SaaSとは?意味と従来ソフトとの違い、選び方・費用・失敗例を導入前に整理

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  • SaaSの意味と従来のソフトとの違いがわかる
  • メリット・デメリットとセキュリティの分担がわかる
  • 選び方・費用・失敗例・効果の確かめ方がわかる

SaaS(サース、Software as a Service)とは、提供事業者のサーバー上で動くソフトウェアを、インターネット経由でサービスとして利用する形態のことです。自社でソフトをインストールしたりサーバーを用意したりせず、アカウントを契約してブラウザからログインするだけで使え、料金は月額・年額で支払うのが一般的です。この記事では、意味と仕組み、従来のソフトとの違い、メリット・デメリットとセキュリティ、選び方の4つの評価軸、導入コストと失敗しやすい点、スモールスタートで効果を確かめる進め方を、NISTの定義や総務省・IPAの公的資料をもとに整理します。

SaaS導入、あなたが最初に確認したいことは?

Q1. SaaSについて、いま一番知りたいのは?

目次

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  1. SaaSを自社で使い始めるなら、最初はどの業務で試すか
  2. SaaSとは|意味・読み方と、従来のソフトとの違い
  3. SaaSのメリット・デメリットとセキュリティ
  4. SaaSの選び方|4つの評価軸
  5. 導入コストの目安|初期費用と月額費用
  6. SaaS導入でよくある失敗パターン
  7. 導入をスモールスタートで進める方法
  8. 導入効果をどう確認するか
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|SaaSを理解したら、1つ試してみる
  11. 参考文献

SaaSを自社で使い始めるなら、最初はどの業務で試すか

最初のSaaSは、毎月同じ作業を繰り返していて、導入前後の作業時間を比べやすい業務から選ぶのが基本です。経理(会計)は、その代表的な候補です。

総務省の「令和7年通信利用動向調査」(常用雇用者100人以上の企業が対象)では、クラウドサービスを一部でも利用している企業は83.5%でした。利用している企業に内容をたずねた項目では、「ファイル保管・データ共有」73.3%、「社内情報共有・ポータル」61.4%、「電子メール」57.4%に続いて「給与、財務会計、人事」が56.3%となっており、経理まわりも主な用途のひとつです。SaaSの意味を理解した次の一歩として、経理業務を題材にするのは特別なことではありません。

SaaSかどうかの見分け方はシンプルで、ソフトを買って自社のパソコンやサーバーに入れるのではなく、サービスとして契約して使うものがSaaSです。クラウド型の会計ソフトもその一例です。たとえば、通帳を見ながら表計算ソフトに入力していた経理が、金融機関の入出金データを自動で取り込む仕組みに変わると、「ソフトを持つ」から「サービスを使う」への違いが、作業の流れとしてそのまま見えてきます。

経理を最初のSaaSとして試す場合の一例が、マネーフォワード クラウド会計です。商品ページでは、インターネットバンキングやクレジットカードなど2,400社以上の金融機関との連携、AIが一度登録した仕訳の内容を学習して勘定科目を提案する機能、仕訳データから決算書やレポートを自動で作成する機能が紹介されています。一方で、AIは入力された仕訳を学習するため、誤った仕訳が記憶される可能性もあり、正確な入力が前提になる点には注意が必要です。商品ページでは1か月の無料トライアルも案内されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社マネーフォワード

マネーフォワード クラウド会計

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他システムの移行や機能性重視の方におすすめ!

