反社チェックで同姓同名や同名企業がヒットした場合は?対処法を解説

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  • 反社チェックでは、同姓同名の人物や同名の企業が反社としてヒットする場合がある
  • 同一人物・企業であるかの判断には、生年月日や経歴、法人番号などの確認が有効
  • 調査の結果「グレー」である場合は、更なる調査や監査対象としてモニタリングをする

企業の安全性や信頼性を担保するために重要な反社チェックですが、調査の際に同姓同名の人物や同名の企業が反社会的勢力としてヒットする場合もあります。この記事では、このように調査対象が反社の可能性がある場合の、対処法・注意点を詳しく解説します。

目次

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  1. 反社チェックでは同姓同名の人物や同名の企業に注意
  2. 同姓同名の人物や同名の企業がヒットした場合の対処法
  3. 反社チェックの結果「グレー」だと感じた場合
  4. チェック対象が反社会的勢力だと判明した場合
  5. 反社チェックを行う際の注意点とポイント
  6. まとめ

反社チェックでは同姓同名の人物や同名の企業に注意

反社チェックとは、契約・取引の前に、取引先と反社会的勢力との関わりを調べる作業です。主な対象は、取引先の従業員・代表者・役員とその親族で、その他にも自社で新しく雇い入れる役員や弁護士・税理士を対象に行うこともあります。

反社チェックの主な目的は、法令やコンプライアンスの遵守、反社会的政略との関わりによる不利益の回避などです。また、反社チェックは、政府の指針や各自治体の暴力団排除条例で努力義務とされていることから、多くの企業が力を入れています。

しかし、反社チェックでは、同姓同名の人物や同名企業が複数ヒットしてしまうことがあります。本記事では、反社チェックで同姓同名の人物や同名企業が複数ヒットした場合の対処法などについてご紹介していきます。

参考:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について|法務省

反社チェックとは|どこまでやる?やり方は?対処法や注意点も解説

反社チェックとは、政府の指針や各都道府県の条例を基準に、取引先や従業員が反社会勢力に当てはまらないかをチェックすることです。本記事では、反社チェックの必要性や方法を解説し、反社チェックをどうやってやるのか、引っかかる対象がいた場合はどうするかなどを紹介します。

同姓同名の人物や同名の企業がヒットした場合の対処法

反社チェックで同姓同名の人物や同名の企業がヒットした場合、反社会的勢力かどうかを特定するために、さらに詳細な調査を行う必要があります。

ここでは、反社チェックで同姓同名の人物や同名企業がヒットした場合の詳細な調べ方を、同姓同名の個人の場合と同名の企業の場合、両方に有効な方法に分けて、それぞれご紹介していきます。

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同姓同名の人物や同名の企業がヒットした場合の対処法

  1. 同姓同名の個人の場合
  2. 同名の企業の場合
  3. 複数のソースでの裏取りも有効

同姓同名の個人の場合

反社チェックの対象が個人の場合、より調査の精度を高めるために、次の2つの調査を行うことが望ましいです。それぞれのポイントをご紹介します。

生年月日を確認

反社チェックで同姓同名の人物が複数ヒットした場合は、生年月日を確認しましょう。同姓同名の人物がヒットすることはさほど珍しくありませんが、生年月日まで同じ人物が複数ヒットする可能性は低いためです。

つまり、同姓同名で生年月日も同じ場合、その対象は反社会的勢力の可能性が高いと判断できます。

生年月日の調査が必要な場合に備えて、あらかじめ取引先の方の生年月日を確認しておくことが望ましいです。

なお、単刀直入に生年月日を尋ねるとトラブルに発展する恐れがあります。反社チェックに必要であることは伏せ、「契約や事業のために必要」などと説明して聞き方に気を付けることをおすすめします。

所属する企業名や経歴を確認

反社チェックで同姓同名の人物がヒットした場合、その人物が所属する企業名や経歴を調べるのも良い方法です。企業名が分かる場合は、上司や同僚など、その人物の周辺の方に確認を取ると良いでしょう。

