合名会社とは?無限責任の仕組み・設立費用・合同会社との違いを解説
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- 社員全員が無限責任を負う持分会社
- 定款の認証不要で登録免許税は6万円
- 2024年の設立は11件で合同会社が主流
合名会社とは、会社法が定める持分会社の一つで、出資者である社員の全員が、会社の債務について無限の責任を負う会社です。社員が1人でも成り立ち、設立のときに定款の公証人の認証は要らず、設立登記の登録免許税は6万円です。ただし、会社の財産で債務を払いきれないとき、社員は連帯して個人の財産でも返済する責任を負います。2024年の設立登記は、合名会社が11件、合同会社が41,774件、株式会社が98,671件でした。この記事では、条文と法務省・国税庁の公開情報に沿って、合名会社の仕組み、4つの会社形態の違い、メリットとデメリット、設立の流れと費用、設立後の経理までを整理します(2026年10月20日確認)。
合名会社の経理の手間を、2問で診断
Q1. 合名会社との関わりは?
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目次
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- 合名会社とは|社員全員が無限責任を負う持分会社
- 合名会社も会計帳簿の作成義務がある|帳簿・請求書・支払を整える3つの選択肢
- 合名会社・合資会社・合同会社・株式会社の違い|4つの会社形態を一覧で比較
- 合名会社のメリット|設立の手軽さと定款で決められる範囲の広さ
- 合名会社のデメリットと「やばい」と言われる理由|無限責任の中身
- 合名会社の運営ルール|業務執行・代表・損益分配・入退社を条文で整理
- 合名会社の設立の流れと費用|定款の作成から設立登記まで
- 合名会社は今どれくらいある?2024年の登記件数から見る現状
- 合名会社と合同会社のどちらを選ぶ?向いているケースの判断フロー
- 合名会社から合同会社・株式会社へ変更する|種類変更と組織変更
- 合名会社の設立後に必要な経理|帳簿・計算書類・請求書の保存
- よくある質問(FAQ)
- まとめ|合名会社で押さえたい5つのこと
- 参考文献
合名会社とは|社員全員が無限責任を負う持分会社
合名会社とは、出資者である社員の全員が無限責任社員で構成される持分会社です。合名会社の定款には、社員の全部を無限責任社員とする旨を記載しなければなりません(出典:e-Gov法令検索「会社法」第576条第2項、2026年10月20日確認)。
会社法は、合名会社・合資会社・合同会社を「持分会社」と総称しています(出典:e-Gov法令検索「会社法」第575条第1項、2026年10月20日確認)。持分会社の出資者は「社員」と呼ばれ、会社に雇われている従業員を指す言葉ではありません。株式会社では株主と取締役などの経営者が分かれるのが一般的なのに対し、持分会社では、定款に別段の定めがなければ社員が業務を執行します(出典:e-Gov法令検索「会社法」第590条第1項)。
無限責任とは、会社の財産で債務を返しきれないときに、出資した額にとどまらず、社員が連帯して弁済する責任を負うことです。会社法は、(1)会社の財産で債務を完済できない場合、(2)会社の財産への強制執行が効を奏しなかった場合(社員が、会社に弁済の資力があり強制執行が容易であることを証明した場合を除く)に、社員が連帯して会社の債務を弁済する責任を負うと定めています(出典:e-Gov法令検索「会社法」第580条第1項)。合名会社では全社員がこの責任を負います。有限責任社員が出資の価額を限度に責任を負う仕組み(同条第2項)とは対照的です。
合名会社の特徴を条文で確認する
- 社員の人数:条文に最低人数の定めはなく、社員が欠けたことが解散の事由とされています。社員が1人でも成り立つ形です(出典:e-Gov法令検索「会社法」第641条第4号)。
- 社員になれる者:個人のほか法人も社員になれます。登記事項に、法人である社員の職務を行うべき者の氏名・住所が含まれるためです(出典:e-Gov法令検索「会社法」第912条第6号・第7号)。
- 出資:有限責任社員の出資は金銭等に限られますが、無限責任社員にはその限定がありません。そのため合名会社では、労務や信用を出資の目的にする設計も可能です(出典:e-Gov法令検索「会社法」第576条第1項第6号)。
合名会社も会計帳簿の作成義務がある|帳簿・請求書・支払を整える3つの選択肢
合名会社を含む持分会社は、会社法により、適時に正確な会計帳簿を作り、閉鎖から10年間保存しなければなりません(出典:e-Gov法令検索「会社法」第615条、2026年10月20日確認)。無限の責任を負う社員にとって、帳簿・請求書・支払の状況を早く正確につかむ仕組みは、設立の段階から決めておきたい項目です。作業の役割ごとに3つのサービスを比べます。
