SaaSって何?身近な例でわかる意味と料金の仕組み、選び方
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- SaaSの意味と読み方、身近な例がわかる
- 料金の仕組みと無料の見分け方がわかる
- 業務で使う最初の1つの選び方がわかる
SaaS(サース、サーズと読むこともあります)とは、ソフトを買ってパソコンに入れるのではなく、インターネットにつないでログインして使うソフトウェアのことです。メールやチャット、Web会議から会計ソフトまで、仕事のさまざまな場面に広がっています。Gmail・Slack・Zoomのように、毎日使っているサービスの多くがすでにSaaSにあたります。本記事では、意味と読み方、従来型ソフトとの違い、身近な例、月額で支払う料金の仕組み、便利な点とつまずきやすい点、PaaS・IaaSとの違い、最初の1つの選び方までを、公的なデータも使って順番に整理します。
あなたの場合、SaaSのどこから読む?2問でチェック
Q1. 今、仕事で一番よく使っているサービスはどれに近いですか?
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目次
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SaaSって何?ソフトウェアをインターネット経由で使う仕組み
SaaSとは、インターネット経由で、ログインして使うソフトウェアのことです。「Software as a Service」の略で、「サービスとして提供されるソフトウェア」という意味になります。
米国国立標準技術研究所(NIST)がまとめたクラウドの定義では、利用者がクラウドの基盤上で動く提供者のアプリケーションを使う形態と整理されています。利用者はブラウザやアプリから使うだけで、裏側のサーバーやネットワークを自分で管理することはありません。
身近なものにたとえると、従来のソフトは「車を買う」、SaaSは「電車に乗る」に近い関係です。車は買えば自分のものですが、点検も修理も自分の責任です。電車は運賃を払い続ける代わりに、点検や保守は鉄道会社が行い、乗る人は駅に行くだけで済みます。SaaSでは「駅」にあたるのがログイン画面です。
従来型のソフトとの違い
パソコンにインストールして使う従来型のソフト(パッケージソフト)や、自社にサーバーを置いて運用する方式(オンプレミス)と比べると、SaaSの特徴がはっきりします。パッケージソフトとの違いをさらに掘り下げた解説はSaaSをわかりやすく解説した記事にまとめています。
| 比べる点 | 従来型のソフト | SaaS |
|---|---|---|
| 使い始め方 | 購入してパソコンやサーバーにインストールする | アカウントを作ってログインする |
| 支払い方 | 買い切りが中心 | 月額・年額の継続払いが中心 |
| データの置き場所 | 自分のパソコンや社内のサーバー | 提供会社のサーバー |
| 更新・保守 | 利用者が自分で更新や買い替えを行う | 提供会社が行い、自動で反映される |
| 自社向けの作り込み | 比較的自由にできる | 用意された設定の範囲に限られる |
「クラウド」とSaaSは同じ意味?
日常会話ではほぼ同じ意味で使われますが、正確にはクラウドの方が広い言葉です。クラウドは、インターネット経由でコンピューターの機能を借りる仕組み全体を指します。そのうち「完成したソフトをそのまま使える」形で提供されるものがSaaSです。「クラウド会計」のように業務名にクラウドが付くサービスは、ほとんどがSaaSです。
会計ソフトで見ると「従来型」と「SaaS型」の違いがわかりやすい
同じ「会計ソフト」でも、パソコンにインストールして使う型と、ブラウザでログインして使うSaaS型があります。インストール型は買い切りが中心で、税制の変更に合わせた更新を利用者が自分で行い、データも手元のパソコンにあります。SaaS型は、更新を提供会社が行い、銀行やカードの明細も取り込め、場所を選ばずに同じ帳簿を開けます。表の違いがそのまま1つの業務に現れるため、SaaSを体感する最初の題材に向いています。
帳簿づけを手入力やインストール型から、ログインして使うSaaSへ切り替えて確かめたい場合の一例が、株式会社マネーフォワードが提供するマネーフォワード クラウド会計です。商品ページによると、銀行やクレジットカードなど2,400社以上の金融機関と連携して取引明細を取得でき、AIが過去の仕訳を学習して勘定科目を提案します。法令改正にも無料でアップデート対応するとされています。導入では無料の会員登録のあとに1ヶ月間の無料トライアルがあり、有料プランへ自動で移行することはないと案内されています。注意点として、AIが誤った仕訳を学習する可能性があるため、入力内容の確認は欠かせません。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。なお、取引の件数が少なく表計算ソフトで足りている場合は、無理にSaaSへ切り替える必要はありません。
ここがおすすめ!
