが、自社の業務のやり方や手順は、自社で教材にしないと伝わりません。その教材づくりと学習の進み具合の管理を、1つの仕組みでまとめたい場合の一例が、株式会社FCEが提供するSmart Boardingです。商品ページでは、社内のOJTやOff-JTの内容を学習プログラム化して属人化を防げること、キャリアマップ(メンバー、管理職、経営層)に沿って教育プログラムを作れること、LMSで進捗や理解度を確認できることが紹介されています。一方、電話やメールの相談、教育プログラムの設計といった手厚いサポートは「充実サポートプラン」のみと案内されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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LearnOとの比較はこちら

【2026年最新】LearnO vs Smart Boardingを徹底比較|どちらがあなたに合う?評判・機能・料金で検証!
今、eラーニングシステムを導入する企業が増えています。特に「LearnO」と「Smart Boarding」は2大人気サービスで、評価を見てもどちらが本当に自社に合うサービスなのか悩んでいる方も少なくありません。本記事では、徹底比較したビジコン編集部が目的別・使い方別に違いを明確に解説します。
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- 自社オリジナルコースの作成や学習進捗管理も行える
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- 電話やメール相談、教育プログラム設計といった手厚いサポートを受けられるのは「充実サポートプラン」のみ
社員の等級ごとに必要な内容を四半期ごとに学習コースとして配信し、計画的に人財育成を進められる仕組みを整えています。
Smart Boarding 導入事例(株式会社ミツハシ。利用者の声より) 出典:導入事例ページ
ステップ4. 学んだ成果を測り、見直す
DX人材の評価基準が「ない」企業は76.1%でした。受講率だけでなく、理解度(テストの結果)と、業務での実践(学んだことを使った場面や、減った作業時間)の3つの層で、見る指標を先に決めておきます。例えば東京都のDX実践人材リスキリング支援事業は、企業の課題に合わせた学習計画の策定から、オンライン学習の実施、プログラム終了後の効果検証までを一体的に支援する内容として、公式ページに紹介されています(https://dx-reskilling.metro.tokyo.lg.jp/)。
理解度を確かめる手段の一例が、株式会社イー・コミュニケーションズが提供するSAKU-SAKU Testingです。商品ページでは、CBT技術を活かしたeラーニング基盤で、既存の問題と自社独自の問題を1つのテストにまとめられること、コンテンツ作成、ユーザー管理、配信、受講管理、帳票出力、紙のテスト結果の取り込みなどの機能があることが紹介されています。事務局運営やカスタマーデスクを使う場合はオプション扱いです。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
株式会社イー・コミュニケーションズ
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初心者にも◎受講者の管理をスムーズに行いたい方におすすめ
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- ユーザー管理機能を備えているため、より細かな対象でカテゴリーやグループを紐づけられる
気になる…
- 事務局運営やカスタマーデスクを利用する場合はオプション扱いとなる
ここまでの4ステップを自社に当てはめて、準備の抜け漏れを確認してみましょう。
自社のDXリスキリング、準備は足りている?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
費用と公的支援|令和8年度DXリスキリング助成金など、企業向け・個人向けの確認点
DXリスキリングの費用は、助成金などの公的支援で一部を補える場合があります。窓口は企業向けと個人向けに分かれ、募集が終わっている事業もあります。
制度は年度や回ごとに変わります。以下は2026年10月22日に公式ページで確認した内容で、対象になるかどうかの判断ではありません。申請前に、募集要項と窓口で最新の要件を確認してください。
企業向け
| 制度 | 対象と内容 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 令和8年度DXリスキリング助成金(公益財団法人東京しごと財団) | 都内に本社または主たる事業所があり、資本金や従業員数の基準を満たす中小企業等(みなし大企業は対象外)。申請企業のDX推進のために必要な知識・技能の習得・向上を目的とする研修、または専門的な資格を取得するための研修が対象 | 助成額は助成対象経費の4分の3(上限は1人1研修につき75,000円)、1申請企業等あたりの上限は100万円。1研修の総研修時間数は3時間以上10時間未満(eラーニングは標準学習時間数)で、通常の業務と区別できるOFF-JT。同じ研修について国や地方公共団体から助成を受けていないことも要件。研修開始予定日の1か月前までに申請し、交付申請書の受付は令和8年3月1日から令和9年2月28日(公式ページ) |
| 人材開発支援助成金(厚生労働省) | 7つのコースがあり、DXリスキリングに関わるのは主に2つ。人への投資促進コース(デジタル人材・高度人材を育成する訓練、定額制訓練など)と、事業展開等リスキリング支援コース(新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識・技能を習得させる訓練) | ページに「訓練経費は無料になりません」と明記され、不正受給した事業主は公表される。令和8年5月14日付の支給要領の改正で、対象によっては「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出が必要。詳細は最新のパンフレットと支給要領、管轄の労働局で確認(厚生労働省のページ) |