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  • 金融機関の入出金データを自動取得してリアルタイムで数字を共有
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  • ある程度の簿記知識が必要な場合も
評価・口コミ(一部抜粋)
4.2
  • リアルタイムで金融機関の残高推移が確認できるため、インターネットバンキングをあける必要がない。また、必要以上の機能がなく最低限になるのでシンプルでわかりやすい、初心者向けの会計システムかと思います。

  • freeeを使用していたとき、ネットバンク連結の更新エラーが頻発しストレスを感じていました。マネーフォワードは連結が安定しており、操作もシンプルで目的の資料がすぐに見つかります。仕訳も柔軟に設定できて視認性が高く、一から必要な設定を自分で構築できた点も好印象でした。freeeの自動仕訳は精度が低く、会計と合わないことも多くむしろ手間になることがあったため、手動管理とのバランスも重視しました。また、freeeの時のように、頻繁に仕様が変わることもなく、安定して使用できている。

  • これまで手入力していた取引データの記帳作業が大幅に削減され、経理作業の時間が約半分になりました。特に仕訳の自動提案機能が優秀で、経理知識が浅い自分でも運用できる点が大きなメリットです。また、リアルタイムで損益を把握できるようになったため、経営判断が早くなったことも効果として実感しています。

実際に使ってみたレビュー記事はこちら

【レビュー】マネーフォワードクラウド会計を実際に登録して使ってみた【使い方解説】

数ある会計ソフトの中でそのサービスを使ったらいいかわからないという方も多くいると思います。そこで今回は「マネーフォワードクラウド会計」の無料登録から使い方まで、利用経験ゼロの筆者が実況形式でお伝えします。

経理の作業部分はどんどん省略化。1ヶ月経っても終わらなかった月次決算が6営業日になりました。

株式会社HITOMIOテクノロジーズ 導入事例(マネーフォワード公式) https://biz.moneyforward.com/case/6636/

この事例では、月に6000件ほど発生する仕訳を、月初に通帳や紙の明細を見ながら入力していた状態から見直したと紹介されています。仕訳の件数が多く、手入力や転記に時間がかかっている場合は、まず資料で機能と対応範囲を確かめてみてください。

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SaaSとは|意味・読み方と、従来のソフトとの違い

SaaS(Software as a Service)とは、提供事業者のクラウド基盤上で動くアプリケーションを、利用者がインターネット経由で使う形態のことです。読み方は「サース」が一般的で、「サーズ」と読まれることもあります。利用者は自社のパソコンにソフトをインストールする必要がなく、ブラウザや専用アプリからログインするだけで使えます。

クラウドコンピューティングの定義としてよく参照されるNISTの文書(SP 800-145)では、SaaSを「利用者が、提供事業者のクラウド基盤上で動くアプリケーションを使える形態」と位置づけています。ネットワークやサーバー、OS、ストレージ、さらにはアプリケーションの機能そのものも利用者は管理せず、限られた利用者ごとの設定だけを行う、というのがSaaSの考え方です。同じ文書は、クラウドの特徴のひとつとして、提供事業者の計算資源を複数の利用者で共用する「マルチテナント」のモデルを挙げています。1つのサービスを多くの利用者が共用するからこそ、利用料を月額・年額で分け合う仕組みが成り立ちます。

「サース」と「サーズ」のどちらを使うか、「SaaS型」という表記をどう扱うかは、SaaSの読み方をオンプレミスとの違いとあわせて解説した記事や、SaaS型の読み方と表記の使い分けを解説した記事で詳しく扱っています。この記事では、導入を考える側の視点で、意味から選び方・費用・効果の確かめ方までを順に整理します。意味や仕組み、種類をNISTの定義に沿って整理したSaaSの意味・仕組み・種類の解説記事もあわせて参考にしてください。

従来のソフト(買い切り・自社サーバー)との違い

SaaSを理解するには、「ソフトを買って自社のパソコンやサーバーで動かす」従来の使い方と比べるのが近道です。主な違いは次のとおりです。

観点 SaaS 買い切り型ソフト・自社サーバー(オンプレミス)
利用開始 アカウントを契約すれば、ブラウザや専用アプリから使い始められる ソフトの購入やインストール、サーバー・ネットワークの用意が必要
費用の払い方 月額・年額の利用料が中心 購入費用やライセンス費用に加え、保守費用が別にかかることが多い
更新・保守 アップデートや法改正への対応は提供事業者が行う バージョンアップや保守を自社で行う(保守契約を結ぶ場合もある)
データの置き場所 提供事業者の環境(保管場所は契約前に確認する) 自社のサーバーやパソコン
カスタマイズ 標準機能が中心で、細かな変更は難しい 自社の業務に合わせて作り込みやすい(そのぶん開発・保守の負担が増える)

