BPO印刷とは?委託できる業務と委託先の選び方、紙を減らす判断軸

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  • 印刷BPOは印刷から発送まで任せる仕組み
  • 委託先は個人情報の監督体制で選ぶ
  • 少量の書類は電子化や郵送代行も選択肢

「bpo 印刷」とは、請求書・通知書・案内状・DMなどの印刷物について、データの受け取りから印刷、封入封緘、郵便局への差し出しまでを、外部の専門会社に任せることです(印刷BPO)。日本印刷産業連合会は、印刷会社がダイレクトメールや各種請求書などの印刷物の受託業務を中心にBPOサービスを展開していると説明しています(日本印刷産業連合会「ぷりんとぴあ」)。本記事では、委託できる業務の範囲、前橋市の自治体事例、個人情報保護法に沿った委託先の確認点、自社で続けるか委託するかの判断軸を整理し、紙そのものを減らす選択肢も紹介します。

印刷・発送まわりの手間を、2問で診断

Q1. 印刷物や書類を送る頻度は、どちらに近い?

目次

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  1. 印刷BPOとは|印刷物の作成から発送までを外部に任せる仕組み
  2. 印刷BPOで委託できる書類と業務|請求書・通知書・DM・販促物
  3. 印刷BPOのメリットと注意点|前橋市と伊勢崎市の事例で見る
  4. 自社で続けるか委託するか|判断の軸と棚卸しチェック
  5. 印刷BPOの委託先の選び方|個人情報の監督とセキュリティの確認点
  6. 印刷BPOを依頼する流れと、見積もり前にそろえる情報
  7. 紙そのものを減らす選択肢|請求書の電子化・郵送代行・電子契約
  8. 印刷BPOでよくある失敗と防ぎ方
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|印刷BPOで押さえたい6つのこと
  11. 参考文献

印刷BPOとは|印刷物の作成から発送までを外部に任せる仕組み

印刷BPOとは、請求書や通知書などの印刷物の印刷、封入封緘、発送までを、外部の専門会社に委託する仕組みです。

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、日本印刷産業連合会の用語集によると、企業活動の業務の一部を専門会社に外部委託することをいい、ルーティンな業務プロセスを委託することで、自社のコア事業に専念できるメリットがあります(日本印刷産業連合会「印刷用語集」)。その対象が、印刷と発送にかかわる業務であるものが印刷BPOです。BPO全体の意味や関連用語は、BPOとは?意味・サービス・関連用語をまとめて整理で整理しています。

「bpo 印刷」で調べると、2つの立場の情報が混ざって出てきます。1つは、自社の印刷・発送業務を外に出したい企業や自治体の立場、もう1つは、印刷会社が自社の事業としてBPOを広げているという立場です。本記事は前者、つまり出す側の企業や自治体の立場で書いています。印刷会社が手がけるBPOの一例は、TOPPANのBPOとは?事業領域・自治体実績と大手BPO事業者の選び方を中立解説で解説しています。

工程委託できる内容の例自社で決めておくこと
データの受け取り・組版請求書や通知書のレイアウト作成、差し込みデータ(宛名・金額など)の取り込みデータの出力形式、文字の扱い、様式の変更時の連絡方法
印刷用紙や封筒への印字、カラーか単色かの指定に沿った印刷用紙・封筒の仕様、部数、印刷の品質基準
封入封緘書類と同封物の組み合わせ、封筒詰め、宛名との照合同封物の種類、宛名ごとの組み合わせの条件
発送郵便局への差し出し、発送状況の管理発送日、発送方法、不達時の対応
付随業務在庫管理、問い合わせの受付、データの管理などどこまで任せるか、個人情報の扱い

印刷BPOは、対象が数千通、数万通と大きいほど効果が出やすくなります。毎月の請求書が数十通から数百通なら、請求書発行システムの郵送代行という選択肢もあります。契約書や同意書は、電子契約で印刷と郵送をなくせる場合があります。この2つの役割の違いを、次の表で整理します。

印刷・発送の手間を減らす2サービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:マネーフォワード クラウド請求書は、毎月の請求書をソフトで作成し、印刷・封入・投函までの代行を依頼したい場合の一例です。

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この状況に合う一例:電子印鑑GMOサインは、契約書や同意書の印刷・押印・郵送を、オンラインの署名に置き換えたい場合の一例です。