合名会社の経理を支える3サービスの役割の違い
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【レビュー】マネーフォワードクラウド会計を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある会計ソフトの中でそのサービスを使ったらいいかわからないという方も多くいると思います。そこで今回は「マネーフォワードクラウド会計」の無料登録から使い方まで、利用経験ゼロの筆者が実況形式でお伝えします。
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合名会社・合資会社・合同会社・株式会社の違い|4つの会社形態を一覧で比較
4つの会社形態の最大の違いは、出資者が会社の債務に負う責任の範囲です。合名会社は全社員が無限責任、合資会社は無限責任社員と有限責任社員の組み合わせ、合同会社は全社員が有限責任、株式会社は株主が引き受けた株式の価額が限度です(出典:e-Gov法令検索「会社法」第576条・第580条・第104条、2026年10月20日確認)。
| 項目 | 合名会社 | 合資会社 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|---|---|
| 出資者の責任 | 社員の全員が無限責任 | 無限責任社員と有限責任社員 | 社員の全員が有限責任 | 株主は引き受けた株式の引受価額が限度 |
| 設立時の定款の認証 | 持分会社の設立の定め(第575条)に認証の規定はない | 同左 | 同左 | 公証人の認証が必要(第30条) |
| 設立登記の登録免許税 | 申請1件につき6万円 | 申請1件につき6万円 | 資本金の額の1,000分の7(6万円に満たないときは6万円) | 資本金の額の1,000分の7(15万円に満たないときは15万円) |
| 決算の公告 | 持分会社に公告の定めはない | 同左 | 同左 | 貸借対照表の公告が必要(第440条) |
| 経営 | 社員が業務を執行 | 原則、社員が業務を執行 | 社員が業務を執行 | 株主とは別に取締役などが経営するのが一般的 |
| 2024年の設立登記の件数 | 11件 | 19件 | 41,774件 | 98,671件 |
登録免許税は国税庁の税額表(国税庁 No.7191 登録免許税の税額表)、設立の件数は法務省の登記統計(e-Stat 登記統計 商業・法人 2024年 第32表)で確認した内容です(2026年10月20日確認)。合資会社の仕組みと株式会社との違いは、合資会社とは?意味・仕組み・株式会社との違いと設立手続きで解説しています。
合名会社のメリット|設立の手軽さと定款で決められる範囲の広さ
合名会社のメリットは、株式会社より設立の手続きと費用が軽いことと、損益の分配や出資の形を定款で自由に決められることです。主なものを条文と公的資料で確認します(2026年10月20日確認)。
| メリット | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 定款の認証が不要 | 株式会社の定款は公証人の認証を受けなければ効力を生じません。持分会社の設立に、この認証の規定はありません | 会社法第30条、第575条 |
| 登録免許税が定額 | 設立登記の登録免許税は申請1件につき6万円です。株式会社は資本金の額の1,000分の7で、15万円に満たないときは15万円です | 国税庁 No.7191 |
| 決算の公告が不要 | 株式会社の貸借対照表の公告は第440条の義務です。持分会社の章(第575条から第675条)に、決算の公告の定めはありません | 会社法第440条、第5編第2章 |
| 損益の分配を決められる | 定款に定めがなければ出資の価額に応じて分配し、定款で別の割合を定めることもできます | 会社法第622条 |
| 出資の形が柔軟 | 有限責任社員の出資は金銭等に限られますが、無限責任社員にはその限定がなく、労務や信用の出資も設計できます | 会社法第576条第1項第6号 |
| 意思決定がシンプル | 社員が業務を執行し、社員が2人以上のときは、定款に別段の定めがなければ社員の過半数で決めます。常務は各社員が単独でできます | 会社法第590条 |
これらのメリットの多くは、合同会社にも共通します。合同会社も定款の認証が不要で、決算の公告の定めがなく、損益の分配を定款で決められます。そのうえで合名会社だけにあるのは、無限責任社員のみで構成できるという点です。債権者にとっては、社員の個人財産も責任の対象になるため、回収の見込みを判断しやすい面があるという見方も、実務解説では紹介されています。
合名会社のデメリットと「やばい」と言われる理由|無限責任の中身
