業務委託・業務請負の勤怠管理とは|契約の種類や注意点について解説

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  • 業務委託・業務請負では、受託者の勤怠管理はできない
  • 業務委託や業務請負で管理方法を誤ると、偽装請負という違法状態になる
  • 業務委託契約書は、契約者とのトラブルを避けるために作成する必要がある

この記事では、業務委託・業務請負における勤怠管理について解説します。業務委託契約の種類や業務委託と雇用契約の違いについて再確認し、業務委託契約しているフリーランスや個人事業主の勤怠管理が可能かどうかや、勤怠管理における注意点に関しても詳しく解説します。

目次

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  1. 業務委託・業務請負では受託者の勤怠管理はできない
  2. 業務委託契約の種類を再確認
  3. 客先常駐の場合も委託先は勤怠を管理できない
  4. 業務請負の勤怠管理における注意点
  5. 業務委託契約では契約書の作成が重要
  6. まとめ
  7. 勤怠管理をさらに効率化!関連記事はこちら

業務委託・業務請負では受託者の勤怠管理はできない

業務委託・業務請負では、フリーランスや個人事業主などの受託者に対して、自社社員と同様の勤怠管理を行うことはできません。これは、業務委託・業務請負では、仕事を委託する企業と委託を受ける受託者は対等であり、企業側に指揮命令権が発生しないためです。

一方で雇用契約は、雇用側と雇用される側の間に主従関係が発生します。それに伴い、雇用側から労働者への使用従属性や指揮命令権が生まれ、勤怠管理システムによる勤怠報告や時間管理の実施、日報の提出を求めることができます。

しかし、業務委託・業務請負ではこれらを強制することはできません。例えば、勤怠管理システムへの打刻や勤務時間の報告、日報の提出を義務付けると、実態として雇用関係とみなされるリスクもあるため注意が必要です。

そのため、業務委託や業務請負契約を結ぶ際には、委託側・受託側双方が、委託内容・契約期間・報酬の計算方法などを明確に定めましょう。

業務委託・業務請負における労務管理の範囲

上述したように業務委託や業務請負では、委託側と受託側は対等な関係であり、指揮命令権は認められていません。そのため、仕事を委託する企業は、受託者の勤務場所や時間の指定、業務の指揮命令、専従労働の指示ができません。

業務委託や業務請負の受託者には、得意分野の仕事に専念できるだけでなく、働き方の自由度が高いなどのメリットがあります。しかし、契約遂行による対価として報酬を受け取るため、収入が安定せず労働法も適応されません。

業務委託や業務請負の委託側には、専門的な知識が必要な業務や、煩雑化する業務を他社に委託できるため、企業の業務効率化やコスト削減のメリットがあります。また、労働者を管理する必要がないため、労務管理者の業務軽減にもつながります。

勤怠管理の必要がない業務委託や業務請負は、委託側・受託側双方にメリットがあります。しかし、双方間で契約期間や委託内容を明確にしておかなければ、トラブルに発生する可能性があるため注意が必要です。

報酬計算方法は契約の種類によって異なる

業務委託・業務請負の報酬計算方法は、契約の種類によって異なります。具体的には、業務の遂行に対して報酬が発生する委任契約・準委任契約と、成果物の納入に対して報酬が発生する請負契約があります。

請負契約では、成果物の完成・納品が報酬の支払条件となるため、報酬計算がしやすく、双方間での報酬に対する認識の違いが起こりにくいです。一方で、業務遂行に対して報酬が発生する委任契約や準委任契約では、業務の遂行そのものに対して報酬が発生します。

報酬の目安が明確ではないため、双方間での報酬に対する認識の違いが発生しやすい点に留意が必要です。そのため、委任契約や準委任契約を結ぶ場合には、業務内容を明確にして、報酬算出方法の認識を合わせておきましょう。

契約の種類によって報酬発生の仕組みが異なるため、報酬によるトラブル防止のためにも報酬計算方法に対する双方の認識を合致させておくことが重要です。

業務委託契約の種類を再確認

業務委託契約には、業務請負の請負契約と、業務委託の委任契約・準委任契約があります。業務上で多く使われている業務委託契約は、業務請負と業務委託の総称です。ここで、契約ごとの違いを解説していきます。

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請負契約とは

請負契約とは、成果物の納入と引き換えに報酬が発生する契約のことです。受託側は委託側が求めるクオリティの成果物を納める責任があり、委託側は成果物の完成・納入時に報酬を支払う責任が発生します。

