日本のSaaS企業ランキング|売上高・時価総額・年収・評価の4つの切り口と正しい読み方
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- 日本のSaaSランキングを売上高・成長性・年収・評価の4つの切り口で整理できる
- ランキングの数値を有価証券報告書や公的統計で確認する方法がわかる
- ランキングを読む際に注意したい3つのポイントがわかる
「日本のSaaS企業ランキング」と検索すると、売上高、平均年収、時価総額、ユーザー評価など、さまざまな基準のランキングが見つかります。ただし、どの数値を何の資料から、いつの時点で集計したかによって順位は大きく変わります。本記事では、日本のSaaSランキングを売上高・成長性(時価総額・ARR)・年収・ユーザー評価の4つの切り口で整理し、有価証券報告書や公的統計といった一次情報でランキングを読み解く方法を解説します。掲載する企業名や順位は情報提供を目的としたもので、特定企業への投資や転職を推奨するものではありません。
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ランキングの数字を自社の経営に生かすには|クラウド会計ソフトを比較
SaaS企業のランキングは、売上高や成長率といった経営数値を並べたものです。上位企業に共通するのは、売上や利益、契約の継続状況を月次で素早く把握し、次の打ち手に反映している点です。自社の経営者や経理担当者がランキングから学べることがあるとすれば、それは「数字をいかに早く正確に把握するか」という仕組みづくりでしょう。
その土台になるのが会計ソフトです。ランキングに名前が挙がる日本のSaaS企業の中にも、クラウド会計ソフトを提供する企業が含まれています。以下は代表的なクラウド会計ソフトの一例です。
| サービス名(提供会社) | 特徴 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード) | 銀行口座やカードとの連携による自動仕訳、同社の請求書・経費精算サービスとの連携 | プランにより使える機能や連携範囲が異なる |
| freee会計(フリー株式会社) | 簿記の知識が少なくても入力しやすい設計、請求から入金管理までの一元化 | 従来の会計ソフトと操作の考え方が異なるため、経験者は慣れが必要な場合がある |
| 弥生会計(弥生株式会社) | 長く使われてきた会計ソフトで、税理士や会計事務所との連携がしやすい | クラウド版とデスクトップ版があり、使い方に合う版を選ぶ必要がある |
| 勘定奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント) | 中堅企業の管理会計や内部統制に対応しやすい | 小規模事業者には機能が過剰になる場合がある |
どのソフトが合うかは、事業規模、取引量、税理士との連携方法によって変わります。料金や機能は変更される場合があるため、最新の条件は各サービスの公式情報で確認してください。個人事業主から中小企業向けまで、クラウド会計ソフトを横並びで比較した記事は次のとおりです。
【売上高】日本のSaaS企業ランキング(有価証券報告書・決算短信ベース)
売上高で見ると、日本の上場SaaS企業では株式会社エス・エム・エス、株式会社ラクス、株式会社オービックビジネスコンサルタントなどが上位に挙がります。ただし、企業ごとに決算期が異なり、SaaS以外の事業の売上を含む場合もあるため、順位は「同じ条件で並べた結果」ではない点に注意が必要です。
以下は、2025年3月期の決算短信で公表された売上高を並べたものです。決算期が3月の企業に絞っているため、12月期や6月期など決算期が異なる企業は含めていません。
| 企業名 | 2025年3月期の売上高 | 主なサービス・事業 | 読むときの注意点 |
|---|---|---|---|
| 株式会社エス・エム・エス | 609億5,200万円(連結) | 介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」など | 医療・介護分野の人材紹介なども含む連結売上 |
| 株式会社ラクス | 489億400万円(連結) | 楽楽精算、楽楽明細などのバックオフィス向けクラウド | IT人材事業なども含む連結売上 |
| 株式会社オービックビジネスコンサルタント | 469億8,400万円(非連結) | 勘定奉行クラウドなどの奉行シリーズ | クラウド版とパッケージ版の両方を含む売上 |