合名会社が「やばい」と言われる理由は、主に3つです。社員全員が会社の債務に無限の責任を負うこと、新しく設立される件数がごく少なく認知度が低いこと、株式を発行できず資金調達の手段が限られることです。違法な会社や怪しい会社という意味ではなく、会社法が定める正式な会社形態です。
無限責任で実際に何が起きるのか
社員が連帯して弁済する責任を負うのは、会社の財産で債務を完済できない場合などです(出典:e-Gov法令検索「会社法」第580条第1項)。連帯して負うため、債権者から見ると、社員のそれぞれに請求できる関係になります。社員は、会社が債権者に主張できる抗弁(支払期限が来ていない等)を、債権者に対して主張できます(出典:e-Gov法令検索「会社法」第581条第1項)。
社員を辞めても、責任はすぐには消えません。退社した社員は、退社の登記をする前に生じた会社の債務について、従前の責任の範囲で弁済する責任を負います。この責任は、登記の後2年以内に債権者が請求または請求の予告をしなければ、登記後2年を経過した時に消滅します(出典:e-Gov法令検索「会社法」第612条)。無限責任社員が有限責任社員に変わったときも、変更の登記をする前に生じた債務には無限責任社員としての責任が残ります(出典:e-Gov法令検索「会社法」第583条第3項・第4項)。
そのほかのデメリット
- 資金調達の手段が限られる:持分会社には株式がなく、株式の発行による資金調達や上場の道は取れません。資金は、社員の出資と金融機関からの借入が中心です。
- 持分の譲渡に全員の承諾が要る:社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、持分を他人に譲渡できません(出典:e-Gov法令検索「会社法」第585条第1項)。
- 社員の死亡で退社になる:死亡は法定退社の事由です。相続人が持分を承継するには、定款にその旨の定めが必要です(出典:e-Gov法令検索「会社法」第607条第1項第3号・第608条第1項)。
- 社員が欠けると解散する:社員が欠けたことは解散の事由です。ただし、総社員の同意などで解散した場合は、清算が終わるまで継続もできます(出典:e-Gov法令検索「会社法」第641条第4号・第642条第1項)。
- 知名度が低く、取引先の理解を得る手間がある:2024年の設立登記は11件で、取引先や金融機関が会社の形態に不慣れな場合があります。
本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。責任の範囲や定款の設計は、弁護士・司法書士などの専門家に相談してください。
無限責任の会社が、債務の状況を見える化しておく理由
社員が会社の債務に責任を負う合名会社では、仕入先への支払や未払の請求書の状況を、早く正確につかむことが、会社と社員の双方にとって大切です。受領した請求書の入力から承認、振込までを一つの流れで管理する場合の一例が、株式会社マネーフォワードが提供するマネーフォワード クラウド債務支払です。商品ページによると、請求書メールを自動で取り込み、AI-OCRで「支払依頼申請」の下書きを作成します。適格請求書の判定、柔軟な申請経路の設定、銀行振込APIによるワンクリックの振込にも対応しています。ただし、商品ページでは開封や受領・保管の代行はオプションとされており、持分会社に固有の機能の記載はありません。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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合名会社の運営ルール|業務執行・代表・損益分配・入退社を条文で整理
合名会社の運営は、会社法の持分会社の規定と定款で決まります。定款に別段の定めがあればそちらが優先される項目が多く、設立時に定款をどう書くかが運営の中身を左右します。主な項目を整理します(出典:e-Gov法令検索「会社法」第5編第2章、2026年10月20日確認)。
| 項目 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 業務の執行 | 定款に別段の定めがなければ、社員が業務を執行します。社員が2人以上のときは過半数で決め、常務は各社員が単独でできます(他の社員が完了前に異議を述べたときを除く) | 第590条 |
| 業務執行社員を定めたとき | 業務を執行する社員を定款で定めた場合、その社員は正当な事由がなければ辞任できません | 第591条 |
| 会社の代表 | 業務執行社員が会社を代表し、2人以上いれば各自が代表します。代表社員を定めることもできます。代表権への制限は、善意の第三者に対抗できません | 第599条 |
| 損益の分配 | 定款に定めがなければ、各社員の出資の価額に応じます | 第622条 |
| 利益の配当・出資の払戻し | 社員は請求でき、請求の方法などは定款で定められます | 第621条・第624条 |
| 持分の譲渡 | 他の社員の全員の承諾が必要です | 第585条 |
