BPO比較の5軸|型・費用範囲・情報管理を同じ条件で比べる方法

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  • BPOの比較は業務の領域を決めてから始める
  • 5軸を同じ条件でそろえて並べて比べる
  • 個人データの監督責任は委託後も自社に残る

BPOサービスを比較するときは、事業者の名前や規模から入るのではなく、委託したい業務の領域、事業者の型、対応範囲、費用の範囲、情報管理の5つの軸を、同じ条件でそろえて並べます。BPOはBusiness Process Outsourcingの略で、業務プロセスの運営を外部の専門事業者に継続して任せる形のため、同じ「BPO」や「代行」と呼ばれていても、受電だけを担う窓口業務から契約書の確認まで、中身は事業者によって大きく異なります。本記事では、比較の前に決めること、事業者の型と5つの軸、見積もりを同じ条件で比べる方法、委託しても自社に残る個人データの監督責任、BPOと代行・外注・人材派遣の違い、当サイトに掲載の3サービスの役割の違いを整理します。内容は2026年10月23日時点の公的機関の公開情報と、各サービスの商品ページ、事業者の公開ページにもとづきます。順位や優劣はつけていません。

BPOを比べる前に、まず任せたい業務を診断

Q1. 比較したい業務は、どちらに近いですか?

目次

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  1. BPOを比較する前に決めること|業務の領域ごとに委託先は分かれる
  2. 当サイト掲載の3サービスを横並びで比べる|役割の違い
  3. BPOを比較する5つの軸|事業者の型・対応範囲・費用・情報管理・終了時
  4. 見積もりを同じ条件で比べる|依頼書と比較シートの作り方
  5. 個人データと契約の確認|費用より先に見る委託先の監督
  6. BPOと代行・外注・人材派遣の違い|比較の対象を取り違えない
  7. BPO比較で起こりやすい失敗と対策|アウトソーシングが「よくない」と言われる理由
  8. BPOの比較を進める手順|5ステップ
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|BPOを比較するときに押さえたい6つのこと
  11. 参考文献

BPOを比較する前に決めること|業務の領域ごとに委託先は分かれる

BPOの比較は、まず委託する業務の領域を決めてから始めます。電話の窓口、経理、人事・労務、法務・契約のように、領域によって比べる事業者も、確認する条件も変わるためです。

BPOは、業務プロセスの運営を外部の専門事業者が継続して担う委託の形です。自社の業務をすべて1社に任せる必要はなく、領域ごとに事業者を選ぶ方法もあります。比較の最初の作業は、「どの業務を」「どこまで」任せるかを決め、事業者に聞く質問をそろえることです。事業者の一覧から探し始めると、領域も条件も異なる事業者を同じ表に並べることになり、比べても判断材料が増えません。

領域任せる業務の例比較するときに確認したいこと
顧客対応(電話・問い合わせ)電話の受付、問い合わせの一次対応、予約や申込の受付対応する時間帯、受電か架電か、例外を社内に引き継ぐ条件、開始までの準備期間
経理・総務伝票や請求書の入力、請求・支払の処理、書類の整理や発送扱う書類の種類、指定のシステムの有無、締め日への対応
人事・労務給与計算、社会保険の手続き、採用の事務扱う個人データの範囲、法改正への対応の方法、誤りが出たときの責任
法務・契約契約書の確認、社内規程の整備の支援、法律や労務の相談弁護士など資格者が対応するか、依頼の方法、最終判断を社内に残す範囲

領域ごとに比べる点が違うことは、同じ「代行」でも対応範囲が異なる例で分かります。電話の窓口を外部に任せる場合の一例が、電話代行・コールセンター代行サービスです。電話代行サービス株式会社の公式サイトには、対応できる業務として問い合わせ窓口、資料請求や申込の受付、担当部署への取次ぎ、受電内容の報告が示されています。一方で、営業電話やアポイント取得などの架電業務と、契約や価格交渉の判断は対応していないと明記されています。商品ページでは、業種や経営方針などの要望に合わせたオーダーメイド型の電話対応であること、30年以上の実績とコールセンターでの一元管理体制による応対品質、夜間休日電話代行やコールセンター代行を含むすべてのサービスが24時間365日対応であることが紹介されています。一方で、コールセンター業務はおおよそ10日前後の準備期間が必要とされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください(商品ページは2026年10月23日に確認)。