成果物納入の期限や手段は、双方の合意によって決まりますが、成果物完成までのプロセスは受託側に一任されます。請負契約では、受託側は作業時間を自分で調整でき、期限前の納入であっても、報酬が減額されることはありません。

しかし、委託側が求める水準を満たしていない場合には、成果物の修正や再提出を求められることがあります。契約内容に適していないと、報酬の支払いに影響が生じる可能性もあるため注意が必要です。

委任契約とは

委任契約とは、法律行為を伴う業務遂行の対価として報酬が発生する契約のことです。受託側は定められた契約期間内に業務を遂行する責任があり、委託側は業務遂行に対して、報酬を支払う責任が発生します。

業務遂行後の結果が委託側が望むものでなくても、委託側は受託者に対して報酬を支払う責任があります。委任契約では、契約した一定の工数・期間の業務遂行により、報酬を受け取ることができます。

しかし、受託者は委託された業務に対して、通常要求される程度の注意義務を払う責任があり、注意義務を怠ると、契約解除や損害賠償につながる可能性があります。

準委任契約とは

準委任契約とは、法律業務を伴わない業務遂行の対価として報酬が発生する契約のことです。基本的な契約内容は委任契約と同様で、法律行為に当てはまらない、事務処理などの受託が準委任契約に当たります。

委任契約と同様に、成果物ではなく業務の遂行そのものが報酬の対象となるため、契約内容に基づいて適切に業務が行われていれば報酬が支払われます。

SES契約は準委任契約と同じ

SES契約とは、システムエンジニアリングサービス(Software Evaluation and Selection)契約の略語で、企業が新しいソフトウェアを導入する際に用いられる契約形態です。

SES契約の契約内容は、準委任契約の内容に準ずるのが基本となるため、委託側とシステムエンジニアとの間には雇用関係がありません。

業務委託契約と雇用契約の違い

業務委託契約と雇用契約では、委託側との主従関係性が異なります。業務委託契約は事業者同士の対等な契約ですが、雇用契約は企業に雇用される契約となるため、主従関係が発生します。

雇用契約とは、企業に雇われた社員が、企業の指揮命令権のもと業務に従事し、その対価として賃金が支払われます。企業側は雇用者に対して指揮命令権があり、勤務場所や時間の指定、業務の指揮命令などを行えます。

また、使用従属性がある雇用契約は労働法が適用され、雇用される従業員は労働時間の定めや、有給休暇の取得などの保護を受けることができます。

一方で業務委託契約では使用従属性がないため、企業が受託者に対して指揮命令を行うことはできません。そのため、勤務時間や働き方は受託者の裁量に委ねられますが、労働法による保護も原則として適用されません。

このように指揮命令権や労働法適応の有無によって、働き方の自由度や働く上での保証が大きく異なります。

参考:労働基準法 | e-Gov法令検索

客先常駐の場合も委託先は勤怠を管理できない

IT業界などでは、業務請負において委託先の企業に常駐して業務を行う「客先常駐」という形態が取られることがあります。この場合、受託者は委託先の社員と同様に出勤・退勤することになります。

客先常駐の場合でも、「委託者が受託者の勤怠管理はできない」という原則に則り、業務請負で作業している者は自分を雇用している企業に勤怠管理をしてもらうことになります。

ただし、派遣社員の場合は派遣先が指揮命令権を持つため、派遣会社ではなく派遣先が勤怠管理を行うことになります。契約の違いをよく理解しておくことが大切です。

業務請負の勤怠管理における注意点

業務請負や業務委託の勤怠管理を行うと、偽装請負にあたる可能性があるため注意が必要です。業務請負や業務委託を行う際には、使用従属性の有無や、自社専属度の高さ、報酬の計算方法などを意識して、偽装請負に該当しないように気をつけましょう。

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偽装請負に注意する

業務委託契約であるにも関わらず、委託側が受託者の勤怠管理や業務の指揮命令を行っている場合、使用従属性があると判断され、偽装請負に該当する恐れがあります。

偽装請負とは、契約上は業務委託や請負とされていても、実際には雇用契約や労働者派遣に近い働き方になっている状態を指し、違法とされる可能性があります。例えば、勤務時間や場所の指定、システムによる出退勤の管理などは、偽装請負と判断されやすくなります。

偽装請負と判断されると行政指示だけでなく、刑事罰の対象となるため注意が必要です。そのため、業務の管理は勤怠ではなく、成果物や納期といった成果ベースで行いましょう。