どちらが優れているかではなく、自社の業務に合うかどうかで選ぶものです。自社構築やパッケージ、SIerへの依頼も含めた選択肢の整理は、SaaSとSIerの違いと4つの選択肢を解説した記事で扱っています。

クラウドの中でのSaaSの位置づけ

SaaSはクラウドサービスの一種です。クラウドサービスは、提供事業者がどこまでを用意し、利用者がどこから管理するかによって、SaaS・PaaS・IaaSの3つに分けて説明されるのが一般的です。

区分 提供されるもの 利用者が主に管理するもの 主な利用者
SaaS 完成したアプリケーション アカウント、利用者ごとの設定、入力するデータ 一般の従業員、業務部門
PaaS アプリを開発・実行するための基盤(OS、ミドルウェアなど) 自社で開発したアプリケーションとその設定 開発者
IaaS サーバー、ストレージ、ネットワークなどのインフラ OS、ミドルウェア、アプリケーション インフラ担当者、情報システム部門

SaaSは、提供事業者が用意する範囲が最も広く、利用者が管理する範囲が最も狭い形態です。そのぶん専門知識がなくても使い始めやすい一方、機能のカスタマイズには限りがあります。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」でも、クラウドサービスの仕組みとしてSaaS・PaaS・IaaSの3分類が紹介されています。クラウドとの包含関係や、ASP・オンプレミスとの違いをさらに詳しく知りたい場合は、SaaSとクラウドの違いを解説した記事も参考にしてください。

身近なSaaSの具体例と、2つの型

SaaSは特別なものではなく、多くの人がすでに日常的に使っています。業務でよく使われる例を分野別に挙げると、次のようになります。

  • メール・グループウェア:Gmail、Microsoft 365など
  • ビジネスチャット:Slack、Chatworkなど
  • Web会議:Zoomなど
  • ファイル共有・オンラインストレージ:Google ドライブ、Dropboxなど
  • 会計・経理:クラウド型の会計ソフト、請求書発行サービスなど
  • 人事労務:勤怠管理、給与計算のクラウドサービスなど
  • 営業・顧客管理:SFA、CRMなど

SaaSは、会計や人事、チャットのように業種を問わず使える「職種横断型」と、特定の業界の業務に合わせて作られた「業界特化型」に分けて語られることもあります。自社の業務が一般的な事務作業なら前者、業界固有の手続きや帳票が多いなら後者を探すと、候補を絞り込みやすくなります。国内でSaaSを提供している企業には、サイボウズ株式会社、Sansan株式会社、freee株式会社、株式会社マネーフォワード、株式会社ラクスなどがあります。業務カテゴリ別の製品例はSaaS製品とツール・プロダクトの違いを解説した記事、身近な例からやさしく知りたい場合はSaaSをわかりやすく解説した記事、国内8社の売上高などの比較はSaaSランキングの見方を解説した記事が参考になります。

SaaSのメリット・デメリットとセキュリティ

SaaSの主なメリットは「始めやすさ」と「管理の手軽さ」、主なデメリットは「カスタマイズの制約」と「提供事業者への依存」です。どちらも「提供事業者が多くを担ってくれる」というSaaSの仕組みから生まれる表裏の関係にあります。

観点 メリット デメリット・注意点
導入 サーバー購入やインストールが不要で、申し込み後すぐに使い始められる 手軽に契約できる分、部署ごとに似たサービスを契約して重複しやすい
費用 初期費用を抑えやすく、利用人数に合わせて契約を増減できる 月額費用が継続して発生し、長く使うと総額がふくらむことがある
保守・更新 アップデートやセキュリティ対策、法改正への対応を提供事業者が行う 画面や操作手順が利用者の都合と関係なく変わることがある
働き方 インターネットがあれば社外や自宅、スマホからでも利用できる 通信障害やサービス側の障害時は使えなくなる
機能 多くの企業の要望を反映した標準機能を、追加開発なしで使える 自社独自の業務フローに合わせた細かなカスタマイズは難しい
データ データが一か所に集まり、複数人で同時に同じ情報を見られる データは提供事業者の環境に保存されるため、保管場所や解約時の取り出し方を確認する必要がある
継続性 提供事業者が機能改善を続けるため、自社で開発・保守しなくても使い続けられる 提供事業者の方針転換や事業撤退によって、料金改定やサービス終了が起こる可能性がある。終了時は別サービスへの移行が必要になる

デメリットの多くは、契約前の確認と社内ルールで小さくできます。たとえば、部署ごとの重複契約は「新しいSaaSを契約するときは管理担当者に申請する」というルールを作るだけでも防ぎやすくなります。一方、カスタマイズの制約は根本的な仕組みに関わるため、「自社の業務をどこまでサービスの標準に合わせられるか」を導入前に見極めることが大切です。「SaaSの死」という言葉が気になる場合は、「SaaSの死」の意味を年表と用語で整理した記事も参考にしてください。

メリットの感じ方には、公的な調査にも手がかりがあります。前掲の総務省の調査で、クラウドサービスを利用する理由(複数回答)を見ると、「場所、機器を選ばずに利用できるから」が50.7%で最も高く、「安定運用、可用性が高くなるから」45.1%、「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」42.8%が続きます。一方、「既存システムよりもコストが安いから」は19.4%で、8つの選択肢の中では最も低い割合でした。つまり、利用している企業の多くは、安さそのものよりも、使える場所の自由さや保守の手間の軽さを理由に選んでいます。SaaSを「安いから使うもの」と考えると期待がずれやすいため、導入前に何を解決したいのかを先に決めておくことが大切です。

セキュリティは「任せる部分」と「自社で守る部分」を分けて考える

SaaSのセキュリティについては「外部に預けるのは不安」という声がある一方で、「提供事業者に任せれば安心」と考えてしまうケースもあります。実際には、サーバーやアプリケーションの安全管理は提供事業者が担い、アカウントのパスワード管理、多要素認証の設定、誰にどの権限を与えるか、どのデータを入力するかは利用者側の役割です。IPAの「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」も、クラウドのセキュリティは、提供事業者と利用者がそれぞれの役割・責任を分担して維持・向上するものだと説明しています。この手引きは、クラウドサービス固有のリスクとして次の3点を挙げています。

IPAの手引きが挙げる固有のリスク 起こりうること 利用者側の備えの例
インターネットを使う 外部からの攻撃を受けやすい 多要素認証を設定し、パスワードの使い回しをしない。退職者のアカウントを速やかに停止する
1台のコンピュータを多数で共用する 1台のインシデントが多数に影響する 提供事業者のセキュリティ対策の公開状況や、第三者認証の有無を契約前に確認する
1つのサービスが複数事業者で構成される すべての対策を把握することが難しい データの保管場所、サポート体制、解約時のデータ返還条件を契約前に確認する

どのSaaSを誰が契約しているかを一覧にしておくことも、管理外のサービスを減らす基本の備えです。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」でも、クラウドサービスを安全に利用するための確認事項が整理されています。顧客の個人情報を扱う場合は、個人情報保護委員会のガイドラインに沿った取扱いが求められる点にも注意が必要です(本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家に確認してください)。SaaSのセキュリティを利用者の責任範囲から詳しく知りたい場合は、SaaSセキュリティの基本を解説した記事も参考になります。

SaaSの選び方|4つの評価軸

SaaSを選ぶときは「業務への適合」「既存システムとの連携」「セキュリティと契約条件」「サポートと定着のしやすさ」の4つの軸で比べると、判断がぶれにくくなります。知名度や料金の安さだけで決めると、使い始めてから「欲しい機能がない」「他のツールとつながらない」といった問題が起きやすくなります。

評価軸1:業務への適合

最初に確認したいのは、そのSaaSで「今困っている業務」が本当に解決できるかどうかです。機能一覧を見る前に、対象となる業務の流れを書き出し、どの作業をSaaSに置き換えたいのかをはっきりさせておきます。機能が多いほど良いとは限らず、使わない機能が多すぎると操作が複雑になり、現場に定着しにくくなります。

評価軸2:既存システムとの連携

SaaSは単体で使うよりも、他のサービスとつながったときに効果が大きくなります。会計ソフトであれば銀行口座やクレジットカード、請求書発行、給与計算とのデータ連携があるかどうかで、手入力の量が大きく変わります。API連携やCSVでの取り込み・書き出しに対応しているか、今使っているツールとの連携実績があるかを確認しておきましょう。

評価軸3:セキュリティと契約条件

多要素認証やアクセス権限の設定ができるか、第三者認証(ISMS認証など)を取得しているか、データがどの地域に保存されるかを確認します。あわせて見落としやすいのが契約条件です。サービスの稼働率などを定めたSLA(サービス品質保証)の有無、解約時にデータをどの形式で取り出せるか、解約後いつデータが削除されるかは、契約前に必ず確認しておきたい項目です。

評価軸4:サポートと定着のしやすさ

問い合わせ窓口の対応時間や手段(電話・メール・チャット)、導入時の初期設定支援、操作マニュアルや動画の充実度を確認します。特にITに詳しい担当者がいない会社では、サポートの手厚さが定着を左右します。無料トライアル期間中に実際に問い合わせてみると、回答の速さや分かりやすさを確かめられます。

評価軸 確認する質問
業務への適合 置き換えたい作業が標準機能で完結するか。使わない機能ばかりになっていないか
既存システムとの連携 今使っている銀行・ツールとつながるか。CSVやAPIでデータを出し入れできるか
セキュリティと契約条件 多要素認証・権限設定・第三者認証はあるか。SLAと解約時のデータ返還条件は明記されているか
サポートと定着 問い合わせ手段と対応時間は合っているか。初期設定の支援やマニュアルはあるか

複数のSaaSを比べるときの評価軸の立て方や、比較サイトを見るときの注意点は、SaaS比較の評価軸と比較サイトの見極め方を解説した記事で詳しく扱っています。

導入コストの目安|初期費用と月額費用

SaaSの導入コストは、「初期費用」「月額(年額)の利用料」「社内で発生する準備・運用の手間」の3つで考えるのが基本です。料金表に書かれているのは前の2つだけですが、実際の負担を左右するのは3つ目であることも少なくありません。具体的な金額はサービスや契約人数、プランによって大きく異なり、改定されることもあるため、ここでは費用の構造と見積もりの考え方を整理します。

費用の種類 主な中身 見積もりのポイント
初期費用 アカウント発行、初期設定の代行、既存データの移行支援など 無料のサービスも多いが、設定代行やデータ移行を依頼すると別料金になることがある
利用料 ユーザー数に応じた料金、機能プランごとの料金、オプション料金 「1人あたりの単価、人数、契約月数」をかけ合わせて年間の総額を出して比べる。年額払いの割引も確認する
社内の手間 業務フローの見直し、マニュアル作成、社内説明、運用ルールづくり 担当者の作業時間として見積もっておく。ここを見込まないと定着に時間がかかる

比較するときは、月額料金だけで判断せず、少なくとも1年から3年の総額で比べるのがおすすめです。安いプランで始めても、必要な機能が上位プランにしかなければ、結局は乗り換えや追加費用が発生します。反対に、最初から高機能なプランを全員分契約すると、使われない機能に費用を払い続けることになります。

費用感をつかむ練習台としても、会計ソフトはわかりやすい題材です。多くのサービスがユーザー数や機能に応じた複数のプランと無料トライアルを用意しているため、「自社の人数ならどのプランになるか」「連携したい銀行や給与計算は追加料金なしで使えるか」を比べていくと、SaaSの料金体系の読み方が自然と身につきます。