電話代行サービス株式会社

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  • 業種や経営方針などの要望に合わせたオーダーメイド型電話対応サービス
  • 30年以上の実績とコールセンターでの一元管理体制により、安心の応対品質
  • 夜間休日電話代行やコールセンター代行など、すべてのサービスが24時間365日対応
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  • 「コールセンター業務」はおおよそ10日前後の準備期間が必要

電話や問い合わせの窓口を、外部に任せることを比べている会社に

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当サイト掲載の3サービスを横並びで比べる|役割の違い

当サイトに掲載の3サービスは、電話の窓口、法務・労務の継続的な相談、契約書の確認と、役割が異なります。同じ業務の代わりになるものではなく、任せたい領域ごとに選びます。

ここでは、商品ページに書かれている内容(2026年10月23日確認)だけで比べます。順位や優劣はつけていません。サービスによって対応する領域が違うため、「どれが良いか」ではなく、「自社が任せたい業務に対応しているか」「注意点が自社の条件に合うか」で見てください。

電話の窓口・法務労務の相談・契約書の確認、3サービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:電話代行・コールセンター代行サービス受電の窓口を、オーダーメイド型で任せる形が商品ページで紹介されています。

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この状況に合う一例:クラウドリーガル弁護士や専門士業への法律・労務の相談と、規程の整備のサポートが商品ページで紹介されています。

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この状況に合う一例:契約審査サービス(弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所)契約レビューを専用チャットで依頼できると商品ページで紹介されています。

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サービス 電話代行・コールセンター代行サービス クラウドリーガル 契約審査サービス(弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所)
任せる領域 顧客対応(電話の受付と取次ぎ) 法務・労務(相談、書類の作成、規程の整備) 契約書のレビュー
向いている会社 電話応対を、業種や方針に合わせた形で外部に任せたい会社 法務・労務の相談や書類の整備を、継続して任せたい会社 契約書の確認に絞って任せたい会社
特徴 オーダーメイド型の電話対応。30年以上の実績とコールセンターでの一元管理体制。全サービスが24時間365日対応と紹介されている 弁護士や専門士業への法律・労務の相談、契約書作成などの労務関連業務、社内規程の整備や見直しのサポート 契約レビューの依頼は専用チャットに送るだけ。担当者への継続的なトレーニング。法務人材不足に対応し、事業部への回答をスピードアップ
注意したい点 コールセンター業務は、おおよそ10日前後の準備期間が必要 申し込みには審査があり、年間契約の場合は途中解約ができない サービスの詳細は問い合わせで確認する
資料・詳細

表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

前の節で紹介した電話代行サービス株式会社の導入事例ページには、中古車買い取り事業者が、新規問い合わせと査定依頼の電話受付を委託し、自社のコールセンターのスタッフが査定とお客様へのフォローに注力する形に分けた例が紹介されています。受電と発信を両方担っていて繁忙期に混乱していた状況を、受電を切り出すことで整理した例です。

新規問い合わせと査定依頼の対応を電話代行サービス(株)さんにお願いしました。

電話代行サービス株式会社 コールセンター代行の導入事例(中古車買い取り事業者)

法務・労務の確認や書類の整備を、外部の専門家に継続して任せる場合の一例が、クラウドリーガルです。商品ページでは、弁護士や専門士業へ法律や労務の相談ができること、契約書作成などの労務関連業務を任せられること、社内規程の整備や作成、見直しもサポートされることが紹介されています。一方で、申し込みには審査があり、年間契約の場合は途中解約ができない点は、比較の段階で確認しておく必要があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