| 社員の加入 | 定款を変更した時に効力が生じます | 第604条 |
| 退社 | 存続期間を定めない場合、事業年度の終了時に退社でき、6か月前までの予告が必要です。やむを得ない事由があるときはいつでも退社できます。死亡・破産手続開始・後見開始・除名などは法定退社です | 第606条・第607条 |
| 定款の変更 | 定款に別段の定めがなければ、総社員の同意で変更します | 第637条 |
| 解散と継続 | 総社員の同意や社員が欠けたことなどで解散します。一部の事由では、清算が終わるまで社員の全部または一部の同意で継続できます | 第641条・第642条 |
合名会社の設立の流れと費用|定款の作成から設立登記まで
合名会社の設立は、社員になろうとする者が定款を作成し、その全員が署名または記名押印して、本店の所在地で設立の登記をする流れです(出典:e-Gov法令検索「会社法」第575条第1項・第912条、2026年10月20日確認)。定款の公証人の認証は不要です。会社全般の設立手続きは、会社設立とは|手続き・費用・設立後の届出までわかりやすく解説にまとめています。
- 基本事項を決める:商号、会社の目的、本店の所在地、社員(氏名または名称と住所)、各社員の出資の目的と価額を決めます。
- 定款を作成する:目的、商号、本店の所在地、社員の氏名または名称と住所、社員が無限責任社員か有限責任社員かの別、社員の出資の目的とその価額または評価の標準を記載します。合名会社では、社員の全部を無限責任社員とする旨も記載します(出典:e-Gov法令検索「会社法」第576条)。定款は電磁的記録でも作成できます(第575条第2項)。
- 出資を履行する:金銭の出資は払い込み、現物の出資は給付します。
- 設立登記を申請する:本店の所在地で、目的、商号、本店・支店の所在場所、社員の氏名または名称と住所、会社を代表する社員の氏名などを登記します(出典:e-Gov法令検索「会社法」第912条)。
- 税務などの届出をする:設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に、法人設立届出書を納税地の所轄税務署長に提出します。定款の写しを添付します(出典:国税庁 No.5100 新設法人の届出書類、2026年10月20日確認)。社会保険・労働保険の手続きも、会社の状況に応じて必要になります。
設立にかかる主な費用
| 項目 | 合名会社 | 株式会社(参考) |
|---|---|---|
| 設立登記の登録免許税 | 申請1件につき6万円 | 資本金の額の1,000分の7(15万円に満たないときは15万円) |
| 定款の認証 | 不要 | 公証人の認証が必要で、別に手数料がかかる |
| 資本金 | 持分会社の規定に最低額の定めはなく、出資の額は定款で決める | 資本金の額に応じて登録免許税が変わる |
登録免許税の額は国税庁 No.7191 登録免許税の税額表で確認できます(2026年10月20日確認)。このほかに、法人の実印の作成費用、印鑑証明書や登記事項証明書の取得費用、専門家に依頼する場合の報酬などがかかることがあります。
合名会社は今どれくらいある?2024年の登記件数から見る現状
2024年に設立登記された合名会社は11件で、合資会社の19件、合同会社の41,774件、株式会社の98,671件と比べて、ごくわずかです(出典:法務省 登記統計 商業・法人 2024年 第32表 会社及び登記の種類別 会社の登記の件数、2026年10月20日確認)。同じ表から、設立のほかの登記も並べます。
| 登記の種類(2024年) | 合名会社 | 合資会社 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|---|---|
| 設立 | 11 | 19 | 41,774 | 98,671 |
| 組織変更による設立 | 1 | 1 | 49 | 1,844 |
| 種類変更による設立 | 44 | 9 | 110 | 該当なし |
| 解散 | 82 | 350 | 5,279 | 20,795 |
| 種類変更による解散 | 12 | 147 | 4 | 該当なし |
| 清算の結了 | 85 | 334 | 4,326 | 18,717 |
この表の数字は登記の件数であり、会社の数そのものではありません。読み取れるのは次の点です。合名会社への新規の設立は年11件にとどまる一方、種類変更によって合名会社になった登記が44件ありました。合資会社が種類変更で解散(別の種類に変更)した件数は147件で、合名会社への種類変更と一部が重なる可能性はありますが、統計から内訳は読み取れません。
士業の法人制度にも、無限責任の考え方が使われている
無限責任の仕組みは、会社の形態としての合名会社が減っても、別の制度で使われています。たとえば税理士法は、税理士法人の社員について、会社法第580条第1項(社員の連帯責任)や第612条(退社した社員の責任)などを準用すると定めています(出典:e-Gov法令検索「税理士法」第48条の21、2026年10月20日確認)。専門職が自分の名で責任を負う法人の形として、合名会社に近い考え方が採られている例です。