このほか、11月期決算の株式会社マネーフォワードや、5月期決算のSansan株式会社も、売上高ランキングで上位に挙がることの多い企業です。決算期が異なる企業を同じ表に並べる場合、半期の数値と通期の数値が混在していないかを確認しましょう。数値は各社の決算短信や有価証券報告書で確認でき、有価証券報告書は金融庁の電子開示システム「EDINET」で誰でも閲覧できます。
SaaSとは?ランキングを見る前に知っておきたい基礎
SaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアを自社のパソコンやサーバーにインストールせず、インターネット経由でサービスとして利用する形態のことです。多くは月額や年額の利用料で提供され、契約が続く限り収益が積み上がる「ストック型」のビジネスモデルになっています。
ランキングを読むうえで知っておきたいのは、SaaS企業の業績は「今期の売上」よりも「積み上がった契約がどれだけ続き、どれだけ伸びているか」で評価されやすいという点です。先行して開発や広告に投資するため、売上が伸びていても赤字の企業は珍しくありません。売上高の順位だけで企業の強さを判断すると、事業の実態を見誤る可能性があります。
また、一口にSaaS企業といっても、会計・人事などの業種を問わない「水平型」と、介護・建設など特定業界向けの「垂直型」では、市場の大きさも競争環境も異なります。業種別の企業マップはSaaSを提供する日本企業の業種別マップで詳しく整理しています。
【時価総額・ARR】成長性で見るSaaS企業ランキング
成長性で見るランキングには、株式市場の評価を表す時価総額と、SaaS特有の指標であるARR(年間経常収益)がよく使われます。どちらも売上高ランキングとは異なる順位になりやすく、見る時点や定義によって大きく変わる指標です。
時価総額ランキングの特徴
時価総額は「株価×発行済株式数」で計算され、市場が企業の将来の成長をどう評価しているかを表します。株価は日々変動するため、時価総額ランキングは集計した日によって順位が入れ替わります。競合する解説記事では、株式会社ラクス、株式会社マネーフォワード、フリー株式会社、Sansan株式会社、サイボウズ株式会社などが上位に挙げられることが多いですが、記事に掲載された数値は集計日時点のものです。最新の値は証券取引所や証券会社の株価情報で確認してください。
ARRとSaaS特有の指標
| 指標 | 意味 | ランキングで比べるときの注意点 |
|---|---|---|
| ARR(年間経常収益) | 継続課金による収益を年額に換算した値 | 算出方法は企業ごとに異なり、会計上の売上高とは一致しない |
| 売上成長率 | 前期と比べて売上がどれだけ伸びたか | 売上規模が小さい企業ほど高い成長率が出やすい |
| 解約率(チャーンレート) | 一定期間に解約された契約や収益の割合 | 件数ベースか金額ベースかで数値が変わる |
| 売上継続率(NRR) | 既存顧客からの収益が、追加購入や解約を反映して維持・拡大した割合 | 開示していない企業もあり、全社を同じ基準で並べにくい |
ARRや解約率は有価証券報告書ではなく、各社の決算説明資料で開示されることが多い指標です。定義が各社で異なるため、ランキング形式で並べた数値を見るときは、元の資料で算出方法を確認すると誤解を防げます。
【年収】SaaS業界の年収ランキングと職種別の傾向
SaaS企業の年収ランキングの多くは、有価証券報告書の「従業員の状況」に記載された平均年間給与をもとに作られています。競合する解説記事では、AIやデータ活用を手がける比較的規模の小さい企業が上位に並ぶ傾向があります。ただし、平均年間給与は提出会社単体の従業員が対象で、平均年齢や職種の構成によって大きく変わるため、個人が受け取る年収の目安とは異なります。
| 年収に影響する要素 | ランキングへの影響 |
|---|---|
| 従業員数 | 従業員が少ない企業は、少数の高年収者によって平均が大きく動きやすい |
| 職種の構成 | エンジニアや法人営業の比率が高いと平均は上がりやすく、サポート職の比率が高いと下がりやすい |
| 平均年齢 | 若手中心の成長企業は、同じ給与水準でも平均が低く出る場合がある |
| 集計対象 | 持株会社の場合、グループ会社の従業員が含まれず実態と異なることがある |
SaaS企業の主な職種には、開発エンジニア、プロダクトマネージャー、インサイドセールス、フィールドセールス、導入後の活用を支援するカスタマーサクセスなどがあります。転職先を検討する場合は、平均年収の順位だけでなく、希望する職種の募集条件や評価制度を個別に確認することが大切です。
【ユーザー評価】利用者の声で見るSaaS製品ランキング