Molton株式会社

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  • 弁護士や専門士業への法律や労務相談ができる
  • 契約書作成などの労務関連業務をお任せできる
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  • 申し込みには審査があり、年間契約の場合は途中解約は不可

運営元のMOLTON株式会社の導入事例ページには、毎月数件の秘密保持契約の審査をクラウドリーガルに任せた株式会社Mediiの例が掲載されています。顧問弁護士との役割分担を見直した例で、何を外に出し、何を社内や既存の顧問に残すかを決める比較の考え方に通じます。

顧問弁護士には引き続き高度な案件や経営戦略に関連するアドバイスを提供してもらい、リソースの最適化を実現しています。

MOLTON株式会社 導入事例(株式会社Medii)

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契約書の確認だけを切り出して任せる場合の一例が、契約審査サービス(弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所)です。商品ページでは、企業の法務人材不足に即対応して事業部への回答をスピードアップできること、契約レビューの依頼は専用チャットに送るだけでよいこと、すべての担当者に継続的なトレーニングを実施し品質面でも安心できることが紹介されています。一方で、サービスの詳細は問い合わせで確認する必要があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

契約審査サービス(弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所)

契約審査サービス(弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所)

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  • すべての担当者に継続的なトレーニングを実施し、品質面でも安心
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  • サービス詳細は問い合わせで確認

なお、クラウドリーガルと契約審査サービスは法務・労務の領域のサービスで、顧客対応や経理など、ほかの領域のBPOを置き換えるものではありません。領域が違うサービスを同じ物差しで順位づけすることは、この記事では行いません。

BPOを比較する5つの軸|事業者の型・対応範囲・費用・情報管理・終了時

BPOの比較軸は、事業者の型、対応範囲、費用の範囲、情報管理の体制、終了時の対応の5つです。事業者の名前や規模より先に、この5軸が自社の条件に合うかを見ます。

軸1 事業者の型|どの型に頼むかで比べる相手が変わる

事業者の解説記事では、BPO事業者を大手総合型、業務特化型、IT・DX特化型、海外拠点活用型などに分けて説明しています(例: パーソルビジネスプロセスデザインのコラム「BPO会社とは?」)。比較サイトによって分け方は異なり、SFA JOURNALはオンラインアシスタント型、管理部門型、営業・顧客対応型、顧客接点型の4つに分けています。分類に決まったものはないため、次の表は、比べる相手を絞るための本記事の整理として使ってください。

型特徴向く場面比べるときの注意
大手総合型複数の領域をまとめて請け負い、業務設計やシステムを組み合わせて提案する複数の部門にまたがる業務を、設計から任せたい提案が大きな体制を前提にしていないか。最低の委託範囲と契約期間を確認する
業務特化型経理、人事・労務、コールセンター、法務など、特定の領域に絞って請け負う任せる領域が決まっていて、専門性を重視したい領域を広げたときに別の事業者が必要になる。領域をまたぐ連携の方法を確認する
オンラインアシスタント型遠隔の担当者が、事務や秘書の業務を時間単位や月額で請け負う小さな範囲から始めたい担当者のスキルの幅と、情報の取扱いのルールを確認する
システム一体型業務の運営と、業務に使うシステムの提供を組み合わせる業務とデータの連携を一緒に整えたい契約終了後のデータとシステムの扱い、他社への移行のしやすさを確認する
海外・地方拠点活用型海外や国内の地方の拠点で業務を行うコストや人員の確保を重視したい拠点の所在地、個人データの扱い、言語と品質の確認方法を確認する

大手と特化型の違いは、BPO大手と業務特化型の違いは?発注先の選び方と比較のポイント、海外拠点を使うBPOの確認点はbpo 中国とは?オフショアBPOの特徴・リスク・比較軸を解説で整理しています。事業者の種類を領域別に見たい場合は、BPO会社とは?業務領域別の種類・代表例・ビジネスモデルと契約の注意点も参考になります。

