経理DXとは?電帳法・インボイス対応と進め方を3段階で解説
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- 経理DXの意味と対象になる業務がわかる
- 電帳法・インボイスの要点と10月の変更がわかる
- 契約書の電子化から始める進め方がわかる
経理DXとは、請求書や領収書、契約書、経費精算、仕訳、月次決算といった経理業務を、紙と手入力を前提にした運用からデータを前提にした運用へ切り替え、空いた時間を数字の分析や経営への提案に使えるようにする取り組みです。単にソフトを入れることではなく、取引の入口から会計、保存までをデータでつなぎ、経理の役割そのものを変えることが目的になります。インボイス制度と電子帳簿保存法(電帳法)への対応が重なったことで検討する会社が増えましたが、保存場所を用意しただけで紙も手間も減っていないという声も少なくありません。この記事では、DX化できる経理業務、期待できる効果と注意点、3段階の進め方、実務で先に整えたい3点、2026年10月からのインボイス経過措置の変更までを、国税庁などの公的資料をもとに整理します。
経理DXの始めどころを診断(2問)
Q1. いま一番手間がかかっている経理の作業はどれですか?
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経理DXとは何か|最初に手を付けるなら、取引の入口である契約書
経理DXとは、経理業務で扱う書類と処理をデータでつなぎ、手作業を減らして経理の役割を変えていく取り組みで、最初に手を付けやすいのは取引の入口にあたる契約書です。
紙をPDFにするだけのデジタル化は、経理DXの出発点にすぎません。受け取った書類をスキャンして保存しても、承認は紙の回覧、仕訳は手入力のままなら、手間は減らないからです。経理DXは、書類が届く入口から承認、仕訳、支払、保存までを、同じデータでつなぎ直すところまでを指します。
経理が扱う請求書や支払は、もとをたどれば契約に行き着きます。契約が紙と押印で結ばれていると、請求の内容と契約条件を突き合わせるたびに原本を探すことになり、電子で結んだ契約書もメールの添付や担当者の共有フォルダに残りがちです。電子契約で結んだ契約書は電子取引データとして保存義務の対象になる場合があるため、締結と保存を同じ仕組みで済ませられる電子契約サービスは、経理DXの入口のひとつになります。次の表は、自社の資料請求フォームから資料を請求できる5つのサービスを、役割の違いで並べたものです。
経理DXの入口になる、契約書の電子化サービスを役割で比べる
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:電子印鑑GMOサインは、署名依頼前の承認ワークフローや権限設定、操作ログを備え、文書の保存が電帳法に対応していると案内されています。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:freeeサインは、freeeの会計や経費精算などと同じブランドで揃えやすく、承認・差し戻しのワークフローがあると紹介されています。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:Contract Oneは、紙と電子の契約書をAI-OCRなどでデータ化し、一元管理できると紹介されています。
資料を無料ダウンロード| サービス | Contract One |
SMBCクラウドサイン |
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|---|---|---|---|---|---|
| 向いている会社 | オプションが豊富で、自社に合った機能を選びたい会社 | freeeの会計や経費精算、請求書などをすでに使っている会社 | マネーフォワード クラウドの会計や請求書発行などを使っている会社。紙と電子の契約書をまとめて管理したい会社 | 全社の契約書や取引情報を、正確に管理・活用したい会社 | 契約書の管理や保存のリスクを抑えたい会社 |
| 特徴 | 立会人型と当事者型の両方の署名に対応。署名依頼前の承認ワークフロー、権限設定、操作ログ、スマホアプリでの署名・承認に対応 | 契約の作成から承認・差し戻し、締結、管理までを扱い、契約相手が登録しなくても締結できる立会人型。契約相手も電話サポートを利用できる | 契約書の作成から申請・承認、締結、保存、管理までを1つで進められ、紙の契約書や他の電子契約サービスで結んだ契約書も一元管理できる | 紙・電子を問わずあらゆる契約書をAI-OCRと専門スタッフの確認でデータ化し、契約情報を一元管理。契約書の要約やチャット型検索などのAI機能がある | AI契約書管理で契約金額や契約期間を読み取って登録。電帳法の検索要件に対応した検索機能が案内されている |
| 注意したい点 | すべてのオプションが必要な場合は費用が大きくなりやすい。機能が多く、操作に慣れが必要になる場合がある | 画面がシンプルな分、機能の場所が分かりにくいと感じる場合がある | 印影の見た目にもう少し工夫があるとよい、という指摘がある | 導入時に業務フローの見直しが必要な場合がある。連携できる電子契約サービスは限られる | フォルダ管理の自由度が低い |
| 資料・詳細 |
5サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。内容は各社の商品ページで確認したものです。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
表のサービスのうち、契約書の保存と承認を電帳法に対応した形でまとめて整えたい場合の一例が、電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)です。商品ページでは、立会人型と当事者型の両方の署名に対応していること、署名依頼の前に上長などの承認を挟めるワークフローがあること、ユーザーごとの権限設定や操作ログの管理ができること、文書の保存が電子帳簿保存法に対応していることが紹介されています。一方で、機能やオプションが豊富な分、すべてを使う場合は費用が大きくなりやすいため、必要な機能を先に絞り込んでおくと選びやすくなります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子印鑑GMOサイン
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子印鑑GMOサイン
オプションが豊富で自社にあった機能を選びたい方におすすめ

実際に使用してみたレビューはこちら

【レビュー】『GMOサイン』を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、GMOサインの利用経験ゼロの筆者が、ゼロからGMOサインの無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
ここがおすすめ!