- 面倒な帳簿・レポート・決算書を自動作成
- 金融機関の入出金データを自動取得してリアルタイムで数字を共有
- 他サービスとの連携で勤怠管理やマイナンバー管理が可能
ここが少し気になる…
- ある程度の簿記知識が必要な場合も
-
これまで手入力していた取引データの記帳作業が大幅に削減され、経理作業の時間が約半分になりました。特に仕訳の自動提案機能が優秀で、経理知識が浅い自分でも運用できる点が大きなメリットです。また、リアルタイムで損益を把握できるようになったため、経営判断が早くなったことも効果として実感しています。
-
自動入力がとても便利だと感じています。マネーフォワード給与やマネーフォワード請求書からのデータと連携できるので手入力の作業が減り時短になっています。
-
日々の仕訳入力が大幅に削減され、手作業で行っていた会計処理が8割ほど減りました。特に銀行連携による自動仕訳、確定申告、年末調整、社会保険や給与計算までの連携が非常に強力で、人的ミスや作業時間の大幅な削減につながっています。
実際に使ってみたレビュー記事はこちら

【レビュー】マネーフォワードクラウド会計を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある会計ソフトの中でそのサービスを使ったらいいかわからないという方も多くいると思います。そこで今回は「マネーフォワードクラウド会計」の無料登録から使い方まで、利用経験ゼロの筆者が実況形式でお伝えします。
「経理の作業部分はどんどん省略化。1ヶ月経っても終わらなかった月次決算が6営業日になりました。」
出典: 株式会社HITOMIOテクノロジーズ「マネーフォワード クラウド会計」導入事例(マネーフォワード公式サイト、2021年8月31日公開。公開当時の情報)
身近な例でわかるSaaS|Gmail・Slack・Zoom
身近なSaaSの例は、メールのGmail、チャットのSlack、Web会議のZoomです。どれもログインすれば端末を選ばず使えます。「どこがSaaSらしいのか」という視点で、1つずつ見てみます。
Gmail:どの端末でも同じ受信箱が開く
Gmailは、ブラウザやスマホアプリからログインして使うメールです。会社のパソコンで読んだメールは、帰りの電車でスマホから開いても既読になっています。メールのデータがパソコンの中ではなくGoogleのサーバーに置かれているためで、「データが手元ではなくインターネットの向こう側にある」というSaaSの性質がよく表れています。パソコンが壊れても、新しい端末でログインすれば元の受信箱がそのまま使えます。
Slack:気づかないうちに機能が増えている
Slackは、仕事用のチャットツールです。話題ごとに部屋(チャンネル)を分けてやり取りでき、過去の会話は後から参加した人も読み返せます。利用者が更新作業をしなくても、ある日開くと新しい機能が追加されていることがあります。提供会社の側でソフトが更新され、全利用者に一斉に反映されるという、SaaSならではの特徴です。無料で始めて、人数や必要な機能に応じて有料プランに切り替える料金の形もSaaSに典型的です。
Zoom:相手がソフトを持っていなくても使える
Zoomは、Web会議のサービスです。会議の主催者がURLを送れば、相手はそれを開くだけで参加できます。従来のソフトであれば、相手にも同じソフトを買って入れてもらう必要がありました。「使いたい人がその場ですぐ使える」という手軽さは、ソフトを所有するのではなくサービスとして利用するSaaSだから実現できています。
1日の仕事の流れで出会うSaaS
3つ以外にも、仕事の1日を朝から順に追うと、多くの場面でSaaSに触れていることがわかります。自分の1日と照らし合わせてみてください。
| 場面 | 使っているSaaSの例 | SaaSだとわかる点 |
|---|---|---|
| 出社・始業 | 勤怠管理のクラウドサービス | スマホで打刻した記録を管理者がすぐ確認できる |
| 連絡の確認 | Gmail、Slack、Chatwork | 端末を替えても履歴が残っている |
| 打ち合わせ | Zoom、Microsoft Teams、Google Meet | URLを開くだけで参加できる |
| 資料づくり | Microsoft 365、Google ドキュメント | 複数人が同じファイルを同時に編集できる |
| ファイルの受け渡し | Dropbox、Google ドライブ | 保存容量に応じたプランを選んで使う |
| 経費・請求・帳簿 | クラウド型の会計ソフト、経費精算、請求書発行 | 税制の変更にソフトの側が対応する |
表の上から4つは「連絡・共同作業」のSaaS、下の2つは「業務そのもの」を処理するSaaSです。前者は無料で個人でも使い始められるため気づかないうちに広がり、後者は会社として契約して使うことが多い、という違いがあります。動画や音楽の配信サービスなど、仕事以外で使っているサービスにも同じ仕組みのものがあります。
業務の種類で見るSaaSの分類