5軸の比較シート|事業者に聞くこと

軸見るポイント事業者に聞くこと
1. 事業者の型・得意領域自社の業務に近い領域の経験があるか同じ領域、同じ程度の処理量の業務の対応状況。公開している事例の範囲
2. 対応範囲「できること」と「できないこと」の両方が示されているか対応する時間帯、受付や処理の範囲、範囲外の業務、例外の判断を誰が行うか
3. 費用の範囲金額より、含まれる作業と別料金の作業の線引き料金に含まれる作業、別料金になる作業、最低の契約期間、追加依頼の決め方
4. 情報管理の体制個人データの取扱いと、再委託の条件が明確か再委託の有無と条件、取扱状況の報告、第三者認証の有無(後述)
5. 終了時の対応手順書やデータを返してもらえるか返却されるもの、削除の手順、引き継ぎに必要な期間と費用

軸2の「できないこと」は、名前だけでは分かりません。前の節で紹介した電話代行サービス株式会社のコールセンター代行は、受電を担う一方で、架電業務や契約・価格交渉の判断は対応していないと公式サイトに明記されています。「BPO」「コールセンター」「代行」と名乗る事業者でも、受電のみの事業者と、発信業務まで担う事業者があるため、自社が任せたい業務が範囲に入っているかを、事業者の公開ページと資料の両方で確認します。

見積もりを同じ条件で比べる|依頼書と比較シートの作り方

見積もりは、同じ内容の依頼書を各社に出し、料金に含まれる作業と別料金の作業をそろえた比較シートに書き写して比べます。金額だけを並べても、含まれる作業が違えば比べたことになりません。

本記事では、料金の金額は示しません。事業者や業務量、契約の形で大きく異なるためです。複数の事業者から提案を受けるときは、まず自社の側で依頼書の項目を決め、同じものを各社に出します。

依頼書に入れる項目

項目書く内容
委託したい業務の範囲任せる作業と、社内に残す作業。例外の扱いと、社内に引き継ぐ条件
処理量と波月ごとの件数や時間の目安、繁忙期と閑散期の差
対応する時間帯平日日中のみか、夜間・休日も含むか
渡す情報の範囲個人データを含むか、システムへのアクセス権限が必要か
開始の希望時期いつから運用を始めたいか、引き継ぎに使える社内の担当者
報告の方法報告の頻度と内容、連絡に使う手段

比較シート|各社の回答を同じ枠で並べる

各社の回答は、次のような枠に書き写します。空欄が多い事業者は、提案に含まれていない項目が多いことを示します。

比べる項目事業者A事業者B事業者C
料金に含まれる作業(立ち上げ、日々の運営、報告)(記入)(記入)(記入)
別料金になる作業と、金額の決め方(記入)(記入)(記入)
最低の契約期間と、途中解約の条件(記入)(記入)(記入)
開始までの期間と、自社の担当作業(記入)(記入)(記入)
繁忙期の最大の処理量と、追加の費用(記入)(記入)(記入)
範囲外の業務と、例外の判断の担当(記入)(記入)(記入)
終了時に返却されるものと、削除の手順(記入)(記入)(記入)

契約の形は、大きく3つに分かれます。月額固定は決めた範囲の業務を毎月依頼する形で、範囲外の作業の扱いと処理量の上限、最低契約期間を確認します。従量(件数や時間)は処理した量に応じて支払う形で、件数の数え方と繁忙期の単価、報告の粒度を確認します。成果連動は決めた成果に応じて支払う形で、成果の定義と計測の方法、データの所有者を確認します。どの形でも、「何が料金に含まれるか」を書面で確認することが共通の前提です。ここで挙げた項目は確認の観点の例で、標準的な業務量や費用を示すものではありません。

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個人データと契約の確認|費用より先に見る委託先の監督

個人データの取扱いを委託しても、委託先への必要かつ適切な監督は、委託元の義務として残ります(個人情報保護法第25条)。比較の段階から、確認する質問に入れておきます。

本節は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の取引で判断が必要な場合は、弁護士などの専門家に相談してください。

