副業で社会保険料は増える?知っておきたい社会保険のポイント
「収入を増やしたい」「スキルアップしたい」「好きなことを仕事にしたい」など、さまざまな理由から副業を始める人が増えています。
副業で収入を得られるようになると、気になるのは社会保険料ではないでしょうか。
会社員の場合、社会保険料は給料から天引きされるためあまり気にしたことはないかもしれません。
しかし、会社員が副業をして本業以外から収入を得た場合、社会保険料が増えるのか、何か手続きが必要なのか気になりますよね。
今回は社会保険の基礎知識や、副業で社会保険料が増えるケースと増えないケースついて詳しく解説します。
もし社会保険の加入義務を果たさない場合、罰則が適用されることもあります。
安心して副業を行うためにも、社会保険制度についてきちんと理解しておきましょう。
社会保険とは?
まず社会保険とは、病気や怪我、障害、退職、失業などによって万が一働けなくなった場合に備えて私たちの生活を保障することを目的とした制度です。
働く人全員から集める保険料を財源とし、働けなくなった人は給付などの保障を受けられます。
日本は国民皆保険制度を採用しているため、日本国民は必ず複数ある保険のうちどれかに加入しています。
日本の社会保険制度は健康保険、介護保険、年金保険、雇用保険、労災保険の5つに分けられます。
そのうち健康保険、介護保険、年金保険の3つをまとめて狭義の意味での「社会保険」と呼ぶこともあります。
また雇用保険、労災保険の2つをまとめて「労働保険」と呼びます。
企業から雇用されて給与所得を得ている会社員と、雇用契約を結ばず自ら独立して事業所得を得ているフリーランスでは、加入できる社会保険の種類と内容が異なることをご存知でしょうか。
それぞれが加入する社会保険について詳しく解説します。
会社員が加入する社会保険
- 健康保険
健康保険は、病気や怪我、出産、死亡などに対する保険制度です。
毎月保険料を支払うことで通院や入院、手術などにかかる医療費を負担してもらえるほか、各種給付金の支給が受けられます。
会社員の場合は勤務先が加入している健康保険に加入することになります。
保険料は給料の額に応じて設定されている「報酬月額」によって決定され、会社と従業員で折半して支払います。
- 介護保険
介護保険は、介護が必要な人やその家族を支えることを目的とする制度です。
40歳以上の人が毎月の保険料を支払うことで、介護が必要になった際に給付を受けられます。
健康保険と同じく給料の額に応じて保険料が決定され、会社と従業員で折半して支払います。
- 年金保険
年金保険は、毎月の保険料を支払うことで老後や障害を負った場合、死亡した場合などに生活の保障を得る制度です。
老後に年金を受け取れる「老齢年金」、障害を負った場合に受け取れる「障害年金」、加入者が死亡した場合に遺族が受け取れる「遺族年金」の3つがあります。
日本の年金制度は2階建てとなっており、会社員の場合は国民年金保険と厚生年金保険の両方に加入します。
こちらも保険料は給料の額に応じて決定され、会社と従業員で折半して支払います。
- 雇用保険
雇用保険は、失業や休業をしたときでも労働者が安心して暮らせるよう、雇用の安定と促進を目的とした制度です。
具体的には毎月保険料を支払うことで、失業した際や育児休暇中などに給付金を受け取れます。
また雇用の機会を増やしたり、労働者の能力開発や就職を促したりする就職促進給付や教育訓練給付などもあります。
保険料は会社と従業員が一定の割合ずつ負担します。
- 労災保険
正式名称は労働者災害補償保険です。
通勤中や業務中に負った怪我や病気、傷病による休業、障害、死亡などに対して給付が受けられます。
保険料は全額会社が負担します。
フリーランスや個人事業主が加入する社会保険
- 国民健康保険
フリーランスの場合は本人が居住する市区町村が管轄する国民健康保険に加入します。
会社員が加入する健康保険とほぼ内容は同じですが、保険料は本人の所得や世帯の状況に応じて決定されます。
保険料は全額自己負担となります。
またフリーランスが加入できる健康保険として、任意継続保険制度もあります。
これは会社を退職してフリーランスとして独立した後でも、引き続き会社の健康保険に加入できる制度です。
健康保険の被保険者期間が資格喪失日まで2ヶ月以上あれば加入でき、最長2年間継続できます。
会社員と違い全額自己負担になりますが、国民健康保険の保険料よりも抑えられる可能性があります。
- 介護保険
会社員と同じく、40歳以上から加入義務が発生します。
保険料は国民健康保険と同じく本人の所得や世帯の状況に応じて決定され、全額自己負担です。
- 国民年金保険
フリーランスが加入するのは国民年金保険のみです。
2階建ての年金制度のうち、1階部分のみに加入することになります。
保険料は定額(2022年度は月1万6590円)で、全額自己負担です。
- フリーランスが加入できない社会保険
フリーランスは雇用契約を結ぶ「労働者」ではないため、雇用保険と労災保険には加入することができません。
副業で社会保険料が増えるケース
会社員とフリーランス・個人事業主では加入する社会保険が違うことを解説しました。
では、会社員として働きながら副業を行った場合、社会保険料は多く支払う必要があるのでしょうか。
結論から言うと、副業の働き方によって社会保険料が増えるケースと増えないケースがあります。
まずは社会保険料が増えるケースから解説します。
企業に雇用される働き方で社会保険加入条件を満たす場合
副業でアルバイトやパートとして企業などに雇用される働き方をしている場合、会社員として複数の会社から給与所得を得ます。
そのため一定の条件を満たすと複数の会社で先に紹介した「会社員が加入する社会保険」の加入対象となります。
