BPOで委託できる業務一覧|分野別に任せる範囲と社内に残す判断

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  • BPOで委託できる業務の全体像が分野別にわかる
  • 業務ごとに委託先に任せる作業と社内に残す判断の境目がわかる
  • 発注者が委託範囲を決めるときの4つのポイントがわかる

「経理や給与計算を外に出したいが、どこまで頼めるのか分からない」「BPOの見積もりを取る前に、委託できる業務の範囲を整理しておきたい」。BPOを検討し始めた発注者が最初につまずくのは、委託できる業務の全体像と、自社が任せるべき範囲の線引きです。結論から言うと、BPOで委託できるのは手順と判断基準を文書にできる業務で、経理、人事労務、総務、マーケティング、コンタクトセンター、翻訳など幅広い分野が対象になります。一方で、最終判断と承認は社内に残すのが基本です。本記事では、BPOで委託できる業務を分野別に整理し、業務ごとに「委託先に任せられる作業」と「社内に残すべき判断」を切り分けたうえで、発注者が委託範囲を決めるときのポイントを、厚生労働省や個人情報保護委員会の公的情報を参照しながら解説します。

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目次

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  1. 幅広い業務を柔軟に頼めるオンラインアシスタントとBPOを比較する
  2. BPOで委託できる業務の全体像
  3. 経理・財務業務の委託範囲
  4. 人事・労務業務の委託範囲
  5. 総務・マーケティング・翻訳業務の委託範囲
  6. 発注者が委託範囲を決めるときのポイント
  7. 委託範囲を決めたあとに委託先を選ぶ確認点
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ
  10. 参考文献

幅広い業務を柔軟に頼めるオンラインアシスタントとBPOを比較する

BPOで委託できる業務は幅広いものの、BPOは「特定の業務プロセスを、決めた範囲でまとめて任せる」契約が中心です。そのため、経理も総務も営業事務も少しずつ手が足りないという企業では、業務ごとに契約を分けるより、幅広い事務作業をまとめて頼める方法のほうが合う場合があります。代表的な委託手段を、発注者目線で比べると次のとおりです。

委託手段 強み 留意点
BPO 業務プロセスを設計から運用までまとめて任せられ、処理量が多い業務ほど効率化しやすい 委託範囲を契約で細かく決めるため、範囲外の作業は追加費用や再契約が必要になりやすい
オンラインアシスタント 経理、総務、秘書、営業事務などの作業を、月の稼働時間の範囲で分野をまたいで依頼できる 大量の定型処理を長期で任せる用途では、専門のBPOより割高になる場合がある
クラウドソーシング 単発の作業を必要なときだけ個人に依頼できる 継続業務では担当者が変わりやすく、情報管理の確認を発注者側で行う必要がある
人材派遣 自社の社員と同じように、派遣スタッフに直接指示を出して業務を進められる 業務の管理と指導は自社で行う必要があり、管理の負担は社内に残る

「委託したい業務の量はそれほど多くないが、種類が多い」「まずは小さく外部の手を借りてみたい」という段階なら、オンラインアシスタントから始めて、処理量が増えた業務だけをBPOに移すという順番も現実的です。オンラインアシスタントのサービスごとの対応業務や料金を比べたい場合は、次の記事で確認できます。

BPOで委託できる業務の全体像

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、自社の業務プロセスの一部を外部の専門事業者にまとめて委託することです。委託できる業務は、社内向けの管理業務であるバックオフィス業務と、顧客との接点を持つフロントオフィス業務に大きく分けられます。

区分 分野 委託できる業務の例
バックオフィス 経理・財務 記帳、請求書の発行、入金消込、経費精算の確認、支払い準備、月次決算の補助
バックオフィス 人事・労務 給与計算、勤怠の集計、社会保険の手続き、年末調整、入退社の手続き、採用事務
バックオフィス 総務 備品の管理と発注、郵便物の処理、出張の手配、契約書の管理、受付と電話の取次
バックオフィス IT関連 社内ヘルプデスク、PCやアカウントの管理、システムの運用監視
フロントオフィス 営業事務・受発注 見積書の作成、受注データの入力、在庫と納期の確認、顧客情報の更新
フロントオフィス コンタクトセンター 電話、メール、チャットでの問い合わせの一次対応、注文の受付
フロントオフィス マーケティング Web広告の運用、SNSの投稿管理、アンケートの集計、レポートの作成
フロントオフィス 翻訳・コンテンツ 資料やWebサイトの翻訳、マニュアルの作成、データ入力