個人情報保護法第25条は、個人情報取扱事業者が個人データの取扱いの全部または一部を委託する場合、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないと定めています。給与計算、顧客からの問い合わせ対応、申込書類の入力など、BPOで扱う業務の多くは個人データを含みます。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編、令和8年6月一部改正)は、必要かつ適切な措置として、次の3つを挙げています。

  1. 適切な委託先の選定(委託先の安全管理措置が、委託元に求められるものと同等であることを、あらかじめ確認する)
  2. 委託契約の締結(委託先における取扱状況を、委託元が合理的に把握することを盛り込むことが望ましい)
  3. 委託先における個人データ取扱状況の把握(定期的な監査などで、契約で盛り込んだ内容の実施の程度を調べ、適切に評価することが望ましい)

同ガイドラインは、委託先が再委託する場合も、委託元が再委託の相手方や業務内容、取扱方法について事前報告を受けるか承認を行うことが望ましいとしています。また、必要かつ適切な監督を行っていない事例として、安全管理措置の内容を委託先に指示しなかった結果、委託先が漏えいした場合や、再委託の条件を指示せず取扱状況の確認も怠った結果、再委託先が漏えいした場合などを挙げています。比較の段階では、費用や対応範囲に加えて、再委託の条件と取扱状況の報告の方法を、各社に同じ質問で確認します。

第三者認証は、確認材料の1つとして使う

委託先の選定で、安全管理措置の水準を確認する材料の1つが、第三者の認証です。プライバシーマークは、JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)の公式サイトで、「個人情報を適切に管理している」と評価された事業者が使用できるマークと説明されています。ISMS認証は、情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)のサイトで、認証取得組織を検索できます。どちらも公開の検索ページがあり、事業者の自己申告だけに頼らず確認できます。

確認の方法内容使うときの注意
プライバシーマーク付与事業者検索(JIPDEC)付与事業者を検索できる付与されているのは、事業者の個人情報の管理の仕組みです。委託する業務や拠点が対象に含まれるかは、事業者に確認する
ISMS認証取得組織検索(ISMS-AC)組織名、部門名、登録範囲、認証登録番号で検索できる登録範囲を確認する。公表は各機関の同意を得た組織の情報で、検索で出ない場合は、認証の有無を事業者に確認する

認証の有無は、選定の確認材料の1つです。認証があることで、委託元の監督の義務がなくなるわけではありません。契約の締結と取扱状況の把握は、認証の有無にかかわらず必要です。なお、委託先の担当者が自社に常駐する形では、契約が請負や準委任の名目でも、運用によっては労働者派遣と判断される場合があります。厚生労働省の告示(昭和61年労働省告示第37号)の第2条は、請負の形式の契約でも、自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用することなどを満たさない場合は、労働者派遣事業を行う事業主とすると定めています。発注者の担当者が委託先の作業者に直接指示する運用を避けるなど、役割の線引きを契約と運用で決めておきます。詳しくは、BPOと業務委託の違いとは?請負・準委任の契約類型と偽装請負の判断基準で整理しています。

BPOと代行・外注・人材派遣の違い|比較の対象を取り違えない

BPOは業務プロセスの運営を継続して任せる形で、「代行」や外注は特定の作業を任せる形を指すことが多く、人材派遣は人手の提供で、指示は派遣先が行う点が違います。

「BPO代行」という言い方には、BPOを請け負う事業者のサービスを指す場合と、特定の業務の代行サービスを指す場合があります。言葉の使い方は事業者によって異なるため、名称ではなく、委託の単位と、誰が指示を出すかで比べます。アウトソーシングは業務を外部に任せることを広く指す言い方で、BPOはその中でも、業務プロセスの設計と運営を継続して任せる形を指すことが多い、と整理されています。用語の整理は、BPOとは?意味と関連用語をやさしく整理|アウトソーシング・BPR・RPAとの違いも参考になります。

