SaaSマーケティングとは?PLG・SLG・CLGの違いと自社に合うモデルの選び方

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  • SaaSマーケティングの基本の流れと3つの成長モデルがわかる
  • 戦略の立て方と、主な施策の選び方がわかる
  • マーケティングと営業の連携と、自社に合うモデルの判断がわかる

SaaSマーケティングとは、月額や年額で継続課金されるSaaSを、認知から見込み客の獲得、契約後の継続と拡大まで一続きで設計するマーケティング活動です。売り切り型のソフトウェアと違い、契約後に使われ続けて初めて収益が積み上がるため、集客だけでなく、見込み客を営業へ渡す受け渡しと、契約後の定着まで含めて考えます。成長のさせ方には、プロダクトの体験で顧客を増やすPLG、営業組織の分業で成果を出すSLG(The Model型)、既存顧客の成功と推奨を起点にするCLGの3つがあります。この記事では、SaaS事業者のマーケティング・営業担当者に向けて、基本の流れ、3つのモデルの違い、戦略の立て方、マーケティングと営業の連携、よくある失敗を整理します。

SaaSマーケティングの課題を2問で診断

Q1. 自社のSaaSは、契約までに誰の承認が必要ですか?

目次

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  1. SaaSマーケティングで集めた見込み客を、営業へつなぐには
  2. SaaSマーケティングの3つの成長モデル|PLG・SLG・CLGの違い
  3. PLG(Product-Led Growth)とは|プロダクトが顧客を集める
  4. The Model(SLG)とは|分業による科学的な営業プロセス
  5. PLGが成立する条件|TAM・価格帯・プロダクトのシンプルさ
  6. CLG(Customer-Led Growth)|近年注目される第三の視点
  7. SaaSマーケティング戦略の立て方|5つのステップ
  8. SaaSマーケティングの主な施策|成長段階に合わせた選び方
  9. SaaSマーケティングで押さえる主要指標(KPI)
  10. マーケティングと営業の連携|SLAと受け渡しの設計
  11. 自社にどのモデルが向いているか|判断のポイント
  12. SaaSマーケティングでよくある失敗パターン
  13. よくある質問(FAQ)
  14. まとめ
  15. 参考文献

SaaSマーケティングで集めた見込み客を、営業へつなぐには

SaaSマーケティングでは、集めた見込み客の情報を、契約から利用開始、継続までの各段階で正しく引き継げているかが成果を左右します。獲得した人数が多くても、営業が使える形で残っていなければ、商談にも継続にもつながらないためです。SaaSマーケティングの基本の流れは、次の5つの段階で整理できます。

段階 目的 主な施策 次の段階へ引き継ぐ情報
認知 ターゲットに自社のSaaSの存在を知ってもらう SEO・コンテンツ、Web広告、展示会 流入元、閲覧したページ
リード獲得 資料請求や無料登録で連絡先を得る 資料請求フォーム、無料プラン、セミナー 連絡先、関心のあるテーマ
リード育成 検討の度合いを高め、商談の機会をつくる メール、ウェビナー、導入事例 反応の履歴、役職や部署
商談・契約 提案を行い、契約を獲得する インサイドセールス、フィールドセールス 接触履歴、決裁者、次のアクション
継続・拡大 解約を防ぎ、利用を広げる オンボーディング、カスタマーサクセス 利用状況、問い合わせの履歴

売り切り型のソフトウェアは購入した時点で売上が確定しますが、SaaSは継続課金で売上が積み上がります。契約後に使われなくなれば解約につながり、獲得にかけた費用を回収できません。SaaSマーケティングの範囲が、認知から継続までの全体に広がるのはこのためです。SaaSそのものの定義や、PaaS・IaaSとの違いは、SaaSとは|PaaS・IaaSとの違いと選び方で詳しく解説しています。

とくにBtoBのSaaSでは、見込み客との接点がWebだけに収まりません。展示会、セミナー、ウェビナー後の個別相談、既存顧客からの紹介などで交換した名刺が、担当者ごとの名刺入れや表計算ソフトに分かれたままになることがあります。フォームから届いた情報は共有されても、名刺の情報は個人の手元に残りやすく、異動や担当替えをきっかけに、誰がどの企業と接点を持っているのかが分からなくなります。

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SaaSマーケティングの3つの成長モデル|PLG・SLG・CLGの違い

