業種・場面別|領収書の書き方と記入例【インボイス・電帳法対応】
Check!
- 個人事業主から建設業まで場面別の記入例がわかる
- インボイスと印紙の扱いが場面ごとにわかる
- 電子の領収書の保存方法を押さえられる
領収書の書き方は、発行日・宛名・金額・但し書き・発行者の情報を書くという基本が同じでも、相手や場面によって書く内容が変わります。個人事業主は屋号と氏名、飲食店のレシートは宛名を省略でき、講演料は源泉徴収後の受取額、建設の工事代金は工事名と分割の回数、クレジットカード払いやPDFは収入印紙の扱いがそれぞれ変わります。この記事では、基本項目を短くおさらいしたうえで、個人事業主、士業、任意団体、小売・飲食店、法人間取引、建設・工事業、講演料、立替経費、カード払いとPDFの9つの場面別に記入例つきで整理し、電子帳簿保存法に沿った保存方法とよくある失敗も解説します。
場面ごとに形が違う領収書、どこから手を付けるかを診断
Q1. 領収書まわりで、いちばん負担に感じるのはどれですか?
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場面ごとに形が違う領収書を、受け取る側はどう確認するか|経費精算システム5つの役割の違い
領収書は、場面によって省略できる項目と必ず書く項目が違うため、受け取る側は1枚ずつ見分ける手間が増えます。件数が多い会社は、申請の項目と承認の流れを仕組みで整える方法もあります。
宛名が省略できる飲食店のレシート、源泉徴収後の金額が書かれた講演料の領収書、工事名と支払いの回数が入った建設の領収書。経理担当者が受け取る領収書には、場面ごとの例外があります。例外の数だけ「差し戻すか、そのまま受け付けるか」の判断が必要になるため、まず受け付けの基準を書き出し、そのうえで申請の項目や承認の流れを場面ごとに設定できる仕組みがあると、確認の抜けを減らせます。
下の表は、領収書の読み取りや保存に関する機能が商品ページで紹介されている経費精算システム5つを、役割の違いで並べたものです(商品ページの確認日:2026年10月15日)。優劣ではなく、自社の状況に合う観点を選ぶための表で、料金はプランによって異なるため資料や公式サイトで確認してください。
場面別の領収書を受け取る経費精算システム5つの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:楽楽精算。申請項目、レイアウト、承認フローを自由にカスタマイズできると、商品ページに紹介されています。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:バクラク経費精算。複数枚の領収書を自動で読み取り、事業者番号の有効性を判定する機能が、商品ページに紹介されています。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:Bill One経費。専用のビジネスカードで支払うことで、社員の立替経費をなくす仕組みです。
資料を無料ダウンロード| サービス | マネーフォワード クラウド経費 |
ジンジャー経費 |
Bill One経費 |
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|---|---|---|---|---|---|
| 向いている会社 | 紙やExcelでの手入力と確認作業を減らしたい会社 | カードや電子マネーの明細と経費をまとめて処理したい会社 | 勤怠・給与・人事の情報とまとめて管理したい会社 | 領収書の読み取り作業を効率化したい会社 | 社員の立替経費そのものをなくしたい会社 |
| 特徴 | 申請項目や承認フローを自社のルールに合わせて設定できる。登録番号は国税庁のデータベースと照合 | 連携したカードや電子マネーの明細から経費を登録でき、不備入力を防ぐアラートがある | 経費のほか勤怠・給与・人事の情報を1つに集約。承認ルートや勘定科目を設定できる | 複数枚の領収書を自動で読み取り、事業者番号の有効性を判定。タイムスタンプも付与 | 専用カードで支払い、領収書の受取から保管までを一元管理。適格請求書の要件を自動判定 |
| 注意したい点 | 外国語対応は英語のみ | OCR機能の精度に関する指摘が商品ページにある | 導入までに最長3か月ほどかかる | 導入前のサポートは有償での対応 | 初期費用が発生し、月払いではなく年額払い |
| 資料・詳細 |
5サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
