ティール組織とは?意味・5段階モデル・メリット・デメリット・日本企業の事例

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  • ティール組織の意味と、5段階モデル・3つの要素がわかる
  • メリット・デメリット、日本企業の事例、導入の5ステップがわかる
  • 導入前に組織診断ツールで自社の状態を数値で把握する方法がわかる

ティール組織とは、上司や階層による管理に頼らず、メンバー一人ひとりが意思決定を担い、組織の存在目的に沿って自律的に動く「進化型」の組織モデルです。フレデリック・ラルー氏が著書『Reinventing Organizations』で示し、日本では2018年に『ティール組織』として刊行されて広まりました。ティール(teal)は青緑色を意味する英語で、組織の発達段階を色で表したときの5番目にあたります。一方で、考え方に共感して役職や制度だけを先に変えると、現場が混乱しやすいことも知られています。この記事では、意味と5段階モデル、3つの要素、メリット・デメリット、日本企業の事例、導入のステップ、労務面の注意点、よくある失敗までを、導入前に自社の状態を把握する方法とあわせて解説します。

ティール組織への準備、どこから手を付けるか2問で確認

Q1. ティール組織の3つの要素のうち、いま自社で一番手当てしたいのはどれですか?

目次

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  1. ティール組織とは|意味と提唱者
  2. 導入前に自社の組織状態を測る|組織診断ツールの役割の違い
  3. 組織の5段階モデル(レッドからティールまで)
  4. ティール組織を構成する3つの要素
  5. ティール組織と似た言葉との違い|階層型・ホラクラシー・フラット組織
  6. ティール組織のメリット・デメリット
  7. ティール組織の日本企業の事例|ネットプロテクションズの人事制度
  8. ティール組織の導入ステップ
  9. 導入前に確認したい労務・法務のポイント
  10. 導入時によくある失敗パターン
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ|今日からできる4つのこと
  13. 参考文献

ティール組織とは|意味と提唱者

ティール組織とは、経営者や上司が細かく指示・管理しなくても、メンバーが自ら判断して動き、組織の存在目的の実現に向かって進化し続ける組織のことです。

ティール組織は、組織開発の分野で活動してきたフレデリック・ラルー氏が、2014年の著書『Reinventing Organizations』で示した考え方です。日本語版『ティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)は2018年1月に発売されました。ティール(teal)は青緑色を意味し、組織の発達段階を色で表したときの最も新しい段階を指します。同書では、組織を決められたとおりに動く「機械」ではなく、環境に合わせて自ら変化する「生命体」にたとえています。

導入前に自社の組織状態を測る|組織診断ツールの役割の違い

ティール組織を検討するときは、制度の設計より先に、組織診断ツールで裁量・心理的安全性・目的への共感といった土台の状態を部署別に測ります。

権限を現場に移してうまくいくかどうかは、メンバーが安心して意見を言えるか、組織の目的に共感しているか、上司と部下の間に信頼があるかといった土台に左右されます。こうした状態は経営者や管理職の感覚と現場の実感がずれやすく、ヒアリングだけではつかみにくいため、従業員への匿名アンケートで数値にする組織診断ツールが役立ちます。ビジネスコンシェルジュに掲載されている3つのサービスを、商品ページの記載にもとづいて、使いどころの違いで整理しました。優劣や順位ではありません。

ティール組織の準備に使える組織診断ツール3サービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

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サービス Wevox ラフールサーベイ ミキワメAI 適性検査
向いている会社 組織のパフォーマンス向上を目指して、まず導入したいあらゆる企業 課題発見も重視し、サポート体制の手厚さを求める企業 低コストで採用ミスマッチを防止したい企業(従業員は無料で受検と紹介されている)
特徴 1か月の無料トライアルがあり、最低利用人数・最低利用年数の定めがない。測定に加えて学習支援・活用支援のサービスも提供 専任担当によるサポート。組織の状態を可視化する設問を網羅し、実施プランの自動作成など運用が簡単 性格分析に特化し、適正配属につなげられる。受検から分析・活用まで一貫して低コストで使え、支援チームもある
注意したい点 高度分析・セキュリティオプションなどは別途契約が必要 組織課題の解決に効果的なオプションサービスは見積もりでの依頼 採用向けの適性検査で、組織の状態を測る診断とは目的が異なる。紙や会場での受検には対応していない
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表の内容は各商品ページの記載(2026年10月19日確認)です。表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