企業の業績ではなく、製品を使う側の評価で順位を付けたランキングもあります。たとえば、IT製品のレビューサイトITreviewが発表した「The Best Software in Japan 2026」では、レビュー数や満足度、認知度などを組み合わせて評価し、ビジネスチャットのChatworkが1位となりました。上位にはSlack、Microsoft Teams、kintone、弥生会計なども入っています。
ユーザー評価のランキングには海外製の製品も含まれ、売上高ランキングとはまったく異なる顔ぶれになります。自社で使うSaaSを探す目的であれば、企業の業績ランキングよりも、こうした利用者の評価や、実際の無料トライアルでの使い勝手のほうが判断材料として役立ちます。
SaaS市場規模の推移と今後の見通し(公的統計で確認)
日本のSaaS市場は拡大を続けており、その裏付けは公的統計でも確認できます。民間調査会社による市場規模の推計は定義や対象範囲によって数値が大きく異なるため、公的統計で「企業のクラウド利用がどれだけ広がっているか」を押さえておくと、ランキング記事の数値を冷静に読めるようになります。
総務省の調査で見るクラウド利用の広がり
総務省の「通信利用動向調査」では、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合が長期的に上昇してきたことが示されています。利用用途としては、ファイル保管・データ共有、電子メール、給与・財務会計・人事などが上位に挙がっています。会計や人事のようなバックオフィス業務でクラウドの利用が広がってきたことは、売上高ランキングの上位にバックオフィス向けSaaSの企業が多く並ぶことと整合しています。最新の数値は、総務省の調査結果や「情報通信白書」で確認できます。
今後のランキングを左右する3つの動き
ランキングの顔ぶれは固定されたものではなく、市場の変化によって入れ替わります。上位のランキング記事でも共通して取り上げられているのが、次の3つの動きです。いずれも将来の順位を約束するものではありませんが、ランキングを時系列で見比べるときの手がかりになります。
| 動き | 内容 | ランキングを見るときの視点 |
|---|---|---|
| 生成AI・AIエージェントの組み込み | 入力や集計を補助する機能から、業務の一部を代わりに進める機能へと、SaaSに組み込まれるAIの役割が広がっている | 決算説明資料でAI関連の機能や売上への寄与をどう説明しているかを確認する |
| 業界特化型(垂直型)SaaSの広がり | 介護・建設・医療など特定業界の業務に深く入り込むSaaSが、その業界の標準的な仕組みとして使われる例が増えている | 全体の順位だけでなく、業界ごとのシェアや導入事業所数の推移を見る |
| 料金体系の変化 | 利用人数(ID数)に応じた課金に加え、利用量や成果に応じた課金を取り入れる動きがある | 料金体系が変わるとARRや顧客単価の比較条件も変わるため、指標の定義変更に注意する |
制度改正とDX推進が需要を後押し
日本のSaaS市場では、電子帳簿保存法の改正や、2023年10月に始まったインボイス制度への対応をきっかけに、会計・請求書・経費精算の分野でクラウドサービスの導入が進みました。また、経済産業省がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していることや、人手不足への対応も、専任のIT担当者を置きにくい中小企業でSaaSが選ばれる理由になっています。
ランキング上位の企業が伸びてきた背景には、こうした「経営の数字を早く正確に管理したい」という中小企業のニーズがあります。自社でも同じ課題を感じているなら、会計業務のクラウド化は取り組みやすい第一歩です。
SaaSランキングを読む際に注意したい3つのポイント
SaaSランキングを正しく読むには、「集計の時点と決算期」「数値の出どころ」「SaaS以外の事業の混在」の3点を確認することが大切です。
ポイント1|集計の時点と決算期がそろっているか
決算期が3月の企業と11月の企業では、同じ「2025年度」でも対象期間がずれます。半期の売上と通期の売上が同じ表に並んでいるランキングもあるため、数値の横にある決算期を必ず確認しましょう。
ポイント2|公的な資料か、民間の推計か
有価証券報告書や決算短信は企業が法令や取引所の規則に基づいて開示する一次情報で、総務省の統計は国が実施する調査です。一方、民間調査会社の市場規模やレビューサイトの評価は、独自の定義や手法による推計・集計です。どちらが正しいということではなく、性質の違いを理解して使い分けることが重要です。
ポイント3|SaaS以外の事業が含まれていないか