仕事で使うSaaSは、解決する業務の種類で大きく分けると整理しやすくなります。
| 業務の種類 | できること | ログインして使うとわかりやすい点 |
|---|---|---|
| 連絡・会議 | メール、チャット、Web会議 | URLやアカウントだけで相手とつながれる |
| 共同作業・情報共有 | 文書の共同編集、ファイル共有、スケジュール共有 | 最新版が1つに保たれ、版が分かれない |
| 会計・経理 | 仕訳、帳簿、決算書、請求書、経費精算 | 金融機関の明細取得や税制変更への対応を提供会社が行う |
| 人事・労務 | 勤怠管理、給与計算、人事情報の管理 | 法令の変更に合わせた更新が反映される |
| 営業・顧客管理 | 顧客情報の管理、案件の進捗管理 | 社外でもスマホから最新の情報を開ける |
| 契約・書類 | 電子契約、文書の保管、ワークフロー | 郵送や押印の手間を減らし、履歴を残せる |
具体的なサービス名を業務ごとに知りたい場合はSaaSの具体的なサービス例を業務ツール別に解説した記事、分野別の代表例はSaaSの代表例を分野別に整理した記事で整理しています。
SaaSの料金体系|サブスクリプションモデルの仕組み
SaaSの料金は、月額または年額で支払うサブスクリプション(定額課金)が中心です。ソフトを「買う」のではなく「使う権利を期間で借りる」ため、使っている間は支払いが続き、やめれば支払いも止まります。金額の決まり方にはいくつかの型があります。
| 課金の型 | 金額の決まり方 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 利用人数に応じた課金 | 使う人の数(アカウント数)に単価を掛ける | 人が増えると合計額も増える。使っていない人の分も請求される |
| プラン別の定額 | 使える機能の範囲ごとに料金が決まっている | 必要な機能が上位プランにしかない場合がある |
| 使った量に応じた課金 | 保存容量や処理件数などの利用量で変わる | 月ごとの金額が読みにくい |
| 基本無料と有料の組み合わせ | 基本機能は無料で、追加機能や人数の拡張が有料 | 無料の範囲で足りるかは使ってみないと判断しにくい |
実際には、これらを組み合わせた料金にしているサービスが多く見られます。また、年額でまとめて支払うと月額払いより割安になる設定がよくありますが、途中でやめても返金されない条件になっている場合があるため、最初から長期の契約を選ぶ前に規約を確認しておくと安心です。
「無料プラン」と「無料トライアル」は別もの
SaaSの「無料」には2種類あり、混同すると思わぬ請求につながります。無料プランは、機能や人数に制限がある代わりに期間の定めなく無料で使える形です。無料トライアルは、有料版と同じ機能を一定期間だけ無料で試せる形で、期間が終わると使えなくなるか、有料に切り替わります。
- 無料トライアルの終了後、自動で有料プランに移行するかどうか
- 申し込み時に支払い方法(クレジットカードなど)の登録が必要かどうか
- 無料期間の終了日と、解約の手続き方法
- 無料プランで保存できるデータ量や使える人数の上限
この4点を申し込み前に確認しておけば、「試すだけのつもりが課金されていた」という事態は避けられます。逆に言えば、条件さえ把握しておけば、SaaSは契約前に実物を触って確かめられる珍しい種類の商品です。パンフレットで機能を比べるよりも、数日使ってみる方が自分に合うかどうかは早くわかります。
SaaSのメリット|アップデートや保守の手間がない
SaaSのメリットは、更新や保守を提供会社に任せられること、始めるときの費用と時間が小さいこと、場所や端末を選ばず使えること、人数や使い方の変化に合わせやすいことの4つです。広がり方は公的な統計にも表れています。
総務省の令和7年通信利用動向調査(常用雇用者100人以上の企業が対象。クラウドサービス全般の数字で、SaaSに限りません)では、クラウドサービスを一部でも利用している企業は83.5%で、全社的に利用している企業も60.0%でした。令和3年の調査では一部でも利用している企業が70.4%で、増加が続いています。利用しているサービスの内容では、「給与、財務会計、人事」が56.3%で4番目に高く、会計はSaaSが業務に入り込んでいる代表的な分野です。利用している企業にその理由を尋ねた結果は、次のとおりです。
| クラウドサービスを利用する理由(複数回答) | 令和7年の割合 |
|---|---|
| 場所、機器を選ばずに利用できるから | 50.7% |
| 安定運用、可用性が高くなるから | 45.1% |
| 資産、保守体制を社内に持つ必要がないから | 42.8% |
| 既存システムよりもコストが安いから | 19.4%(8つの選択肢の中で最も低い) |
「コストが安いから」は、選択肢の中で最も低い割合でした。多くの企業は、費用の安さよりも、場所を選ばずに使えることや、保守を提供会社に任せられることを理由に使っています。利用した企業の89.4%が「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」と答えていることも、同じ調査で示されています。以下では、この4つのメリットを1つずつ見ていきます。