ティール組織の試行は、まず一つの部署から始めるのが一般的です。部署単位で測り、前後の変化を比べたい場合の一例がWevoxです。商品ページでは、1か月の無料トライアルがあること、最低利用人数・最低利用年数の定めや、初期費用・契約の縛りがないことが紹介されています。測定だけでなく「学習支援」や「活用支援」のサービスも提供されており、結果をどう読み、次の一手にどうつなげるかを考える場面でも参考になります。注意点として、高度分析やセキュリティオプションなどは別途契約が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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組織のパフォーマンスが向上!まずは導入したいあらゆる企業におすすめ

全体評価
3.7 (3件)
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1人当たり300円/月~で気軽にサーベイを始められ、AIによるビッグデータを基にしたサポートと組織のコミュニケーション強化を図れるツールを選択するなら、Wevoxの導入がおすすめです。

評判・口コミを紹介

Wevoxが最も手軽に経営幹部へ意見を届けられるツールだと感じている従業員が多いように思います。直属の上司に相談しづらい、あるいは、どこに相談すればいいかわからないような悩みを伝えられることに加え、匿名であることにメリットを感じている従業員が多いようです。

導入事例(NECネッツエスアイ・サービス株式会社)|株式会社アトラエ

GOOD

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  • 1ヶ月の無料トライアルがあり、最低利用人数・最低利用年数なし、初期費用や契約の縛りもない
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  • 充実した機能で使いやすく、金融や物流・飲食・ITなど、あらゆる業種・業界で導入ができる
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  • 高度分析・セキュリティオプションなどは別途契約が必要
評価・口コミ(一部抜粋)
3.7
  • 社員の満足度や不満ポイントを毎月認識できるので、納得度の高い福利厚生や不満が多い社内施策などリアルボイスを回収できる。さらに、毎月のポイント推移が見れるのでスコアが上がっているのか下がっているのかなど分析するのに便利。

  • 当社では、この結果をもとに部署ごとにエンゲージメント指数をはかり、チーム単位でエンゲージメント指数をもっと上げていこう、というエンゲージメント活動をスタートしました。普段関わりの少ない他部署メンバーと交流する機会を作る等、このサービスを通して直接業務には関係なくとも仕事のモチベーションを上げるためにどうしたらいいか、と考える機会ができたことが大きなメリットだと思います。

  • サービスを導入したことで、これまで感覚に頼っていた組織の状態を定量的に可視化できるようになり、エンゲージメントの低下や離職リスクを早期に発見できるようになりました。スマホでも簡単に回答できるユーザーインターフェースで、回答率が高く、現場の声をリアルタイムで把握可能でした。グループ単位での分析やアドバイスコメントもあり、具体的な改善アクションにつなげやすい点を評価しています

Wevoxの公式サイトには、全社ではなく事業部単体で導入した事例が掲載されています。クラシエ株式会社ヘルスケア事業部の担当者は、サーベイの運用について次のように述べています。

「2024年3月から月1回、サーベイを実施しています。当初は、まずは結果を分析してヘルスケア事業部の課題の根っこを見つけることを第一としていました。」
出典:Wevox「ひとつの原体験から生まれた『想い』が起点に。全社ではなく、事業部単体にこだわりエンゲージメント活動に取り組む理由」(クラシエ株式会社)

ティール組織の導入でも、いきなり全社で始めるのではなく、状態を確かめられる単位から測り始める進め方は参考になります。残る2つのサービスについては、3つの要素と導入ステップの章で、それぞれの使いどころに沿って紹介します。

組織の5段階モデル(レッドからティールまで)

ラルー氏は組織の発達を5つの段階に分け、それぞれを色で表しました。ティール組織は5番目にあたります。各段階の特徴は次のとおりです。

段階 特徴 書籍の紹介ページにある例 意思決定の形
レッド(衝動型) 力や恐怖による支配。短期的な判断が中心 マフィア、ギャング 力を持つ個人が決める
アンバー(順応型) 規則と規律による階層構造。役割が固定され安定を重視 教会、軍隊、官僚組織 階層に沿った上意下達
オレンジ(達成型) 成果と効率を重視。目標管理と実力主義 多国籍企業 数値目標にもとづく管理
グリーン(多元型) 多様性と平等、文化を重視。ボトムアップの意思決定 コミューン、非営利組織、サウスウエスト航空 話し合いによる合意形成
ティール(進化型) 自主経営・全体性・存在目的を軸に、生命体のように自律的に運営 同書の事例調査で取り上げられた組織(後述) 助言を得たうえで担当者が決める