| 東京都「DX実践人材リスキリング支援事業」、厚生労働省「中小企業リスキリング支援事業」 | 前者は、都内の中小企業向けに、学習計画の策定、個別最適化したオンライン学習、効果検証を無料で提供する事業。後者は、中小企業向けに、無料の個別相談と伴走支援を行う事業 | 2026年10月22日時点で、どちらの公式ページにも「募集は終了」と表示されている。上位の解説記事に載っていても、募集中とは限らないため、公式ページで募集状況を確認(東京都、厚生労働省) |
個人向け
社員本人が自分で学ぶ場合の支援も、厚生労働省のリカレント教育のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18817.html)にまとめられています。
- 教育訓練給付金: 対象講座を修了した場合に、自ら負担した受講費用の20%から80%の支給を受けられる(厚生労働省のページ)
- キャリア形成・リスキリング相談コーナー: 在職中の人が、キャリアコンサルタントに無料で相談できる(オンラインも可)
- リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経済産業省): 在職者が民間の専門家にキャリア相談をし、リスキリング講座を受け、転職支援まで一体的に受けられる体制の事業(https://careerup.reskilling.go.jp/)
- 公的職業訓練(ハロートレーニング): 希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識を無料で習得できる
個人のキャリアの面からリスキリングを考えたい場合は、AIに奪われない仕事とは?3つの特徴と職種例、今から始めるリスキリングも参考になります。
支援を使う前提として、「DX動向2026」では、第四次産業革命スキル取得講座認定制度とマナビDX Questについて「知らない」が7割を超えました。公的な講座や支援は知られていないものも多いため、研修を選ぶ前に、一度公式ページを確認する価値があります。
DXリスキリングでよくある失敗と、現場で定着させる工夫
DXリスキリングの失敗は、目的の曖昧さ、時間と費用の壁、成果の測り方がないことから起こりやすく、公的資料の数字や課題から先回りして防げます。
| 失敗パターン | 根拠になる公的資料の記述 | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 誰に何を学ばせるか決まらないまま始める | 人材像を設定し周知している企業は16.2%、必要なスキルを把握できていない企業は52.8%(IPA「DX動向2026」) | スキルの棚卸しの表と、対象者・到達目標(ステップ1-2) |
| 学ぶ時間や費用が確保できない | 社会人が大学等で学ぶ際の課題として、費用の負担、時間の確保、情報収集、目的に合ったプログラムの不足、企業による評価や休暇制度など学びやすい仕組みの不十分さが挙げられている(文部科学省マナパス。大学等での学びを対象にした調査) | 業務時間内の学習枠と、助成金の確認(前の章) |
| 学びと業務が切り離される | 厚生労働省は「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」で、労働者の自律的・主体的・継続的な学びと、学びにおける労使の協働の必要性を示している(厚生労働省のリカレント教育のページ) | 学んだ内容を使う業務(演習や小さな実践)を、研修の前に決める |
| 成果の物差しがない | DX人材の評価基準が「ない」企業は76.1%(IPA「DX動向2026」) | 受講率・理解度・業務での実践の3つの指標(ステップ4) |
公的機関が公開している事例として、東京都のDX実践人材リスキリング支援事業のページには、2025年度の参加企業の例が掲載されています。生成AIの活用方法を学んでバックオフィスの業務時間を削減した菓子製造・販売の企業、SEOやペルソナ設定を学んでPV数やフォロワー数が増えた出版業の企業、リーダーが率先して学び現場が自ら動く組織を目指す健康経営支援事業の企業などです(いずれも同ページの概要で、成果は各社の取り組み全体の結果です)。共通しているのは、業務効率化、営業データの活用・分析、集客・販路拡大、経営戦略の4つのコースから、自社の課題に合う学びを選んでいる点です。
学んだあとの理解度を数字で追えるようにしておくと、教材や進め方を見直す根拠になります。確認テストで理解度を集計する仕組みを検討する場合は、次の資料も比べてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. DXリスキリングとは何ですか?
A. DXを進めるために、今の仕事で必要になるスキルの変化に合わせて、社員が必要なデジタルのスキルを学ぶことです。経済産業省の検討会に提出された資料では、リスキリングを、新しい職業に就くため、または今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させることと定義しています。
Q2. リスキリングとリカレント教育は何が違いますか?
A. リカレント教育は、文部科学省のマナパスで、社会に出た後も仕事に必要な学びや、職業と直接結びつかない技術や教養を身につけることと説明されている広い言葉です。リスキリングは、仕事で必要とされるスキルの変化に適応するための学びに絞った言葉で、DXリスキリングはそのうちDXに直結するものを指します。
Q3. DXに必要なスキルは何ですか?
