会計ソフト費用の勘定科目は?経費計上時の注意点も分かりやすく解説
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- 会計ソフト費用の勘定科目は、クラウド型とインストール型で異なる
- クラウド型は導入の初期費用も含め「通信費」で経費計上するのが一般的
- 勘定科目に明確なルールはないが、1度決めた後は変更せず使い続ける必要がある
会計ソフト購入時の勘定科目は、クラウド型とインストール型で異なります。クラウド型は導入時の初期費用も含め、「通信費」で経費計上するのが一般的です。本記事では、会計ソフトの勘定科目の例や経費計上する際の注意点などを解説します。
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会計ソフト費用の勘定科目とは

会計ソフトを導入した際に発生する費用の勘定科目は、どのように決めれば良いのでしょうか。ここでは、勘定科目について基本的な概要を解説します。
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会計ソフト費用の勘定科目とは
勘定科目に決まったルールはない
会計ソフトの購入費や利用費は経費として計上できますが、クラウド型とインストール型といったソフトの種類・購入金額によって勘定科目が異なります。勘定科目は法律で明確に決められている訳ではなく、企業独自で設定し、新たに勘定科目を作ることも可能です。
ただし、1度決めたルールは原則そのまま継続する必要があります。決定したルールを何度も変更すると、不正行為が行われているのではないかという不信感を税務官に抱かせてしまう可能性があるため、注意が必要です。
クラウド型とインストール型の違い
会計ソフトには、主にクラウド型とインストール型があります。導入時には、仕訳処理の方法だけでなく、どちらが自社に適しているかをよく検討して選びましょう。それぞれの特徴やメリット・デメリットを以下にまとめました。
| クラウド型 | インストール型 | |
|---|---|---|
| 特徴・仕組み | インターネット上で月額サービスを利用する | 自社のPCにインストールして使う買い切り型 |
| メリット | ・導入費用を抑えられる ・インターネット環境があればどこでも使える ・ベンダーによって自動でバージョンアップ される | ・ランニングコストを抑えられる ・オフラインでも使用できる ・カスタマイズ性が高い |
| デメリット | ・インターネットがないと使えない ・毎月費用がかかる | ・導入費用がかかる ・インストールしたデバイスでしか使えない |
そもそも勘定科目とは
勘定科目とは簿記の科目のことで、取引の内容を分類するための項目です。大きく分けて5つのグループに分かれ、決算に必要な貸借対照表・損益計算書に反映されます。
【勘定科目の5つのグループ】
- 資産:現金・売掛金・建物・土地など企業が保有する財産
- 負債:買掛金・借入金など企業が保有する財産で放棄または引き渡す義務のあるもの
- 純資産:資本金・新株予約券など資産と負債の差額
- 収益:売上・受取利息など事業による収入
- 費用:仕入れ・給料など事業で発生した経費
5つのグループは、さらに細かく勘定項目として分けられ、取引内容に応じて仕訳します。例えば、出張にかかった新幹線代・航空券代・宿泊費・出張手当は「旅費交通費」に仕訳され、従業員の通勤費や取引先への移動費は「交通費」に仕訳されます。
その他、事務所や店舗・駐車場などを借りて支払う賃料は「地代家賃」、自社の製品やサービスを宣伝するために使用した経費は「広告宣伝費」に仕訳されます。
クラウド会計ソフトの利用料は「通信費」で経費計上する

勘定科目の通信費は、切手代・電話代・宅配便・インターネット関連などの費用を指します。クラウドサービス(クラウドソフト)の導入費用や利用料は、ソフト購入ではなくインターネット通信費と考えられるため、通信費で計上するのが一般的です。
クラウド利用料は、銀行口座から引き落とされた日を日付に計上します。月額なら毎月、年間使用料や年会費なら1年に1度計上します。通信費は多種類あるため、摘要に「会計ソフトウェア利用料」である旨を記載すると管理しやすいです。
高額の支払いでも無形固定資産にはならず、通信費の勘定項目を使用することに変わりはありません。
<クラウド型会計ソフトの費用の仕訳例>
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 7月10日 | 通信費:2,000 | 普通貯金:2,000 | 会計ソフトウェア利用料 |
インストール型会計ソフトは「消耗品費」で計上する