出典:英治出版「ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」書籍紹介ページ(https://eijipress.co.jp/products/2226)

各段階の読み方

レッドは、強いリーダーの力で集団をまとめる段階です。アンバーでは階層と規則が生まれ、長期的に安定した運営ができるようになります。オレンジは、目標を立てて成果を測り、実力に応じて昇進する仕組みが特徴です。グリーンでは、成果だけでなく人間関係や価値観の共有を重んじ、現場に権限を移す動きが出てきます。ただし階層そのものは残っており、合意形成に時間がかかりやすい面があります。ティールは、こうした課題に対して、階層による承認ではなく個人の判断と相互の助言で物事を進める段階です。

日本の企業はどの段階に近いのか

日本では、目標管理と実力主義を軸にしたオレンジ(達成型)に近い組織が多いと説明されることがあります。成果を求め続ける運営は柔軟性や対応力を生む一方、長時間労働や、働く人の人間らしさが後回しになる問題とも結びつけて語られてきました。働き方を見直す社会の動きのなかで、成果と人間らしさの両立を目指す組織モデルとしてティール組織が注目された、という見方が一般的です。

ここで押さえたいのは、「自社は何色か」と一括りにして決める必要はないという点です。ひとつの会社の中に複数の段階が混在するのが普通で、製造部門は規則重視、開発部門は権限移譲が進んでいる、といった違いは珍しくありません。部署ごと、テーマごとに見ていくほうが実態に合います。冒頭で紹介した組織診断の結果を部署別に見ると、この違いを具体的に把握できます。

5段階モデルを使うときの注意点

5段階モデルは、後の段階ほど優れているという序列を示すものではありません。事業の性質や置かれた環境によって、適した段階は変わります。安全や品質のために統一した手順が欠かせない業務では、アンバーやオレンジの要素が有効に働きます。目指す段階を決める前に、まず自社の現在地を確かめることが出発点です。

ティール組織を構成する3つの要素

ティール組織を構成する3つの要素は、自主経営(セルフマネジメント)、全体性(ホールネス)、存在目的(エボリューショナリーパーパス)です。ラルー氏は、従来の組織の限界を突破するものという意味で、これらを「ブレイクスルー」と呼んでいます。

自主経営(セルフマネジメント)

自主経営とは、上司の承認を前提とせず、メンバーが自分の判断で仕事を進める仕組みです。代表的な方法が「助言プロセス」です。何かを決めようとする人は、その決定の影響を受ける人や、その分野に詳しい人に助言を求めます。そのうえで、最終的な判断は本人が行います。全員の合意を必要としないため速く決められ、同時に独断にもなりにくい点が特徴です。予算や人員配置、採用といった事柄まで、チームが自ら決める組織もあります。

全体性(ホールネス)

全体性とは、メンバーが職場で自分の一部を隠さず、ありのままの自分でいられる状態を指します。多くの職場では、合理的で有能な面だけを見せ、不安や迷いは表に出さないことが求められがちです。ティール組織では、こうした面も含めて受け入れる環境を整えます。意見の対立や失敗を率直に話せる心理的安全性が土台となり、自主経営で必要になる率直な助言のやり取りを支えます。

存在目的(エボリューショナリーパーパス)

存在目的とは、組織が何のために存在するのかという問いへの答えであり、しかも状況に応じて変化していくものとされています。経営者が定めた中期計画を全員で追うのではなく、メンバーが現場で感じ取った変化をもとに、組織が進む方向を見直し続けます。上司の指示がない状況では、この存在目的が判断のよりどころになります。

3つの要素と組織診断で見たい項目の対応

3つの要素は抽象的に聞こえますが、組織診断で測れる項目に置き換えると、自社の準備状況を具体的に確かめられます。対応の目安は次のとおりです。

要素 組織診断で見たい項目 数値が低い場合に起こりやすいこと
自主経営 仕事の裁量、意思決定への関与、役割の明確さ 権限を渡しても誰も決めず、判断が止まる
全体性 心理的安全性、上司や同僚との信頼関係、心身の状態 助言を求めにくく、問題が表に出てこない
存在目的 理念や方針への共感、仕事の意義の実感 各自の判断がばらばらになり、方向がそろわない