- スタンダードプランでも機能が充実しており、提供機能を無駄なく活用できる
- 立会人型電子署名は1件あたり100円で送信でき、他社と比較してほぼ半額で利用できる
ここが少し気になる…
- 機能やオプションが豊富でマルチに使えるが、全て必要な場合はオプション料金が高額になってしまう
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紙の契約書の管理や郵送の手間が大きな課題でしたが、このサービスを導入したことで契約締結のスピードが向上し、業務効率が大幅に改善しました。また、電子署名による法的効力の確保や契約書の一元管理が可能になり、コンプライアンスの強化にもつながりました。さらに、リモート環境でも契約手続きが完結できるため、業務の柔軟性が向上し、取引先とのやり取りもスムーズになりました
-
業務における承認作業がデスクにいる際のみでなく、それ以外の環境においてもスムーズに承認作業を進められることがあげられます。当然スマホでも完結可能です。
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電子契約サービスを選定する際は、自社側の使いやすさに加えて、契約相手にとっても操作が分かりやすく、ストレスなく利用できるかを重視すべきだと感じました。また、料金体系が明瞭であること、法的な効力が担保されている仕組みであることも、安心して導入する上で重要なポイントだと思います。
契約書が法務部に届かず支店で保管されるケースもあり、管理の一元化やコンプライアンス面での課題が顕在化していました。
出典: 日建レンタコム株式会社 法務部長の導入事例(電子印鑑GMOサイン公式サイト)
経理DXが求められる背景と、期待できる効果・注意点
経理DXが求められる背景は、制度対応、人手不足、属人化の3つで、効果は作業時間の短縮だけでなく、ミスの減少や内部統制の強化にも及びます。
1つ目の背景は制度対応です。インボイス制度では、受け取った請求書が適格請求書の記載事項を満たしているか、発行元が登録を受けた事業者かを確認する作業が加わりました。電帳法では、電子で受け取った書類をデータのまま保存することが求められます。2つ目は人手不足です。経理は少人数で担当している会社が多く、確認作業が増えた分をそのまま人手で吸収し続けることは難しくなっています。3つ目は属人化です。特定の担当者しか処理の手順を知らない状態は、休職や退職のたびに業務が止まるリスクを抱えます。
経理の仕事がしんどくなりやすい理由
経理は、月末や月初、決算期に作業が集中しやすく、支払日や申告期限のように動かせない期限があります。加えて、請求書や領収書、契約書は営業や各部門から届くため、他部署の提出が遅れると、その分が経理の負担になります。金額の入力や照合はミスが許されない作業で、確認のために同じ書類を何度も見直すことも少なくありません。インボイス制度や電帳法への対応で確認項目が増えたことも、負担を重くしている要因です。こうした作業の一部は、書類の入口をデータにして、転記や照合を減らすことで軽くできます。
期待できる効果と、あわせて知っておきたい注意点
| 観点 | 期待できる効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| 作業時間 | 転記や照合、ファイリングといった手作業が減り、月次決算を早められる | 導入直後は新旧の運用が並走し、一時的に負荷が増える |
| コスト | 印刷、郵送、保管スペースにかかる費用を抑えられる | システムの利用料や初期設定の費用が新たに発生する |
| 正確性 | 入力ミスや二重計上が減り、承認の履歴が残る | 自動で作成された仕訳も、人による確認の手順を残す必要がある |
| 内部統制 | 承認の履歴や操作の記録が残り、誰がいつ承認したかを確認できる | 権限の設定が緩いままだと、ミスや不正に気づきにくくなる |
| 働き方 | 押印や紙の確認のための出社が減り、場所を選ばず処理できる | 閲覧権限の設定や端末の管理など、情報セキュリティへの配慮が欠かせない |
| 経営判断 | 売上や費用の状況を月の途中でも確認できる | 操作に慣れた人材の育成や、問い合わせに答える担当者が必要になる |
経理に限らず、業務全体を見直す取り組みとの違いや進め方は、DX業務改革とは?効率化との違いと進め方で解説しています。
5サービスの役割を比較表で見るDX化できる経理業務の具体例|書類の入口から決算まで
DX化できる経理業務は、経費精算、請求書や契約書の受領と保管、支払、仕訳、月次決算など、書類が届いてから数字をまとめるまでの全体に及びます。
| 業務 | 紙や手作業で起きやすいこと | DX化したあとの姿 | 主な手段 |
|---|---|---|---|
| 経費精算 | 領収書の貼り付けと回覧、金額の手入力 | 撮影した領収書で申請し、承認から仕訳までデータでつながる | 経費精算システム、ワークフロー |
| 請求書の受領 | 郵送やメールで届き、紙で回覧して承認し、会計ソフトへ手入力する | 受け取った請求書をデータのまま確認、承認し、支払の予定や仕訳の候補につなぐ | 請求書受領システム、AI-OCR |