勘定科目の消耗品費は、文房具・トイレットペーパー・蛍光灯など、使用可能期間が1年未満の資材にかかる費用のことです。また、購入金額が10万円未満のものが対象となります。
インストール型会計ソフト購入時のライセンス料の勘定科目は、10万円未満なら消耗品費で計上します。現金で購入した際は購入日、銀行口座からの引き落としは引き落とし日を日付に計上します。
購入時の消費税については税込と税抜を踏まえ、その他の処理方法と同様に計上します。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 7月10日 | 消耗品費:95,000 | 現金:95,000 | 会計ソフトウェア購入 |
10万円以上の場合
10万円以上のインストール型会計ソフトの場合は、無形固定資産税の対象になります。固定資産は企業の資産となるため、購入時だけでなく年度末に減価償却の計上も必要です。
まずは、購入時に借方の勘定科目をソフトウェア、貸方に現金・普通貯金などを使って計上します。決算最終日には減価償却の計算をして記帳します。以下では、それぞれの手順の詳細を解説します。
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10万円以上の場合
無形固定資産として計上する
会計ソフトウェアを購入した際に、その金額を無形固定資産「ソフトウェア」として計上します。以下は、300,000円のインストール型会計ソフトを購入した例です。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 7月10日 | ソフトウェア:300,000 | 現金:300,000 | 会計ソフトウェア購入 |
年度末に減価償却額を記帳する
国税庁により、ソフトウェアの耐用年数は「複写して販売するための原本」または「研究開発用」は3年、その他のものは5年と決められています。
会計ソフトは、その他のものに当てはまり、耐用年数5年で計算します。減価償却額は、300,000円(取得対価)×0.2(定額法における償却率)=60,000(減価償却費)となります。
固定資産の金額が60,000円減るため、勘定科目のソフトウェアを貸方側に記載する必要があります。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 3月31日 | 減価償却費:60,000 | ソフトウェア:60,000 | 会計ソフトウェアの減価償却 |
少額減価償却資産の特例を適用した場合
少額減価償却資産の特例とは、取得対価30万円以下の減価償却資産を購入した際、下記の要件を満たした中小企業に適用できます。年度末に減価償却の処理も必要なく、購入時の計上のみとなります。
- 従業員の数が500人以下(令和2年3月31日までの取得などについては、1,000人以下)
- 資本金もしくは出資金が1億円以下
- 確定申告時に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の提出
詳細は国税庁のホームページに載っていますが、一定の要件を満たしている中小企業は勘定科目を消耗品費として全額を経費計上できます。ただし、特例が適用されるのは、年間の取得価額の合計金額300万円までです。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 7月10日 | 消耗品費:250,000 | 普通貯金:250,000 | 会計ソフトウェア購入 |
参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
一括償却資産として計上した場合
一括償却資産の損金算入の特例は、取得対価10万円以上20万円以下の減価償却資産を購入した際に適応できます。
ソフトウェアにおける通常の減価償却期間は5年ですが、一括償却資産では3年となるため経費にできるタイミングが早く、資金繰り対策に効果的です。また、償却資産税の対象とならないため、節税対策にもつながります。
一括償却資産の仕訳は、購入時に勘定項目を一括償却資産として計上します。さらに、年度末に減価償却費を計上します。
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一括償却資産として計上した場合
会計ソフトの購入費を一括償却資産として仕訳する
会計ソフト代が150,000円だった場合、以下のような仕訳になります。借方の勘定科目は「一括償却資産」です。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 7月10日 | 一括償却資産:150,000 | 普通貯金:150,000 | 会計ソフトウェア購入 |
年度末に一括償却資産として損金算入する
決算最終日に計上する減価償却費は、3年の償却率0.334を使います。上記の場合なら、150,000(取得対価)×0.334(3年の償却率)=50,100(減価償却費)となり、固定資産額を減らします。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 3月31日 | 減価償却費:50,100 | 一括償却資産:50,100 | 会計ソフトウェアの減価償却 |
会計ソフトの勘定科目で迷いやすい仕訳