場面ごとの申請ルールを自社に合わせたい場合の一例が、楽楽精算(株式会社ラクス)です。商品ページによると、申請項目、レイアウト、承認フローを自由にカスタマイズでき、領収書やICカードはスマホで読み取って社外からも申請できます。領収書に記載された登録番号を国税庁のデータベースと照合する機能もあります。一方で、外国語対応は英語のみとされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- 領収書やICカードはスマホで読み取れ、社外からでも申請や精算が可能
- 経費精算から会計ソフト連携まで便利な機能が充実している
ここが少し気になる…
- 外国語対応は英語のみ
-
・UI自体も比較的わかりやすく、過去の申請内容も見返せるため各種申請に苦がなく進められる ・証憑が必要な場合はスマホにアプリを入れて写真で提出が可能なため簡単
-
経費精算のオンライン化ができ、各社員・経理担当ともに時間の短縮、紙の保管場所の削減となった。また、Excelを使っていた頃は、内容の更新があっても、古いバージョンで提出する人も多く、煩雑であったのが、誰もが最新状態で使えるようになり、訂正の手間がなくなった。
-
楽楽精算を利用することで、手入力や紙の書類による非効率な経費精算業務を大幅に削減することができます。モバイルを用いたレシート撮影によう自動入力、承認フローも柔軟に設定することができるため、申請から承認までがスムーズになり、業務負担が軽減されます。リモートワークにも対応できるので大変助かります。
これまでは1回の精算に15-16分くらいかかっていたのが、今はもう2-3分で終わるようになりました。
楽楽精算 導入事例(株式会社毎日新聞社。導入時期2016年10月の事例。コーポレートカードと交通系ICカードの連携を利用) 出典:導入事例ページ
領収書の基本項目とインボイスの記載事項|場面別の前に押さえる
領収書に書く基本項目は、発行日、宛名、金額、但し書き、発行者の情報で、インボイスとして使うには登録番号と税率ごとの消費税額などが加わります。場面別の書き方に入る前に、共通する項目を一覧で確認しておきましょう。
| 項目 | 書き方のポイント | インボイスとしての扱い |
|---|---|---|
| 発行日(取引年月日) | 代金を受け取った日を年から書く | 必要 |
| 宛名 | 支払った人・会社の正式名称を書く。「上様」は避ける | 必要(適格簡易請求書では不要) |
| 金額 | 先頭に「¥」、末尾に「-」や「※」を付け、3桁ごとにカンマを入れる | 税率ごとに区分した合計額が必要 |
| 但し書き(取引内容) | 「お品代」ではなく、何の代金かが分かるように書く | 必要(軽減税率の対象品目はその旨も) |
| 税率・消費税額 | 10%と8%の対象を分け、それぞれの消費税額を書く | 必要(適格簡易請求書では税額か税率の一方で可) |
| 発行者名・登録番号 | 氏名または名称、住所を書く | 登録番号(Tから始まる13桁)が必要 |
| 押印 | 社判や角印を押すのが一般的 | 記載事項に含まれない |
| 収入印紙 | 紙の領収書で売上代金の記載金額が5万円以上の場合に貼り、消印を押す | インボイスの要件とは別のルール |
金額の前後に「¥」と「-」を付けるのは、数字の前後に書き足されて金額を改ざんされるのを防ぐためです。押印は、国税庁が示すインボイスの記載事項に含まれていません。ただし取引先の社内規程で求められることがあり、収入印紙に消印をするときにも使えるため、社判や角印を用意しておくと安心です。
適格請求書の様式は法令等で定められておらず、記載事項がそろっていれば、領収書やレシートでもインボイスに該当します(国税庁インボイスQ&A問25)。そのため、手書きの領収書でも、記載事項がそろっていれば同じ扱いです。7項目の細かな書き方や手書きの手順は領収書の書き方の基本を解説した記事、領収書という書類そのものの意味は領収書とは何かを解説した記事で扱っています。この記事では、業種や場面によって書き方が変わるポイントに絞って解説します。
業種・場面別の領収書の書き方【記入例つき】
領収書の基本項目は同じでも、誰に何を売ったのか、どう支払われたのかによって、書く内容と注意点が変わります。ここでは9つの場面を取り上げ、記入例と注意点を整理します。記入例の会社名・金額・登録番号はすべて説明用の架空のものです。
なお、この記事は制度の一般的な内容を紹介するものであり、個別の取引に対する税務上の助言ではありません。自社の取引に当てはめて判断する際は、税理士などの専門家や税務署に確認してください。
個人事業主・フリーランス:屋号と氏名を併記する