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サービス マネーフォワード クラウド請求書 電子印鑑GMOサイン
向いている会社 請求書・見積書・納品書を自社で作成して送っていて、印刷と郵送の作業を減らしたい会社 雇用契約書、取引基本契約書、同意書などを、印刷と押印と回収でやり取りしている会社
特徴 見積書・納品書・請求書・領収書を作成でき、メール送付と郵送の両方がソフト上の操作でできる。郵送では、印刷から封入・投函までの代行を依頼できる。インボイス制度と電子帳簿保存法に対応している(商品ページの記載) 立会人型と当事者型の2種類の電子署名に対応している。契約印タイプでは、相手がアカウント登録をしなくても締結できる仕組みがある。商品ページの口コミ評価は4.6(18件)
注意したい点 請求書の郵送代行はオプション。入金消込を使うには、別のプラン(クラウド請求書Plus)の契約が必要。個人や小規模から中小企業向けのサービスのため、数万通規模の大量印刷は印刷BPOの対象になる 機能やオプションが豊富な分、すべて必要な場合はオプションの費用が大きくなりうる。書面での交付が法令で求められる書類は、電子契約にできない場合がある
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表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

請求書や見積書を自社で作り、毎月の印刷・封入・投函を手作業で続けている場合の一例が、株式会社マネーフォワードが提供するマネーフォワード クラウド請求書です。見積書・納品書・請求書・領収書を作成でき、送付はメールと郵送のどちらにも対応しています。郵送では、ソフト上で発送日と差出人を確認して郵送ボタンを押すと、印刷から封入・投函までの代行を依頼でき、複数の請求書をまとめて郵送する一括郵送もあります。インボイス制度と電子帳簿保存法にも対応しています(いずれも商品ページの記載)。注意点として、請求書の郵送代行はオプションで、入金消込を使うには別のプラン(マネーフォワード クラウド請求書Plus)の契約が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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見積書・納品書・請求書・領収書の作成が簡単に行え、ワンクリックでメール送付・郵送が完了するソフトなら、マネーフォワード クラウド請求書の導入がおすすめです。

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  • フォームに沿って入力するだけで簡単に帳票を作成できる
  • インボイス制度にも対応
  • 入金ステータスが一目で分かるので、請求の抜け漏れ防止にも効果的
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  • 請求書発行に特化しているものの、「入金消込」を利用するには「マネーフォワード クラウド請求書Plus」の契約が必要

導入事例として、株式会社Super Crowdsは、請求書の郵送枚数が多くなったときの作業コストが課題で、郵送作業をボタンひとつで外に出せたと述べています。

「社内での郵送作業を簡単にボタンひとつでアウトソース出来たため、コスト削減にもつながっています。」

株式会社Super Crowds導入事例の評価の項目(マネーフォワード公式サイト、2017年7月5日公開。公開当時の情報)。出典:マネーフォワード クラウド請求書 導入事例、2026年10月23日確認

印刷BPOで委託できる書類と業務|請求書・通知書・DM・販促物

印刷BPOで委託できる書類は、請求書、明細書、納付書、通知書、DM、案内状、パンフレットなど、定型で、まとまった数を、決まった相手に送るものが中心です。差し込むデータ(宛名や金額)が書類ごとに違い、手作業で封筒に入れ分けると間違いが起きやすい書類ほど、委託の効果が出ます。

請求書・明細書|誤封入を防ぎたい定期の発送

経理部門の請求書の印刷から発送は、大量の印刷と手作業の封入封緘が必要で、手作業では誤封入のリスクも高まります。TLPのコラムは、データプリントを専門とするBPOなら、機器による印字から内容物のマッチングまで任せられ、品質の向上とコスト削減が見込めると説明しています(TLP知恵袋「印刷におけるBPO活用例とは?」)。請求書は毎月決まった時期に発生するため、委託の効果が見えやすい書類です。

納付書・通知書|自治体で多い大量の通知物

自治体では、住民に向けた納付書や通知書を大量に印刷して発送します。ミスが許されず、職員の工数もかかるため、印刷から発送までを一括して外部に任せる例があります。前橋市と伊勢崎市の取り組みは、次の章で詳しく見ます。