合名会社と合同会社のどちらを選ぶ?向いているケースの判断フロー
合名会社と合同会社の違いは、社員の責任が無限か有限かという一点に集約されます。運営の自由度や設立の手軽さは共通しているため、無限責任を引き受ける理由がなければ、合同会社か株式会社を選ぶのが一般的です。次の4つの質問で考えると整理しやすくなります。
| 質問 | はいの場合 | いいえの場合 |
|---|---|---|
| 1. 社員の全員が、会社の債務について個人の財産で責任を負うことを受け入れられる? | 質問2へ | 合同会社または株式会社を検討する(合同会社は全社員が有限責任) |
| 2. 株式による資金調達や上場、ストックオプションを想定している? | 株式会社を検討する(持分会社に株式はない) | 質問3へ |
| 3. 社員どうしの信頼関係が強く、少人数で、全員が経営に関わる? | 合名会社も選択肢になる | 合同会社を検討する |
| 4. 取引先や金融機関が、会社の形態をどう見るかを確認した? | 設立の準備を進める | 先に確認する(形態が理由で取引条件が変わる場合がある) |
「合同会社がダメ」と言われるのはなぜか
合同会社は、合名会社より有限責任で守られる一方、財源の面で制限があります。利益の配当は、配当額が配当をする日の利益額を超える場合にはできません(出典:e-Gov法令検索「会社法」第628条)。出資の払戻しも、定款を変更して出資の価額を減少する場合を除いて請求できず、剰余金額を超える払戻しは制限されています(出典:e-Gov法令検索「会社法」第632条、2026年10月20日確認)。これらの財源の制限は合同会社に置かれた規定で、合名会社の配当・払戻しの条文(第621条・第624条)にはありません。「ダメ」というより、合同会社は有限責任と引き換えに、債権者を守るための制限を受ける形態です。そのほか、株式会社と比べた知名度や、株式による資金調達ができない点を理由に、株式会社を選ぶ会社もあります。
合名会社から合同会社・株式会社へ変更する|種類変更と組織変更
合名会社は、定款の変更で別の種類の持分会社に変わる(種類変更)ことも、組織変更で株式会社になることもできます。定款の変更は、定款に別段の定めがなければ総社員の同意で行います(出典:e-Gov法令検索「会社法」第637条、2026年10月20日確認)。
| 変更の内容 | 方法 | 条文 |
|---|---|---|
| 合名会社から合資会社へ | 有限責任社員を加入させる定款の変更、または社員の一部を有限責任社員とする定款の変更 | 第638条第1項第1号・第2号 |
| 合名会社から合同会社へ | 社員の全部を有限責任社員とする定款の変更 | 第638条第1項第3号 |
| 合名会社から株式会社へ | 組織変更計画を作成し、効力発生日に株式会社になる。持分会社の組織変更は、定款に別段の定めがなければ総社員の同意が必要 | 第743条・第746条・第747条・第781条第1項 |
無限責任社員が有限責任社員になっても、変更の登記をする前に生じた債務については、無限責任社員として弁済する責任が残ります。この責任は、登記後2年以内に債権者が請求または請求の予告をしなければ、登記後2年を経過した時に消滅します(出典:e-Gov法令検索「会社法」第583条第3項・第4項)。変更の手続きと登記は専門家に相談してください。
合名会社の設立後に必要な経理|帳簿・計算書類・請求書の保存
合名会社の設立後に必要な経理は、会計帳簿の作成と保存、毎事業年度の計算書類の作成と保存、税務の申告です。決算の公告は持分会社の義務ではありませんが、会計帳簿と計算書類は作る必要があります(出典:e-Gov法令検索「会社法」第615条・第617条、2026年10月20日確認)。
| 項目 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 会計帳簿 | 適時に正確な会計帳簿を作成し、閉鎖の時から10年間、帳簿と事業に関する重要な資料を保存する | 会社法第615条 |
| 成立の日の貸借対照表 | 会社の成立の日における貸借対照表を作成する | 会社法第617条第1項 |
| 各事業年度の計算書類 | 各事業年度に係る計算書類を作成し、作成の時から10年間保存する | 会社法第617条第2項・第4項 |
| 計算書類の範囲 | 合名会社と合資会社は、損益計算書・社員資本等変動計算書・個別注記表を、規則に従って作成すると定めた場合に、その定めたものが対象になる。合同会社は3つとも対象 | 会社計算規則第71条 |
| 社員による閲覧 | 社員は、営業時間内はいつでも計算書類の閲覧・謄写を請求できる | 会社法第618条 |