屋号で仕事をしている個人事業主は、発行者欄に屋号だけでなく氏名も書いておくと、受け取った側がインボイスの登録内容と照らし合わせやすくなります。インボイスの登録番号は個人に対して付与されるため、国税庁の公表サイトで確認できる登録内容と、領収書の発行者名がつながることが大切です。適格請求書発行事業者の登録をしていない場合は、登録番号を書かず、存在しない番号を書かないことが大前提です。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 宛名 | 株式会社サンプル商事 御中 |
| 金額 | ¥110,000-(税込) |
| 但し書き | Webサイト制作費として(10%対象 100,000円 消費税10,000円) |
| 発行者 | サンプルデザイン事務所 山田太郎(登録番号 T1234567890123) |
| 収入印紙 | 紙で発行する場合、税抜10万円のため200円の印紙を貼る |
行政書士などの士業:報酬と立替実費を分けて書く
行政書士をはじめとする士業は、依頼者から受け取る金額に、自分の報酬と、証明書の取得費や手数料など依頼者のために立て替えた実費が混ざります。領収書には、報酬、消費税、立替実費、合計を分けて書いておくと、依頼者が帳簿に付ける際に迷いません。実費の消費税の扱いは費目によって異なるため、判断に迷うときは税理士などに確認してください。
報酬から源泉徴収が必要かどうかは職種ごとに決まっています。国税庁のNo.2792には、弁護士、公認会計士、司法書士などの特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金が対象として示されています。自分の職種が対象かどうかは、同ページや税務署で確認し、対象なら後の講演料の例と同じように内訳を分けて書きます。収入印紙については、国税庁のNo.7125で、医師、弁護士、公認会計士などの行為は一般に営業に当たらず、その受取書は非課税とされています。ここに挙げられていない職種は、取扱いを税務署などに確認しましょう。
任意団体・町内会・サークル:団体名と会費の趣旨を書く
任意団体の領収書は、発行者欄に団体名と、代表者または会計担当者の氏名を書きます。但し書きは「2026年度年会費として」「懇親会参加費として」のように、何の収入かが分かる言葉にします。団体が適格請求書発行事業者の登録をしていなければ、登録番号は書きません。
収入印紙の扱いは、団体の活動で変わります。国税庁のNo.7125では、人格のない社団が、公益や会員相互間の親睦などの非営利事業を目的として設立されている場合は、営業にならないとされています。一方、その他の人格のない社団等が収益事業に関して作成する受取書は、営業になります。会費の領収書は印紙が不要でも、バザーや物品販売の領収書は、売上代金の記載金額が5万円以上なら印紙が必要になる場合があります。
小売・飲食店:レシート型の適格簡易請求書を活用する
小売業や飲食店業のように、不特定かつ多数の人に販売する事業では、記載事項を簡略化した「適格簡易請求書」を交付できます。国税庁のQ&A問24によると、対象は小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限る)と、これらに準ずる事業です。適格簡易請求書では宛名を省略でき、税率と消費税額はどちらか一方の記載で足ります。飲食店でテイクアウト(8%)と店内飲食(10%)が混在する場合は、税率ごとに区分して合計額を書く点に注意が必要です。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 宛名 | 省略可(求められたら正式名称を書く) |
| 金額 | ¥5,480- |
| 但し書き | 飲食代として(10%対象 3,300円/8%対象 2,180円 ※8%は軽減税率対象) |
| 税率・税額 | 10%対象の消費税300円、8%対象の消費税161円(または税率のみの記載でも可) |
| 発行者 | カフェサンプル 駅前店(登録番号 T9876543210987) |
法人間取引(BtoB):宛名は正式名称、請求書との二重発行に注意
取引先の会社あてに発行する領収書は、宛名を「(株)」などの略称にせず、登記上の正式名称で書きます。すでにインボイスの要件を満たした請求書を発行している場合、領収書は代金を受け取った事実を示す書類として発行し、登録番号などの記載は省くこともできます。ただし、どちらの書類をインボイスとして扱うのかを取引先とすり合わせておかないと、同じ取引で消費税額が二重に計上される原因になります。銀行振込で支払いを受ける場合は、振込の記録が支払いの証明になるため、取引先から求められない限り領収書を発行しないケースも多くあります。
建設・工事業:工事名・工事場所・何回目の支払いかを書く
