DXで業務効率化を進める方法|可視化・標準化・自動化の3ステップ
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- DXの業務効率化は3ステップで進める
- 最初に効率化する業務の選び方がわかる
- 具体例・失敗パターン・効果測定がわかる
DXで業務効率化を進める方法は、「可視化・標準化・自動化」の3ステップを、この順番で進めることです。業務の実態を見える形にし、やり方をそろえてから、ツールで手作業を減らします。「何から手を付ければよいかわからない」「ツールを入れたのに、かえって手間が増えた」という悩みの多くは、ツール選びより前の段階、つまり対象の業務を決めていないことや、手順がばらばらなまま自動化に進んだことが原因です。本記事では、優先する業務の選び方、各ステップの具体的な作業、よくある失敗、効果測定の考え方までを順に解説します。
最初に効率化すべき業務を2問で診断
Q1. 業務効率化で、いま最も手間がかかっているのは?
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目次
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- DXによる業務効率化とは|ツール導入ではなく仕事の進め方を変えること
- 業務効率化の最初の一歩に選ばれやすい、勤怠管理システムを比較
- DXで業務効率化すると何が変わるのか|効果と具体例
- 業務効率化の優先領域の選び方|反復頻度とミスの多さで判断する
- DXによる業務効率化の3ステップ|可視化・標準化・自動化
- 可視化の進め方|業務フローを棚卸しする
- 標準化の進め方|不要な手続きを減らし、やり方を1つにそろえる
- 自動化の進め方|RPA・ワークフローシステム・業務システムを使い分ける
- DXによる業務効率化でよくある失敗パターン
- 効果測定の方法|KPIを決めてPDCAを回す
- よくある質問(FAQ)
- まとめ|今日からできる3つのこと
- 参考文献
DXによる業務効率化とは|ツール導入ではなく仕事の進め方を変えること
DXによる業務効率化とは、デジタル技術を使って業務の手順そのものを見直し、同じ成果をより少ない時間と手間で出せる状態にすることです。紙をデータに置き換えるだけでは不十分で、業務の流れを組み直すところまで含みます。
経済産業省の「DXレポート2」は、DXに至る段階を、アナログな情報をデジタル化する「デジタイゼーション」、個別の業務をデジタル化する「デジタライゼーション」、組織全体や事業を変える「デジタルトランスフォーメーション」に分けて整理しています。本記事の業務効率化は、主に前の2つの段階です。ここで作る「データで業務を把握できる状態」が、次の変革の土台になります。DXと業務効率化の違いはDX効率化とは?業務効率化との違いを経費精算の例で解説、DX化とIT化の違いはDX化とは?IT化・デジタル化との違いと、施策を判定する5つの問いで整理しています。
業務効率化の最初の一歩に選ばれやすい、勤怠管理システムを比較
最初の対象には、毎月必ず発生して手作業のミスも出やすい勤怠管理が向いており、勤怠管理システムで打刻から集計までを自動化できます。
出退勤の記録、残業時間の集計、有給休暇の残日数の確認、給与計算への引き渡しは、どの会社でも毎月発生します。紙のタイムカードや表計算ソフトでは転記と計算に手間がかかり、月末に担当者の負担が集中しがちです。「反復頻度が高い」「ミスが起きやすい」「効果を時間で測りやすい」という、後述する優先領域の条件を満たすため、可視化・標準化・自動化を一通り経験する練習台にもなります。労働時間の把握は法令上も求められ、厚生労働省は使用者が労働時間を適切に管理する責務を有するとして、具体的な措置をガイドラインで示しています。
次の表は、特徴の異なる2つの勤怠管理システムを、各サービスの商品ページで確認した事実(2026年10月15日確認)で整理したものです。優劣ではなく役割の違いで並べています。
勤怠集計の手作業を減らす、2つの勤怠管理システム
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:ジンジャー勤怠。交通系ICカードやChatwork・Slackでも打刻でき、英語など5言語の表示に対応しています