もし、調査対象が企業の代表者の場合は、個人名や企業名をインターネットで検索することで、経歴を確認できる場合があります。たとえば、本人のインタービュー記事や、その企業の役員紹介ページを参考にするのがおすすめです。

経歴の中に気になる情報がある場合は、深掘りしましょう。具体的には、過去に所属していた組織や事業について、改めてインターネットで検索します。この調査でネガティブな情報がヒットしなければ、反社会的勢力の可能性は低いと判断できます。

同名の企業の場合

反社チェックで同名の企業がヒットした場合は、次の2つの方法で対処するのがおすすめです。それぞれのポイントを解説します。

ホームページを確認

反社チェックで同名の企業がある場合、対象の企業のホームページを確認するのがおすすめです。具体的には、次の項目を確認しましょう。

  1. 代表者名
  2. 会社の所在地
  3. 電話番号
  4. 創業年月日

これらの情報がすべて一致する場合、反社会的勢力の疑いが高いと判断できます。この場合は、代表者名・会社の所在地・電話番号を改めてインターネットで検索し、犯罪の経歴がないかを調べましょう。

法人番号を確認

法人番号とは、国税庁から法人などに割り当てられる13桁の識別番号です。法人番号は、国税庁の法人番号公表サイトで、企業名・所在地から誰でも検索できます。

法人番号がヒットする場合、その企業は法人としての健全性が高いと判断できるため、すなわち反社会的勢力の可能性は低いと考えられます。反対に、法人番号が見つからない場合、その企業は正式な法人ではないため、注意すべきでしょう。

参考:国税庁法人番号公表サイト

個人と企業の両方に有効な対処法

複数のソースを活用した裏取りや印鑑証明書の確認は、同姓同名の個人と同名の企業、どちらにも有効な反社会的勢力かどうかを確認する手段です。特に、印鑑証明書の確認はより正確な情報を得たい場合に役立ちます。以下で詳しく解析します。

複数のソースで裏取りを行う

反社チェックで同姓同名の個人または同名の企業がヒットした場合は、複数のソースを確認することも大切です。情報量が多いほど、その人物や企業の情報を特定しやすくなります

たとえば、次のようなソースの利用がおすすめです。

  1. インターネット検索(ネットニュース・SNSの投稿・ブログ・口コミサイト)
  2. 公知情報(官報・裁判例情報)
  3. ローカルな新聞
  4. 関連会社の情報
  5. 業界のデータベース
  6. 雑誌

これらのソースで調査を行った結果、氏名や会社名以外の情報が複数合致する場合、反社会的勢力の可能性が高いと判断できます。

印鑑証明書の提出を求める

印鑑証明書は、正式名称を「印鑑登録証明書」と言い、登録された個人や法人の印鑑が本物であることを示す書類です。契約内容などにより、より正確な反社チェックを行う必要がある場合は、相手方に印鑑証明書を請求する方法があります。

ただし、印鑑証明書は発行するために手間と手数料がかかるほか、理由なく求めると相手方が違和感や不安を感じる場合もあるため、事前に適切なコミュニケーションを図り必要性を伝えることが重要です。

印鑑証明書からは、以下に記載する情報を得られます。

【個人の場合】

  1. 印影
  2. 氏名
  3. 住所
  4. 生年月日
  5. 発行年月日

【企業の場合】

  1. 印影
  2. 法人の名称
  3. 商号
  4. 本店の住所
  5. 印鑑提出者の資格
  6. 印鑑提出者の氏名
  7. 印鑑提出者の生年月日
  8. 発行年月日

反社チェックの結果「グレー」だと感じた場合

反社チェックで、同姓同名かつ生年月日が合致するなどの「グレー」な結果が出た場合、どう対処すべきか戸惑うこともあるでしょう。

ここでは、反社チェックで「グレー」だと感じた場合の一般的な対処法をご紹介します。反社チェックの結果を受けて対処法に困っている方は、次のような方法を取りましょう。

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弁護士経由で警察に確認

反社チェックでグレーな結果が出た場合は、まず弁護士に相談し、弁護士から警察に確認してもらうのがおすすめです。法律の専門家である弁護士に依頼することで、対応法についてアドバイスを仰げます。顧問弁護士がいる場合は、まずそちらに依頼しましょう。

顧問弁護士がいない場合は、誰かに紹介してもらうか、地域の弁護士に相談するのがおすすめです。

警察は、暴力団関係者についての独自のデータベースを有しており、相談内容次第では情報を開示してもらえる可能性があります。警察への依頼は、弁護士を経由することで、警察側からの信頼を得やすくなります。ひいては、スムーズな情報開示を期待できるでしょう。

また、弁護士・警察にあらかじめ相談しておくことは、将来的なトラブル回避のためにも重要です。取引先が反社会的勢力であることを理由に取引中止を持ちかけると、暴力や不当な要求にあう恐れがあります。

あらかじめ、弁護士や警察への相談実績を作っておくことで、このようなトラブルに陥った場合でも、迅速に介入してもらえる可能性が高いです。

暴追センターに相談

反社チェックでグレーな結果が出た場合は、最寄りの「暴追センター(全国暴力追放運動推進センター)」に相談するのも良い方法です。暴追センターとは、暴力団排除活動を支援する組織で、各自治体に設置されています。

暴追センターでは、暴力団に関する相談や暴力団追放運動の支援、暴力団員からの不当な行為の被害者の救済などを行っています。暴追センターに反社チェックの結果を相談することで、的確な対応方法などのアドバイスを得られる可能性があります。

また、年会費5万円を支払って暴追センターの賛助会員になると、警察が有する暴力団関係者のデータベースを利用できるため、より詳細な反社チェックが行えます。

暴力団に関する相談は無料で行えるため、顧問弁護士がいない場合は、まず暴追センターに相談してみるのもおすすめです。

参考:暴追センターとは|全国暴力追放運動推進センター

調査会社や興信所へ調査を依頼

反社チェックの結果、対象がグレーと判断できる場合、改めて調査会社や興信所に反社チェックを依頼するのも1つの方法になります。自社で行う反社チェックは、あくまで素人が行ったものであり、精度が高いとは言い難いためです。

さらに、同姓同名の個人や同名の企業が出た場合、それぞれの人物・企業を改めて調査するのは手間がかかります。調査の専門家に反社チェックを依頼するほうが、迅速で精度の高い結果を期待できるでしょう。

監視対象としてモニタリング

調査結果がグレーだった場合、ひとまず判断を保留する方法もあります。ただし、定期的に情報チェックを行ったり、相手に不審な行動がないかを監視したりして、継続的なモニタリングを行うことが大切です。

もし、先方に不審な点がある場合は、すぐに取引中止できるよう、体制を整えておきましょう。たとえば、弁護士や警察に相談し、万が一の場合は介入してもらえるよう依頼しておくのが望ましいです。

すぐに取引を中止しない場合でも、取引額の上限を自社内で決めておくなど、制限付きの取引を行うことをおすすめします。このような制限を設けることで、未払いなどのトラブルが発生した場合も損失を最低限に抑えられるでしょう。

チェック対象が反社会的勢力だと判明した場合

反社チェックの結果、対象が反社会的勢力であると判断できる場合は、次の2つの方法で対処しましょう。各対処方法のポイントをご紹介していきます。

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チェック対象が反社会的勢力だと判明した場合

  1. 弁護士や警察に相談
  2. 取引の中止

弁護士や警察に相談

対象が反社会的勢力だと判断できる場合、できる限り速やかに弁護士や警察に相談する必要があります。対象との距離の置き方や、危険の少ない対応方法等について、プロから的確なアドバイスを仰げるためです。

また、こまめに連絡を取っておくことで、もし自社が危険に晒された場合も迅速に対応してもらえる可能性があります。

取引の中止

対象が反社会的勢力の場合、取引を中止しましょう。取引を続けると、いずれ不当な要求や暴力に遭う恐れがあります。

また、反社会的勢力との取引は、暴排条例違反にも当たります。条例違反による罰則などを避ける意味でも、反社会的勢力と判明した対象との取引は速やかに止めなければなりません。