3つすべてが高い必要はありません。低い項目がどこかを把握しておくと、権限移譲の前に補うべき点が明確になります。心理的安全性や心身の状態まで含めて部署別に洗い出したい場合の一例が、ラフールサーベイです。商品ページでは、組織の状態を可視化するための設問を網羅し、強みと課題の発見につながること、専任担当による徹底的なサポートを受けられること、従業員設定や実施プランの自動作成など導入や運用が簡単に行えることが紹介されています。上の表の項目が設問に含まれるかは、資料で確認してください。注意点として、組織課題の解決に効果的なオプションサービスは見積もりでの依頼になります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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企業に関わる人すべてが身体的・精神的・社会的に満ち足りた状態を実現し、従業員のセルフマネジメントを促進するなら、ラフールサーベイの導入がおすすめです。

評判・口コミを紹介

「ショートサーベイ」で把握できる、メンタル・フィジカル・エンゲージメントの結果をもとに、気になる点数が出ている時、振れ幅が大きい時などに、社員に声をかけたり、面談を行うようにしています。

悪化する前に未然に対応できるようになったことは大きな利点です。

活用事例(株式会社平山組)|株式会社ラフール

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  • 専任担当による、徹底的なサポートを受けられる
  • 組織の状態を可視化するための設問を網羅し、強みと課題の発見につながる
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  • 組織課題解決に効果的なオプションサービスは見積もりで依頼

ラフールサーベイの公式サイトには、全社の状態把握と個人のケアを使い分けた事例が掲載されています。日本プラスト株式会社の担当者は、運用の方法を次のように述べています。

「半年に1回のディープサーベイと月1回のショートサーベイを実施しています。ディープサーベイは、組織全体の状態の可視化、改善のために活用し、結果に基づいて改善プランを作成し、各部署で実行していくアプローチを取っています。」
出典:ラフールサーベイ「社員のケア・エンゲージメント向上から、人的資本経営の実現を目指す製造業の組織改革:日本プラスト株式会社のラフールサーベイ活用事例」
3サービスの役割を比較表で見る

ティール組織と似た言葉との違い|階層型・ホラクラシー・フラット組織

ティール組織は組織のあり方を示す概念で、ホラクラシーはその実現手段のひとつ、フラット組織は階層の数を減らした形を指し、それぞれ別のものです。

従来の階層型組織との違い

多くの企業が採用している階層型組織と比べると、違いは意思決定、情報、役割、目標の4点に表れます。

比較の観点 階層型組織 ティール組織
意思決定 上司や管理職が承認して決める 担当者が関係者の助言を得たうえで自分で決める
情報の扱い 役職に応じて共有範囲が決まる 経営数値を含めて広く公開する
役割 役職と職務記述で固定される 状況に応じて柔軟に入れ替わる
目標 上位の計画から下へ割り振る 存在目的に照らしてチームが自ら定める

ホラクラシーとの違い

ティール組織とよく並べて語られる言葉にホラクラシーがあります。ホラクラシーは、ブライアン・ロバートソン氏が開発に携わった組織運営の手法で、役割(ロール)とチーム(サークル)の単位で権限を分散させ、会議の進め方や決め方を明文化したルールに沿って運用します。英治出版の書籍紹介ページでも、ホラクラシーは「組織運営モデル」として、ティール組織の事例とは別に紹介されています。

ティール組織が組織のあり方や発達段階を説明する概念であるのに対し、ホラクラシーはそれを実現するための具体的な運営方法のひとつです。ティール組織を目指すからといってホラクラシーの採用が必須になるわけではなく、自社に合った決め方を独自に設計している組織もあります。

フラット組織との違い

階層の数を減らしたフラット組織も似た言葉ですが、階層を減らしただけで意思決定が上位者に集まったままであれば、ティール組織とは別のものです。ティール組織の本質は、階層の数ではなく、誰がどのように決めるかにあります。

ティール組織のメリット・デメリット

ティール組織には、意思決定の速さや主体性の向上といった利点がある一方、責任の所在や既存制度との整合といった運営の難しさもあります。両面を並べて確認します。

メリット デメリット
承認の段階が減り、意思決定が速くなる 責任の所在があいまいになりやすい
メンバーの主体性と仕事への意欲が高まりやすい メンバーの自己管理能力に成果が左右される
現場の気づきを生かした改善や新しい取り組みが生まれやすい 進捗やリスクを全体で把握しにくい
環境の変化に合わせて役割を柔軟に変えられる 評価・賃金など既存の制度と合わなくなる

メリット

最も大きな利点は、判断が現場で完結することによる速さです。顧客に近い担当者がその場で決められるため、承認待ちの時間がなくなります。また、自分で決めた仕事には当事者意識が生まれやすく、主体性や仕事への意欲の向上が期待できます。