建設業では、1件の工事で着手金、中間金、残金と、工事代金を何回かに分けて受け取ることがよくあります。但し書きを「工事代として」だけにすると、どの工事のどの支払いなのかが後から分からなくなります。工事名、工事場所、何回目の支払いか、請負代金の総額に対する位置づけを書いておくと、発注者の帳簿とも照合できます。
| 支払いの区分 | 但し書きの記入例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 着手金 | サンプル邸外壁塗装工事(東京都○○区)請負代金のうち着手金として | 工事名と場所が契約書の記載と一致しているか |
| 中間金 | 同工事 請負代金のうち中間金(2回目)として | 何回目の支払いか、これまでの受領額 |
| 残金 | 同工事 請負代金の残金(最終回)として | 総額と受領済みの合計が合っているか |
収入印紙は、領収書1通ごとの記載金額で判定されます。国税庁のNo.7105によると、売上代金の受取書は記載金額が5万円以上で課税されます。したがって、金額の大きい中間金や残金の領収書を紙で発行するなら、その1通に書いた金額に応じた印紙が必要です。消費税額を区分して書いていれば税抜の金額で判定できるため、税込と税抜の内訳を領収書に書いておくと判定しやすくなります。なお、工事の請負契約書は領収書とは別の文書で、印紙税の扱いも別に決まっています。
講演料・原稿料などの報酬:源泉徴収税額を書き分ける
個人が講演料や原稿料、デザイン料などの報酬を会社から受け取るときは、支払う側が所得税と復興特別所得税を源泉徴収するため、実際に振り込まれる金額は報酬額より少なくなります。国税庁のNo.2795によると、税率は1回の支払金額が100万円以下なら10.21%で、請求書などで報酬と消費税額が明確に区分されていれば、報酬の額だけを源泉徴収の対象にして差し支えないとされています。同ページには令和9年分以後は防衛特別所得税が加わることも示されているため、支払う時期の最新の率は同ページで確認してください。
| 内訳 | 記入例(報酬10万円の場合) |
|---|---|
| 報酬額(税抜) | 100,000円 |
| 消費税(10%) | 10,000円 |
| 差し引く源泉徴収税額(10.21%) | 10,210円 |
| 受取額(領収書の金額欄) | ¥99,790- |
| 但し書き | ○月○日開催セミナー講演料として |
領収書には、報酬額、消費税額、源泉徴収税額、実際の受取額を分けて書くと、双方の帳簿が一致しやすくなります。また、同じNo.2795には、旅費や宿泊費も原則として報酬・料金等に含まれるものの、通常必要な範囲で支払者が直接ホテルや旅行会社等に支払った場合は含めなくてよいことが示されています。
立替経費の精算:会社名義の領収書を受け取る
従業員が会社の経費を立て替えるときは、お店で領収書を受け取る際に宛名を会社名にしてもらうのが原則です。インボイス制度では、従業員が立て替えた経費でも、会社が仕入税額控除を受けるには原則としてインボイスの保存が必要になります。そのため、受け取った領収書に登録番号が書かれているかをその場で確認する習慣をつけておくと、後の精算がスムーズです。複数人分をまとめて1人が支払った場合は、領収書と一緒に、誰の分をいくら立て替えたかを示す精算書を保存しておきましょう。
立替払いは、領収書の宛名や登録番号の確認が申請のたびに発生し、月末の精算が集中する原因にもなります。立替払いそのものを減らしたい場合の一例が、Bill One経費(Sansan株式会社)です。商品ページによると、専用のビジネスカードで経費を支払うことで社員の立替経費をなくせ、領収書の受取から承認、仕訳、保管までをオンラインで一元管理できます。提出された領収書が適格請求書の要件を満たしているかを自動で判定する機能もあります。一方で、初期費用が発生し、月払いではなく年額での支払いになる点は、導入前に確認が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- ビジネスカードで経費を支払うため、社員の立替経費をなくせる
- 領収書の受取から仕訳・保管までオンラインで一元管理
- 経費精算に関するさまざまな課題を解決でき、社員の負担を軽減
ここが少し気になる…
- 初期費用が発生し、月払いではなく年額での支払い
-
経費立替からの精算という流れを変えたことで業務効率化がはかれました。領収書をメールやチャットで提出したりする必要がなく、クラウドにアップロードすれば共有できるのでとにかく楽です。本来の業務に時間を使えるのがメリットです。
-