本業で社会保険料を支払っていても、2重で支払わなければなりません。
つまり保険料が高くなってしまいます。
また2重で社会保険料を支払う場合、本業の勤務先にも通知書が送付されるため副業をしていることがバレる可能性が高くなります。
副業を知られたくない人にとっては注意したいポイントですね。
社会保険料の支払い対象となる条件は以下のとおりです。
- 雇用保険の加入条件
1.31日間以上働く見込みがあること
2.所定労働時間が週20時間以上であること
3.学生ではないこと(例外あり)
- 健康保険、介護保険、厚生年金保険の加入条件
1.1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、一般社員の3/4以上であること
2.以下の5要件を満たすこと
・週の所定労働時間が20時間以上
・1年以上雇用が見込まれる
・月額賃金が88,000円(年収106万円)以上
・1年以上継続して雇用されている、あるいはその見込みがある
・学生でない
・従業員(被保険者)数が500人を超える企業に勤めている
副業で社会保険料が増えないケース
次に、副業を行っても社会保険料が増えないケースについて解説します。
事業所得や雑所得を得ている場合
副業によって得る所得が企業から支払われる給与所得ではなく、事業所得や雑所得の場合は社会保険料が増えません。
企業に所属せず個人でクライアントから業務を請け負うフリーランスや個人事業主の所得はこれに該当します。
現在の制度では、会社と個人事業のどちらか一方でしか社会保険に加入できません。
会社員は社会保険への加入が義務づけられているため、副業で個人事業を営んでいても本業の会社の社会保険にのみ加入します。
この場合、社会保険料の計算対象となるのは会社員としての給料額のみです。
つまり、副業の個人事業で所得を得たとしても、社会保険料には影響しないのです。
ただし副業の事業所得・雑所得は社会保険料には影響しませんが、金額に応じて所得税や住民税には影響するので注意しましょう。
企業に雇用される働き方でも社会保険加入条件に該当しない場合
アルバイトやパートとして企業などに雇用される働き方でも、社会保険の加入条件に該当しない場合は加入する義務がありません。
もちろん社会保険料も増えることはありません。
健康保険・厚生年金保険の複数加入手続き
複数の会社で健康保険と厚生年金保険の加入条件を満たす場合、自分自身で手続きを行わなくてはなりません。
ここでは手続きの方法と、加入しない場合に適用される可能性のある罰則について解説します。
手続きの方法
日本年金機構のホームページから「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」と「被保険者資格取得届」をダウンロードし、所属するすべての会社の名称や月額報酬を記載します。
主として選択した会社を管轄する年金事務所と健康保険組合に記入した書類を提出します。
書類の提出期限は勤務開始から10日以内です。
複数の会社で健康保険に加入した場合でも、健康保険証は主とする会社から発行される一枚のみとなります。
加入しない場合の罰則
社会保険加入条件を満たしているにも関わらず、正当な理由がなく届け出を行わない場合は、健康保険法第208条により「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」と定められています。
また、未加入であることが発覚した場合は最大2年間さかのぼって加入義務が発生し、2年間分の社会保険料を一括納付しなければなりません。
マイナンバー制度によって以前よりも社会保険の加入の有無を確認しやすくなりました。
重い罰則を避けるためにも、手続きはきちんと行いましょう。
副業で会社を設立した場合の社会保険
では副業が個人事業やアルバイト・パートでもなく、自ら会社を設立した場合はどうなるのでしょうか。
法人は社会保険加入が義務
副業で会社を設立し法人となった場合、社会保険に加入する義務が発生します。
たとえ従業員がゼロで代表者一人の場合でも、この義務は発生するため注意しましょう。
厚生年金保険および健康保険の加入が義務づけられる要件として以下のように定められています。
- 法人事業所で常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用するもの
- 常時5人以上の従業員が働いている事務所、工場、商店等の個人事業所
この場合は先に紹介した「副業で社会保険料が増えるケース」に該当し、2重に社会保険料を支払う必要があります。
同様に本業の会社へ通知も届くため、副業を行っていることが把握されることも覚えておきましょう。
役員報酬がゼロの場合
法人を設立しても、例えば創業したばかりなどの理由で役員報酬をゼロに設定した場合は、社会保険加入の義務は発生しません。
報酬がゼロかあるいは非常に低額だと、そもそも保険料を徴収できないためです。
まとめ
今回は、社会保険の基礎知識や、会社員とフリーランスで加入する保険の違い、副業をする上での社会保険の扱いについて解説しました。
会社員として働いている場合はあまり意識することのない社会保険ですが、副業をする人は働き方によって支払う保険料も変わります。
自分の働き方はどれに当てはまるのか、きちんと調べておくのがおすすめです。
収入を増やしたり、好きなことを仕事にできたりと副業にはメリットが多いです。
ぜひこの記事を参考に、社会保険制度についてもしっかりと理解し、必要な場合は正しい手続きを行いましょう。
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