選択肢任せる単位自社が担うこと比較するときの見方
BPO業務プロセスの継続的な運営(設計、実行、報告、改善)事業の目標、承認、委託する範囲の決定対応範囲と、例外の判断の分担。報告と見直しの仕組み
「〇〇代行」(電話代行、経理代行など)特定の業務の実務依頼の内容と、結果の確認対応できる業務と、できない業務。契約の最低期間
外注・業務委託(単発)1件ごとの作業や成果物指示、優先順位、品質の確認納品物の範囲と、修正の扱い
人材派遣必要な役割の人手業務の設計と、日々の指示と管理指揮命令を派遣先が行う点。契約の形の違い
ツール導入(SaaS・RPAなど)業務を行うためのシステム担当者による操作と運用自社の担当者が回せるか。導入と運用の負担

任せたい業務が、手順が決まっていて継続して発生するものなら、BPOや代行が候補になります。担当者が足りないのではなく、操作の手間が負担になっているだけなら、ツール導入から検討する方法もあります。BPOに向く業務の見分け方や、手順を整理する進め方は、BPOプロセスとは?業務棚卸からSLA設計・効果測定までの進め方にまとめています。

BPO比較で起こりやすい失敗と対策|アウトソーシングが「よくない」と言われる理由

アウトソーシングが「よくない」と言われる場面の多くは、任せる範囲や費用、情報管理の条件をそろえないまま比べた結果として起きます。比較の段階で条件をそろえると、避けやすくなります。

メリット|比較の段階で確かめること

BPOのメリットは、繁閑への対応、業務の標準化、専門知識の活用、コア業務への集中などです。ただし、どれも条件がそろったときに得られるもので、比較の段階で確かめる項目に置き換えると、事業者の提案の違いが見えます。メリットとデメリットを詳しく知りたい場合は、BPOのメリット・デメリット|向いている業務と企業規模別の考え方で整理しています。

期待するメリット比較の段階で確かめること
繁閑の波に対応しやすい繁忙期の最大の処理量と、体制を増やす手順、追加の費用を書面で確認する
業務が標準化される手順書づくりと立ち上げの支援が、料金に含まれるかを確認する
専門知識を使える自社に近い領域の対応状況と、資格者が対応する範囲を確認する
コア業務に時間を使える社内に残る作業と、例外の引き継ぎ条件を依頼書で決めておく

起こりやすい失敗と対策

失敗の場面起きる理由比較の段階でできる対策
料金の安さだけで選ぶ料金に含まれる作業が事業者ごとに違い、後から別料金が発生する比較シートで、含まれる作業と別料金の作業をそろえて並べる
業務を整理せずに依頼する手順が担当者の頭の中にあり、引き継ぎに時間がかかる手順の整理を先に行い、立ち上げ支援が料金に含まれるかを確認する
全部を任せて社内に知識が残らない運営を外部が担うため、改善の理由や経緯が蓄積されない報告と手順書を自社にも残す。終了時の返却範囲を確認する
大手だから安心と考える事業者の得意な領域は分かれていて、規模だけでは自社の業務への適合は分からない自社に近い業務の対応状況を、公開ページと資料で確認する
委託先に個人データを任せきりにする監督は委託元に残るため、事故の際に自社の責任が問われる再委託の条件と取扱状況の報告を、契約前に確認する

「アウトソーシングはよくない」と言われる理由は、表のように、条件が不明確なまま任せたときに起きる問題を指していることが多いです。よい悪いは、任せる業務と条件で決まります。たとえば、手順が頻繁に変わる業務、社外に出せない情報が業務の中心にある業務、発生が年に数回で立ち上げの手間に見合わない業務は、BPOに向きにくくなります。事業者を並べた一覧や順位だけで決めるのではなく、順位の読み方はBPO企業ランキングの見方と選び方|鵜呑みにしない7つの観点でも整理しています。