DM・案内状・販促物|説明会やキャンペーンの付随作業

DMやパンフレット、説明会の資料などは、必要な時期が限られるため、印刷の設備や人員を自社で常に抱えるとコストが重くなります。必要なときだけ委託できる点が、印刷BPOの利点です。グロップの解説記事は、印刷物の作成から梱包、発送、デザイン、問い合わせ対応までを委託できる例を挙げています(アウトソーシングプロ「印刷BPOとは?」)。

契約書・申込書|書式を変えて不備を減らす

申込書の記載ミスによる不備が多い場合は、印刷の委託と合わせてレイアウトの変更を依頼すると、不備書類の返却作業を減らせる、という例も紹介されています(グロップの同記事)。印刷の委託先を探すときは、印刷そのものだけでなく、書式の見直しまで相談できるかを確認するとよいでしょう。

書類主な特徴委託の判断で確認すること
請求書・明細書毎月など定期。宛名と金額が書類ごとに違う誤封入の防止方法、データの受け渡し方法
納付書・通知書大量。個人情報を含む。期限が決まっている機械処理の記録(ログ)の有無、差し出しまでの日数
DM・案内状時期限定。同封物が多い同封物の組み合わせ条件、発送の時期
パンフレット・説明会資料デザインや企画から相談したい場合があるデザインと印刷を同じ会社に任せられるか
契約書・申込書署名や押印が必要。電子化できる場合がある書面での交付が法令で必要か、電子化できないか
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印刷BPOのメリットと注意点|前橋市と伊勢崎市の事例で見る

印刷BPOのメリットは、品質の安定、社内の工数削減、繁閑の差への対応、印刷から発送まで一括で任せられる点です。注意点は、情報漏えいのリスク、完成度の低下、様式の変更への対応です。TLPのコラムも、外部に情報を委ねるため、情報の漏えいや完成度の低下のリスクがあると指摘しています(TLPの同コラム)。

  • 品質と速度:専用の機器で印字と封入を行うため、手作業よりも品質を安定させやすく、短い期間で処理できます。
  • 社内の工数:印刷、封入、投函、在庫管理、余った用紙の処分などの作業を、担当者から外せます。
  • 繁閑の差:年に数回しか発生しない大量の発送のために、設備や人員を常に持たなくて済みます。
  • 一括依頼:書類の作成から発送までを1社に任せると、窓口と管理の手間が減ります。

前橋市と伊勢崎市の事例|データ入稿から郵便局への差し出しまで

群馬県前橋市は、自治体クラウドの導入に合わせて、伊勢崎市と通知書などの帳票を標準化し、作成と発送を共同の事業として外部に委託しました。ジチタイワークスの記事は、複数の業務についてデータ入稿から郵便局への差し出しまでを一括して、複数の自治体で共同実施する印刷BPOは自治体として初めてだと紹介しています(行革甲子園2022の応募内容をもとにした記事。ジチタイワークス「自治体初!“印刷BPO”の導入で業務効率化と経費削減を叶える」)。

項目委託前委託後
作業の流れ専用帳票の作成、データの印字、封入封緘、差出不要分の引き抜き、郵便局への差し出し、用紙・封筒の在庫管理と余剰分の処分を、職員が関わりながら進めていた印刷データを登録するだけで、職員の差し出し業務が終わる。用紙・封筒の作成、在庫の保管、引き抜き作業、郵便局への発送から職員が外れた
印刷から封入封緘までの日数最長2か月最長9営業日(最短2営業日)
記録引き抜き作業など、職員の手作業が多い工程があった手作業を排除し、機械処理のログで、個人情報の取扱いの追跡ができる。納付書が入っていないという問い合わせにも、ログをもとに対応できた
経費従来の用紙と封筒の作成、データ印字、封入封緘の5年間の経費総額 6億952万円(前橋市の64帳票)印刷BPOの設計・開発などの初期費用を含めた5年間の経費総額 3億7406万円。2億3546万円(38.63%)の減

この事例から、民間企業の印刷BPOにも使える点が3つあります。1つ目は、委託前の工程を一度すべて書き出したことです。差出不要分の引き抜きのように、委託先に任せても残る作業と、委託で不要になる作業を分けられます。2つ目は、機械処理の記録(ログ)を残す形にしたことで、個人情報の取扱いを追跡でき、問い合わせにも根拠をもって答えられる点です。3つ目は、帳票のデザインを住民の目線で見直して標準化したことです。委託は、印刷の外注にとどまらず、書類の見直しの機会にもなります。