簡単に領収書を撮影しすぐに経費申請ができることが一番ありがたかった。導入前の経費申請は領収書をPDF化してシステムから申請、という古いタイプだったためかなり利便性が向上した(使用していたほぼすべての社員が満足していた印象)
-
テレワークに伴い、こちらのサービスを導入した経緯があります。今まで紙で届いた請求書に上長の押印、明細などを添えて経理に提出していましたが、一気にペーパレスできましたし、経理担当者の処理時間も大幅に減ったのではないでしょうか。請求書を受理する現場担当者も入力作業がありますが、データをアップロードすればAIが読み取ってある程度データ化してくれるのでとても便利だと思いました。
クレジットカード払い・PDFでの発行:印紙の扱いが変わる
クレジットカードで支払いを受けたときの領収書は、金銭や有価証券を受け取った事実がないため、売上代金の受取書にはあたらず、収入印紙は不要とされています。国税庁の質疑応答では、クレジットカード利用の場合でも、その旨を領収書に記載しないと課税文書に該当するとされているため、「クレジットカード利用」と明記しておきましょう。また、領収書をPDFにしてメールで送る場合は、電磁的記録は課税の対象になる文書に含まれないとされており、収入印紙を貼る必要はありません。ただし、PDFで発行・受領した領収書は電子取引にあたり、次の章で解説するとおり、電子データのまま保存する必要があります。
カード払いやECサイトの領収書が多い会社では、カードの利用明細と領収書を別々に管理すると、突き合わせの手間が増えます。この場合の一例が、マネーフォワード クラウド経費(株式会社マネーフォワード)です。商品ページによると、連携したクレジットカードや電子マネーの明細から経費を登録でき、連携サービスから明細データや領収書画像を自動で取得できます。不備入力を防ぐアラートで差し戻しの手間を減らせる点も特徴です。一方で、商品ページにはOCR機能の精度に関する指摘が載っているため、読み取り結果は目視で確認する前提で運用を設計してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- オンライン上でまとめて経費申請できる
- 従業員や費目ごとに経費利用額が自動でグラフ化
- 不備入力防止アラート機能で入力ミスが減るため、差し戻しの手間が軽減
ここが少し気になる…
- OCR機能の精度があまりよくない
-
申請から承認まで全て紙を使わずオンライン上で完結できるため、ペーパーレスかつ整理がしやすい
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ICカードで移動した記録をスマホで読み取り、そのまま経費として申請できるため、電車移動のルートや金額など、わざわざ入力の必要がありません。
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スマホアプリで領収書を撮影して申請を行うことができ、アプリのOCRの読取精度も優秀なため、必要情報の入力も容易で、領収書管理や経費精算の申請/承認の煩わしさから、社員/経理共に解放されました。

実際に使ってみたレビュー記事はこちら

【レビュー】マネーフォワードクラウド経費を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある経費精算システムの中でそのサービスを使ったらいいかわからないという方も多くいると思います。そこで今回は「マネーフォワードクラウド経費」の無料登録から使い方まで、利用経験ゼロの筆者が実況形式でお伝えします。
他システムとの比較記事はこちら
\気になるサービスをClickして比較!/
複数パターンあった当社の経費精算フローを1つのシステムに集約できるかどうかを重視しました。
マネーフォワード クラウド経費 導入事例(シャープファイナンス株式会社。システム選定で重視した点として掲載) 出典:導入事例ページ
電子帳簿保存法に沿った領収書の保存方法
メールやWebサイトで受け取った領収書は電子取引のデータにあたり、2024年1月以降は印刷した紙ではなく、電子データのまま保存することが必要です。電子帳簿保存法では、帳簿や書類の保存方法を次の3つに分けて定めています。
| 区分 | 領収書での具体例 | 対応 |
|---|---|---|
| 電子取引データ保存 | メールで届いたPDFの領収書、ECサイトからダウンロードした領収書、自社がPDFで発行した領収書の控え | 義務。電子データのまま保存する |
| スキャナ保存 | お店で受け取った紙の領収書をスキャンやスマートフォンで撮影したもの | 任意。要件を満たせば紙の原本を処分できる |