| 請求書の発行 | Excelで作成して印刷し、郵送する | 取引のデータから作成して電子で送り、控えもデータで保存する | 請求書発行システム |
| 契約書の締結と保管 | 押印と製本が必要で、原本の保管場所がばらばらになる | 電子で締結し、検索できる状態で保管する | 電子契約システム、契約管理システム |
| 支払と入金消込 | 銀行明細と請求の内容を目で照らし合わせる | 銀行明細を取り込み、請求のデータと自動で照合する | 会計ソフト、入金消込の機能 |
| 仕訳入力と月次決算 | 転記と確認に時間がかかり、月次決算が遅れる | 仕訳を自動で作成して確認する運用に切り替え、月次決算を早める | クラウド会計ソフト |
どこから始めるかは、件数が多い工程、ミスが起きやすい工程、制度上の期限がある工程の順に考えます。経費精算を例にした効率化の進め方はDX効率化とは?業務効率化との違いを経費精算の例で解説、領収書の記載と保存の考え方は業種・場面別の領収書の書き方と記入例で詳しく扱っています。
表のうち契約書は、営業や総務が締結するため、経理から見えにくい書類です。会計や経費精算、請求書の発行にfreeeを使っている会社であれば、契約書の電子化も同じブランドで揃え、承認や保存を同じ流れにまとめる方法があります。
電子帳簿保存法・インボイス制度の基本と2026年10月からの変更点
電帳法は帳簿や書類をデータで保存するためのルール、インボイス制度は消費税の仕入税額控除を受けるための請求書のルールです。2026年10月1日からは、インボイス制度の経過措置の控除割合が80%から70%に変わっており、経理の確認作業にも影響します。
電子帳簿保存法の3つの区分
国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトでは、電帳法を「税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律」と説明し、制度を利用することで経理のデジタル化が図れるとしています。制度は次の3つの区分に分かれており、このうち電子取引データの保存は、所得税や法人税の保存義務がある事業者に共通して求められます。
| 区分 | 対象 | 対応の位置づけ | 主な確認事項 |
|---|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフトなどで作成した帳簿や決算関係書類 | 希望する事業者が利用 | システムの説明書類の備え付け、画面や書面で確認できる環境 |
| スキャナ保存 | 紙で受け取った、または紙で作成した請求書や領収書、契約書 | 希望する事業者が利用 | 読み取りの条件、入力の期限、帳簿との関連づけ |
| 電子取引データ保存 | メール添付、クラウドサービス、EDI、電子契約などでやり取りした取引情報 | 2024年1月からデータのままの保存が必要 | 改ざん防止の措置、日付や金額、取引先で探せる検索性 |
電子取引データの保存では、データが改ざんされていないことを示す「真実性」と、必要なときに探して表示できる「可視性」の確保が求められます。真実性は、タイムスタンプの付与、訂正や削除の履歴が残るシステムの利用、改ざん防止に関する事務処理規程の整備などの方法で満たします。可視性は、取引年月日、金額、取引先で検索できる状態にしておくことが基本です。事業の規模などによっては検索要件が緩和される取扱いや、相当の理由がある場合の猶予措置も用意されているため、自社がどの取扱いに当たるかは国税庁の一問一答で確認してください。
制度は現在も見直しが続いています。国税庁は令和7年度税制改正の概要として、請求書等を帳簿に自動連携する仕組みに対応した制度が新設されたことを案内しています。受け取ったデータを人が打ち直さずに帳簿へつなげる運用を、制度の側も後押しする流れになっているといえます。
契約書を電子取引データとして保存するときの確認点
電子契約で結んだ契約書も、電子取引データとして保存し、取引年月日、金額、取引先で検索できるようにしておく必要がある場合があります。契約書の管理台帳を手作業で作る運用では、入力漏れや更新漏れが起きやすいため、契約書を保存する時点で検索できる状態になっているかを、選ぶサービスの機能で確かめておきましょう。文書管理の仕組みを選ぶ観点は、SaaSの文書管理とは?電帳法・インボイス対応で見る選び方とチェックリストでも整理しています。
契約書の情報を読み取って管理台帳に登録する仕組みを備えたサービスの一例が、SMBCクラウドサイン(SMBCクラウドサイン株式会社)です。商品ページでは、契約金額や契約期間などを読み取って自動で登録するAI契約書管理があること、組み合わせ検索や範囲指定検索といった電帳法の検索要件に対応した検索機能があること、メガバンクの厳格なセキュリティ基準が採用されていることが紹介されています。一方で、フォルダ管理の自由度が低いという指摘もあるため、契約書の分類や権限の運用が自社の形に合うかを資料で確かめてください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

ここがおすすめ!