注意点もあります。同記事は、データの出力形式によっては外字ファイルの提供が必要になり、特定の事業者に依存する要因になっていたと述べています。このため、システムの調達の段階で、印刷BPO事業者が指定するデータ形式での出力を必須とした仕様にしたそうです。また、この数字は自治体が応募時に公表した内容で、帳票の標準化と2市の共同実施の効果を含みます。民間企業の導入にそのまま当てはまるとは限らないため、自社の書類で見積もりを取って確かめます。

自社で続けるか委託するか|判断の軸と棚卸しチェック

印刷と発送を自社で続けるか委託するかは、通数、頻度、変動データの有無、個人情報の有無、納期、社内の人手の6つで判断します。数が少なく、担当者が決まっていて、ミスの記録を残せているなら、自社で続けて問題ありません。

判断の軸自社で続けやすい委託を検討したい
通数と頻度少数で、発生が不定期まとまった数が、毎月や毎期に発生する
書類ごとの違い文面が同じで、宛名だけが違う宛名のほか、金額や同封物が書類ごとに違う
個人情報含まないか、ごく少数含み、取扱いの記録を残す必要がある
納期余裕がある日程が決まっていて、遅れると影響が大きい
社内の人手担当者が決まっていて、他の業務を圧迫しない繁忙期に他の業務が止まる
紙である必要相手が紙を求めている相手が電子での受け取りに対応できる

次の項目で、自社の印刷・発送業務がどの程度手作業に偏っているかを確認できます。

印刷・発送の手作業、どれが当てはまる?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

請求書の印刷と封入と投函を毎月手でやっているなら、書類の作成から郵送までを一つのソフトでつなげ、郵送作業を代行に回す方法が現実的な第一歩です。数万通規模の大量の書類や、デザインから任せたい販促物は、印刷BPOの見積もりを取る段階です。業務の棚卸しからサービス水準(SLA)の決め方までは、bpo プロセスとは?業務棚卸からSLA設計まで解説が参考になります。

印刷BPOの委託先の選び方|個人情報の監督とセキュリティの確認点

印刷BPOの委託先は、同規模の実績、セキュリティ体制、ミスを防ぐ仕組み、見積もりの内訳の4点で選びます。なかでも、個人情報を含む書類を委託する場合は、法令上の監督の義務があるため、最初に確認します。

印刷会社がBPOを手がける背景について、日本印刷産業連合会は、印刷が個人情報や発売前の出版物などの機密情報、金券・有価証券を扱う機会が非常に多く、印刷会社は社内にセキュリティ体制を構築していることを挙げています(ぷりんとぴあ)。

個人情報保護法第25条とガイドラインの3つの措置

個人情報保護法第25条は、個人データの取扱いの全部または一部を委託する場合に、取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対して必要かつ適切な監督を行わなければならないと定めています(e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」)。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、必要かつ適切な措置として、次の3つを挙げています(個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」の3-4-4)。

  1. 適切な委託先の選定:委託先の安全管理措置が、委託元に求められるものと同等であることを、あらかじめ確認する
  2. 委託契約の締結:個人データの取扱いに関する安全管理措置を契約に盛り込み、委託先の取扱状況を委託元が合理的に把握できるようにすることが望ましい
  3. 委託先における取扱状況の把握:定期的な監査などで、契約で定めた内容がどの程度実施されているかを調べ、委託の内容の見直しも含めて評価することが望ましい

委託先がさらに別の会社に作業を任せる再委託の場合も、委託元は、再委託先、再委託する業務内容、取扱方法などについて、事前の報告や承認を受けることが望ましいとされています。印刷や封入の工程を別会社の工場で行う場合があるため、再委託の有無と範囲は、見積もりの段階で確認します。本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の契約や事案は、弁護士などの専門家に確認してください。

プライバシーマークとISMSは、取得の有無と範囲を見る

委託先のセキュリティを確かめる目安として、プライバシーマークとISMSがあります。プライバシーマーク制度は、日本産業規格JIS Q 15001に準拠した指針に基づいて、個人情報について適切な保護措置を講じる体制を整備している事業者を評価する制度で、付与は法人単位、有効期間は2年間です(JIPDEC「プライバシーマークとは」)。ISMSは、JIS Q 27001(ISO/IEC 27001)が要求事項を定めた、情報セキュリティのマネジメントの仕組みです(ISMS-AC「ISMSとは」)。