更新や保守を自分で行わなくてよい
従来型のソフトでは、不具合の修正や新しいバージョンへの入れ替えを利用者が自分で行う必要がありました。SaaSではこれを提供会社が行い、利用者はいつも最新の状態で使えます。会計ソフトであれば税率や制度の変更への対応、勤怠管理であれば労働時間に関するルール変更への対応が、ソフトの側で反映されます。専任のIT担当者がいない会社ほど、この恩恵は大きくなります。
始めるときの費用と時間が小さい
サーバーの購入や設置工事が不要なため、申し込んだその日から使い始められるサービスも珍しくありません。最初にまとまった金額を支払う必要がなく、合わなければやめられるため、「試してから決める」進め方ができます。
場所や端末を選ばない
インターネットにつながれば、自宅でも外出先でも同じデータを扱えます。テレワークや複数拠点での仕事と相性がよく、同じ情報を複数人が同時に見られるため、ファイルをメールで送り合って最新版がわからなくなる、といった問題も起きにくくなります。
人数や使い方の変化に合わせやすい
従業員が増えたらアカウントを追加し、減ったら減らす、といった調整が管理画面からできます。事業の成長に合わせてプランを上げることも、必要がなくなった機能を外すこともでき、買い切りのソフトのように「買ったのに使わなくなった」という無駄が出にくい仕組みです。
この4つのメリットは、手作業が多い業務ほど実感しやすくなります。たとえば帳簿づけでは、明細の手入力、制度変更に合わせたソフトの更新、社外の担当者へのデータの受け渡しが、そのままSaaSで置き換わる部分にあたります。自分の今のやり方に当てはまるものがあるか、次のセルフチェックで確かめてみてください。
帳簿づけの手間、SaaSで減らせるかセルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
SaaSのデメリットと、初めての人がつまずきやすい点
SaaSのデメリットは、インターネットにつながらないと使えないこと、自社専用の作り込みに限界があること、提供会社の都合で料金や機能が変わったりサービスが終了したりする可能性があること、アカウントの管理が欠かせないことです。これらを知らずに使い始めると、次のようなつまずきが起こります。
| つまずきやすい点 | 起こること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 1. 無料トライアルの条件を読まずに申し込む | 期間終了後に自動で有料へ移行し、使っていないのに請求が続く | 終了日と自動更新の有無を申し込み時にカレンダーへ記録する |
| 2. 個人の判断で次々に登録する | 誰がどのサービスを契約しているか会社として把握できなくなる | 使っているサービス名・契約者・支払い方法を一覧にまとめる |
| 3. 同じパスワードを使い回す | 1つのサービスから漏れた情報で、ほかのサービスにも不正にログインされる | サービスごとに別のパスワードにし、多要素認証を有効にする |
| 4. やめるときのことを考えずに使い始める | 解約後に過去のデータを取り出せず、乗り換えができない | データを書き出す機能の有無を契約前に確認する |
| 5. 提供会社の障害やメンテナンスを想定していない | サービスが止まっている間、締め日の作業などが進められない | 障害情報の確認先を把握し、締め日の前はメンテナンスの予定を確認する |
安全面については、提供会社に任せきりにできるわけではありません。サーバーの保護やソフトの弱点の修正は提供会社の役割ですが、パスワードの管理、退職した人のアカウントの削除、誰にどこまで見せるかの設定は利用者の役割です。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」のクラウドサービスの解説では、データがクラウドサービス事業者側のサーバーに保管されることから、十分なサイバーセキュリティ対策が施されたクラウドサービスを選ぶことが重要とされています。同サイトの安全なパスワードの設定・管理では、機器やサービスの間で使い回しのない固有のパスワードを設定すること、多要素認証が設定できる場合は積極的に使うことが示されています。
なお、SaaSに顧客情報や従業員の情報を保存する場合は、個人情報の取り扱いに関する法令や社内規程との関係も確認が必要になります。本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的な助言ではありません。具体的な判断が必要な場合は、専門家や所管の行政機関の情報を確認してください。
PaaS・IaaSとの違い