- AI契約書管理機能搭載
- メガバンクの厳格なセキュリティ基準が採用されている
ここが少し気になる…
- フォルダ管理の自由度が低い
社内ルールをきっちり決め、最後の発注部分をSMBCクラウドサインにして発注書を確実に送付するようにし、相手方の承認も得る形にすることで、必然的に正しく発注管理ができるようになるだろうと考えました。
出典: 株式会社山一建設の導入事例(SMBCクラウドサイン公式サイト)
インボイス制度で経理に加わった作業
インボイス制度(適格請求書等保存方式)では、買い手が仕入税額控除を受けるために、原則として登録を受けた事業者が交付する適格請求書の保存が必要です。経理には、登録番号が記載されているかの確認、税率ごとに区分した金額と消費税額の確認、登録を受けていない事業者からの仕入れを区別して記帳する作業が加わりました。売り手の側でも、交付した適格請求書の写しを保存する必要があります。
2026年10月からの変更点|経過措置は80%から70%へ
免税事業者など、インボイス発行事業者以外からの仕入れについては、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があります。国税庁の令和8年度税制改正特集によると、この経過措置は適用期限が2年間延長されたうえで、控除できる割合が次のように見直されました。
| 期間 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 2026年9月30日まで | 80% |
| 2026年10月1日から2年間 | 70% |
| 2028年10月1日から2年間 | 50% |
| 2030年10月1日から1年間 | 30% |
| 2031年10月1日以降 | 控除できない |
あわせて、1つの取引先からの仕入れについてこの経過措置を使える年間の上限額が、10億円から1億円に引き下げられています(2026年10月1日以後に開始する課税期間から適用)。また、免税事業者からインボイス発行事業者になった小規模な事業者向けの2割特例に代わり、個人事業者を対象として、令和9年分と令和10年分の申告で納付税額を売上税額の3割とできる3割特例が設けられました。
経理の実務では、会計ソフトの税区分が新しい控除割合に対応しているか、取引先ごとの登録状況の台帳が最新かを確認する必要があります。割合の切り替えは今後も続くため、手作業で税区分を選ぶ運用のままでは、切り替えのたびに確認の負荷とミスのリスクが高まります。なお、本記事は制度の概要を整理したもので、法的助言や個別の税務判断を示すものではありません。自社への当てはめは、税理士などの専門家や所轄の税務署に確認してください。
5サービスの役割を比較表で見る経理DXの3段階|デジタイゼーションからデジタライゼーション、経理本来の業務へのシフトへ
経理DXは、紙の情報をデータに置き換えるデジタイゼーション、業務の流れをデジタルでつなぐデジタライゼーション、経理の役割そのものを変えるシフトの3段階で進みます。制度対応で整えた保存の仕組みは、第1段階を終えたことを意味します。
| 段階 | 内容 | 経理での具体例 | 到達の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. デジタイゼーション | 紙やアナログの情報をデータに置き換える(法令対応が中心) | 請求書や契約書の電子保存、電子契約の導入、紙の書類のスキャナ保存 | 電子で受け取った書類を、要件を満たす形で迷わず保存できる |
| 2. デジタライゼーション | 個々の業務の流れ全体をデジタルでつなぐ | 受領から承認、仕訳、支払までの連携、銀行明細の自動取り込み、経費精算のワークフロー化 | 同じ情報を人が2回入力する工程がなくなっている |
| 3. 経理本来の業務へのシフト | 空いた時間を、数字の分析と経営への提案に使う | 月次決算の早期化、部門別の採算の把握、資金繰りの見通しの作成 | 経営会議で、前月の数字を根拠に議論できている |
第1段階で止まりやすい理由
制度の開始に間に合わせるため、保存用のフォルダやストレージだけを用意した会社は少なくありません。この方法は要件を満たす手段として有効ですが、受け取ったPDFを印刷して回覧し、承認印をもらい、会計ソフトに手で入力するという流れが残っていると、保存の作業が1つ増えただけになります。紙は残り、手間は減らず、費用だけが増えたと感じる原因はここにあります。
第2段階に進む鍵は、保存したデータを次の工程で再利用することです。受領した請求書のデータから支払の予定と仕訳の候補を作り、承認者は画面上で内容と証憑を確認して承認する、という流れに変えると、保存は単独の作業ではなく業務の一部になります。契約書についても、紙と電子の契約書を同じ場所で管理し、会計や請求書の仕組みと連携できるかが、保存で終わらせないための分かれ目です。
マネーフォワード クラウド契約
保存したデータを、承認や仕訳につなげられていませんか?