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフトなどで作成した領収書の控えを、データのまま保存するもの | 任意。紙に印刷せずに保存できる |
電子取引のデータを保存するときは、国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトで示されているとおり、改ざんを防ぐ「真実性」と、必要なときにすぐ確認できる「可視性」の要件を満たす必要があります。真実性は、タイムスタンプの付与、訂正や削除の履歴が残るシステムの利用、訂正や削除を防ぐための事務処理規程の作成などで確保します。可視性は、取引年月日、取引金額、取引先で検索できる状態にしておくことが基本です。
小規模な事業者向けには負担を軽くする措置もあります。基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられる場合は、検索の要件が不要になります。また、システムの整備が間に合わないなど相当の理由がある場合は、ダウンロードの求めに応じ、印刷した書面を提示できるようにしておけば、要件を満たさない形での保存も認められます。保存期間は、法人の場合、領収書を含む書類は確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間とされています(国税庁No.5930)。
ファイル名を手作業で付け直したり、事務処理規程に沿って運用を続けたりするのは手間がかかります。読み取りと保存の要件対応を同じ流れで進めたい場合の一例が、バクラク経費精算(株式会社LayerX)です。商品ページによると、スマホアプリで複数枚の領収書をまとめて自動で読み取り、タイムスタンプを付与して電子帳簿保存法に対応する機能があります。領収書に記載された事業者番号の有効性を自動で判定する機能もあります。一方で、導入前のサポートを受けたい場合は有償での対応となる点には注意が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- 差戻しや確認に時間をかけずに済む「ミス防止機能」を複数搭載
- アプリやチャットツールから承認が行え、社内にいなくても承認時間の確保が可能
- 複数枚の領収書でも自動で読み取れる
ここが少し気になる…
- 導入前のサポートを受けたい場合は有償での対応となる
-
自社での利用時、経費申請だけでなく、バクラクではさまざまな申請機能を自由に作ることができ、その点が非常に魅力的だった。稟議関係の申請機能を各種作ったり、その他社内的な決済が必要な事前申請を作ることができ、意思決定プロセスをスムーズに行う上で役立った。
-
スマホ撮影した領収書をAI‑OCRが数秒で読取・タイムスタンプ付与し、原本破棄が可能に。入力ミス/差戻しアラートで承認スピードが向上し、経理の月末突貫作業を削減。会計ソフトへワンクリック仕訳連携でき、集計から振込データ作成までを同一画面で完結できた。
-
バクラク経費精算の導入により、Excelベースの申請書で発生していた多くのミスが大幅に削減されました。システムが自動でチェックしてくれるため、申請者側の入力ミスが減り、経理担当者の修正工数も減少しました。 また、承認者にとってもメリットは大きいです。申請内容が直感的に分かりやすく表示されるため、以前のような「目くら承認」が減り、内容をきちんと確認した上での承認が可能になりました。さらに、承認フローの経路カスタマイズが非常に柔軟に行えるため、複雑な組織体制や特定の経費規程にも対応でき、経費精算全体の透明性と効率が格段に向上したと感じています。
従来6名で行っていた経費精算業務の工数を2名分へと大幅に圧縮できた
バクラクシリーズ「バクラクAI申請承認」導入事例(株式会社ストライクグループ。経費精算の承認の一次チェックを自動化した事例で、効果として掲載) 出典:導入事例ページ
業種・場面別によくある失敗パターン
領収書のトラブルは、基本項目の知識不足よりも、自分の業種や取引の場面に特有のルールを見落とすことで起きやすくなります。よくある失敗と、その対策を整理します。
| 場面 | よくある失敗(Before) | 改善後(After) |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 公表していない屋号だけを書き、取引先が登録内容を確認できない | 屋号と氏名を併記し、登録している場合は登録番号も書く |
| 士業 | 報酬と立替実費を1つの金額にまとめ、依頼者が仕訳できない | 報酬、消費税、立替実費、合計を分けて書く |
| 任意団体 | 会費も物品販売も同じ書き方で、印紙の要否を確認していない | 収入の趣旨を但し書きに書き、収益事業の受取書は印紙の要否を確認する |