会社計算規則の定めでは、合名会社が作らなければならない計算書類は貸借対照表が基本で、損益計算書などは作ると定めた場合に対象になります(出典:e-Gov法令検索「会社計算規則」第71条、2026年10月20日確認)。税務上必要な書類は別に確認が必要なため、顧問税理士や所轄の税務署に確認してください。
請求書も「事業に関する重要な資料」として10年間保存する
会計帳簿とあわせて、事業に関する重要な資料も10年間の保存が求められます。取引先から届く請求書は、その代表的なものです。紙で届く請求書、メールで届くPDFなどを、保存の面でも支払の面でも一か所で扱いたい場合の一例が、Sansan株式会社が提供するBill One請求書受領です。商品ページによると、請求書をオンラインで受け取ってデータ化し、クラウド上で一元管理でき、家賃や顧問料など毎月発生する定額の支払いを自動で登録する設定や、仕訳入力にも対応します。電子帳簿保存法とインボイス制度の法改正にも都度対応するとされています。データ化の精度は、Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合のものとして、99.9%と紹介されています。ただし、商品ページには持分会社に固有の機能の記載はなく、価格を確認するには問い合わせが必要です。
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Bill One請求書受領
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月次決算が加速!社内全体の請求書業務を加速させたい企業におすすめ

評判・口コミを紹介
Bill Oneであれば紙の請求書でもオンラインで受領・データ化することが可能なため、それらの作業を行うことなく、請求書をオンラインで簡単に確認できるようになり、業務時間を3000時間程度削減できました。また、テレワークの前に請求書をスキャンするための残業がなくなり、経理担当者1人あたりのテレワーク実施時間が月44時間から月84時間へと増加しました。
ニュース(株式会社ボディワークホールディングス)|Sansan株式会社
おすすめ!
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気になる…
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支払請求書の管理漏れを防げるようになりました。紙で届いた請求書もスキャンして取り込めるうえ、電子帳簿保存法に対応しているため、紙の保管・管理の手間が大幅に削減。業務効率が格段に向上しました。さらに、300件/月まではずっと無料で利用できる点もコストめんで大変ありがたく、導入しやすかったです。
導入事例として、株式会社サッポロライオンは、全国100店舗以上で対応していた請求書業務を集約し、業務効率化を実現したと、Bill One請求書受領の公式サイトで紹介されています。
「全国100店舗以上で対応していた請求書業務を集約し、業務効率化を実現」
株式会社サッポロライオン導入事例の見出し。出典:Bill One請求書受領「導入事例」、2026年10月20日確認
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合名会社の経理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
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ここまで見てきたとおり、合名会社は社員が会社の債務に責任を負う形態です。そのため、帳簿・請求書・支払の状況を正確につかめる仕組みを設立の段階から整えることが、会社と社員の両方を守ることにつながります。設立後の経理を見直したいときは、3つの資料をまとめて取り寄せて比べる方法もあります。
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Q1. 合名会社とはどんな会社ですか?
A. 合名会社とは、出資者である社員の全員が無限責任社員で構成される持分会社です。社員は会社の財産で債務を払いきれないとき、連帯して個人の財産でも弁済する責任を負います。社員が業務を執行して会社を代表し、設立のときに定款の公証人の認証は要りません。設立登記の登録免許税は6万円です。2024年の設立登記は11件でした。
Q2. 合同会社と合名会社の違いは何ですか?
A. 最大の違いは社員の責任です。合名会社は全社員が無限責任、合同会社は全社員が有限責任で、出資の額が限度です。定款の認証が不要で決算の公告の定めがないことや、損益の分配を定款で決められることは共通します。合同会社には利益の配当や出資の払戻しに財源の制限があり、設立登記の登録免許税は資本金の額の1,000分の7(最低6万円)です。合名会社は定額の6万円です。
Q3. 合名会社はやばいと言われるのはなぜですか?