取得しているかどうかに加えて、自社の書類を扱う拠点や工程が、認証の対象に含まれているかも確認します。ISMSの認証は組織が定めた適用範囲について受けるため、印刷や封入を行う工場が対象に入っているかを、委託先に尋ねるとよいでしょう。有効期限の確認も忘れずに行います。

見積もりの前に確認する点

確認する点見るポイント
同規模の実績自社と同じくらいの通数や、同じ種類の書類の実績があるか
データの受け渡し暗号化や専用の経路を使うか。受け取ったデータの保管と削除のルール
ミスを防ぐ仕組み封入時の照合、機械処理、抜き取り検査があるか。ミスが起きたときの連絡と補償の考え方
記録(ログ)誰が、いつ、どの書類を扱ったかを追跡できるか。前橋市の事例は、機械処理のログで追跡できる点を評価していた
再委託再委託の有無、範囲、再委託先の管理方法
実地の確認サンプルの確認や工場見学で、実際の運用を見られるか(TLPのコラムも、サンプルや工場見学で実際のセキュリティ運用を把握するよう勧めている)
見積もりの内訳用紙、印刷、封入、郵送、データ加工などの内訳。条件が変わったときの追加の考え方

印刷BPOを依頼する流れと、見積もり前にそろえる情報

印刷BPOは、自社の業務の棚卸し、委託範囲の決定、複数社への見積もり、サンプルの確認、契約、試行運用の順で進めます。見積もりの精度は、最初にそろえる情報で決まります。

  1. 印刷・発送業務の棚卸し:書類の種類、通数、頻度、差し込むデータ、個人情報の有無、納期、送付先の数を書き出す
  2. 委託する範囲を決める:印刷だけか、封入と発送までか、問い合わせの受付まで任せるかを決める。差出不要分の引き抜きのように、委託後も残る作業がないかも確認する
  3. 複数社に同じ条件で見積もりを依頼する:同じ条件を伝え、内訳を比べる。料金はプランや条件によって異なる
  4. サンプルと実地を確認する:実際の書類で試し刷りをして、封入と照合の様子を見る
  5. 契約を結ぶ:秘密保持、再委託の条件、事故が起きたときの対応、監査の権利を契約に盛り込む
  6. 試行して本番に移る:少ない通数で試し、問題がなければ本番に移る。運用後も、定期的に品質と記録を確認する
見積もり依頼に書く項目書き方の例
書類の種類と通数請求書、毎月、おおよその通数、繁忙期の通数
書類の仕様用紙の大きさと種類、封筒の種類、カラーか単色か、同封物の有無
データ差し込むデータの項目、出力形式、文字の扱い(外字の有無)
個人情報含むか、どの項目か、保管と削除の希望
納期と頻度データを渡してから差し出すまでの希望日数、毎月の発送日
付随業務問い合わせ対応、在庫管理、発送状況の連絡の要否

前橋市の事例では、システムの調達の段階から、印刷BPO事業者が指定するデータ形式で出力することを条件にしました。見積もりの前に、自社のシステムから出せるデータの形式を確認しておくと、後から追加の費用や改修が生じるリスクを減らせます。

紙そのものを減らす選択肢|請求書の電子化・郵送代行・電子契約

印刷BPOの前に、そもそも紙で送る書類を減らせないかを確認すると、委託する量を減らせます。請求書は、一定の条件で電子での提供が認められており、契約書や同意書はオンラインの署名に置き換えられる場合があります。

消費税法第57条の4第5項は、適格請求書発行事業者が、適格請求書の交付に代えて、記載すべき事項に係る電磁的記録を提供できると定めています。同条第6項は、交付した書類の写しまたは提供した電磁的記録の保存を求めています(e-Gov法令検索「消費税法」)。電子で提供した場合も、記載事項に誤りがあれば修正したものを提供する義務は同じです。税務の取扱いは個別の事情で変わるため、顧問税理士や所轄の税務署に確認してください。