| 飲食店 | テイクアウトと店内飲食を合算し、税率ごとの金額が分からない | 8%と10%の対象額を分けて書き、軽減税率対象である旨を示す |
| 法人間取引 | 請求書と領収書の両方をインボイスとして扱い、消費税額が二重に計上される | どちらをインボイスとするかを取引先と決めておく |
| 建設・工事業 | 但し書きが「工事代として」だけで、何回目の支払いか分からない | 工事名、場所、支払いの区分と回数を書く |
| 講演料の受取 | 報酬額をそのまま金額欄に書き、実際の受取額と合わない | 報酬額、消費税額、源泉徴収税額、受取額を分けて書く |
| PDFの領収書 | 印刷して紙で保存し、元のデータを削除してしまう | データのまま、日付・金額・取引先で検索できる形で保存する |
表のうち、発行する側の失敗は、場面ごとの記入例をひな形にしておけば減らせます。一方、受け取る側は、取引先ごとに形が違う領収書を毎回見分けなければならず、書き方のルールを知っているだけでは防ぎきれません。次のセルフチェックで、いまの確認と保存のやり方に手作業がどれだけ残っているか確かめてみてください。
場面別の領収書の確認と保存、手作業はどれだけ残っている?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
場面別のルールを運用に落とし込む|確認の基準を決めてから仕組みに載せる
場面ごとの領収書のルールは、担当者の記憶に頼らず、受け付けの基準として書き出し、仕組みに載せると安定して運用できます。進める順番は次の3つです。
- 場面ごとの受け付け基準を書き出す:宛名を省略してよい領収書(適格簡易請求書)、源泉徴収後の金額が書かれた領収書、工事の分割払いの領収書など、例外ごとに受け付けるか差し戻すかを決めます。
- 社内規程と申請の入力項目に反映する:基準を規程に書き、申請画面の入力項目や承認の流れにも同じ区分を設けると、申請者が迷いません。
- 電子データの保存ルールを1か所にそろえる:紙の領収書とPDFの領収書で保存の流れが分かれないよう、取引年月日、金額、取引先で検索できる状態を共通の運用にします。
一方で、システムを入れれば領収書の書き方の知識が不要になるわけではありません。読み取った内容が正しいかの最終確認や、例外を受け付けるかどうかの基準は、人が決めて運用する必要があります。月に処理する領収書の枚数が増えた、立て替えをする社員が増えた、といったタイミングが見直しの目安です。
領収書の管理を、人事や勤怠などほかの情報とまとめて整えたい場合の一例が、ジンジャー経費(jinjer株式会社)です。商品ページによると、社内に散らばる勤怠・給与・人事・経費などの情報を1つに集約でき、承認ルートや勘定科目をグループ単位・個人単位で設定できます。スマホアプリでは、領収書を撮影して経費申請まで進められます。一方で、導入までに最長3か月ほどかかるとされているため、導入時期には余裕をもって計画してください。紙の領収書が多く管理に手間がかかっていた会社の事例も紹介されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
基本情報

ここがおすすめ!
- 社内に散らばる勤怠・給与・人事・経費などを1つに集約できる
- 担当者の面倒の原因を解決し、効率的な経費精算業務を実現可能
- さまざまな企業規模に対応し、特にペーパーレス化したい企業にぴったり
ここが少し気になる…
- 導入までに最長3ヶ月ほどかかる
-
オンラインで申請ができるので、どこからでも精算できることが魅力です。また、シンプル操作ゆえに高齢の方でも1人で操作でき、高齢の方だけ、代理で精算をする手間もかかりませんでした。大きな業務効率につながりました。
-
トップページが見やすく、検索がしやすいので、見たいページがすぐに見つかり、対象月の表をすぐ表示することができた。毎月の給与の欄と賞与の欄があり、見たいものが探しやすかった。
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ジンジャー経理を導入したことで、経費精算や支払申請のフローが一元化され、紙やメールでの申請・承認の手間が解消されました。仕訳の自動化や承認ルートの設定により、確認ミスや処理の抜け漏れも減少。経理部門だけでなく、現場の申請者にとっても操作が簡単で、業務全体の効率化につながっています。
5サービスの役割を比較表で見る紙ベースの経費精算や領収書管理が中心で、書類の量が多く管理や保管に手間がかかっていた。
ジンジャー経費 導入事例(富永物産株式会社。導入前の課題として掲載) 出典:導入事例ページ
よくある質問(FAQ)
Q1. 領収書の金額の正式な書き方は?