仕事への意欲については、公的な分析もあります。厚生労働省の「令和元年版 労働経済の分析」は、仕事に対する前向きで充実した心理状態を表すワーク・エンゲイジメントに着目し、「働きがい」と様々なアウトカムとの関係性を取り上げています(出典:厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析」https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/19/19-1.html)。ティール組織そのものの効果を示した資料ではありませんが、裁量や働きがいを高める取り組みが組織運営上の課題として注目されていることがわかります。

デメリット

一方で、誰が最終的な責任を負うのかが見えにくくなる点は、多くの解説で指摘されています。判断を任された経験の少ないメンバーが多い場合、決められずに仕事が止まることもあります。管理職による進捗確認がなくなるため、問題の発見が遅れるおそれもあります。助言プロセスは全員の合意を求めるものではありませんが、影響を受ける人から助言を集める手間はかかります。急ぎの案件で助言の集まりを待つ運用にすると、かえって判断が遅れることもあるため、期限の決め方も合わせて設計が必要です。

日本企業では、年功的な処遇や、事前の根回しで合意を固める習慣が残っている職場も少なくありません。こうした環境では、個人が自分の名前で決めるという進め方に抵抗が生まれやすく、定着に時間がかかります。評価や賃金の仕組みも役職を前提にしていることが多いため、制度面の見直しが避けられません。

向いている組織・慎重に検討したい組織

業務の性質によって、取り入れやすさは変わります。業種別の傾向を整理すると次のようになります。

  • IT・開発系:専門性が高く現場の判断が成果に直結するため、チーム単位の自主経営と相性がよい。人数が増える段階で役割の再整理が必要になりやすい
  • 訪問型の医療・介護サービス:地域ごとの小さなチームで利用者に向き合う形は自主経営になじみやすい。法令で求められる管理体制や記録は別途確保する必要がある
  • 製造業:品質・安全のための標準化が欠かせず、全社での導入は難度が高い。改善活動やプロジェクト単位での部分的な権限移譲が現実的
  • 多店舗型のサービス業:接客現場の裁量を広げやすい一方、店舗間で品質がばらつかないよう共通の基準を残す必要がある
組織診断ツール3サービスの違いを見る

ティール組織の日本企業の事例|ネットプロテクションズの人事制度

ティール組織を取り入れている日本企業の例として、株式会社ネットプロテクションズは、公式サイトで自社をティール型組織の実現を目指す会社と位置づけ、人事評価制度「Natura」の内容を公開しています。

同社の公式サイトによると、「Natura」は、自律・分散・協調を実現するティール型組織のために作った人事制度で、社員間の競争意識を排除し、心理的安全性を醸成することを目的としています。公開されている主な特徴を、ティール組織の要素との関係とあわせて整理しました(2026年10月19日確認)。

制度の要素 公式サイトの記載 この記事での読み取り
マネージャー役職の廃止 特定のメンバーに恒久的に権限・責任が集中する、役職としてのマネージャーを廃止 自主経営。役職は外しても、決める機能は残る
流動的な「カタリスト」の役割 情報・人材・予算の采配権限を持つ役割。各期で交代でき、権限行使ではなく権限の移譲・共有がミッション 管理の機能を、固定の役職ではなく入れ替え可能な役割として残している
バンド制(6段階のグレード) 職務グレードを細分化せず、グレードは全社員に開示。バンド内の昇給は基本的に自動昇給 情報の公開と、安心して挑戦できる保証
360度評価 業務をともに行うメンバーがコンピテンシーを6段階で評価し、昇格・昇給を決定 上司ひとりの評価に代えて、周囲の評価を使う

出典:株式会社ネットプロテクションズ「人事評価制度『Natura』」(https://corp.netprotections.com/culture/natura/)

この事例から読み取れる3つのこと

1つ目は、役職をなくしても、情報・人材・予算の采配という機能は残し、担い手を交代できる形にしていることです。後述する失敗パターンのとおり、役職と一緒に管理の機能までなくすと仕事が滞るため、機能を誰が担うかを設計することが欠かせません。

2つ目は、評価・報酬の制度をセットで作り替えていることです。同社は基本給与を「能力・姿勢への対価」とし、「成果への対価」は賞与で決めると説明しています。役職を前提とした評価や賃金のままでは自主経営が続かないという、前述のデメリットへの一つの答えといえます。労務面の確認事項は後の章で整理します。

3つ目は、制度の中身は会社ごとに異なるという点です。上の特徴は同社の事業や人員構成に合わせて作られたもので、導入効果を一般化した資料ではありません。他社が同じ制度を持ち込むのではなく、自社でどの判断を現場に任せられるかを見極めることが出発点になります。