方法向いている場面注意点
自社で印刷して郵送数が少ない、不定期手作業が増えるとミスと工数が増える
印刷BPOに委託大量で、毎月や毎期に発生する。デザインや同封物の組み合わせがある委託先の監督と、データ形式の事前確認が必要
請求書発行システムの郵送代行請求書が中心で、数十通から数百通。作成から送付までを一つの流れにしたい郵送代行がオプションの場合がある。大量の印刷には向かない場合がある
電子で提供取引先が電子での受け取りに対応している取引先が対応していない場合は紙も必要。写しまたは電磁的記録の保存が必要

マネーフォワード クラウド請求書の商品ページは、請求書のメール送信に法律上・税務上の問題はないが、取引先によっては郵送をしなければならない場合もあるため、メールと郵送の両方に対応していると説明しています。電子と紙が混在する取引先を抱える会社にとっては、同じ画面で両方の送り方を選べる点が、印刷BPOの前段の選択肢になります。

契約書や同意書については、印刷、押印、配布、回収、保管の手間をなくす方法として、電子契約があります。契約書の種類によっては、書面での交付が法令で求められている場合があります。法的助言ではないため、書類ごとに専門家へ確認してください。雇用契約書や取引基本契約書など、決まった時期にまとまって印刷していた書類を、オンラインの署名に置き換える場合の一例が、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する電子印鑑GMOサインです。立会人型と当事者型の両方の電子署名に対応し、契約印タイプでは相手がアカウント登録をしなくても契約を締結できます(商品ページの記載)。注意点として、機能やオプションが豊富な分、すべて必要な場合はオプションの費用が大きくなることがあります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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  • 機能やオプションが豊富でマルチに使えるが、全て必要な場合はオプション料金が高額になってしまう
評価・口コミ(一部抜粋)
4.6
  • 契約書の取り交わしに際し、通常の電子署名だけでなく実印タイプの署名にも対応が出来ることで、主に人材派遣などで利用が強いと感じる。またクラウドサインに比べて少し金額が割安な傾向があるので、コストを抑えて電子契約を導入したい企業におすすめ。

  • 署名フローの整理ができ、各自が今どの文書がどのステータスか、どれを対応する必要があるのかが管理しやすくなった

  • 契約書を巻くのに多い時では1日かかっていた作業が、10-15分ぐらいで終わるという時間効率が圧倒的に良くなった点が挙げられるかと思います。また紙の契約書だとかかる紙台、インク代もバカにならないかと思いますがそこの削減にもつながりました。

導入事例として、日建レンタコム株式会社は、雇用契約の書類について、各事業所で印刷・押印・配布・回収・保管といった作業が発生していたと述べ、電子契約の導入を検討しました。

「各事業所では印刷・押印・配布・回収・保管といった煩雑な作業が発生していました。」

日建レンタコム株式会社導入事例の導入経緯(電子印鑑GMOサイン公式サイト、2025年10月27日公開)。出典:電子印鑑GMOサイン 導入事例、2026年10月23日確認
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請求書などの経理業務そのものを外部に出すことも、選択肢の一つです。その範囲は、bpo 財務とは?経理BPOとの違いと委託できる範囲を解説で整理しています。

印刷BPOでよくある失敗と防ぎ方

印刷BPOの失敗は、誤封入などの品質のミス、委託先の監督不足による情報漏えい、データ形式の食い違い、条件の曖昧さによる追加の費用の4つに分けて考えると、防ぎやすくなります。

失敗起きる理由防ぎ方
誤封入・宛名の取り違え手作業での封入や、書類と宛名の照合が不十分機械処理と照合の仕組みを持つ委託先を選び、試し刷りの段階で確認する
委託先からの個人データの漏えい委託元が安全管理の状況を把握していない。ガイドラインは、安全管理措置の状況を契約時にも契約後にも把握しなかった例、必要な措置の内容を委託先に指示しなかった例、再委託の条件を指示せず取扱状況の確認を怠った例を、必要かつ適切な監督を行っていない事例に挙げている選定、契約、取扱状況の把握の3つを実施し、再委託の条件も契約に入れる
データ形式の食い違い外字の扱いや、データの出力形式が委託先と合わない。制度改正のたびに改修の費用がかかる見積もりの前に、出力できる形式を確認し、委託先の指定形式で出せるかを調達の段階から確認する
追加費用・納期の遅れ書類の種類、通数、同封物、納期などの条件が曖昧なまま依頼した見積もり依頼に条件を書き、同じ条件で複数社を比べる。繁忙期の通数も伝える