SaaSの成長モデルは、「何が顧客を連れてくるか」で大きく3つに分けられます。プロダクト自体が顧客を集めるのがPLG、営業組織が顧客を獲得するSLG(Sales-Led Growth、セールス・レッド・グロース)、既存顧客の成功と推奨が新しい顧客を呼ぶのがCLGです。

前提として、SaaSを含むクラウドサービスの利用は広がり続けています。総務省の令和6年通信利用動向調査によると、クラウドサービスを利用している企業は8割を超え、利用の効果があったと回答した企業は88.2%となっています。利用が当たり前になった分、SaaS事業者どうしの競争も激しくなり、成長モデルの選び方が事業の成否を分けるようになっています。

項目 PLG SLG(The Model型) CLG
成長の起点 プロダクトの体験 営業組織の活動 既存顧客の成功と推奨
主な入口 無料プラン、無料トライアル 資料請求、問い合わせ、商談 紹介、導入事例、ユーザーコミュニティ
向いている価格帯 低価格から中価格 中価格から高価格 価格帯を問わない
重視する指標 無料から有料への転換率、利用開始までの時間 商談化率、受注率、顧客獲得単価 継続率、売上の拡大率、紹介数
主な弱点 複雑な製品や大企業の意思決定に届きにくい 人件費がかさみ、顧客獲得単価が高くなりやすい 一定の顧客基盤ができるまで効果が出にくい

3つのモデルはどれか1つを選ぶものではなく、組み合わせて使うのが一般的です。たとえば、小規模な顧客はPLGで獲得し、大口の顧客にはSLGで営業担当者がつき、契約後はCLGの考え方で活用を支援する、という形です。

PLG(Product-Led Growth)とは|プロダクトが顧客を集める

PLGとは、無料プランや無料トライアルでプロダクトを実際に使ってもらい、その体験を通じて有料契約や利用の拡大につなげる成長モデルです。営業担当者が説明する前に、利用者自身が価値を実感することを重視します。

PLGの基本的な流れ

  1. Webサイトや口コミで知った利用者が、自分でアカウントを作成する
  2. 初回の利用で「これは便利だ」と感じる体験(アハモーメント)にたどり着く
  3. 日常業務で使い続け、同僚やチームを招待する
  4. 利用人数の増加や上位機能の必要性をきっかけに、有料プランへ移行する

PLGのメリットと注意点

PLGの最大のメリットは、営業担当者を介さずに顧客が増えるため、顧客獲得単価を抑えやすいことです。利用データから「どの機能を使った人が有料化しやすいか」を分析でき、プロダクト改善にも直結します。一方で、無料利用者が増えてもサーバー費用やサポートの負担が先に増え、有料化率が低いと収益につながりません。また、個人が使い始めても、会社として正式に契約する段階では決裁者への説明が必要になるため、PLGだけで大口契約まで取り切るのは難しいのが実情です。

The Model(SLG)とは|分業による科学的な営業プロセス

The Modelとは、営業プロセスをマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4つに分け、各段階の数値を管理しながら成果を積み上げる考え方です。営業主導の成長モデル(SLG:Sales-Led Growth)の代表的な型として、国内のSaaS事業者に広く取り入れられてきました。

部門 役割 主な指標
マーケティング 広告、コンテンツ、セミナーなどで見込み客(リード)を集める リード数、リード獲得単価
インサイドセールス 電話やメールで見込み客の関心を高め、商談の機会をつくる 商談化率、商談数
フィールドセールス 提案や見積もりを行い、契約を獲得する 受注率、受注金額
カスタマーサクセス 導入後の活用を支援し、継続とアップセルにつなげる 継続率、解約率、アップセル金額

The Modelの強みは、各段階の数値を見れば「どこがボトルネックか」が分かり、改善の打ち手を特定しやすいことです。反面、部門ごとの数値目標だけを追うと、インサイドセールスが質の低い商談を量産したり、フィールドセールスが解約されやすい顧客と契約したりと、全体最適が崩れることがあります。部門の間で見込み客の状態と履歴を正しく受け渡すことが、分業を機能させる前提になります。The Model型の営業の役割や進め方は、SaaS営業とは?4職種の仕事内容と一般営業との違いでも解説しています。

この受け渡しを人の記憶やスプレッドシートに頼ると、担当者の異動や案件の増加とともに情報が抜け落ちていきます。接触履歴や次のアクションを1か所に残し、各部門が同じ情報を見られるようにすることが、分業を機能させる前提です。具体的な受け渡しの設計は、後半の「マーケティングと営業の連携」で整理します。

PLGが成立する条件|TAM・価格帯・プロダクトのシンプルさ

PLGが成立しやすいのは、市場が大きく、価格帯が低く、プロダクトがシンプルな、3つの条件がそろったSaaSです。どのSaaSでも成り立つわけではないため、次の3つを先に確認します。

条件 内容 当てはまりにくい例
市場(TAM)が大きい 獲得できる可能性のある市場全体の規模(TAM)が大きく、多くの無料利用者を集められる。有料化率が数%でも事業が成り立つ 特定業種の限られた企業だけが対象の業務システム
価格帯が低い 担当者の裁量やカード払いで契約できる金額で、社内稟議を通さずに始められる 年間数百万円規模で、経営層の決裁が必要なサービス
プロダクトがシンプル 初期設定やデータ連携がほとんど不要で、登録してすぐに価値を感じられる 既存の基幹システムとの連携や業務フローの設計が必要なサービス

チャットツール、オンラインストレージ、デザインツールのように、個人やチーム単位で使い始められるSaaSはPLGと相性がよい代表例です。具体的なサービスの例は、SaaSの代表例|分野別の一覧とPaaS・IaaSの実例で分野別に整理しています。反対に、会計や人事など全社の業務フローに関わるSaaSは、導入時の設定や社内調整が欠かせないため、SLGやハイブリッド型のほうが成果を出しやすくなります。

CLG(Customer-Led Growth)|近年注目される第三の視点

CLGとは、既存顧客の成功を成長の起点に置く考え方です。顧客がSaaSを使って成果を出すと、継続率とアップセルが高まり、さらにその顧客が紹介や導入事例、ユーザーコミュニティでの発信を通じて新しい顧客を呼び込みます。

CLGが注目される背景には、SaaS市場の成熟があります。似たような機能のサービスが増えると、広告や営業で新規顧客を獲得するコストは上がっていきます。一方、SaaSの収益は継続課金で積み上がるため、解約を1件防ぐことや既存顧客の利用を広げることは、新規獲得と同じくらい売上に効きます。

CLGで取り組む主な施策

  • 導入直後の活用支援(オンボーディング)を整え、早い段階で成果を実感してもらう
  • 利用状況のデータから、使われていない顧客を早めに見つけてフォローする
  • 成果を出した顧客の導入事例を制作し、検討中の企業に届ける
  • ユーザー会やオンラインコミュニティで、顧客どうしが活用方法を共有できる場をつくる
  • 紹介制度を設け、満足した顧客が他社に勧めやすくする

CLGはPLGやSLGと置き換えるものではなく、どちらのモデルにも上乗せできる視点です。特に、ある程度の顧客基盤ができた段階のSaaSでは、新規獲得に偏った予算配分を見直すきっかけになります。

SaaSマーケティング戦略の立て方|5つのステップ

SaaSマーケティング戦略は、環境分析、目標設定、ターゲットの明確化、カスタマージャーニーの作成、チャネルの選定の5つのステップで立てます。成長モデルを決めたあとで、次の順に進めると抜け漏れを防げます。

ステップ やること 注意したい点
1. 環境分析 市場、競合、自社の強みを整理する。同じ機能を持つ直接競合だけでなく、同じ課題を別の方法で解決する間接競合も洗い出す 競合の機能や価格だけでなく、広告やWebサイト、営業の進め方も見る
2. 目標設定 事業全体の目標(MRRやARRなど)から、マーケティング部門が追うKPIに落とし込む 部署によって短期の売上と長期の見込み客育成で優先度がずれやすいため、事業の目標と一本の線でつなぐ
3. ターゲットの明確化 理想的な顧客像(ICP)を、企業の規模や業種、担当者の役職や課題の両面で決める 購買に複数の関係者がかかわるため、利用する担当者と決裁者を分けて考える
4. カスタマージャーニーの作成 認知から契約、利用開始、継続までの行動と疑問を時系列で書き出す 契約後の利用開始と継続の段階まで含める
5. チャネルの選定 ターゲットが情報を集める場所に合わせて施策を選ぶ 次の章で、成長の段階に合わせた選び方を整理する

ICPは、自社のSaaSを購入する可能性が高く、継続して使い続けてくれる理想的な企業の姿のことです。解約が少なく、利用が広がりやすい顧客の共通点を既存顧客のデータから探すと、獲得にかける費用の配分を判断しやすくなります。

SaaSマーケティングの主な施策|成長段階に合わせた選び方

SaaSマーケティングの施策は、自社で運営するオウンド施策、費用をかけて出すペイド施策、人と会うオフライン施策に分けると選びやすくなります。目的と成長の段階に合わせて、次の表から組み合わせます。

施策 向いている目的 注意したい点
SEO・コンテンツマーケティング 認知と見込み客の獲得 効果が出るまで時間がかかり、記事を継続して更新する体制が必要
Web広告(リスティング・ディスプレイ) 短期での見込み客の獲得 獲得単価(CPA)が事業の採算に合っているかを毎月確認する
メールマーケティング・MA リードの育成 開封率やクリック率を見て、件名や文面を改善する
ウェビナー・オンラインイベント 検討の度合いを高める 参加後のフォローを設計しないと、商談につながらない
展示会・セミナー 名刺交換による多くの見込み客との出会い 集めた名刺を、いつまでに誰がフォローするかを決めておく
既存顧客の紹介・パートナー経由 信頼を起点にした新規獲得(CLG) 紹介の窓口と、紹介された側への案内の仕組みが必要
ABM(特定の企業に絞った営業・マーケティング) 大口顧客の獲得(SLG) 対象企業の選定基準と、営業との役割分担を先に決める
生成AIを使った検索への対応(LLMO) 検索結果やAIの回答に自社の情報が引用されやすい形に整える 効果の見え方は変動が大きいため、通常のSEOと並行して取り組む

立ち上げ直後は、少数の顧客に直接会って、売れる理由と使われる理由を確かめることが先です。顧客が増えるグロースの段階では、成果の出た施策に予算を寄せ、営業との受け渡しの仕組みを整えます。市場での存在感が高まる段階では、ブランドの認知や紹介を増やす施策の比重が高まります。

展示会・セミナーで集めた名刺の扱い方

展示会やセミナーは、一度に多くの見込み客と会える一方、名刺という形で手元に残るため、フォームの申込と違って情報の項目がそろいません。名刺交換のあと、取り込みが遅れたり、フォローの担当が決まっていなかったりすると、せっかく得た接点が使われないまま古くなります。名刺を取り込んだ日から、営業が相手企業の情報と過去のやり取りを見られる状態にしておくことが、展示会などの費用を成果につなげる前提です。

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SaaSマーケティングで押さえる主要指標(KPI)

どの成長モデルを選んでも、SaaSマーケティングの成果は継続課金を前提にした指標で測ります。売り切り型のように受注件数だけを見ていると、獲得コストをかけすぎて回収できない、解約が増えて売上が積み上がらないといった問題に気づくのが遅れます。代表的な指標は次のとおりです。

指標 意味 見るときのポイント
MRR・ARR 毎月(MRR)または毎年(ARR)継続して得られる売上 新規、アップセル、解約による増減に分けて見ると、伸びている理由と止まっている理由が分かる
CAC(顧客獲得コスト) 新規顧客1社を獲得するためにかかった広告費や人件費などの合計 マーケティング費用だけでなく、営業部門の費用も含めて計算する
LTV(顧客生涯価値) 1社の顧客が契約から解約までにもたらす売上や利益の合計 平均単価と平均継続期間から概算し、どこまで獲得費用をかけられるかの判断に使う
LTV/CAC 獲得にかけた費用を、顧客からどれだけ回収できているかの比率 比率が低い場合は、獲得チャネルの見直しか、定着・拡大の強化を検討する
チャーンレート(解約率) 一定期間に解約やダウングレードをした顧客や売上の割合 顧客数ベースと売上ベースの両方を見ると、大口顧客の解約の影響を見落としにくい
MQL・SQL マーケティング部門が有望と判断した見込み客(MQL)と、営業部門が商談対象と認めた見込み客(SQL) 両部門で判定基準をそろえておくと、受け渡し後の商談化率が安定する

成長モデルによって、どの指標を重視するかは変わります。PLGでは無料から有料への転換率とLTV、SLGではMQLからSQL、受注へと進む各段階の転換率とCAC、CLGではチャーンレートとアップセルによるMRRの増加が中心になります。施策ごとに、これらの指標のどこに効いているかを確認しながら予算を配分することが大切です。マーケティング施策の効果を商談化率で測る考え方は、マーケティングDXとは?進め方5ステップとリスキリング、商談化率で測る効果測定でも解説しています。

マーケティングと営業の連携|SLAと受け渡しの設計

マーケティングと営業の連携は、見込み客を渡す基準と、渡された営業が対応する期限を、部門の間であらかじめ合意しておくことから始まります。この取り決めを、SLA(サービス品質の合意)と呼ぶことがあります。

マーケティングが獲得したリードのうち、購入意欲が高いと判断したものがMQLです。営業がその内容や予算を確認し、商談に進めると判断したものがSQLになります。MQLを渡す側と受け取る側で基準が違うと、営業が質の低いリードを受け取ったと感じたり、マーケティングが成果を認めてもらえなかったりして、部門の間で不信感が生まれます。SLAで決めておく主な項目は、次のとおりです。

決める項目 内容 決めないと起きやすいこと
引き渡しの基準 どの条件を満たしたリードをMQLとして営業へ渡すか 営業が受け取ったリードの質に不満を持つ
対応の期限 渡されたリードに、営業が連絡を始めるまでの期限 対応が遅れ、関心が高いうちに接触できない
渡す情報の項目 連絡先、接点の履歴(資料請求、セミナー参加、名刺交換)、関心のあるテーマ 同じ質問を何度も繰り返し、相手の信頼を損なう
差し戻しのルール 営業が商談に進めないと判断したリードを、マーケティングに戻して育成を続ける 見込みのあるリードが放置され、そのまま失われる
振り返りの場 引き渡した数と商談化率を、両部門で定期的に確認する 基準が実態に合わなくなっても見直されない

渡す情報の項目で見落とされやすいのが、展示会やセミナーで交換した名刺です。フォームの申込は自動で記録されますが、名刺はスキャンや入力の作業が発生するため、後回しになりがちです。名刺からのリードも、フォーム経由のリードと同じ基準で営業へ渡し、接触の履歴を同じ場所に残せるようにしておきましょう。

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自社にどのモデルが向いているか|判断のポイント

自社に合う成長モデルは、プロダクトの特性、顧客の規模、事業のフェーズで決まります。次の表で、自社の状況に近いものを確認してみてください。

自社の状況 向いているモデル 最初に取り組むこと
低価格で、登録してすぐに使えるプロダクト PLG 無料プランの設計と、初回利用で価値を感じるまでの導線の改善
中価格から高価格で、導入時の設定や社内調整が必要 SLG(The Model型) 部門の役割分担と、見込み客の受け渡しルールの整備
小規模顧客と大口顧客の両方を狙う PLGとSLGのハイブリッド 無料利用者のうち、営業が接触すべき企業を見分ける基準づくり
顧客基盤はあるが、解約や伸び悩みが課題 CLGを上乗せ 解約の兆候を捉える指標の設定と、オンボーディングの見直し
立ち上げ直後で、顧客の声がまだ少ない 創業者や少人数による直接営業から開始 初期顧客への密なヒアリングで、売れる理由と使われる理由を言語化する

判断に迷ったときは、「顧客がサービスを契約するまでに、誰の説明や承認が必要か」を考えると整理しやすくなります。利用者本人の判断だけで契約できるならPLG寄り、複数の部署や経営層の承認が必要ならSLG寄りです。

対象とする顧客の規模でも、重視する点は変わります。中小企業向けは、意思決定が比較的早く、少ない接点で契約に進みやすい傾向があります。大企業向けは、関係者が多く、複数の部署の担当者と長い期間をかけて関係を築く必要があるため、営業とマーケティングが連携して対象企業ごとに接点を管理する場面が増えます。

SaaSマーケティングでよくある失敗パターン

成長モデルの考え方を取り入れても、運用の仕方によっては成果につながらないことがあります。よくある失敗は、ターゲットや目標が曖昧なまま始めてしまうことと、情報が個人や部門に閉じてしまうことに分けられます。対処の考え方は次のとおりです。

よくある失敗(Before) 対処の考え方(After)
話題になっているからと、条件を確認せずにPLGへ切り替え、無料利用者ばかりが増えた 市場規模、価格帯、プロダクトのシンプルさの3条件を先に確認する
The Model型で部門ごとの目標だけを追い、商談の質が下がった 受注や継続まで含めた全体の指標を共有し、部門をまたいで振り返る
リード数を増やすことに予算を集中し、契約後の解約が止まらない 継続率と解約率を主要指標に加え、オンボーディングに予算を配分する
ターゲットが曖昧なまま施策を始め、流入は増えたが契約につながらない ICPを企業像と担当者像の両面で決め、施策の成果を契約まで追う
短期の成果を求めすぎて、効果が出る前にSEOやコンテンツ施策をやめた 施策ごとに成果が出るまでの期間の目安を決め、期間内は継続して評価する
見込み客の情報をスプレッドシートで管理し、引き継ぎ漏れが起きた 接触履歴を1か所で管理し、全部門が同じ情報を見られるようにする
展示会で集めた名刺を、フォローの担当と期限を決めずに放置した 取り込みの期限とフォロー担当を決め、名刺を取り込んだ日から営業が見られるようにする
他社の成功事例をそのまま真似し、自社の顧客に合わなかった 自社の顧客が契約に至った理由を分析し、それに合う施策を選ぶ

失敗の多くは、情報が個人や部門に閉じることから起きます。名刺を起点にした接点を組織で共有する方法を検討する場合は、名刺管理SKYPCEの商品ページで、機能の一覧と導入の流れを確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. SaaSとは何ですか?

A. SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ソフトウェアをインターネット経由で利用できるようにしたサービスです。利用者は自社でインストールや保守をせず、月額や年額の料金で必要な期間だけ使います。会計、人事、営業支援、コミュニケーションなど、さまざまな業務に広がっています。

Q2. 日本の三大SaaS企業や5大SaaS企業はどこですか?

A. 「三大」「5大」といった公的な定義や公式のランキングはなく、挙げられる企業は売上や利用者数などの基準によって異なります。特定の企業名で言い切らず、会計、人事、営業支援、コミュニケーションなど分野ごとに、自社の課題に合うサービスを確認するのが確実です。

Q3. SaaSマーケティングと一般的なマーケティングの違いは何ですか?

A. 最大の違いは、契約後の継続利用とアップセルまでを成果として設計する点です。SaaSは継続課金で収益が積み上がるため、新規顧客の獲得だけでなく、解約を防ぎ、利用を広げてもらう活動もマーケティングの範囲に含めて考えます。

Q4. PLGとSLGの違いは何ですか?

A. PLGは無料プランなどでプロダクトを使ってもらい、その体験で有料化につなげるモデルです。SLGは営業組織が見込み客に提案して契約を獲得するモデルで、The Model型はその代表例です。低価格でシンプルなプロダクトはPLG、高価格で導入に調整が必要なプロダクトはSLGが向いています。

Q5. CLGとは何ですか?

A. 既存顧客の成功を成長の起点に置く考え方です。顧客が成果を出すことで継続とアップセルが進み、紹介や導入事例を通じて新しい顧客も集まります。PLGやSLGと置き換えるものではなく、どちらにも上乗せできる視点です。

Q6. マーケティングと営業の連携は、何から始めればよいですか?

A. 見込み客を渡す基準(MQLの条件)、営業が対応を始めるまでの期限、渡す情報の項目を、部門の間で決めることから始めます。展示会やセミナーで交換した名刺も、フォームの申込と同じ場所に残し、全部門が同じ情報を見られる状態にしておくと、引き継ぎ漏れを防げます。

まとめ

SaaSマーケティングは、集客から定着、拡大までを一続きで設計する活動です。自社に合う成長モデルを選び、見込み客を営業へ正しく渡すため、次の4点を意識しましょう。

  1. PLG、SLG(The Model型)、CLGの違いを理解し、1つに絞らず組み合わせて考える。
  2. PLGを選ぶ前に、市場規模、価格帯、プロダクトのシンプルさの3条件を確認する。
  3. 見込み客を渡す基準と対応の期限を部門の間で決め、展示会やセミナーで得た名刺も含めて、情報を共有できる仕組みを整える。
  4. 名刺や活動記録の管理を見直す場合は、名刺管理SKYPCEなどの資料で、機能と運用の範囲を確認する。

参考文献

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