このように、BPOで委託できる業務は会社のほぼ全部門にまたがります。ただし、発注者にとって大切なのは「どの分野を頼めるか」よりも、その分野の中で、どの作業までを委託先に任せ、どこからを社内で判断するかです。同じ「経理のBPO」でも、記帳だけを任せるのか、支払いの準備まで任せるのかで、見積もりも社内に残る仕事も大きく変わります。次の章から、分野ごとに委託範囲の目安を整理します。

経理・財務業務の委託範囲

経理・財務は、BPOで最も委託されやすい分野の一つです。仕訳のルールや締め日が決まっているため手順を文書にしやすく、処理量に応じて作業が発生するためです。一方で、お金の出入りを最終的に決める権限は、会社の内部統制の観点から社内に残す必要があります。

業務 委託先に任せやすい作業 社内に残すべき判断
記帳・仕訳 領収書や通帳データをもとにした会計ソフトへの入力 判断に迷う取引の勘定科目の決定
請求・入金管理 請求書の作成と送付、入金の消込、未入金の一覧作成 支払いが遅れている取引先への対応方針
支払い 請求書の受領と内容確認、支払い予定表や振込データの作成 支払いの承認と、振込の実行
経費精算 申請内容と証憑の突き合わせ、規程に沿っているかの一次確認 規程から外れた申請を認めるかどうか
決算 月次の試算表の作成、決算整理の資料準備 決算の数字の確定と、税務上の判断(税理士と相談)

経理のBPOで特に注意したいのが、支払いの承認と振込の実行を委託先に渡してしまうことです。作業を効率化したい気持ちから権限まで渡すと、誤送金や不正に気付きにくくなります。「作成は委託先、承認と実行は社内」という線を最初に決めておきましょう。なお、税務書類の作成や税務相談は税理士の独占業務とされているため、BPO事業者に依頼する場合も、税理士が関与する体制かどうかを確認する必要があります。

人事・労務業務の委託範囲

人事・労務も、給与計算や社会保険の手続きを中心に委託が多い分野です。毎月決まった流れで作業が発生し、法改正への対応も求められるため、専門の事業者に任せる効果が出やすい業務です。ただし、従業員の個人情報を大量に扱うため、委託先の管理体制の確認が欠かせません。

業務 委託先に任せやすい作業 社内に残すべき判断
給与計算 勤怠データの集計、支給額と控除額の計算、給与明細の作成 昇給や手当の支給条件の決定、計算結果の最終確認
社会保険・労働保険 資格取得や喪失の届出書類の作成、年度更新の資料準備 届出内容の承認(申請の代行は社会保険労務士の関与が必要)
年末調整 申告書の回収と内容確認、計算、源泉徴収票の作成 従業員からの個別の問い合わせのうち、判断を伴うものへの回答
採用事務 求人媒体の管理、応募者との日程調整、合否連絡の送付 書類選考と面接の合否、採用条件の決定
入退社手続き 必要書類の案内と回収、各種システムへの登録 雇用契約の内容、退職に関する個別の交渉

人事・労務の委託では、個人情報保護委員会のガイドラインが示す委託先の監督義務が関わります。個人データの取扱いを委託する場合、委託元は適切な委託先の選定、安全管理措置を盛り込んだ契約の締結、委託先での取扱状況の把握を行わなければなりません。給与や家族構成、マイナンバーなどを扱う業務ほど、契約書にデータの保管場所、アクセスできる担当者、委託終了時の削除方法まで書き込んでおきましょう。

また、採用事務や入退社の手続きは、繁忙期にだけ作業が集中しやすく、年間を通した契約にすると費用が見合わないことがあります。人事労務の周辺作業を必要な時期だけ手伝ってほしい場合は、稼働時間の範囲で複数の業務をまとめて頼めるオンラインアシスタントのほうが合う場合もあります。

総務・マーケティング・翻訳業務の委託範囲

総務、マーケティング、翻訳などの業務も、BPOで委託できます。ただし、経理や人事労務に比べて作業の種類が多く、会社ごとにやり方が異なるため、委託範囲を具体的に決めておかないと、依頼のたびに確認のやり取りが発生しがちです。

分野 委託先に任せやすい作業 社内に残すべき判断
総務 備品の在庫確認と発注、郵便物の開封とスキャン、出張の手配、契約書の台帳管理 購入先や予算の決定、契約の締結と更新の判断
マーケティング 広告の入稿と日々の調整、SNSの投稿予約、効果測定のレポート作成 ブランドの方針、予算配分、投稿内容の最終承認
コンタクトセンター よくある質問への回答、注文や資料請求の受付、問い合わせ内容の記録 クレームへの対応方針、返金や補償の判断
翻訳 社内資料、マニュアル、Webサイトの翻訳と校正 契約書など法的な意味を持つ文書の最終確認、用語の統一ルール
営業 見込み客リストの作成、電話やメールでのアポイント獲得、商談前の情報提供、問い合わせ後の追客 ターゲットと提供条件の決定、値引きや契約条件の判断、重要顧客との商談

これらの分野では、委託先がそのまま社外に向けて発信したり、顧客に回答したりする場面が出てきます。社外に出る内容ほど、会社としての判断が含まれるため、「どの内容までは委託先の判断で回答してよいか」を回答例や判断基準の形で渡しておくことが大切です。

発注者が委託範囲を決めるときのポイント

BPOで委託できる業務を把握したら、次は自社がどこまでを任せるかを決めます。見積もりを依頼する前に、次の4点を社内で整理しておくと、委託先との認識のずれや追加費用を防ぎやすくなります。

業務を作業単位まで書き出す

「経理をお願いしたい」という依頼では、委託先はどこまでが範囲なのかを判断できません。対象の業務を、誰が、いつ、何を見て、何をするかという作業単位まで書き出し、月あたりの件数や時間も添えておきましょう。この一覧が、そのまま見積もりと契約の土台になります。

作業と判断の境目を決める

書き出した作業ごとに、委託先に任せる作業と、社内で判断や承認をする作業に印をつけます。本記事の各分野の表のように、「作成や確認は委託先、承認や最終判断は社内」と分けるのが基本です。例外的な処理が起きたときに誰へ連絡するかも、あわせて決めておきます。

指示の出し方を契約で決めておく

BPOは請負や準委任の契約で結ぶことが多く、業務の進め方は委託先の責任者が管理します。自社の社員が委託先の作業者に直接細かく指示を出すと、厚生労働省が注意を促している「偽装請負」にあたるおそれがあります。依頼や変更は委託先の窓口担当を通じて伝える運用を、契約と社内ルールの両方で決めておきましょう。

範囲外の作業の扱いを確認する

契約で決めた範囲外の作業は、追加費用がかかるか、そもそも対応できないことがあります。年に数回しか発生しない作業や、急な依頼が想定される作業は、料金と対応可否を事前に確認しておきましょう。

書き出してみた結果、1つひとつの業務量は少なく、細かな作業が多くの部署に散らばっていると分かることもあります。その場合は、業務ごとにBPOの契約を分けるよりも、幅広い事務作業を1つの窓口でまとめて頼めるオンラインアシスタントのほうが、管理の手間も費用も抑えやすくなります。どこから手をつけるべきか社内だけで整理しきれない場合は、国が中小企業基盤整備機構を通じて全国に設置している「よろず支援拠点」で、無料の経営相談を受けることもできます。