海外で紹介されている事例

ラルー氏の著書の紹介ページでは、本書で取り上げられる企業事例として、エネルギー、ITコンサルティング、在宅ケア、学校、金属メーカー、メンタルヘルス病院、食品加工など、業種も規模もさまざまな組織が挙げられています。代表例として知られるオランダの在宅ケア組織ビュートゾルフ(Buurtzorg)もその一つです。海外の事例をそのまま持ち込むのではなく、自社の業務でどの判断なら現場に任せられるかを見極めることが出発点になります。

ティール組織の導入ステップ

ティール組織は、ある日を境に全社で切り替えるものではなく、小さく試し、結果を確かめながら範囲を広げていくのが一般的な進め方です。5つのステップに分けて説明します。

始める前に|経営者自身が手放すものを決める

役職を外す前に、経営者や管理職が持っている決裁権や情報のうち、どこまでを手放すのかを言葉にしておきます。口では任せると言いながら最終承認を握り続けると、現場は「結局は上が決める」と受け取り、助言プロセスは形だけになります。経営トップが自分の関わり方を変える覚悟を示すことが、現場が判断を引き受ける前提になります。

ステップ1:現状を把握する

最初に、いまの組織の状態を確かめます。確認したいのは2つです。ひとつは、誰が何を決めているかという意思決定の実態です。承認に何段階かかっているか、どの判断が特定の人に集中しているかを書き出します。もうひとつは、メンバーの状態です。前の章で示したとおり、裁量、心理的安全性、目的への共感の度合いを把握します。

後者は面談だけでは本音が出にくく、部署間の比較も難しいため、匿名で回答できるサーベイが向いています。はじめから費用をかけることに不安がある場合は、無料トライアルや無料デモで設問や結果の見え方を確かめてから判断する方法もあります。少人数の部署だけで試し、回答のしやすさや結果の読みやすさを確認しておくと、全社で実施するときの設計がしやすくなります。

ステップ2:存在目的を言葉にする

次に、組織が何のために存在するのかを言葉にします。上司の指示がない場面で、メンバーが判断のよりどころにするのが存在目的だからです。経営者がひとりで決めて掲示するのではなく、メンバーとの対話を通じて言葉を磨いていくほうが、日々の判断に使われやすくなります。

ステップ3:小さな単位で試行する

ひとつの部署やプロジェクトを選び、任せる判断の範囲を決めて試します。ステップ1の結果から、信頼関係や裁量の実感が比較的高い部署を選ぶと進めやすくなります。あわせて、助言プロセスのルールを決めておきます。誰に助言を求めるか、決めた内容をどこに記録するか、助言を待つ期限をいつまでにするかを明確にしておくと、独断や決定の漏れ、判断の遅れを防げます。

ステップ4:情報を公開し、役割を見直す

現場が適切に判断するには、判断の材料となる情報が必要です。売上や費用などの数値、他チームの決定事項を見られる状態にします。同時に、これまで管理職が担っていた進捗確認、調整、育成といった機能を、誰がどのように引き受けるかを決めます。役職をなくしても、これらの機能自体はなくならないためです。ネットプロテクションズの事例のように、機能を固定の役職ではなく入れ替え可能な役割として残す方法もあります。

役割が流動的になるほど、メンバー一人ひとりの特性や強みを知っておく価値が高まります。誰に助言を求めるか、どの機能を誰に任せるかを、勘ではなく特性の違いを踏まえて決められるからです。その材料をそろえたい場合の一例がミキワメAI 適性検査です。商品ページでは、性格分析に特化していて活躍する人材の適正配属につなげられること、受検から分析・活用まで一貫して低コストで使えること、カスタマーサクセスチームによる支援があることが紹介されています。採用の場面で使われる適性検査であり、組織の状態を測る診断とは目的が異なる点、紙や会場での受検には対応していない点には注意が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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評価・口コミを紹介

以前は新卒採用者の50%にあたる人数が退職していたところ、ミキワメ導入から現在(2024年1月)まで新卒退職者がゼロになりました。導入前後の背景が異なるので、単純に数値を比較できないのですが、ミキワメのおかげで早期退職者が減ったのは紛れもない事実です。

導入事例(アサヒ物産株式会社)|株式会社リーディングマーク
GOOD

おすすめ!