A. IPAと経済産業省のデジタルスキル標準で整理できます。全社員向けのDXリテラシー標準(DSS-L)は、DXの背景(Why)、データ・技術(What)、利活用(How)、マインド・スタンスの4つで構成されます。DXを推進する人向けのDX推進スキル標準(DSS-P)は、6つの類型で役割を定義しています。
Q4. 東京都のDXリスキリング助成金はいくらですか?
A. 東京しごと財団の令和8年度DXリスキリング助成金は、助成対象経費の4分の3(上限は1人1研修につき75,000円)で、1申請企業等あたりの上限は100万円です。都内の中小企業等が対象で、2026年10月22日に公式ページで確認した内容です。年度や要件が変わるため、申請前に募集要項で確認してください。
Q5. DX人材の年収はいくらですか?
A. 公的統計に「DX人材」という区分は確認できなかったため(2026年10月22日時点)、本記事では金額を示していません。職種ごとの賃金は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)で、職種を選んで確認できます。DSS-Pの6つの類型は役割の分類で、給与の水準を示すものではありません。
Q6. 中小企業は、DXリスキリングを何から始めればよいですか?
A. 自社のDXに必要なスキルの棚卸しから始めてください。次に、誰をどの役割に育てるかと、学んだ後にできてほしいことを決め、学び方と測り方を選びます。費用は、東京都内なら東京しごと財団の助成金、全国なら厚生労働省の人材開発支援助成金などで補える場合があるため、申し込む前に要件を確認してください。
まとめ|DXリスキリングで押さえたい6つのこと
DXリスキリングは、研修を受けさせることが目的ではなく、DXで業務や事業を変えるために必要なスキルを、会社として計画的に学ばせる取り組みです。土台を整えてから、小さく始めて確認しながら広げることが、現場で使われる学びにつながります。
- DXリスキリングは、DXを進めるために必要なデジタルのスキルを学ばせる取り組みで、リカレント教育やOJTとは範囲と役割が違う
- IPA「DX動向2026」では、DX推進人材の「量」の不足が85.5%で、必要なスキルの把握(52.8%が把握できていない)と人材像の周知(16.2%)の土台づくりが遅れている
- 学ぶ内容は、全員向けのDSS-Lと、推進役向けのDSS-P(6類型)で整理し、自社のDXに今必要な役割を絞る
- 進め方は、棚卸し、対象と到達目標、学び方の設計、測定と見直しの4ステップで、成果の物差しを先に決める
- 費用は、令和8年度DXリスキリング助成金(都内の中小企業等)や人材開発支援助成金などを、募集状況と要件の確認から始める
- 学びを仕組みにするため、受講の記録・自社の教材・理解度テストをそろえるeラーニングの資料を請求して比較する
DXの手法やツール、制度は今後も変わります。変わらないのは、何を学ばせるかを決め、学んだ成果を測って見直す流れです。まず、自社のDXに必要なスキルを一覧にするところから始めてください。
参考文献
- 経済産業省「デジタル時代の人材政策に関する検討会」第2回 資料2-2(リクルートワークス研究所提出資料)https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html
- IPA「DX動向2026」本文(PDF)https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf
- IPA「DX動向2025-AI時代のデジタル人材育成」(IPA調査分析ディスカッション・ペーパー2025-02)https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/discussion-paper/dx2025_digital_talent_ai_era.html
- IPA「デジタルスキル標準」https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/index.html
- IPA「DXリテラシー標準(DSS-L)概要」https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/about_dss-l.html
- IPA「DX推進スキル標準(DSS-P)概要」https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/about_dss-p.html
- マナビDX(経済産業省・IPA)https://manabi-dx.ipa.go.jp/
- 公益財団法人東京しごと財団「令和8年度DXリスキリング助成金」https://www.koyokankyo.shigotozaidan.or.jp/jigyo/skillup/skill-R8dx-risk.html
- 東京都「DX実践人材リスキリング支援事業」https://dx-reskilling.metro.tokyo.lg.jp/
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
- 厚生労働省「リカレント教育」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18817.html
- 厚生労働省「教育訓練給付金」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
- 厚生労働省「中小企業リスキリング支援事業」https://reskilling.mhlw.go.jp/
- 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」https://careerup.reskilling.go.jp/
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)https://shigoto.mhlw.go.jp/User
- 文部科学省「マナパス リカレント教育って?」https://manapass.mext.go.jp/recurrent/necessity/
- OneCompliance(ワンコンプライアンス) コース一覧https://onecompliance.jp/courses
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