売上高ランキングに並ぶ企業の多くは、人材紹介やパッケージソフトなど、SaaS以外の事業も手がけています。有価証券報告書のセグメント情報を見ると、事業ごとの売上の内訳を確認できます。
| よくある読み違い | 正しい読み方 |
|---|---|
| 売上高1位の企業が最も優れたSaaS企業である | 売上高は規模を示すだけで、成長性や製品の使いやすさとは別の指標 |
| 平均年収が高い企業なら誰でも高年収になる | 平均値は職種構成や平均年齢に左右されるため、職種別の条件確認が必要 |
| 記事ごとに順位が違うのはどれかが間違っている | 集計日、決算期、対象企業の範囲が異なれば順位も変わる |
ランキングを他社の分析に使う場合も、自社の数字を同じ基準で把握できていなければ比較はできません。売上や利益、継続契約の推移を月次で確認できる状態をつくることが、ランキングの数字を自社の経営に生かす前提になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 日本のSaaS企業で売上高が大きいのはどこですか?
A. 2025年3月期の決算短信では、株式会社エス・エム・エス、株式会社ラクス、株式会社オービックビジネスコンサルタントなどが大きな売上高を公表しています。SaaS以外の事業を含む売上である点や、決算期の違いに注意が必要です。
Q. SaaSランキングは記事によって順位が違うのはなぜですか?
A. 集計した日、対象とした決算期、SaaS企業とみなす範囲、半期と通期の数値の扱いが記事ごとに異なるためです。時価総額は株価によって日々変わります。
Q. SaaS企業の売上高や平均年収はどこで確認できますか?
A. 金融庁の電子開示システムEDINETで有価証券報告書を確認できます。平均年収は「従業員の状況」、事業ごとの売上はセグメント情報に記載されています。
Q. SaaS業界の年収ランキングはどう読めばよいですか?
A. 平均年間給与は従業員数、職種の構成、平均年齢に左右されます。転職の判断材料にする場合は、希望する職種の募集条件や評価制度を個別に確認しましょう。
Q. 利用者の評価が高いSaaSのランキングはありますか?
A. IT製品レビューサイトITreviewの「The Best Software in Japan 2026」では、レビュー数や満足度などをもとに評価し、Chatworkが1位となりました。海外製品も含まれ、売上高ランキングとは異なる顔ぶれです。
Q. SaaSランキングを自社の経営に生かすには何から始めればよいですか?
A. 他社の数字と比べる前に、自社の売上や利益を月次で把握できる状態をつくることが先決です。クラウド会計ソフトを使うと、口座連携などで経営数値を早く確認しやすくなります。
まとめ
日本のSaaSランキングは、売上高・成長性・年収・ユーザー評価のどの切り口で見るかによって顔ぶれが大きく変わります。押さえておきたいポイントは次の4つです。
- 売上高ランキングは決算短信や有価証券報告書で確認し、決算期とSaaS以外の事業の混在に注意する
- 時価総額は集計日で変わり、ARRや解約率は各社の決算説明資料で定義を確認する
- 年収ランキングの平均値は、従業員数・職種構成・平均年齢に左右される
- 市場の広がりは、総務省の統計など公的な資料で裏付けを取る
ランキングは業界を知る入り口として便利ですが、自社の経営に生かすなら、まず自社の数字を正確に把握する仕組みを整えることから始めるのが着実です。
参考文献
- 総務省「通信利用動向調査」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html
- 総務省「情報通信白書」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/
- 経済産業省「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
- 金融庁「EDINET」https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/
- 国税庁「インボイス制度について」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
- 株式会社エス・エム・エス「2025年3月期決算及び会社説明資料」https://www.bm-sms.co.jp/ir-news/20250428-5
- 株式会社ラクス「決算短信」https://www.rakus.co.jp/ir/disclosure/
- ITreview「The Best Software in Japan 2026」https://www.itreview.jp/labo/archives/23706