こんな会社に向いています
マネーフォワード クラウドの会計や請求書発行を使っている会社
紙と電子の契約書を、1か所でまとめて管理したい会社
段階ごとに使われる主なツール
第1段階では、電子契約システム、請求書の受領や発行のシステム、文書管理システムが中心になります。第2段階では、クラウド型の会計ソフト、経費精算システム、ワークフローシステム、紙の書類を読み取るAI-OCR、定型的な操作を自動化するRPAなどを組み合わせます。第3段階では、会計データをもとに予算と実績を比較する管理会計の仕組みや、複数の業務を1つにまとめるERPが検討の対象になります。すべてを一度にそろえる必要はなく、今いる段階で詰まっている工程に合うものから選ぶのが現実的です。
実務対応の3点セット|登録番号・電子保存・会計ソフトの確認
経理DXの実務で最初に整えたいのは、取引先の登録番号の確認、電子取引データの保存ルール、会計ソフトの対応状況の3点です。この3点がそろうと、制度対応と業務の効率化を同じ流れの中で進められます。
1. 登録番号の確認を仕組みにする
取引先がインボイス発行事業者かどうかは、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで登録番号から確認できます。請求書を受け取るたびに調べるのではなく、取引先の台帳に登録番号と確認日を記録し、新しい取引先が増えたときと定期的な見直しのときに確認する運用にすると、月末の負荷を抑えられます。登録のない取引先は経過措置の対象として区別しておくと、控除割合の切り替えにも対応しやすくなります。
2. 電子取引データの保存ルールを決める
請求書、領収書、見積書、注文書、契約書のうち、メールやクラウドサービス、電子契約で受け渡したものが保存の対象です。誰が、いつまでに、どこへ保存するかを決め、取引年月日、金額、取引先で探せる状態にします。専用のシステムを使わない場合は、ファイル名の付け方をそろえたうえで、訂正や削除に関する事務処理規程を備える方法があります。国税庁は規程のサンプルを公開しているので、自社の実態に合わせて整備してください。
書類の種類によって受け渡しの経路が異なる点にも注意が必要です。請求書は経理に届きますが、契約書は営業や総務が締結し、そのまま担当者のメールや共有フォルダに残っていることがあります。経理が把握していない電子契約のデータは、保存漏れが起きやすい箇所です。
3. 会計ソフトの対応状況を確認する
利用している会計ソフトについて、税区分が経過措置の新しい控除割合に対応しているか、証憑のデータを仕訳に関連づけて保存できるか、銀行やクレジットカードの明細を取り込めるかを確認します。インストール型のソフトを長く使っている場合は、制度改正への対応が更新版の購入を前提にしていることがあるため、サポートの期限もあわせて確認しましょう。個人事業主の会計ソフト選びについては、個人事業主の確定申告と会計ソフトの選び方で詳しく解説しています。
会計や経費精算にfreeeを使っている会社の場合の一例が、freeeサイン(freeeサイン株式会社)です。商品ページでは、契約の承認・却下・差し戻しができるワークフローがあること、立会人型の電子署名で契約相手がサービスに登録しなくても締結できること、時刻認証事業者のタイムスタンプが付与されること、freeeの他のプロダクトと連携しやすいことが紹介されています。画面がシンプルな分、機能の場所が分かりにくいと感じる場合があるため、資料で操作の流れを確かめてください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

実際に使用してみたレビューはこちら

【徹底レビュー】電子契約システム『freeeサイン』を実際に使ってみた!スムーズな契約フローを体験レポート【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、freeeサイン利用経験ゼロの筆者が、無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
ここがおすすめ!
- リモートでも承認できるワークフローを搭載
- 従量課金制ではないため、送信件数が増えても料金が変わらない
- 契約相手も「電話サポート」が利用できる
ここが少し気になる…
- シンプルで見やすい画面ではあるが、簡素化されすぎてしまい場所が分かりにくい機能もある
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以前は紙での契約書でやり取りをしていたが、取引先によってfreeeサインを使用していて、取引先に合わせてfreeeサインでやり取りすることが可能になり、郵送などの業務や時間がなくなり、業務の効率化につながった。
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普段から『freee経費精算』など全従業員が『freee』のUIに使い慣れているということもあるが、普段から法務部のように電子契約に触れていない事業部門の従業員等においても自身の雇用契約書の締結などに『freeeサイン』でお願いしても使い方がわからないとの言葉を今まで耳にすることもないほど直感的なUIは『freee』ブランド共通の強みだと思う。
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お客様と無事契約書締結でき取引開始ができました。
マネーフォワード クラウドの会計や請求書発行を使っている会社の場合の一例が、マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)です。商品ページでは、契約書の作成から申請・承認、締結、保存、管理までを1つのサービスで進められること、紙の契約書や他の電子契約サービスで結んだ契約書も取り込んで一元管理できること、マネーフォワード クラウドの他のサービスと連携してバックオフィス全体の効率化につなげられることが紹介されています。印影の見た目にもう少し工夫があるとよい、という指摘もあります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

実際に使ってみたレビューはこちら

【正直レビュー】『マネーフォワードクラウド契約』のメリットや機能は?実際に導入してわかったリアルな感想【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、電子契約システム利用経験ゼロの筆者が、マネーフォワードクラウド契約の無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
ここがおすすめ!
- 契約書の作成、申請・承認、締結、保存、管理までマネーフォワード クラウド契約ひとつで完結
- 契約書送信料・契約書保管料は0円だから契約書が増えても追加課金なし!