A. 社員全員が会社の債務に無限の責任を負うこと、新しく設立される件数がごく少なく認知度が低いこと、株式を発行できず資金調達の手段が限られることが理由です。違法な会社や怪しい会社ではなく、会社法が定める正式な形態です。責任の重さを理解したうえで、社員どうしの信頼関係が強い少人数の事業に使われます。責任の範囲は専門家に確認してください。
Q4. 合同会社がダメだと言われるのはなぜですか?
A. 合同会社は有限責任で守られる一方、利益の配当は配当額が利益額を超える場合にできず、出資の払戻しも制限されるなど、債権者を守るための財源の制限があります。また、株式会社と比べると知名度が低いことや、株式による資金調達ができないことを理由に、株式会社を選ぶ会社もあります。合名会社と比べて劣るという意味ではなく、形態ごとの制限の違いです。
Q5. 合名会社の設立にはいくらかかりますか?
A. 国税庁の税額表では、合名会社の設立登記の登録免許税は申請1件につき6万円です。定款の公証人の認証は不要なので、その手数料はかかりません。このほかに、法人の実印の作成費用、印鑑証明書や登記事項証明書の取得費用、専門家に依頼する場合の報酬などがかかることがあります。
Q6. 合名会社から合同会社や株式会社に変更できますか?
A. できます。社員の全部を有限責任社員とする定款の変更で合同会社になり、組織変更計画を作成して株式会社になることもできます。ただし、無限責任社員が有限責任社員になっても、変更の登記の前に生じた債務には無限責任社員としての責任が残り、登記後2年以内に債権者が請求または請求の予告をしなければ消滅します。手続きは専門家に相談してください。
まとめ|合名会社で押さえたい5つのこと
合名会社は、社員の全員が無限責任を負う持分会社です。責任の重さを理解したうえで、設立後の運営と経理まで見通して選ぶことが大切です。最後に、押さえておきたい点を整理します。
- 全社員が無限責任:会社の財産で債務を払いきれないとき、社員は連帯して個人の財産でも弁済します。退社後も、登記の前の債務には責任が残ります。
- 設立は軽い:定款の公証人の認証は不要で、設立登記の登録免許税は6万円です。決算の公告の定めもありません。
- 合同会社と比べて選ぶ:運営の自由度は共通するため、無限責任を引き受ける理由がなければ、合同会社か株式会社を検討します。2024年の合名会社の設立は11件でした。
- 会計帳簿と計算書類は必要:適時に正確な会計帳簿を作り、10年間保存します。請求書などの重要な資料も同じです。
- 経理の仕組みを整える資料を取り寄せる:帳簿づけならマネーフォワード クラウド会計、請求書の受領と保管ならBill One請求書受領、承認から振込までならマネーフォワード クラウド債務支払と、役割が違う選択肢があります。
本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言や税務上の助言ではありません。個別の判断は、弁護士・司法書士・税理士などの専門家や、所轄の税務署に相談してください。法令・統計と各社の商品ページは、2026年10月20日確認した内容に基づきます。
参考文献
- デジタル庁 e-Gov法令検索「会社法」(第30条・第104条・第440条・第575条・第576条・第580条・第581条・第583条・第585条・第590条・第591条・第599条・第604条・第606条・第607条・第608条・第612条・第615条・第617条・第618条・第621条・第622条・第624条・第628条・第632条・第637条・第638条・第641条・第642条・第743条・第746条・第747条・第781条・第912条)、2026年10月20日確認
- デジタル庁 e-Gov法令検索「会社計算規則」(第71条)、「税理士法」(第48条の21)、2026年10月20日確認
- 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」、「No.5100 新設法人の届出書類」、2026年10月20日確認
- 法務省 登記統計 商業・法人(e-Stat)「第32表 会社及び登記の種類別 会社の登記の件数(2024年)」、2026年10月20日確認
- 実務解説:マネーフォワード クラウド会社設立「合名会社・合資会社・合同会社・株式会社の違いやメリットをわかりやすく解説」、freee「合名会社とは?設立方法やメリット・注意点をわかりやすく紹介」、弥生「合名会社の設立方法とは? 合名会社の特徴とメリットデメリット」、CIAC.JP「合名会社」、2026年10月20日確認
- マネーフォワード「株式会社HITOMIOテクノロジーズ導入事例」「宇都宮ヤクルト販売株式会社導入事例」、Sansan株式会社「Bill One請求書受領 導入事例」、2026年10月20日確認
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