会計ソフトの勘定科目は、基本的なルールを理解していても実務では「どのタイミングで費用計上するか」「どこまでを同一科目で処理するか」といった点が迷いやすいです。ここでは、判断に迷いやすい仕訳パターンについて適切な処理方法を解説します。
契約期間が複数月にわたる利用料の仕訳
会計ソフトの利用料を年額や複数月分まとめて支払う場合、支払時に全額を費用として処理してよいのか迷うことがあります。原則として、サービス提供期間に応じて費用計上しなければなりません。
そのため、支払時には「前払費用」として計上し、利用期間に応じて按分する処理が適切です。以下は、1年分の利用料を前払いして、毎月振替処理を行う仕訳例です。
<支払時>
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
| 4月1日 | 前払費用 | 120,000 | 普通預金 | 120,000 | 会計ソフトウェアの年額費用 |
<毎月の振替>
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
| 4月30日 | 通信費 | 10,000 | 前払費用 | 10,000 | 会計ソフトウェアの年額費用 |
導入支援費用や初期設定費用の仕訳
会計ソフトの導入時には、初期設定や操作指導などの導入支援に関わる費用が発生することがあります。これらの費用はソフト本体とは性質が異なるため、勘定科目の選択に迷いやすいポイントです。
一般的に、導入支援や設定作業などに関する費用は「支払手数料」や「業務委託費」として処理します。なお、単なる設定支援ではなく、業務フローの設計やシステム開発を伴う場合は、費用ではなく資産計上が必要となるケースもあります。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
| 4月10日 | 支払手数料 | 50,000 | 普通預金 | 50,000 | 会計ソフトウェアの導入支援費用 |
会計ソフトの勘定科目に関するその他の注意点

会計ソフトの勘定科目には、サポート費用やバージョンアップ費用など、いくつかの注意点があります。矛盾点などがあると、税務調査で指摘される可能性が高くなります。
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会計ソフトの勘定科目に関するその他の注意点
サポート費用は「支払手数料」「諸会費」が一般的
クラウド型の会計ソフトを利用する際、サポートを受ける費用も仕訳が必要です。サポート費用に関する勘定科目にも明確な決まりはありませんが、一般的には借方の勘定科目を諸会費・支払手数料、貸方の勘定科目を現金・普通貯金として計上します。
また、月額の料金にサポート費が含まれている場合は、通信費として利用している料金と一緒に記載します。インストール型では、購入時にセットとして、サポート費を支払うことがありますが、その際は消耗品費・ソフトウェアの勘定科目に含めて計上します。
バージョンアップ費用は内容によって扱いが変わる
会計ソフトを継続して利用していると、バージョンアップが必要になることもあります。その際に費用が発生した場合は、以下のような勘定科目が使われます。
- 修繕費:機能の改善や効用維持など
- 資本的支出:機能の追加や向上など(ソフトウェアの価値を向上させる)
- 資産の新規取得(固定資産):仕様を大幅に変更するなど
ただし、クラウド会計ソフトでは、月額または年額の料金と同じく通信費や支払手数料などを使用できます。月額・年額利用料にバージョンアップ費用が含まれる場合にも、通常通り仕訳が可能です。

会計ソフトをバージョンアップする際の勘定科目は?除却の注意点も解説
会計ソフトをバージョンアップする際の費用は、その内容によっても勘定科目に違いが出るため、経費処理に迷ってしまう経理担当者も多いでしょう。本記事では、会計ソフトをバージョンアップする際の勘定科目やソフトをアップグレードした後の除却の際の注意点も解説します。
1度決めた科目を継続して使う
勘定科目に明確なルールは存在しませんが継続性のルールがあるため、初年度に通信費で設定した場合、翌年以降も別の勘定科目に変更せずに通信費としなければなりません。
同様に、サポート費も利用料に含めて計上する、または含めずに別の勘定科目を設定するなど、統一された計上方法を使いましょう。
なお、作成した決算書は税務署や銀行に見せることがあるため、第三者が見た場合にわかりやすいものにしなければなりません。自社の経営状態を正しく判断するためにも重要です。
まとめ

会計ソフト購入・利用時の勘定科目は、クラウド型とインストール型で異なります。一般的に、クラウド型の場合は消耗品費、インストール型の場合は通品費の勘定項目を使います。
インストール型の場合は、10万円以上ならば無形固定資産とする必要があるため、年度末に減価償却の処理が必要です。一定の条件を満たせば、少額減価償却資産の特例や一括償却資産として計上することもできます。
会計ソフトの勘定科目には、明確なルールはありません。しかし、継続性の原則があり、1度設定した処理方法を継続する必要があります。本記事を参考にして、適切な勘定科目を選びましょう。
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