委託先を選び、契約し、運用を見直す一連の作業は、自社の担当者の負担にもなります。請求書のように、数や種類が限られた書類は、発行システムの郵送代行と電子での提供を組み合わせて、委託する範囲を絞る考え方もあります。請求書の郵送代行を含む請求書発行システムと、契約書や同意書の印刷・押印を減らす電子契約の資料を、まとめて取り寄せて比べられます。

請求書の作成から郵送まで・契約書の電子署名と、役割が違う2サービスの資料をまとめて取り寄せる

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よくある質問(FAQ)

Q1. 印刷BPOとは何ですか?

A. 印刷BPOとは、請求書・通知書・DM・案内状などの印刷物について、データの受け取りから印刷、封入封緘、郵便局への差し出しまでを、外部の専門会社に委託することです。日本印刷産業連合会は、印刷会社がダイレクトメールや各種請求書などの印刷物の受託業務を中心にBPOサービスを展開していると説明しています。

Q2. BPOとBPRの違いは何ですか?

A. BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、業務を外部の会社に委託することです。BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)は、業務のやり方そのものを見直して作り直すことです。印刷の例では、印刷と発送を委託するのがBPO、そもそも紙で送る書類を減らして電子で送る形に変えるのがBPRにあたります。両方を組み合わせる会社もあります。

Q3. 印刷BPOでは、どこまで委託できますか?

A. 印刷物の印刷、封入封緘、郵便局への差し出しに加えて、書類のデザインやレイアウトの見直し、発送状況の管理、問い合わせ対応、在庫管理まで受ける会社があります。対応範囲は委託先ごとに異なるため、見積もりの前に、自社が出したい工程と委託先の対応工程を突き合わせて確認します。

Q4. 印刷BPOの費用はどのように決まりますか?

A. 費用は、書類の種類、通数、用紙や封筒の仕様、カラーか単色か、封入する同封物の数、郵送の方法、データ加工の有無などで変わります。料金はプランや条件によって異なるため、同じ条件で複数の会社に見積もりを依頼し、内訳を比べるのが基本です。

Q5. 個人情報を含む印刷物を委託するときの注意点は何ですか?

A. 個人情報保護法第25条は、個人データの取扱いを委託する場合に、委託先への必要かつ適切な監督を求めています。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、委託先の選定、委託契約の締結、委託先における取扱状況の把握の3つを挙げています。プライバシーマークやISMSの取得状況に加えて、再委託の有無も確認します。

Q6. 請求書の印刷や郵送は、電子化できますか?

A. 請求書は、書面の交付に代えて、電磁的記録を提供する方法が消費税法に定められています(第57条の4第5項。適格請求書発行事業者の場合)。ただし、取引先が電子での受け取りに対応していない場合は、紙での送付が必要です。請求書発行システムの中には、郵送を代行する機能を備えたものもあります。

まとめ|印刷BPOで押さえたい6つのこと

印刷BPOは、印刷から発送までを外部に任せる仕組みです。次の6点を、自社の書類に合わせて確認してください。

  1. 印刷BPOは、印刷・封入封緘・発送を外部に任せる仕組み:請求書、通知書、DM、案内状などの定型で大量の書類が中心です。
  2. 委託前に、自社の工程をすべて書き出す:委託後も残る作業と、委託で不要になる作業を分けます。
  3. 自社で続けるか委託するかは、6つの軸で判断する:通数、頻度、変動データ、個人情報、納期、社内の人手で見ます。
  4. 委託先は、個人情報の監督を最優先で確認する:個人情報保護法第25条に沿って、選定、契約、取扱状況の把握を行います。
  5. 紙を減らす選択肢も先に比べる:請求書は電子での提供や郵送代行、契約書は電子契約が候補です。
  6. 請求書の郵送代行と電子契約の資料を取り寄せて比べる:マネーフォワード クラウド請求書と電子印鑑GMOサインの資料で、対応範囲を確認します。

本記事は一般的な情報の整理であり、法律・税務上の助言ではありません。個人情報保護法や消費税法の適用は、個別の事情によって変わるため、弁護士・税理士などの専門家や所管官庁に確認してください。

参考文献

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