  • 受検から分析・活用まで一貫したサービスを低コストで使える
  • 性格分析に特化しているため、活躍する人材の適正配属を実現
  • 充実したコンテンツと「カスタマーサクセスチーム」による丁寧な支援
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  • 紙での受検や会場での受検には対応していない

ミキワメAIの公式サイトには、既存社員の特性把握に使った事例も掲載されています。株式会社シーユーシー・ホスピスの事例では、効果が次のようにまとめられています。

「社員のタイプが可視化できただけでなく、職場には様々な社員がいるという認識が生まれ、相互理解が生まれ始めた。」
出典:ミキワメAI「多様な個性が活きる職場づくりに!ミキワメで実現する人材活用と組織改革」(株式会社シーユーシー・ホスピス)

ステップ5:評価・報酬を見直し、範囲を広げる

試行で得た結果を振り返り、評価や報酬の決め方を見直します。上司ひとりの評価に代えて、同僚からの評価を取り入れる方法などがあります。評価制度そのものの考え方は、人事評価システムの選び方を解説した記事も参考になります。そのうえで対象の部署を広げます。定期的に同じ設問でサーベイを行い、試行前と比べて数値がどう変わったかを確認すると、広げるかどうかの判断に根拠を持たせられます。

期間と進め方の目安

導入にかかる期間は、組織の規模や現在の状態によって大きく異なります。ひとつの部署での試行でも数か月、全社への定着には年単位の時間を見込むのが一般的です。社内だけで進める方法と、組織開発の専門家の支援を受ける方法があり、後者の費用は支援の範囲によって変わるため、複数社に範囲をそろえて見積もりを依頼すると比較しやすくなります。

ここまでの内容を、自社の準備状況に当てはめて確かめてみましょう。

ティール組織を試す前の準備度セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

導入前に確認したい労務・法務のポイント

役職や階層を見直すと、就業規則や賃金の制度にも影響が及びます。見落とされやすい点ですが、実務では避けて通れません。主な確認事項を整理します。以下は一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の対応は社会保険労務士や弁護士などの専門家に確認してください。

確認事項 関係する規定 内容
就業規則の記載 労働基準法第89条 常時10人以上の労働者を使用する事業場では、賃金の決定や計算の方法などを就業規則に定める必要がある。役職をなくしても、賃金の決め方は規程に明記する
賃金などの不利益変更 労働契約法第9条・第10条 役職手当の廃止など労働者に不利益となる変更は、原則として合意が必要とされ、就業規則の変更による場合は周知と合理性が求められる
管理監督者の扱い 労働基準法第41条第2号 管理監督者に当たるかどうかは、肩書ではなく職務内容、権限、待遇などの実態で判断されるとされている。役職の廃止に合わせて労働時間管理の対象を確認する
労働条件の明示 労働基準法第15条 役割が柔軟に変わる運用でも、労働契約の締結時には賃金や業務内容などの労働条件を明示する必要がある

就業規則の作り方については、厚生労働省が「モデル就業規則」を公開しており、規程を見直すときの参考になります(出典:厚生労働省「モデル就業規則について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html)。チームで報酬を決める仕組みを取り入れる場合も、誰が最終的に決定し、いつ本人に通知するのかを規程上で明確にしておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。

導入時によくある失敗パターン

ティール組織の導入でよく挙げられる失敗は、現状を確かめない全社一斉の導入、役職と一緒に管理の機能までなくすこと、自由と規律の混同の3つです。それぞれの起こることと対策をまとめます。

失敗パターン 起こること 対策
現状を確かめずに全社で一斉に導入する 誰が決めるのかわからず、判断が止まる 組織の状態を把握し、準備の整った部署から試す
役職とともに管理の機能までなくす 調整や育成の担い手がいなくなり、問題の発見が遅れる 進捗確認・調整・育成の機能を誰が担うかを決める
自由と規律を混同する 評価の基準があいまいになり、不公平感が広がる 任せる範囲と守るべきルールを分けて明文化する

パターン1:現状を確かめずに全社で一斉に導入する

経営者が考え方に共感し、準備期間を置かずに役職を廃止するケースです。指示を受けて動くことに慣れた現場では、急に判断を任されても動けません。結果として、誰も決めない状態や、声の大きい人の意見だけが通る状態が生まれます。

この失敗の根本には、「うちの社員なら任せても大丈夫だろう」という感覚での判断があります。実際には、部署によって信頼関係や裁量の実感に大きな差があることが少なくありません。導入の前に組織診断で部署ごとの状態を確かめておけば、どこから始めるか、どこに先に支援が必要かを根拠を持って決められます。導入後も同じ設問で定期的に測ることで、混乱の兆しを早い段階でつかめます。