SaaS導入でよくある失敗パターン

SaaS導入の失敗は、サービスそのものの良し悪しよりも、契約前の確認不足や導入後の運用設計の不足から起きることがほとんどです。よく見られるパターンと回避策を整理しました。

失敗パターン 起きること 回避策
知名度や料金だけで選ぶ 必要な機能が足りない、または多すぎて使いこなせない 置き換えたい業務を先に書き出し、4つの評価軸で比べる
連携を確認せずに契約する 別のツールからデータを手入力し直す作業が残る 今使っているツールとの連携可否をトライアル中に確かめる
部署ごとにばらばらに契約する 似たサービスが重複し、費用とデータが分散する 契約の申請窓口と、利用中サービスの一覧を1つにまとめる
契約して終わりにする 現場が使い方を知らず、以前の表計算ソフトやメールに戻る 使う場面を具体的に示した簡単なマニュアルと、社内の質問窓口を用意する
退職者のアカウントを放置する 不要な料金が発生し続け、情報漏えいのリスクも残る 入退社の手続きにアカウントの発行・停止を組み込む
解約時の条件を確認しない 乗り換え時にデータを取り出せず、移行に手間取る データの書き出し形式と、解約後の削除時期を契約前に確認する

特に見落とされやすいのが、アカウント管理と解約条件です。SaaSは誰でも手軽に契約できるため、気づけば社内で使われているサービスが把握しきれなくなっていることがあります。「何を、誰が、何人分契約しているか」を一覧にしておくだけでも、費用の無駄とセキュリティ上のリスクを同時に減らせます。

導入をスモールスタートで進める方法

SaaSは、いきなり全社で導入するよりも、小さな範囲で試してから広げる「スモールスタート」が向いています。ユーザー数単位で契約を増減できるというSaaSの特徴を活かせば、初期の失敗を小さく抑えながら、自社に合うかどうかを確かめられます。

  1. 対象業務を1つに絞る:経理、勤怠、社内チャットなど、困りごとがはっきりしていて効果を確かめやすい業務を選ぶ
  2. 候補を2つから3つに絞り、無料トライアルで試す:実際のデータに近いもので操作し、連携やサポートの対応も確認する
  3. 少人数・一部署で本番利用を始める:導入前の作業時間を記録しておき、導入後と比べられるようにする
  4. 利用ルールとマニュアルを整える:試験運用で出た「わかりにくい点」を反映して、社内の手順をまとめる
  5. 効果を確認してから範囲を広げる:数か月後に作業時間や利用状況を振り返り、他の部署や上位プランへの拡大を判断する

このとき大切なのは、手順3の「導入前の記録」です。導入前にどれくらい時間がかかっていたかがわからないと、効果があったのかどうかを判断できず、社内で拡大の合意を取りにくくなります。まずは、いま手作業で繰り返している業務がどのくらいあるかを、次のセルフチェックで確かめてみてください(経理業務を例にしています)。

最初のSaaSに経理を選ぶ前に、今のやり方をセルフチェック

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導入効果をどう確認するか

SaaSの導入効果は、「削減できた作業時間」「減ったミスや手戻り」「利用状況」の3つで確認すると、社内に説明しやすくなります。なかでも数字にしやすいのが作業時間です。導入前後で同じ業務にかかる時間を比べ、月あたり・年あたりに換算すると、月額費用と並べて判断できるようになります。

下のシミュレーターでは、SaaS化したい業務の月あたりの作業時間と、削減できそうな割合を入れると、年間でどれくらいの時間を他の業務に回せるかの目安を計算できます。削減割合はあくまで仮置きの数値です。トライアル期間中に実際の作業時間を測り、その結果で入れ直すと精度が上がります。

作業時間の削減効果を簡易計算する

対象業務の月あたり作業時間:20時間

削減できそうな割合:30%

月あたりの削減時間の目安:6時間

年間の削減時間の目安:72時間

※入力値にもとづく簡易計算です。実際の効果は業務内容や運用状況によって異なります。

時間以外では、入力ミスや差し戻しの件数、月次の締めにかかる日数なども、導入前後で比べやすい指標です。また、SaaSの多くは管理画面でログイン状況や機能ごとの利用状況を確認できます。「契約したのにほとんど使われていないアカウント」が見つかれば、プランや人数の見直しにつなげられます。