参考:あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ?|厚生労働省 東京労働局 

偽装請負が発覚した場合の法的な罰則

偽装請負が発覚した場合、労働者派遣法(労働者派遣法62条)・職業安定法(職業安定法67条)・労働基準法違反(労働基準法118条1項)などの違反に該当し、委託側の企業に対して罰則が科される可能性があります。

また、雇用契約に該当すると認められた場合は、本来支払うべき社会保険料の支払いや残業代の支払いを求められる場合もあります。偽装請負は企業にとって法的リスクが大きいため、契約形態と業務実態が一致しているかを十分に確認することが重要です。

参考:労働者派遣法62条|法令検索

参考:職業安定法67条|法令検索

参考:労働基準法118条1項|法令検索

自社への専属度に注意する

業務委託契約では原則、委託側は受託者の時間拘束ができません。そのため、受託者の自社専属度が高いと、雇用契約と判断される場合があります。

委託企業以外との業務に制限が設けられている場合や、実質他の業務への着手が難しい契約は、自社への専属度が高いと判断されます。業務委託契約は事業者同士の契約であり、自社専属度によっては、偽装請負に該当する可能性もあるため注意しましょう。

報酬計算に注意する

業務委託契約では、契約の種類に応じて報酬の発生条件が異なるため、報酬計算の方法には注意が必要です。成果物の納入や業務の遂行に対して報酬が支払われる点は共通していますが、その考え方は契約形態によって異なります。

請負契約では成果物納入の対価として、委任契約・準委任契約では業務遂行の対価として報酬が支払われます。そのため、業務委託契約の報酬計算においては、報酬が発生する業務内容や範囲を明確にし、委託側・受託側双方で認識を一致させておくことが重要です。

報酬が発生する業務やその計算方法を適切に取り決めておくことで、トラブルの回避につながります。

業務委託契約では契約書の作成が重要

業務委託契約では、契約書を作成することでトラブルの回避や信頼関係の構築につながります。安心して業務を遂行できる役割を持つため、必ず作成しておきましょう。

ここからは、業務委託契約において契約書の作成が重要な理由について解説します。

トラブルの回避につながる

業務委託契約では、契約内容への認識を委託側・受託側の双方で合致させておかなければ、後々トラブルにつながりやすくなります。例えば、認識のズレが生じることで、業務範囲の解釈の違いや追加対応の可否などのトラブルに発展するケースもあります。

そのため、このようなリスクを回避するためにも、業務委託契約書を作成し、契約内容を明確にしておくことが重要です。特に委託側は、委託内容をいつまでに、どのような完成形を希望するのか、明確にしておく必要があります。

また、報酬発生の条件・契約期間・再委託の有無・禁止事項・機密保持について・違反行為への損害賠償義務など、トラブルにつながりそうな事項は記しておきましょう。契約書でこれらを明確にしておくことで、双方が安心して業務を進められる環境を整えられます。

参考:契約書の参考例 ─基本契約─|厚生労働省

信頼関係を構築しやすい

業務委託契約書の作成は、委託する側と受託する側の双方が安心して業務を進めるためにも重要です。契約内容をあらかじめ明確にしておくことで、双方が同じ認識を持ったうえで業務に取り組むことができます。

委託側にとっては、業務内容や納期、成果物の基準が明確になることで、進捗や品質を適切に管理しやすくなります。一方で受託側にとっても、報酬金額や支払い条件が明確になることで、不安を軽減して業務に集中できるでしょう。

このように、契約書を作成して契約内容を明確にすることで透明性を確保でき、結果として信頼関係の構築につながります。円滑に業務を進めるためにも、契約書の作成は重要な役割を果たします。

まとめ

業務請負や業務委託では、委託側は受託者の勤怠管理ができません。業務請負・業務委託は、事業者同士の契約となります。適切な管理ができていないと、偽装請負と判断され、違法状態になってしまうので注意が必要です。

偽装請負と判断されないためにも、委託側は受託側への指揮命令権や使用従属性の有無、報酬計算方法や自社への専属度が高くないか確認しておきましょう。

また、業務委託契約には種類があるため、契約ごとの違いを確認し、契約の種類に応じた報酬計算の把握が求められます。業務請負や業務委託を検討する際には、この記事を参考に業務委託契約書の準備を行い、フリーランスや個人事業主とよりよい関係性を結びましょう。

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