ここが少し気になる…
- ハンコの印影にもう少し工夫ができると良い
-
契約書を印刷して捺印してスキャンしてメールに添付して送付…という一連の手間を大幅削減できたこと。
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過去の給与明細がしっかり確認できます。開けば通勤手当などよくある手当だけでなく、様々な項目を自由に記載できるようでより企業それぞれに対応していると思われます。 見る側も分かりやすいです。
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契約書紙で印刷し、さらに契約先に郵送するなどしていた。近頃は郵便料金が値上がりしているため、印刷から郵送までの工程のコストがかさんでいたという課題があった。ところが、このサービスを利用することで、これらのコストが全くかからなくなった。大変大きなメリットだと感じている。
契約書の他にも見積書や注文書、請求書など、多くのドキュメントにご活用いただいております。
出典: 株式会社ワンオールシステムの導入事例(マネーフォワード クラウド契約公式サイト)
契約から保存までを一本の流れで見る
3点を整える際に見落とされやすいのが、取引の起点である契約です。経理の業務は、契約、発注、納品、請求、支払、保存という取引の流れの後半を担当しています。前半の契約が紙と押印で行われていると、契約条件を確認するたびに紙の原本を探すことになり、請求の内容と契約の内容を突き合わせる作業に時間がかかります。
| 書類 | 主な担当 | 紙が残りやすい理由 | 電子化の手段 |
|---|---|---|---|
| 契約書 | 営業、総務、法務 | 押印と製本の慣行、取引先の都合 | 電子契約システム |
| 見積書、注文書 | 営業、購買 | 担当者ごとの書式、メールでの個別のやり取り | 受発注システム、文書管理システム |
| 請求書 | 経理 | 郵送での受領、紙での回覧と承認 | 請求書の受領や発行のシステム |
| 領収書 | 各部門の従業員、経理 | 店頭で紙を受け取る、原本の提出ルール | 経費精算システム、スキャナ保存 |
電子契約で締結した契約書は、電子取引データとして保存要件を満たす必要があります。電帳法に対応した電子契約システムであれば、締結と同時に改ざん防止の措置が施され、検索できる状態で保管されるため、契約を担当する部門に保存の手順を覚えてもらう必要がありません。経理が後から保存漏れを探して回る状態を避けるには、担当者の注意ではなく、電子取引データを正しく保存する仕組みを整えることが近道です。ここまでの内容を、自社の状況に当てはめて確かめてみましょう。
経理の書類まわり、手作業が残っていませんか?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
電子インボイス活用の注意点
電子インボイスは、適格請求書を紙ではなくデータで受け渡すもので、転記の手間を減らせる一方、形式によって自動化できる範囲が大きく異なります。受け取ったデータの保存方法と、取引先の対応状況を事前に確認することが欠かせません。
PDFの請求書とデジタルインボイスは別のもの
メールに添付されたPDFの請求書も電子インボイスに含まれますが、PDFは人が読むための形式であり、会計ソフトへは人が入力するか、AI-OCRで読み取る必要があります。これに対し、デジタルインボイスは、発行から受領までを標準化された構造のデータでやり取りする仕組みです。デジタル庁は、国際的な標準仕様であるPeppol(ペポル)をもとに、日本におけるデジタルインボイスの標準仕様としてJP PINTを定め、管理しています。売り手と買い手が利用するシステムが異なっていても、それぞれがPeppolのネットワークに接続していれば、請求のデータをそのまま相手のシステムに取り込めます。
活用する際に確認したい4つの点
- 取引先が対応しているか:デジタルインボイスは、相手も対応したシステムを使っていて初めて効果が出ます。主要な取引先の状況を先に確認し、当面は紙やPDFとの併用になる前提で運用を設計します。
- 保存の取扱い:電子で受け取ったインボイスは電子取引データに当たるため、所得税や法人税の面ではデータのまま保存することが求められます。消費税の仕入税額控除の面では、出力した書面を保存する方法も認められるとされており、税目によって取扱いが異なる点に注意が必要です。
- 受領の経路が増える:郵送、メール、取引先の専用サイトからのダウンロード、Peppolと経路が増えると、受け取り漏れや二重計上が起きやすくなります。受領の窓口をできるだけ1つにまとめます。
- 発行側としての保存:自社が電子で交付したインボイスの写しにも、保存の義務があります。発行に使うシステムで、交付したデータがそのまま保管されるかを確認します。
業種によって異なる入口
書類の量と種類は業種によって違うため、効果が出やすい入口も変わります。卸売業や小売業は仕入れの請求書の件数が多く、受領と照合の自動化が効きやすい分野です。建設業は工事ごとの請負契約書や注文書、注文請書が多く、契約の電子化によって保存と検索の負担が大きく変わります。IT関連やコンサルティングなどのサービス業は、業務委託契約と毎月の請求がセットで発生するため、契約と請求のデータをつなぐと確認作業が軽くなります。自社でどの書類が一番多いかを数えることが、優先順位を決める材料になります。
どの業種でも、電子化を進めるときは、取引先に新しいアカウントの登録を求めずに済むかが確かめどころになります。商品ページによると、電子印鑑GMOサインの立会人型(契約印タイプ)は、相手がアカウント登録をしなくても、届いたメールからアクセスして契約を締結できる方式です。
補助金の活用|デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠
中小企業や小規模事業者が会計、受発注、決済のソフトウェアを導入する場合、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)のインボイス枠を利用できる可能性があります。申請の要件や公募の時期は年度ごとに変わるため、公式サイトでの確認が前提です。
この補助金は、以前はIT導入補助金の名称で実施され、インボイス対応を支援する枠は、かつてデジタル化基盤導入枠と呼ばれていました。現在の「デジタル化・AI導入補助金2026」では、インボイス枠(インボイス対応類型)として、インボイス制度に対応した会計、受発注、決済の機能を持つソフトウェアと、その利用に必要なパソコンなどのハードウェアの導入費用の一部が補助の対象になっています。公式サイトで示されている概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 中小企業、小規模事業者など |