効果を測りやすい業務の代表が、毎月同じ作業を繰り返す経理です。通帳からの転記や仕訳入力に毎月どれくらい時間を使っているかを記録しておけば、クラウド型の会計ソフトを試したときに、自動取り込みでどれだけ手作業が減ったかをそのまま比べられます。マネーフォワード クラウド会計のような会計ソフトを試す場合は、導入前に記録した作業時間と、無料トライアル期間中の作業時間を並べて確認してみてください。最初のSaaSとして会計ソフトを選ぶと、効果の確認までを一通り経験でき、次の業務へ広げるときの判断材料にもなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. SaaSとは何ですか?

A. SaaS(Software as a Service)とは、提供事業者のサーバー上で動くソフトウェアを、インターネット経由でサービスとして利用する形態のことです。ソフトをインストールせず、契約したアカウントでログインして使い、料金は月額や年額で支払うのが一般的です。

Q2. SaaSの読み方は「サース」と「サーズ」のどちらが正しいですか?

A. 一般的には「サース」と読まれることが多いですが、「サーズ」と読む人もおり、どちらも誤りとはいえません。表記は「SaaS」で統一されているため、読み方の違いを気にしすぎる必要はありません。

Q3. 日本の有名なSaaS企業にはどのような会社がありますか?

A. 国内でSaaSを提供している企業には、サイボウズ株式会社、Sansan株式会社、freee株式会社、株式会社マネーフォワード、株式会社ラクスなどがあります。売上規模などは決算期や連結・個別の別によって変わるため、比較するときは各社の決算資料で最新の数字を確認してください。

Q4. SaaSセキュリティとは何ですか?

A. SaaSセキュリティとは、SaaSに預けたデータやアカウントを守るための対策のことです。サーバーやアプリケーションの安全管理は提供事業者が担い、パスワードや多要素認証、アクセス権限、入力するデータの管理は利用者側の役割です。契約前に、第三者認証の有無やデータの保存場所、解約時のデータ返還条件を確認しましょう。個人情報を扱う場合は個人情報保護委員会のガイドラインも参考にしてください。本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。

Q5. SaaSの導入コストはどのように見積もればよいですか?

A. 初期費用、ユーザー数やプランに応じた利用料、社内の準備・運用にかかる手間の3つで考えます。月額料金だけでなく、利用人数と契約期間をかけた1年から3年の総額で比べるのがおすすめです。料金は各社の公式情報で最新のものを確認してください。

Q6. 初めてSaaSを導入するなら、どの業務から始めるのがよいですか?

A. 困りごとがはっきりしていて、効果を確かめやすい業務から始めるのがおすすめです。毎月同じ作業を繰り返す経理は、クラウド型の会計ソフトで作業時間の変化を比べやすく、最初の題材として取り組みやすい業務の一つです。

まとめ|SaaSを理解したら、1つ試してみる

SaaSは、提供事業者のサーバーで動くソフトウェアをインターネット経由で利用する形態です。始めやすく管理の手間が少ない一方、カスタマイズの制約や継続的な費用、セキュリティの分担、契約条件の確認といった注意点もあります。言葉の意味を理解したら、次の5つのステップで実際に動いてみましょう。

  1. SaaS化したい業務を1つ選び、今の作業時間を記録する
  2. 業務への適合・連携・セキュリティと契約条件・サポートの4つの軸で候補を比べる
  3. 費用は初期費用・利用料・社内の手間の3つで、複数年の総額として見積もる
  4. 契約前に、多要素認証や権限設定、データの保存場所、解約時のデータ返還条件を確認する
  5. 経理など効果を測りやすい業務で、マネーフォワード クラウド会計のような会計ソフトの資料や無料トライアルを確かめ、導入前後の時間を比べる

参考文献

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