A. 金額の先頭に「¥」または「金」、末尾に「-」「※」「也」などを付け、3桁ごとにカンマを入れます。たとえば12万3千円なら「¥123,000-」と書きます。数字の前後に書き足されて改ざんされるのを防ぐための書き方です。
Q2. 手書きの領収書に押印は必要ですか?
A. 国税庁が示すインボイスの記載事項に押印は含まれていないため、押印がなくても領収書として扱えます。ただし、取引先の社内規程で求められる場合があり、収入印紙に消印をするときにも使えるため、社判や角印を用意しておくと安心です。
Q3. インボイス制度で、手書きの領収書はどうなりますか?
A. 適格請求書の様式は法令等で定められておらず、記載事項がそろっていれば領収書でもインボイスに該当します。手書きの領収書でも、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの合計額と消費税額、宛名の記載事項がそろっていれば同じ扱いです。登録番号や会社情報はゴム印にしておくと書き漏れを防げます。
Q4. 工事代金の領収書の但し書きはどう書きますか?
A. 工事名、工事場所、支払いの区分と回数を書きます。たとえば「サンプル邸外壁塗装工事(東京都○○区)請負代金のうち中間金(2回目)として」のように書くと、どの工事のどの支払いかが後から分かります。紙で発行する場合は、領収書1通の記載金額に応じて収入印紙の要否を確認します。
Q5. 任意団体や町内会の領収書にも収入印紙は必要ですか?
A. 国税庁のNo.7125では、人格のない社団が公益や会員相互間の親睦などの非営利事業を目的としている場合は、営業にならないとされています。会費の領収書は印紙が不要でも、収益事業に関する受取書は営業となり、売上代金の記載金額が5万円以上なら印紙が必要になる場合があります。
Q6. メールで受け取った領収書は印刷して保存してもよいですか?
A. 2024年1月以降、メールやWebで受け取った領収書は電子取引のデータとして、電子データのまま保存する必要があります。改ざんを防ぐ措置をとり、取引年月日、金額、取引先で検索できる状態で保存します。
まとめ
領収書の書き方は、基本の項目に加えて、業種や取引の場面ごとのルールを押さえることで、受け取る側にとっても使いやすい書類になります。最後に、この記事のポイントを整理します。
- 領収書の基本項目は発行日、宛名、金額、但し書き、発行者名。インボイスとして使うには登録番号と税率ごとの消費税額などが加わる。
- 個人事業主は屋号と氏名を併記し、士業は報酬と立替実費を、任意団体は収入の趣旨を分けて書く。小売・飲食店は宛名を省略できる適格簡易請求書を活用できる。
- 法人間取引では請求書との二重計上に、建設業では但し書きの工事名や支払いの回数に注意する。講演料などの報酬は、報酬額、消費税額、源泉徴収税額、受取額を分けて書く。
- クレジットカード払いやPDF発行では収入印紙は不要だが、PDFの領収書は電子データのまま検索できる形で保存する。
- 受け取る領収書が増えてきたら、場面ごとの受け付け基準を社内規程にまとめ、経費精算システムの資料を比べて、確認と保存を仕組み化することを検討する。
制度の細かな取り扱いは改正されることがあるため、運用を始める前と見直しの際には、国税庁の最新情報もあわせて確認してください。
参考文献
- 国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6625.htm
- 国税庁「インボイスQ&A 問24 適格簡易請求書の交付ができる事業」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/24.pdf
- 国税庁「インボイスQ&A 問25 適格請求書の様式」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/25.pdf
- 国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7105.htm
- 国税庁「No.7125 営業に関しない受取書」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7125.htm
- 国税庁 質疑応答事例「クレジット販売の場合の領収書」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/19/37.htm
- 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/10.htm
- 国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
- 国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm
- 国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm