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:カオナビ勤怠。雇用形態や勤務形態に応じた労働条件を細かく設定して一元管理できます
資料を無料ダウンロード| サービス | ジンジャー勤怠 |
カオナビ勤怠 |
|---|---|---|
| 向いている会社 | 外出や在宅が多い、外国人従業員がいるなど、打刻の方法や表示言語を選びたい会社 | 自社の就業規則に合わせて労働条件を細かく設定し、人事データとも連携したい会社 |
| 特徴 | PC・スマホ・タブレット・交通系ICカード・Chatwork・Slackなどで打刻でき、100種以上の集計項目から自動集計。承認ルートは10段階まで設定できる | 打刻漏れ・残業超過・休日出勤の未届け・承認待ちをアラートで通知。工数管理やシフト管理があり、勤怠データは5年間自動保存される |
| 注意したい点 | セキュリティ機能やサポートプランの一部は別途オプション料金。口コミにはアプリの動作や管理者画面の見やすさへの指摘がある | タブレット端末では一部のタッチ操作に非対応で、スマホアプリの動作保証はサポート対象外。推奨OS・ブラウザの確認が必要 |
| 資料・詳細 |
2サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
紙や表計算ソフトの勤怠集計に手間がかかり、外出や在宅など打刻の場所が分かれている場合の一例が、jinjer株式会社が提供する「ジンジャー勤怠」です。PC・スマートフォン・タブレットのほか、交通系ICカードやChatwork・Slackでも打刻でき、100種以上の集計項目から労働時間を自動で集計できます。打刻漏れや残業時間の超過はアラートで知らせられ、申請と承認はクラウド上で完結します。注意点として、セキュリティ機能やサポートプランの一部は別途オプション料金がかかり、口コミにはアプリの動作や管理者画面の見やすさへの指摘もあります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
ここがおすすめ!
- 初期設定から定着まで電話・チャット・WEBなどでサポート
- 24時間365日お問い合わせ可能
- スマホアプリ対応で場所を問わず簡単に打刻ができる
- 月末の締め日に見直すだけで簡単に勤怠管理ができる
- 個人だけでなくチーム全体の勤怠管理ができる
ここが少し気になる…
- スマホアプリだと申請や修正画面がわかりにくい
-
残業時間の集計や、有給休暇の残日数の計算、打刻漏れの確認など手間のかかる集計業務を大幅に自動化・効率化できる点、また従業員の多様な働き方に合わせて、PC、スマートフォン、タブレット、ICカードなど、さまざまな打刻ができる点がとてもメリットです。
-
ジンジャー導入で、紙やエクセル管理に伴う打刻漏れや集計ミスを撲滅し、申請フローの停滞を解消できました。 スマホ打刻で外出先からの勤怠記録も漏れず、リアルタイムな勤怠可視化で残業超過や不正申告を防止できました。 多言語対応や柔軟な承認ルール設定でグローバル運用にも対応するなど、メリットは多岐にわたるなと思います。(当社はグローバル運用ではないですが…)
-
以前は1台のパソコンでしか作業ができず、作業待ちが発生していましたが、クラウド型のジンジャー勤怠を導入したことで、場所を問わず複数人が同時にアクセス・作業できるようになりました。業務効率が大きく向上しました。
導入事例の要約です。社会福祉法人三重ベタニヤでは、200名以上のタイムカードを回収して表計算ソフトに転記・集計し、給与計算システムへ手入力しており、集計から給与計算まで毎月2営業日以上かかっていました。ジンジャーの導入後は、打刻情報がそのままデータ化され、給与計算システムへ連携できるようになったと紹介されています(出典: ジンジャーの導入事例ページ)。
就業規則に合わせて労働条件を細かく設定したい場合の一例が「カオナビ勤怠」です。雇用形態や勤務形態に応じた労働条件を設定して一元管理でき、打刻漏れ、残業時間の超過、休日出勤の未届け、申請の承認待ちをアラートで通知します。工数管理やシフト管理も備え、勤怠データはシステム上で5年間自動保存されます。注意点として、タブレット端末では一部のタッチ操作に対応しておらず、スマートフォンアプリの動作保証はサポート対象外です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
ここがおすすめ!
- 「アラート機能」搭載で管理画面で素早い確認と管理が可能
- その日のスケジュールにあわせて使える3つの打刻方法を提供
- 打刻だけでなく、シフトや工数管理・テレワーク機能なと機能充実
ここが少し気になる…
- カオナビのオプション扱いのため、詳細な費用は問い合わせで確認
どちらが合うかは、給与計算や人事システムとの連携が必要か、打刻する場所が事務所か外出先か、就業規則の例外がどれだけ多いかで変わります。後半の「可視化の進め方」で自社の勤怠業務の流れを整理しておくと、比べるときの判断軸がはっきりします。
DXで業務効率化すると何が変わるのか|効果と具体例
DXで業務効率化すると、作業時間の短縮、ミスや手戻りの減少、データにもとづく判断の迅速化の3つが期待できます。
IPA(情報処理推進機構)が2026年7月に公表した国内企業のDX動向のポイントでは、DXの取組内容別の成果は、データのデジタル化や業務の効率化などで高く、企業価値の創出につながる内容では低い状況が続いているとされています(出典: IPA「国内企業のDX動向・AI活用動向のポイントを公表」)。多くの企業にとって、業務効率化はDXの成果を最初に実感しやすい入口だといえます。
具体的には、次のような業務で手作業を減らせます。表は一般的な例で、自社の業務に当てはまるものを探す目安として使ってください。
| 業務 | 今のやり方の例 | DXで変わること | 使われる主な手段 |
|---|---|---|---|
| 勤怠管理 | 紙のタイムカードを回収し、表計算ソフトへ転記する | 打刻が自動で集計され、残業時間も自動で計算される | 勤怠管理システム |
| 経費精算 | 領収書を台紙に貼り、紙で回覧して承認をもらう | 申請と承認がオンラインで完結し、集計も自動になる | 経費精算システム |
| 申請・承認 | 紙の書類を回覧し、押印をもらう | 承認の状況が見え、承認ルートも画面で管理できる | ワークフローシステム |
| 契約書の締結 | 紙に押印して郵送し、原本を保管する | オンラインで締結し、検索しやすい形で保管できる | 電子契約サービス |
| システム間の転記 | 複数の画面で同じ数字を手入力する | 決まった操作をソフトウェアが代行する | RPA |
| 社内の問い合わせ対応 | 担当者が同じ質問に何度も回答する | よくある質問に自動で答える | チャットボット |
効果は「時間・ミス・判断のスピード」の3つで見る
- 時間:転記や集計などの手作業が減り、空いた時間を顧客対応や新しい業務の企画に回せる
- ミス:手入力や手計算が減り、確認や差し戻しの手間も減る
- 判断のスピード:データがそろうため、状況を見て早く判断できる
この3つは、後述する効果測定のKPI(作業時間・ミスの件数・リードタイム)にそのまま対応します。効率化の前に、どの効果を狙うのかを決めておくと、ツール選びの軸もぶれません。
業務効率化の優先領域の選び方|反復頻度とミスの多さで判断する
最初に取り組む業務は、反復頻度・ミスの多さ・関わる人数・ルールの明確さの4つの観点で候補を点数化し、合計点の高い業務を選びます。すべてを一度に効率化しようとすると、現場の負担が大きくなり、途中で止まってしまいがちです。
- 反復頻度:毎日・毎週・毎月など、同じ作業が繰り返し発生するか
- ミスの多さ:転記・計算・確認漏れなど、手作業によるミスが起きやすいか
- 関わる人数:一部の担当者だけでなく、多くの従業員が関わるか
- ルールの明確さ:判断の基準が決まっており、例外が少ないか
以下は、業務ごとに各観点を3段階(3が高い)で評価した例です。自社でも同じ表を作り、合計点の高い業務から着手すると、関係者に優先順位の理由を説明しやすくなります。
| 業務の例 | 反復頻度 | ミスの多さ | 関わる人数 | ルールの明確さ | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 勤怠の集計 | 3 | 3 | 3 | 3 | 12 |
| 経費精算 | 3 | 2 | 3 | 2 | 10 |
| 請求書の発行 | 2 | 2 | 1 | 3 | 8 |
| 稟議・申請の承認 | 2 | 1 | 3 | 2 | 8 |
| 営業の提案書作成 | 2 | 1 | 2 | 1 | 6 |
評価はあくまで一例で、実際の点数は企業によって変わります。たとえば従業員の少ない企業では、関わる人数の点数が下がり、請求書の発行のほうが優先度が高くなることもあります。大切なのは、感覚ではなく同じ物差しで比べることです。
反対に、最初の対象として避けたほうがよいのは、担当者の経験や判断に大きく頼る業務です。営業の提案内容や採用の合否判断などは、ルール化が難しく、自動化しても例外対応が多く残ります。こうした業務は、情報を集める部分や記録する部分だけを効率化し、判断そのものは人が行う形にとどめるのが現実的です。
2サービスの違いを比較表で見るDXによる業務効率化の3ステップ|可視化・標準化・自動化
対象の業務を決めたら、「可視化・標準化・自動化」の順に進めます。この順序を守ることが、業務効率化で最も重要なポイントです。
| ステップ | 目的 | 主な作業 | 成果物の例 |
|---|---|---|---|
| 1. 可視化 | 業務の実態を把握する | 業務の棚卸し、作業時間の計測、関係者へのヒアリング | 業務一覧表、業務フロー図、作業時間の記録 |
| 2. 標準化 | やり方を1つにそろえる | 不要な手続きの削減、書式とルールの統一、例外の整理 | 業務マニュアル、統一書式、例外対応のルール |
| 3. 自動化 | 人の手作業を減らす | ツールの選定と導入、試行運用、効果測定 | 稼働中のシステム、削減時間の記録 |
なぜこの順序なのかは、逆の順で進めた場合を考えるとわかります。可視化をせずに標準化しようとすると、現場の実態と合わないルールができあがり、守られなくなります。標準化をせずに自動化すると、人ごとに違う手順をそれぞれシステムに組み込むことになり、設定が複雑になるうえ、手順が変わるたびに修正が必要になります。3つのステップは、それぞれが次のステップの前提になっているのです。
なお、3ステップは1回で終わりではありません。自動化の後に効果を測り、新たに見つかった無駄を再び可視化する、という循環を回し続けることで、業務効率化は定着していきます。
可視化の進め方|業務フローを棚卸しする
可視化とは、誰が、いつ、何を、どのくらいの時間をかけて行っているかを、記録として見える状態にすることです。担当者の頭の中にしかない手順を書き出すことで、無駄や重複がはじめて議論の対象になります。
業務一覧表を作る
まず、対象業務を作業単位に分解して一覧にします。勤怠管理であれば、「タイムカードの回収」「表計算ソフトへの転記」「残業時間の計算」「上長への確認依頼」「修正の反映」「給与担当への引き渡し」のように、1つずつ書き出します。各作業について、担当者、頻度、1回あたりの所要時間、使っている道具(紙、表計算ソフト、メールなど)を記録していきます。
作業時間を実際に計測する
作業時間は、担当者の感覚ではなく、1から2週間程度、実際に記録してもらうのが理想です。感覚で答えてもらうと、慣れた作業は短く、苦手な作業は長く見積もられやすいためです。ここで取った数字は、後の効果測定で「導入前」の基準値になります。基準値がないと、自動化の後に「どれだけ楽になったか」を説明できません。可視化の段階で測っておくことが、見落とされやすい重要なポイントです。
例外の発生回数も記録する
通常の手順の把握だけで終わらせず、実務で重要になるのが例外の把握です。「打刻忘れの修正」「深夜勤務の手当の手計算」「締め日の後の遅れ申請」など、通常の流れから外れる処理が月に何回起きているかを数えておきます。例外が多い業務は、そのまま自動化すると手作業が残り、効果が出にくくなります。次の標準化で、例外を減らすか、例外処理のルールを決めることが必要になります。
データの可視化は表計算ソフトの集計表から始める
「データ可視化」と聞くと専用のツールを想像しがちですが、最初の段階では表計算ソフトの集計表とグラフで足ります。作業一覧に記録した所要時間を、業務ごと、担当者ごとに集計して棒グラフにするだけで、時間が集中している工程が見えます。勤怠管理システムなどの業務システムを導入した後は、システムが出力するデータを同じ集計表に取り込むと、導入前後の比較にそのまま使えます。専用の分析ツールの検討は、集計表で見えた論点が増えてからで遅くありません。
ヒアリングでは、担当者だけでなく、その業務の前後に関わる人にも話を聞きます。勤怠管理なら、打刻する従業員、承認する上長、データを受け取る給与担当です。担当者本人は気付いていない「前後の工程での手戻り」が見つかることがよくあります。
標準化の進め方|不要な手続きを減らし、やり方を1つにそろえる
標準化とは、可視化で見えた業務の中から不要な手続きを取り除き、誰がやっても同じ手順・同じ品質になるようにそろえることです。ここでの判断の順番は、「なくす」「まとめる」「そろえる」です。
なくす:目的を失った手続きを削る
一覧表の各作業について「この作業をやめたら誰が困るか」を問います。答えが出ない作業は、過去の事情で始まり、目的を失ったまま続いている可能性があります。紙とデータの二重管理、誰も見ていない報告書、形だけの押印などが典型例です。削る判断は、担当者だけでなく管理者も交えて行うと進めやすくなります。
まとめる:似た作業を1回で済ませる
部署ごとに別々に行っている確認作業や、同じ情報を何度も入力している作業は、1か所にまとめられないかを検討します。たとえば、残業申請と勤怠の修正申請を別の書式で出しているなら、1つの申請にまとめられるかもしれません。
そろえる:書式・ルール・例外対応を統一する
残った作業について、書式や締め日、承認の順番を全社で統一します。可視化で数えた例外は、「発生させない仕組みを作る」か「発生したときの対応を決めておく」かのどちらかで整理します。打刻忘れなら、打刻しやすい方法を用意することで発生を減らしつつ、修正の申請方法を1つに決めておきます。決めた内容は業務マニュアルにまとめ、担当者が変わっても同じやり方が続くようにします。
標準化は、現場から「今までのやり方のほうが楽だった」という反発が出やすい段階です。変更の理由と、変更後に誰のどの手間が減るのかを具体的に説明することが大切です。可視化で測った作業時間の数字は、この説明の根拠としても役立ちます。
自動化の進め方|RPA・ワークフローシステム・業務システムを使い分ける
標準化で手順がそろったら自動化に進みます。自動化の手段は、業務特化型のシステム、ワークフローシステム、RPAの3つで、専用のシステムがある業務はまずそれを検討します。
| 手段 | 向いている業務 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 業務特化型のシステム(勤怠管理、経費精算など) | 多くの企業に共通する定型業務 | 法改正への対応や必要な機能があらかじめ組み込まれている | 自社独自のやり方には合わせにくい場合がある |
| ワークフローシステム | 申請・承認の流れがある業務 | 承認の状況が見え、紙の回覧や押印が不要になる | 承認ルートの設計を先に決める必要がある |
| RPA | 複数のシステム間の転記やデータ入力 | 既存のシステムを変えずに、パソコン上の操作を自動化できる | 画面や手順が変わると動かなくなり、保守が必要 |
選ぶときの基本は、「業務特化型のシステムがある業務は、まずそれを検討する」ことです。勤怠管理のように多くの企業が同じ課題を抱える業務では、打刻、集計、アラート、給与計算との連携などが一通りそろったシステムが提供されています。RPAで自前の仕組みを作るよりも、保守の手間が少なく済みます。RPAは、業務特化型のシステムがない業務や、既存システム同士をつなぐ部分に使うと効果を発揮します。RPAの選び方はおすすめのRPAツール11選、申請・承認の自動化はおすすめのワークフローシステム9選、生成AIを使った効率化はAI業務効率化の進め方も参考になります。
自動化による変化を、勤怠の集計業務を例に見てみましょう。下のスイッチで導入前と導入後を切り替えられます。
導入前(紙のタイムカードと表計算ソフト)
- 月末にタイムカードを回収し、表計算ソフトに手入力で転記する
- 残業時間や深夜勤務の時間を手計算し、計算ミスの確認に時間がかかる
- 打刻忘れは本人に紙で確認し、修正の履歴が残りにくい
- 残業時間が上限に近づいても、月末まで気付けない
導入は、いきなり全社で始めるより、1つの部署や拠点で試行運用してから広げるほうが安全です。試行期間中は、紙とシステムを並行して使い、集計結果が一致するかを確認します。一致を確認できたら紙の運用をやめ、二重管理が残らないようにします。勤怠管理のように毎月の締めがある業務は、1から2回の締めを試行期間にあてると、例外処理の漏れにも気付きやすくなります。
この作業を毎回手でやっているなら、自動化で減らせる部分があるかもしれません。次のチェックで、いまの勤怠業務の状況を確かめてみてください。
勤怠集計のやり方、今のままで大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
DXによる業務効率化でよくある失敗パターン
業務効率化の失敗には、共通するパターンがあります。着手前に確認しておくと、同じつまずきを避けられます。
| 失敗パターン | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 自動化から始める | 人ごとに違う手順を組み込むことになり、例外処理が多発する | 可視化と標準化を先に行い、手順をそろえてから自動化する |
| 目的を決めずにツールを入れる | ツール導入が目的化し、現場が使わなくなって手作業に戻る | 解決したい課題と数値目標を先に決める |
| 部署ごとにばらばらに導入する | データが分断され、二重入力や突き合わせが残る | 共通の業務フローとデータの持ち方を先に決める |
| 導入前の数字を測っていない | 効果を説明できず、投資の継続判断ができない | 可視化の段階で作業時間とミスの件数を記録しておく |
| 紙とシステムの二重管理が続く | かえって作業が増え、現場の不満が高まる | 試行運用の終了日と紙の廃止日を先に決めておく |
| 担当者だけで進める | 前後の工程の手戻りが残り、全体では時間が減らない | 業務の前後に関わる人をヒアリングと試行に巻き込む |
| 一度に多くの業務を対象にする | 現場の負担が集中し、途中で止まる | 優先度の高い業務1つで成果を出してから広げる |
特に多いのが、最初の失敗パターンである「自動化から始める」ケースです。便利なツールの情報に触れると、すぐに導入したくなりますが、手順がそろっていない業務にツールを入れても、ツールの側で例外を吸収しきれません。遠回りに見えても、可視化と標準化に時間をかけるほうが、結果として早く効果が出ます。
企業の規模によっても注意点は変わります。従業員の少ない企業では、1人が複数の業務を兼ねていることが多く、可視化の作業自体が負担になりがちです。その場合は、完璧な業務フロー図を作ろうとせず、作業の一覧と所要時間だけでも記録すれば十分です。反対に、拠点や部署が多い企業では、拠点ごとにやり方が違うことが多いため、標準化に最も時間がかかります。本社のやり方を一方的に押し付けるのではなく、各拠点の工夫のうち良いものを取り入れて統一すると、合意を得やすくなります。
DXがなかなか進まない企業に共通する課題
DXが思うように進まない企業には、よく挙げられる共通点があります。上の失敗パターンの背景には、次の3つの課題があることが多くあります。
- 目的の不明確さ:何のために効率化するのかが決まっておらず、成果の見え方が人によって違う。経営層と現場で目的を共有することが出発点になる
- 知識と人材の不足:どの業務から手を付けるかを判断できる人や、導入後に運用を定着させる人が足りない。外部のサービスの支援や、小さな業務での試行で経験を積む方法がある
- 現場の巻き込み不足:使う人の声を聞かずに仕組みを決めると、使われないまま元のやり方に戻る。ヒアリングと試行運用に現場の担当者を加える
1つの業務で成果を出し、その数字を示しながら範囲を広げる進め方は、この3つの課題に同時に対応できます。
現場への定着と導入コストも事前に計画する
自動化の段階でつまずきやすいのが、従業員への教育不足とコストです。システムを入れても、使い方が伝わらなければ現場は元の紙や表計算ソフトに戻ってしまいます。導入時には、操作説明の場を設けるだけでなく、困ったときに誰に聞けばよいかという窓口を決め、試行期間中に出た質問をマニュアルに反映していくと定着が早まります。ITツールに不慣れな従業員が多い職場ほど、最初の1か月のフォローが成否を左右します。
コストは、初期費用や月額利用料だけでなく、設定作業や教育にかかる社内の工数も含めて見積もります。可視化で測った作業時間と、後述する簡易シミュレーターで試算した削減時間を比べると、投資を回収できるまでの目安が立てやすくなります。クラウド型のサービスを選べば初期費用を抑えやすく、中小企業であれば国や自治体のITツール導入を支援する補助金を使える場合もあります。制度の内容や公募時期は年度ごとに変わるため、中小企業庁のミラサポplusなどで最新の情報を確認してください。
2サービスの役割を比較表で見るジンジャー勤怠
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効果測定の方法|KPIを決めてPDCAを回す
業務効率化の効果は、導入前に決めたKPI(重要業績評価指標)で測ります。代表的なKPIは次のとおりです。
- 作業時間:対象業務にかかる月あたりの合計時間
- ミス・手戻りの件数:計算ミスや差し戻しの月あたりの件数
- 処理のリードタイム:申請から完了までにかかる日数
- 例外処理の件数:通常の流れから外れた処理の月あたりの件数
削減できる作業時間の目安は、次のように簡単に試算できます。対象者の人数、1人あたりの月の作業時間、削減できそうな割合を入れると、月あたりの削減時間が表示されます。
削減時間の簡易シミュレーター
月あたりの削減時間:約25時間(年間 約300時間)
※入力値を掛け合わせただけの簡易計算です。実際の効果は業務の内容や運用によって変わります。
効果測定は、導入直後の1回で終わらせず、四半期ごとなど定期的に行います。導入直後は慣れない操作で一時的に時間が増えることもあるため、少なくとも数か月は推移を見て判断します。測定の結果、効果が出ていない作業があれば、原因を可視化し直し、標準化や設定の見直しにつなげます。これが、業務効率化のPDCAです。
削減できた時間を何に使うかも、あらかじめ決めておくと効果が伝わりやすくなります。浮いた時間を顧客対応や新しい業務の企画に振り向けることで、業務効率化は単なるコスト削減ではなく、事業の成長につながる取り組みになります。これが、業務効率化からDX本来の目的である事業の変革へと進む入口です。
KPIの記録には、システムが出力するデータをそのまま使えると手間が減ります。たとえばカオナビ勤怠は、月次・日次の勤務データや出勤簿をCSVまたはPDF形式で出力でき、データはシステム上で5年間自動保存されます。作業時間や残業時間の推移を、導入前の基準値と並べて確認するときに役立ちます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 業務効率化DXとは何ですか?
A. デジタル技術を使って業務の手順そのものを見直し、同じ成果をより少ない時間と手間で出せる状態にすることです。進め方は、業務の実態を把握する「可視化」、不要な手続きを減らしてやり方をそろえる「標準化」、ツールで手作業を減らす「自動化」の3ステップで、この順番を守ると例外処理の少ない自動化ができます。
Q2. DXによる業務効率化の具体例は何ですか?
A. 勤怠の集計を勤怠管理システムで自動化する、経費精算や申請・承認をオンラインで完結させる、契約書を電子契約で締結する、複数システム間の転記をRPAで代行する、よくある問い合わせにチャットボットで答える、といった例があります。最初の一歩には、毎月必ず発生して手作業のミスが出やすい勤怠管理が選ばれやすい業務です。
Q3. なぜ日本ではDXが進まないのですか?
A. IPAの調査では、国内企業のDXの成果は、データのデジタル化や業務の効率化では高い一方、企業価値の創出につながる内容では低い状況が続いています。背景として、目的が曖昧なままツールの導入が目的化する、推進する知識や人材が足りない、現場を巻き込めず定着しない、といった課題がよく挙げられます。まず1つの業務で成果を出し、範囲を広げる進め方が現実的です。
Q4. 最初に効率化する業務はどう選べばよいですか?
A. 反復頻度が高い、手作業のミスが多い、関わる人数が多い、ルールが明確という4つの観点で候補を比べ、点数の高い業務から選ぶのが一般的です。勤怠の集計は4つの条件をそろえやすく、最初の対象に選ばれることが多い業務です。
Q5. 業務効率化の効果はどう測ればよいですか?
A. 作業時間、ミスや手戻りの件数、処理のリードタイム、例外処理の件数などをKPIとし、導入前と導入後で比べます。そのためには、可視化の段階で導入前の数字を記録しておくことが欠かせません。
Q6. 小規模な企業でもDXによる業務効率化は必要ですか?
A. 必要性は規模を問いません。人数が少ない企業ほど1人が多くの業務を兼ねるため、定型業務の手間を減らす効果は大きくなります。完璧な業務フロー図は作らなくてもよく、作業の一覧と所要時間を記録するところから始めれば十分です。
まとめ|今日からできる3つのこと
DXによる業務効率化は、ツールを選ぶことから始めるのではなく、業務を把握し、整えることから始まります。可視化・標準化・自動化の順番を守ることが、例外処理に振り回されない効率化の近道です。まずは次の3つから始めてみてください。
- 候補の業務を4つの観点(反復頻度・ミスの多さ・関わる人数・ルールの明確さ)で点数化し、最初の対象を1つ決める
- 対象業務の作業一覧を作り、作業時間と例外の件数を1から2週間記録する
- 勤怠管理のように専用のシステムがある業務は、試行運用を前提に、サービスの資料を取り寄せて機能と注意点を見比べる
小さな業務で成果を出し、その経験を次の業務に広げていくことが、組織全体のDXにつながります。DXによる業務の見直しをさらに広げたい場合はDX業務改革とは?効率化との違いと進め方も参考になります。
参考文献
- 経済産業省「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 中間とりまとめ(DXレポート2)」https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation_kasoku/20201228_report.html
- 経済産業省「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「国内企業のDX動向・AI活用動向のポイントを公表」https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2026/press20260716.html
- 厚生労働省「労働時間・休日」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html
- 中小企業庁「ミラサポplus 補助金・助成金 中小企業支援サイト」https://mirasapo-plus.go.jp/
- ジンジャー「社会福祉法人三重ベタニヤの導入事例」https://hcm-jinjer.com/results/131464/
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