BPOの比較を進める手順|5ステップ

比較は、委託する業務を決め、依頼書を作り、同じ条件で提案を集め、比較シートで並べ、小さな範囲から始める順で進めます。

  1. 委託する業務と領域を決める:業務を一覧にし、手順が明確で量が継続する業務を1つに絞ります。
  2. 任せる範囲と社内に残す判断を分ける:例外の扱いと、社内に引き継ぐ条件も決めます。
  3. 依頼書を作り、2社から3社に同じ内容で提案を依頼する:前の節の項目を使います。
  4. 比較シートで並べ、5つの軸で評価する:含まれる作業、別料金、情報管理、終了時の対応をそろえて比べます。
  5. 小さな範囲から始め、報告を見て見直す:処理量、誤り、例外を定期的に確認し、範囲を広げるかを決めます。

手順1で「電話や問い合わせの窓口」を選んだ場合は、手順3で、対応する時間帯、受電と架電のどちらを任せるか、準備期間を各社に確認します。まず資料で、対応範囲と条件を確認すると、比較に使う材料がそろいます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. BPOサービスを比較するとき、何を見ればよいですか?

A. 事業者の型、対応範囲、費用の範囲、情報管理の体制、終了時の対応の5つを、同じ条件でそろえて見ます。事業者の名前や規模より先に、自社が任せたい業務の領域を決め、依頼書を作って各社に同じ内容で提案を依頼します。

Q2. BPO業者はどこがいいですか?

A. 任せる業務の領域によって変わるため、1社を挙げることはできません。電話の窓口、経理、人事・労務、法務など、領域ごとに強みの異なる事業者があります。公式サイトで事業内容と対応範囲を確認し、自社に近い業務の経験と、できないことの範囲で選んでください。

Q3. BPO業界で1位はどこですか?

A. 売上、拠点数、対応領域、従業員数など、何で測るかによって順位は変わります。公的機関が統一した基準で発表するBPO事業者の順位は、本記事の作成時点で確認できていません。順位は選ぶ決め手にならないため、領域ごとの対応範囲と条件で比べてください。

Q4. BPOとアウトソーシングの違いは何ですか?

A. アウトソーシングは業務を外部に任せることを広く指す言い方で、BPOはその中でも、業務プロセスの設計と運営を継続して任せる形を指すことが多いです。使い方は事業者によって異なるため、名称ではなく、任せる単位と、誰が指示を出すかで確認してください。

Q5. 「BPO代行」とBPOは同じですか?

A. 言葉の使い方は事業者によって異なります。BPOを請け負う事業者のサービスを指す場合と、電話代行や経理代行のように特定の業務の代行を指す場合があります。契約前に、任せる単位と、対応できる業務・できない業務を確認してください。

Q6. 個人データを扱う業務を委託するとき、比較の段階で何を確認しますか?

A. 委託元には、個人情報保護法第25条にもとづく委託先の監督の義務が残ります。再委託の有無と条件、取扱状況の報告の方法、プライバシーマークやISMS認証などの第三者認証の有無を各社に同じ質問で確認します。本記事は一般的な情報で、個別の判断は専門家に相談してください。

まとめ|BPOを比較するときに押さえたい6つのこと

  1. BPOの比較は、委託する業務の領域を決めてから始める。領域によって比べる事業者と条件が変わる
  2. 事業者の型、対応範囲、費用の範囲、情報管理、終了時の対応の5軸で、同じ条件にそろえて並べる
  3. 対応範囲は、「できること」と「できないこと」の両方を、公開ページと資料で確認する
  4. 見積もりは、同じ依頼書を各社に出し、含まれる作業と別料金の作業をそろえた比較シートで比べる
  5. 個人データを扱う業務は、委託しても監督の義務が自社に残るため、再委託の条件と取扱状況の報告を確認する
  6. 任せる業務が決まったら、サービスの資料を取り寄せて、対応範囲と契約条件を比べる

任せる業務が決まったら、まず1つの業務から比べ始めるのが現実的です。電話や問い合わせの窓口なら電話代行・コールセンター代行サービス、法務・労務の相談ならクラウドリーガル、契約書の確認なら契約審査サービス(弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所)の資料で、対応範囲と条件を比べてみてください。

参考文献

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