パターン2:役職とともに管理の機能までなくす

「ティール組織には管理職がいない」という理解から、管理職が担っていた仕事そのものをなくしてしまうケースです。なくすのは役職という立場であり、進捗の確認、部署間の調整、新人の育成、トラブルへの対応といった機能は引き続き必要です。これらを誰が担うのかを決めないまま役職だけを外すと、仕事が滞ります。機能ごとに担当を決め、必要に応じて交代する形にすると、特定の人への集中も避けられます。

パターン3:自由と規律を混同する

全体性や自主経営という言葉が、「好きなように働いてよい」という意味で受け取られるケースです。ティール組織は規律のない組織ではありません。助言プロセスのように、上司の代わりとなる明確な決まりごとがあります。任せる範囲と、全員が守るルールや評価の基準を分けて文書にしておくことが、不公平感を防ぐうえで欠かせません。

3つのパターンに共通するのは、制度や言葉を先に変え、現場の状態の確認が後回しになっている点です。失敗を避けるには、ひとつの部署の状態を数値で確かめ、小さな範囲から試すのが現実的です。その入口として、無料トライアルがあり最低利用人数・最低利用年数の定めがないWevoxの資料を取り寄せ、試行の範囲や設問を検討する方法があります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. ティール組織とはどういう組織ですか?

A. 上司や階層による管理に頼らず、メンバーが自ら意思決定を行い、組織の存在目的に沿って自律的に動く組織モデルです。フレデリック・ラルー氏が著書『Reinventing Organizations』で示しました。自主経営・全体性・存在目的の3つを特徴とします。

Q2. ティール組織の「ティール」とはどういう意味ですか?

A. ティール(teal)は青緑色を意味する英語です。ラルー氏は組織の発達段階を色で表し、最も新しい進化型の段階にこの色を当てました。

Q3. ティール組織の5段階モデルとは何ですか?

A. 組織の発達をレッド(衝動型)、アンバー(順応型)、オレンジ(達成型)、グリーン(多元型)、ティール(進化型)の5つに分けたものです。後の段階ほど優れているという序列ではなく、ひとつの会社の中に複数の段階が混在することもあります。

Q4. ティール組織の失敗例にはどのようなものがありますか?

A. よく挙げられるのは、現状を確かめずに全社で一斉に導入する、役職と一緒に調整や育成といった管理の機能までなくす、自由と規律を混同する、の3つです。いずれも制度を先に変え、現場の状態の確認が後回しになっている点が共通しています。

Q5. ティール組織を取り入れている日本企業はありますか?

A. 株式会社ネットプロテクションズが、公式サイトで自律・分散・協調を実現するティール型組織を目指すと述べ、マネージャー役職の廃止やカタリストの役割などを含む人事評価制度「Natura」を公開しています。制度の内容は会社ごとに異なるため、そのまま他社に当てはめるものではありません。

Q6. ティール組織の導入は何から始めればよいですか?

A. 自社の現状把握から始めます。誰が何を決めているかを書き出し、裁量、心理的安全性、目的への共感の度合いを確かめます。メンバーの状態は感覚ではつかみにくいため、匿名で回答できる組織診断ツールを使い、部署ごとの違いを数値で確認する方法が有効です。

まとめ|今日からできる4つのこと

ティール組織は、自主経営・全体性・存在目的の3つを軸に、メンバーが自律的に動く組織モデルです。意思決定の速さや主体性の向上が期待できる一方、責任の所在や既存制度との整合といった課題もあります。全社で一斉に切り替えるのではなく、現状を確かめ、小さく試しながら広げることが大切です。まずは次の4つから始めてみてください。

  1. 誰が何を決めているかを書き出し、経営者や管理職が手放す権限を言葉にする
  2. 組織診断ツールの資料を取り寄せ、設問の範囲・サポート・無料トライアルの有無を比べたうえで、部署ごとの裁量、心理的安全性、目的への共感の度合いを数値で把握する
  3. 信頼関係が比較的高い部署やプロジェクトをひとつ選び、任せる判断の範囲と助言プロセスのルールを決めて試行する
  4. 役職や賃金の決め方を変える前に、就業規則や労働契約への影響を社会保険労務士などの専門家に確認する

考え方の背景にあるマズローの欲求5段階説や従業員エンゲージメントについては、マズローの欲求5段階説を解説した記事も参考になります。

参考文献

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