| 対象となるソフトウェア | 会計、受発注、決済のうち1機能以上を持つもの(補助額が50万円を超える場合は2機能以上) |
| ソフトウェアの補助率 | 補助額50万円以下の部分は中小企業が4分の3以内、小規模事業者が5分の4以内。50万円を超え350万円以下の部分は3分の2以内 |
| ハードウェア | パソコンやタブレット、レジなどが対象で、補助率は2分の1以内。ハードウェアのみの申請はできない |
| 関連する類型 | 取引先と共同で受発注のシステムを利用する場合などを想定した電子取引類型もある |
申請は、事務局に登録されたIT導入支援事業者と一緒に行い、対象になるのは事前に登録されたITツールです。導入したいソフトウェアが登録されているかどうかを、最初に確認してください。また、補助金は原則として導入後に支払われるため、いったんは自社で費用を負担する必要があります。採択されることを前提に資金計画を立てるのは避け、補助金がなくても導入する価値があるかどうかを基準に判断することが大切です。交付が決まる前に契約や支払いを行うと対象外になる場合があるため、手続きの順序にも注意しましょう。本記事の内容は2026年10月時点の公開情報にもとづく目安であり、個別の申請の可否を示すものではありません。
5サービスの役割を比較表で見る経理DXの進め方まとめ|5つのステップ、事例、よくある失敗
経理DXは、目的の明確化、業務の見える化、範囲の決定、導入と運用ルールづくり、効果の確認という5つのステップで進めます。最初から全体を変えようとせず、効果を確かめやすい1つの工程から始めることが定着の近道です。
- 目的を決める:月次決算を何日早めるのか、どの確認作業をなくすのかなど、達成したい状態を具体的な言葉にします。
- 業務を見える化する:書類がどこから届き、誰が確認し、どこに保存されるかを書き出し、紙や手入力が残っている工程に印を付けます。
- 範囲と優先順位を決める:件数が多い工程、ミスが起きやすい工程、制度上の期限がある工程を優先します。
- 導入と運用ルールを整える:システムの設定とあわせて、承認の権限、保存の手順、例外が起きたときの対応を決め、関係する部門に伝えます。
- 効果を確かめて広げる:処理にかかった時間や差し戻しの件数を導入の前後で比べ、次に取り組む工程を選びます。
取引書類の電子化の事例|どんな課題がどう変わったか
経理DXの事例として、ベンダーが公開している取引書類の電子化の事例を4つ取り上げます。いずれも各社が公表した内容で、効果の大きさは会社の状況によって異なります。
| 会社(利用サービス) | 導入前の課題 | 導入後に変わったこと | 出典 |
|---|---|---|---|
| 日建レンタコム株式会社(電子印鑑GMOサイン) | 全国の事業所が結ぶ契約の締結状況を把握できず、契約書が支店で保管されることもあった | 契約書のデジタル化によって、契約の見える化を促進したと紹介されている | GMOサイン導入事例 |
| 株式会社ワンオールシステム(マネーフォワード クラウド契約) | 捺印や郵送のために出社が必要で、ドキュメントのステータス管理が煩雑だった | 捺印や郵送が不要になり、ステータスをひと目で確認できるようになったと紹介されている | マネーフォワード導入事例 |
| 株式会社山一建設(SMBCクラウドサイン) | 発注方法が担当者や取引先ごとにまちまちで、案件管理や社内共有に課題があった | 発注書を電子契約に統一し、発注の一元管理を実現したと紹介されている | SMBCクラウドサイン導入事例 |
| イオンマーケティング株式会社(Contract One) | 紙の契約書と部署ごとの契約管理表で管理し、全社横断の一元管理に改善の余地があった | 紙の契約書をデータ化して一元管理し、期日管理の精度向上につながったと紹介されている | Sansanニュースリリース |
4つの事例に共通するのは、契約書や発注書といった取引の入口の書類を、まずデータにしている点です。入口がデータになると、保存、検索、期日の管理が同じ仕組みの中で進み、経理が後から書類を探す手間が減ります。
よくある失敗パターン
| 失敗パターン | 起こりやすい理由 | 避けるための工夫 |
|---|---|---|
| 保存場所を用意しただけで終わる | 制度の期限に間に合わせることが目的になり、前後の工程を見直していない | 保存したデータを承認や仕訳で再利用する流れまで設計する |
| 経理だけで進めて現場に定着しない | 契約や経費の入口は営業や各部門にあり、協力が得られない | 入口を担当する部門を最初から巻き込み、入力の手間が減る点を共有する |
| ツールが増えて二重入力が残る | 工程ごとに別々のシステムを選び、連携を確認していない | 導入の前に、会計ソフトとのデータ連携の方法を確認する |
| 税務上の判断までシステムに任せる | 自動で作成された仕訳や税区分を、確認せずに確定してしまう | 判断が必要な取引は人が確認し、迷う場合は税理士に相談する |
最初の一歩は、既存の契約書をデータにして一元管理すること
5つのステップのうち、どこから始めるかに迷う場合は、制度上の対応が必要で、かつ成果が見えやすい取引書類のデータ化から着手するのが現実的です。なかでも契約書は、新しく結ぶものを電子化するだけでなく、すでに紙と電子が混在している既存の契約書を、検索できる形で一元管理できるかが課題になります。保存要件を満たす仕組みを先に整えておくと、後から請求書や経費精算へ範囲を広げるときも、同じ考え方で保存のルールを決められます。
すでに紙と電子の契約書が混在している会社が、契約書のデータ化から始める場合の一例が、Contract One(Sansan株式会社)です。商品ページでは、紙の契約書も電子契約も含めてAI-OCRと専門スタッフの確認でデータ化し、契約情報を一元管理できること、契約書の要約やチャット型検索などのAI機能があることが紹介されています。一方で、導入時に業務フローの見直しが必要になる場合があり、連携できる電子契約サービスも限られるため、いま使っているサービスとの相性を事前に確かめる必要があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

ここがおすすめ!
- あらゆる契約書を正確にデータ化し、AIで扱いやすいデータベースを構築
- Contract One内で生成AIを活用することで、法務部門に限らず全社での契約データの活用を促し、さまざまな部門の課題を解決
- 法改正への対応をサポート
ここが少し気になる…
- 導入時、業務フローの見直しが必要な場合も
今回Contract Oneを導入し契約書を一元的に管理することで、必要な契約書を迅速に確認できるようになったほか、属人的な管理に伴うリスクを抑え、期日管理の精度向上にもつながっています。
出典: Sansan株式会社のニュースリリース(イオンマーケティング株式会社の活用事例)
よくある質問(FAQ)
Q1. 経理DX(DX経理)とは何ですか?
A. 請求書の受領や発行、経費精算、証憑の保存、月次決算といった経理業務を、紙と手入力を前提にした運用からデータを前提にした運用へ切り替え、空いた時間を数字の分析や経営への提案に振り向ける取り組みです。ツールの導入は手段であり、経理の役割を変えることが目的です。
Q2. 経理DXは何から始めればよいですか?
A. 取引先の登録番号の確認、電子取引データの保存ルール、会計ソフトの対応状況の3点を整えることから始めるのがおすすめです。そのうえで、件数が多い工程やミスが起きやすい工程、契約書や請求書のように保存の要件がある書類の入口から、1つの工程を選んでデータ化します。
Q3. 経理DXの事例にはどのようなものがありますか?
A. ベンダーが公開している取引書類の電子化の事例として、契約書が支店で保管されて法務部に届かない課題を電子契約で見える化した例、捺印や郵送のための出社をなくして見積書や請求書にも広げた例、発注方法を電子契約に統一して発注管理を整えた例、紙の契約書をすべてデータ化して期日管理の精度を高めた例があります。内容と出典は本文の事例の表で確認できます。
Q4. 経理の仕事がしんどくなりやすいのはなぜですか?
A. 月末や決算期に作業が集中すること、支払日や申告期限のように動かせない期限があること、他部署から届く書類の遅れの影響を受けること、ミスが許されない入力や照合が続くことが重なるためです。インボイス制度や電帳法への対応で確認項目が増えたことも負担を重くしています。書類の入口をデータにして転記や照合を減らすと、軽くできる部分があります。
Q5. 電子帳簿保存法では何をしなければなりませんか?
A. メールやクラウドサービス、電子契約などでやり取りした請求書や契約書などの取引情報を、2024年1月からはデータのまま保存する必要があります。改ざん防止の措置を講じ、取引年月日、金額、取引先で検索できる状態にしておくことが基本です。帳簿の電子保存とスキャナ保存は、希望する事業者が利用する制度です。
Q6. 2026年10月からインボイス制度の何が変わりましたか?
A. インボイス発行事業者以外からの仕入れについて控除できる割合が、80%から70%に変わりました。その後は2028年10月から50%、2030年10月から30%となり、2031年10月以降は控除できなくなります。会計ソフトの税区分と、取引先の登録状況の台帳を確認しておきましょう。
まとめ|今日からできる3つのこと
経理DXは、電帳法とインボイス制度への対応を出発点に、業務の流れをデータでつなぎ、経理が経営の数字づくりに時間を使える状態を目指す取り組みです。保存場所を用意するだけの対応で止まらず、保存したデータを次の工程で活かすことが、第2段階へ進む鍵になります。最後に、今日から取り組める3つのことを整理します。
- 請求書、領収書、契約書がどの経路で届き、どこに保存されているかを書き出し、紙や手入力が残っている工程を確認する。
- 会計ソフトの税区分が2026年10月からの控除割合に対応しているかを確認し、取引先の登録番号の台帳を更新する。
- 契約書の保存と承認を仕組みにするため、電子契約サービスの資料を取り寄せ、自社の運用と会計ソフトに合うかを比べて検討する。
参考文献
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
- 国税庁「電子取引関係」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/01.htm
- 国税庁「電子帳簿保存法一問一答(Q&A)」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-3.htm
- 国税庁「特集 インボイス制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
- 国税庁「令和8年度税制改正特集」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
- デジタル庁「JP PINT」 https://www.digital.go.jp/policies/electronic_invoice
- 中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbase/
- 電子印鑑GMOサイン「導入事例 日建レンタコム株式会社」 https://www.gmosign.com/customer-stories/nrg/
- マネーフォワード クラウド契約「導入事例 株式会社ワンオールシステム」 https://biz.moneyforward.com/case/9141/
- SMBCクラウドサイン「導入事例 株式会社山一建設」 https://www.smbc-cloudsign.co.jp/case/detail_0015.html
- Sansan株式会社「イオンマーケティングが取引管理サービス「Contract One」を活用」 https://jp.corp-sansan.com/news/2026/0122_01.html