なお、取引中止の際に、その理由を正直に告げるとトラブルになる恐れがあります。「自社の取引基準に合致しない」など、他の理由を告げておきましょう。

また、相手が取引中止に応じない場合、強硬な態度を取るのも危険です。その場は穏便に収め、後ほど警察や弁護士に相談するなどの対応を取りましょう。

参考:4 暴力団排除活動の推進|警察庁

反社チェックを行う際の注意点とポイント

反社チェックは企業の努力義務ですが、やり方に明確なルールはありません。そのため、基本的には各企業が自由に行ってかまいませんが、一般的には次のようなポイントを踏まえるべきとされています。

ここからは、反社チェックを行う際の3つの注意点・ポイントをご紹介していきます。

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収集してはいけない個人情報もある

たとえ反社チェックのためであっても、次のような個人情報の収集は、「平成11年労働省告示第141号」の指針において禁止されています。

  1. 社会的差別の原因となるおそれのある事項(人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地)
  2. 思想及び信条
  3. 労働組合への加入状況

上記の3つの個人情報の収集は止めましょう。なお、情報収集するうえで、意図せずに上記のような情報に触れる可能性もあります。このようなリスクを回避したい場合は、調査の専門家である興信所などに、情報収集を依頼するのもおすすめです。

参考:平成11年労働省告示第141号|厚生労働省

審査結果は残しておく

反社チェックの審査結果は、保存しておきましょう。主な目的は、調査方法の妥当性や、対象を反社会的と判断した明確な基準を証拠として残すためです。

たとえば、警察や弁護士に相談する際には、このような証拠の提供を求められる可能性があります。あるいは、対象に取引中止を求める場合も同様です。もし上記のような健全な証拠がない場合、信頼されにくいため、取り合ってもらえない可能性があります。

興信所などに調査を依頼した場合、調査結果やその資料は、書面・PDFファイルで受け取ることが多いため、そのまま保存しておきましょう。

自社でインターネット検索を行った場合、検索結果をオフライン環境に残す必要があります。インターネット記事は、埋もれたり削除されたりする恐れがあるためです。必ず、スクリーンショットを撮るなどして、オフライン環境に保存しましょう。

反社チェックツールを活用する

自社で反社チェックを行う場合は、反社チェックツールを利用するのもおすすめです。反社チェックツールとは、独自のデータベースを活用して、対象と反社会的勢力との関連性を調べるツールを指します。

たとえば、対象の氏名・企業名・住所・電話番号などの情報を入力することで、過去に反社会的勢力として認知された人物・企業と、これらの情報が合致するかどうかを調べることが可能です。

さまざまな情報から対象を特定するため、同姓同名の個人や同名の企業が複数ヒットした場合の判断材料にできるでしょう。

また、ほとんどの反社チェックツールは、複数のリソースを有しているのもメリットです。反社チェックツールの利用により、インターネットや新聞など各種リソースを確認する手間を省けるため、業務の効率化やリソースの節約が見込めるでしょう。

反社チェックツールとは?メリット・デメリット、選び方も解説

反社チェックツールとは、個人や法人が反社会的勢力に関わっていないか、過去に不祥事はないかをチェックするツールです。反社チェックを行うことは、会社の信用を守ることや安全なビジネス運営に繋がります。本記事では、反社チェックツールのメリットや選び方を解説します。

まとめ

反社チェックは、取引先や自社の従業員などの対象と、反社会的勢力との関わりを調べる作業です。自社の健全性の維持や法令・コンプライアンス遵守のためにも、反社チェックは丁寧に行う必要があります。

反社チェックで同姓同名の個人や同名の企業がヒットした場合、生年月日・経歴・法人番号などを確認するのがおすすめです。この結果、対象がグレー、または反社会的勢力であると判断できる場合、弁護士・警察や暴追センターなどの専門機関を頼りましょう。

なお、反社チェックといえども、個人情報の収集・取り扱いには注意する必要があります。また、審査結果は証拠として残しておきましょう。
反社チェックツールなら、簡単な操作で複数のリソースをもとに反社チェックを実施できます。反社チェック業務の効率化を狙いたい場合は、反社チェックツールの導入がおすすめです。

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