委託範囲を決めたあとに委託先を選ぶ確認点

委託範囲が決まったら、その範囲を任せられる委託先を選びます。BPOの事業者は得意な分野がそれぞれ異なるため、料金だけで比べず、次の観点を見積もりの段階で確認しておくと、契約後の行き違いを減らせます。

確認する観点 見積もりや打ち合わせで確認したいこと
得意分野と実績 委託したい分野と同じ業務を、同じくらいの規模の会社から受けた実績があるか
契約形態 成果物の完成を約束する請負契約か、業務の処理を引き受ける準委任契約か。やり直しの扱いがどう変わるか
情報の取扱い 個人情報や機密情報の保管場所、アクセスできる担当者、再委託の有無、契約終了時のデータ削除方法
料金の内訳 初期費用、月額の基本料金、件数に応じた従量料金、範囲外の作業の単価がそれぞれいくらか
立ち上げの進め方 業務の引き継ぎにかかる期間、マニュアルを誰が作るか、一部の業務から試せるか

いきなり全ての業務をまとめて委託するよりも、手順が固まっている業務から小さく始め、品質とやり取りの手間を確かめてから範囲を広げるほうが、失敗したときの影響を抑えられます。委託を始めたあとも、処理件数やミスの件数を定期的に委託先と確認し、業務の中身を社内で把握し続けておくと、将来委託先を変えたり社内に戻したりするときにも困りにくくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. BPOではどのような業務を委託できますか?

A. 経理・財務、人事・労務、総務、IT関連などのバックオフィス業務と、営業事務、コンタクトセンター、マーケティング、翻訳などのフロントオフィス業務まで、幅広い分野を委託できます。手順と判断基準を文書にできる業務ほど委託しやすくなります。

Q. BPOで委託しないほうがよい業務はありますか?

A. 支払いの承認、採用の合否、予算配分、クレームへの対応方針など、会社としての判断や承認を伴う業務は社内に残すのが基本です。作成や確認の作業は委託し、最終判断は社内で行う形に分けましょう。

Q. 経理のBPOではどこまで任せられますか?

A. 記帳、請求書の発行、入金消込、振込データの作成、月次の試算表の作成などを任せられます。支払いの承認と振込の実行は社内に残し、税務書類の作成や税務相談は税理士が関与する体制か確認しましょう。

Q. 人事労務のBPOで注意すべき点は何ですか?

A. 従業員の個人情報を大量に扱うため、委託元には委託先を監督する義務があります。個人情報保護委員会のガイドラインに沿って、委託先の選定、安全管理措置を盛り込んだ契約の締結、取扱状況の把握を行いましょう。

Q. BPOの委託範囲はどのように決めればよいですか?

A. 対象の業務を作業単位まで書き出し、委託先に任せる作業と社内で判断する作業に分けます。あわせて、指示の出し方と範囲外の作業の扱いを契約で決めておくと、認識のずれや追加費用を防げます。

Q. 業務量が少なくてもBPOを使えますか?

A. 使えますが、最低料金が設定されていると割高になることがあります。細かな業務が複数の部署に散らばっている場合は、幅広い事務作業を稼働時間の範囲でまとめて頼めるオンラインアシスタントも比較してみましょう。

まとめ

BPOで委託できる業務は会社のほぼ全部門にまたがりますが、成果を左右するのは、分野の中で「どの作業までを任せ、どこから社内で判断するか」の線引きです。最後に、押さえておきたいポイントを整理します。

  • BPOで委託できるのは、経理、人事労務、総務、IT、営業事務、コンタクトセンター、マーケティング、翻訳など幅広い分野
  • 作成や確認の作業は委託し、承認や最終判断は社内に残すのが基本
  • 個人情報を扱う業務では、委託先の監督義務に沿った契約と確認が必要
  • 委託先の作業者への直接の指示は避け、窓口担当を通じて依頼する
  • 細かな業務が散らばっている場合は、オンラインアシスタントとの比較も有効

まずは外部に任せたい業務を作業単位で書き出し、委託先に任せる作業と社内に残す判断に分けるところから始めてみてください。

参考文献

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