SaaSは完成したソフト、PaaSは開発環境、IaaSはサーバーなどの基盤を借りる形で、違いは提供会社がどこまで用意してくれるかです。3つともインターネット経由で借りるクラウドサービスで、NISTの定義でもクラウドのサービスの型として並べられており、総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」でもクラウドサービスは主にこの3つに分類されると説明されています。読み方は、PaaSが「パース」、IaaSが「イアース」または「アイアース」です。
住まいにたとえると、IaaSは「土地だけを借りて自分で家を建てる」、PaaSは「骨組みと水道・電気が整った建物を借りて内装を自分で仕上げる」、SaaSは「家具付きの部屋を借りてすぐ住む」に近いイメージです。自分で手を入れる範囲が広いほど自由に作れますが、その分だけ専門知識と手間が必要になります。
| 項目 | SaaS | PaaS | IaaS |
|---|---|---|---|
| 借りるもの | 完成したソフトウェア | ソフトを開発して動かすための環境 | サーバーや保存領域、ネットワーク |
| 主に使う人 | 業務を行うすべての人 | ソフトの開発者 | サーバーを設計・運用する技術者 |
| 使う側の作業 | ログインして設定する | プログラムを書いて載せる | OSの設定からソフトの導入まで行う |
| 必要な専門知識 | ほぼ不要 | プログラミングの知識 | サーバー構築・運用の知識 |
「SaaSって何?」という段階で押さえておきたいのは、自分が業務で直接触れるのはSaaSだけ、という点です。PaaSとIaaSは、SaaSを作って提供する側や、自社専用のシステムを開発する人が使うものです。普段使っている会計ソフトやチャットも、その裏側ではPaaSやIaaSの上で動いていることがあります。3つの管理範囲の違いをもう少し詳しく知りたい場合はSaaS・PaaS・IaaSの違いを解説した記事を、NISTの定義やASPとの関係まで知りたい場合はSaaSの定義と選び方の基準を解説した記事を参照してください。
SaaSを選ぶときの基本的な見方
初めて業務用のSaaSを選ぶときは、解決したい手間、無料で試せるか、操作性、サポート、データの書き出し、セキュリティの6点を順番に確認すると判断しやすくなります。機能の多さを比べるのは、そのあとで足ります。
- 解決したい手間が1つに絞れているか:「何となく便利そう」ではなく、「毎月の帳簿づけに時間がかかる」のように具体的な困りごとから出発する。
- 無料で試せるか:無料プランまたは無料トライアルがあり、実際の業務データを少し入れて試せるか。
- 毎日使う人が迷わず操作できるか:機能が豊富でも、画面がわかりにくければ使われなくなる。試用中に実際に使う人に触ってもらう。
- 困ったときに聞けるか:問い合わせの方法(電話・チャット・メール)と、無料の範囲で受けられるサポートの内容を確認する。
- データを取り出せるか:入力したデータをCSVなどの形式で書き出せるか。やめるとき・乗り換えるときの備えになる。
- セキュリティ対策を確認できるか:データが提供会社のサーバーに保管されるため、提供会社のセキュリティ対策の公表内容、多要素認証の有無、アカウントごとの権限設定ができるかを確認する。
無料トライアルで試すときの進め方
6つの見方のうち「無料で試せるか」は、試し方で結果が変わります。無料トライアルは、次の順で使うと、期間を無駄にせず、続けるかどうかを判断しやすくなります。
- 試す目的を1つに絞る:「明細の入力時間が減るか」のように、確かめたいことを申し込み前に決める。
- 実際の業務データを少量入れる:架空のデータではなく、直近1か月分など実際の取引を入れて、手間の差を見る。
- 毎日使う人に触ってもらう:導入を決める人だけでなく、実際に入力する人の感想を聞く。
- 終了日の前に判断する:続けるかどうかを決め、続けない場合の解約手続きと、入力したデータの書き出し方を確認する。
立場によって見るところは変わる
同じ6つの見方でも、重みは立場によって異なります。個人事業主やフリーランスは、自分ひとりで使い続けられるかが最優先で、スマホだけで操作できるか、確定申告まで一続きで終えられるかが決め手になりやすいでしょう。数人から十数人の会社では、担当者が休んだときに別の人が引き継げるか、顧問の税理士や社会保険労務士とデータを共有できるかが重要になります。部署が複数ある会社では、すでに使っているほかのサービスと連携できるか、誰に何を見せるかを細かく設定できるかまで確認が必要です。
この見方を実際に当てはめる練習として取り組みやすいのが、前半で触れた会計ソフトです。「帳簿づけの手間を減らす」という目的がはっきりしており、無料で試せる期間を設けているものもあり、自分の立場に合うかどうかを絞り込みやすいからです。メールやチャットで「使うだけのSaaS」に慣れたあと、「業務を任せるSaaS」を1つ選んで試す。その最初の1つとして、マネーフォワード クラウド会計の特徴と対応範囲を、商品ページで確認してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. SaaSとは簡単に言うと何ですか?
A. インターネットにつないでログインして使うソフトウェアのことです。パソコンに買って入れるのではなく、月額や年額の利用料を払って使うのが一般的で、読み方は「サース」(「サーズ」とも)です。
Q2. SaaSで有名なサービスや、身近な例には何がありますか?
A. メールのGmail、チャットのSlack、Web会議のZoomが代表的です。仕事ではほかに、クラウド型の会計ソフトや勤怠管理、経費精算、ファイル共有のサービスなどがSaaSにあたります。
Q3. 無料で使えるサービスもSaaSですか?
A. はい。料金の有無ではなく、インターネット経由でソフトウェアを利用する形かどうかで決まります。無料プランと、期間限定の無料トライアルは別のものなので、申し込み前にどちらなのかを確認してください。
Q4. SaaSとサブスクリプションは同じ意味ですか?
A. 同じではありません。SaaSはソフトウェアの提供の形、サブスクリプションは定額で支払う料金の形を指します。SaaSの多くがサブスクリプションで提供されているため、一緒に語られることが多い言葉です。
Q5. SaaSとPaaS・IaaSはどう違いますか?
A. 提供会社が用意する範囲が違います。SaaSは完成したソフトウェア、PaaSはソフトを開発して動かすための環境、IaaSはサーバーなどの基盤を借りる形です。業務で直接使うのは主にSaaSです。
Q6. 業務で使うSaaSは何から試すとよいですか?
A. 目的がはっきりしていて無料で試せるものが向いています。帳簿づけに使う会計ソフトは、手入力の手間が目に見えて変わりやすい分野です。たとえばマネーフォワード クラウド会計は、商品ページによると1ヶ月間の無料トライアルがあり、SaaSの使い心地を確かめられます。
まとめ|SaaSを使い始めるために今日できる4つのこと
SaaSとは、インターネットにつないでログインして使うソフトウェアのことです。Gmail・Slack・Zoomのように、すでに毎日使っているサービスの多くがSaaSにあたります。更新や保守を提供会社に任せられる一方、インターネット環境が必要なこと、無料トライアルの条件やアカウントの管理は利用者が確認しなければならないことを押さえておきましょう。次の4つを順に進めると、SaaSを無理なく使い始められます。
- すでに使っているSaaSを書き出す:メール・チャット・Web会議など、自分の1日で使っているサービスを確認する。
- 無料の条件を申し込み前に確かめる:無料プランか無料トライアルか、自動で有料に移るかを確認する。
- 契約・パスワード・データの書き出しを管理する:契約中のサービスを一覧にし、パスワードは使い回さず、やめるときにデータを取り出せるかを確認する。
- 手作業の多い業務を1つ選んで試す:帳簿づけの手間が大きいなら、会計ソフトの資料を取り寄せて機能と対応範囲を確認し、無料トライアルで実際のデータを試す。
参考文献
- 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」(2026年5月29日公表) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/260529_1.pdf
- National Institute of Standards and Technology(NIST)「SP 800-145, The NIST Definition of Cloud Computing」 https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/145/final
- 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」クラウドサービスの仕組み https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/basic/service/07/
- 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」安全なパスワードの設定・管理 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/security/business/staff/06/
