SaaSの代表例|分野別の一覧とPaaS・IaaSの実例を解説
Check!
- SaaSの代表例は11の業務分野で整理しよう
- 人事労務SaaSは3サービスの役割で見比べよう
- 代表例は知名度でなく自社の業務課題から選ぼう
SaaSの代表例は、Microsoft 365やGoogle Workspace(グループウェア)、Slack(ビジネスチャット)、Zoom(Web会議)、freee会計(会計)、Salesforce(営業支援)など、インターネット経由で使う業務ソフトです。SaaS(Software as a Service)とは、ソフトを自社のパソコンやサーバーにインストールせず、提供事業者が用意した環境をインターネット経由で利用する提供形態を指します。この記事では、代表例を業務分野別に一覧で整理したうえで、人事・労務や会計といった主要分野の具体例、医療や建設などの業界特化型(Vertical SaaS)、比較対象になるPaaS・IaaSの実例までを、米国国立標準技術研究所(NIST)のクラウド定義に沿って解説します。
人事・労務SaaS、どのサービスから見る?2問診断
Q1. 人事・労務SaaSに期待するのは、どちらに近い?
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人事・労務SaaSの代表例|カオナビ・タレントパレット・ジンジャー人事労務の役割の違い
人事・労務SaaSの代表例は、従業員情報の管理、手続きの電子化、評価や配置への活用を担うサービスで、カオナビ・タレントパレット・ジンジャー人事労務のように得意な範囲が異なります。
SaaSの代表例のなかでも、人事・労務は「紙とExcelで処理していた業務がオンラインに置き換わる」変化が見えやすい分野です。入社手続き、年末調整、従業員情報の管理などが対象になり、サービスごとに力を入れる範囲が違います。お名前.comビジネスコンシェルジュに掲載している人事管理システムのうち、方向性の異なる3つを、商品ページで確認できる内容だけで並べます(確認日 2026年10月15日)。
人事・労務SaaS 3サービスの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:カオナビは、1社に1人の専任サポートがつくと商品ページで紹介されています。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:タレントパレットは、多言語対応で、eラーニングも1つのシステムで扱えます。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:ジンジャー人事労務は、ジンジャーシリーズの各プロダクトと連携し、申請や書類提出をマイページで扱えます。
資料を無料ダウンロード| サービス | ジンジャー人事労務 |
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|---|---|---|---|
| 向いている会社 | 人材データを可視化して、配置や育成に活かしたい会社 | 評価・労務・健康管理などを1つのシステムで扱いたい会社 | 従業員情報を1つのデータベースにまとめ、自社の運用に合わせたい会社 |
| 特徴 | 組織ツリー図・配置バランス図・社員データグラフなど、スキルを可視化する機能が豊富。1社に1人の専任サポートつき | 人事評価・労務管理から、健康管理・ストレスチェック、組織診断・適性検査、人事異動シミュレーションまで備える。多言語対応・eラーニングにも対応 | 人事情報を1つのデータベースで一元管理し、時系列に自動でまとまる。組織図・テンプレート・項目・権限をカスタマイズできる |
| 注意したい点 | 目的や規模で価格に幅があり、詳細は問い合わせが必要 | 多機能な反面、無料トライアルはなく、必要な機能の見極めが難しい | 申し込みから運用開始まで、最低2-3か月程度かかる |
| 資料・詳細 |
3サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
表のとおり、3つは「人材データの可視化から入る」「評価や労務などをまとめて扱う」「従業員情報の一元管理から入る」と出発点が違います。順位や優劣ではなく、自社の人事業務のどこに手間がかかっているかで選ぶのがポイントです。ここからは、商品ページで確認できる内容をサービスごとに整理します。
人材データの可視化や分析を重視する会社の場合の一例が、株式会社カオナビの「カオナビ」です。商品ページでは、「組織ツリー図」「配置バランス図」「社員データグラフ」といったスキルを可視化しやすい機能が豊富な点や、1社に1人の専任サポートがつく点が紹介されています。労務管理の機能では入社手続きの煩雑な業務を1つの操作で完結でき、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)にも登録されています。一方で、目的や規模によって価格に幅があるため、詳細な料金は問い合わせて確認する手間がかかります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

出典:kaonavi
導入企業:TOTO株式会社、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)など
口コミ
「カオナビ」での運用に切り替えてからは、さまざまな面で効果が出たと感じています。今までメールで行なっていたExcelシートの授受や記入漏れはほとんどなくなりましたし、評価者や人事担当者が入力の進捗確認もできるようになることで、一部入力が遅れている人がいたとしても全体の進行が止まることがなくなりました。また、以前はExcelに設定していた計算式が壊れるといったトラブルもあったので、その対応に対する手間を考えると効果は絶大です。
評価を大幅効率化、異動検討もスムーズに。サツドラHDの「カオナビ」活用法 https://www.kaonavi.jp/showcase/sat/
ここがおすすめ!
- 「組織ツリー図」「配置バランス図」「社員データグラフ」といった社員のスキルを可視化しやすい機能が豊富
- 採用ミスマッチを防ぎ、現場で活躍できる人材を発掘できる優れた分析機能
- 1社に1人専任サポートがつき、システムを使いこなすためのサポートが充実
ここが少し気になる…
- 目的や規模により価格に幅がある為、詳細料金は問い合わせる手間が必要
-
労務・人事の管理を行うことができます。また共有端末の持ち出しなどの申請もカオナビを通して行えるため、稟議や許可が通るまでの時短になります。
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カオナビの導入により、従業員の顔写真やスキル、評価履歴などの情報を一元管理できるようになりました。これにより、評価や人材配置の際の情報収集が効率化され、適切な人材活用が可能となりました。また、評価ワークフロー機能「スマートレビュー」を活用することで、評価プロセスの透明性が向上し、従業員の納得感も高まりました。
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本サービスの導入により、全社員の経歴や評価に関して、一元管理できるようになり、業務効率化に繋がった。また、全社員の氏名から顔写真の検索が可能となり、社員間のコミュニケーション活性化に寄与した。
日本ペイントグループは、国内グループ会社8社をまたぐ人材情報の共有が難しいという課題に対し、グループ全社の人事情報をカオナビに統合しました。導入事例では、情報を可視化して現場と人事の双方が情報を取りやすくなった点が効果として紹介されています。
出典:日本ペイントホールディングス株式会社 導入事例(カオナビ)
SaaSの代表例一覧|業務分野別に11ジャンルで整理
SaaSの代表例は、業務分野ごとに11ジャンル程度に整理すると全体像をつかみやすくなります。以下は、業種を問わず多くの企業で使われている分野と、その分野でよく名前が挙がるサービスの例です。ここで挙げるのは分野を理解するための例示であり、順位やおすすめを示すものではありません。
| 分野 | 主な用途 | 代表例 |
|---|---|---|
| オフィススイート・グループウェア | 文書作成、メール、スケジュール共有 | Microsoft 365、Google Workspace |
| ビジネスチャット | 社内外のメッセージのやり取り | Slack、Chatwork |
| Web会議 | オンライン会議、ウェビナー | Zoom、Microsoft Teams |
| 会計・経理 | 記帳、決算、請求書発行 | freee会計、マネーフォワード クラウド会計 |
| 人事・労務 | 入退社手続き、年末調整、従業員情報管理、人材データの活用 | カオナビ、タレントパレット、ジンジャー人事労務 |
| CRM・SFA(営業支援) | 顧客管理、商談管理、売上予測 | Salesforce、HubSpot |
| 名刺管理 | 名刺のデータ化、人脈の共有 | Sansan |
| 電子契約 | 契約書の締結・保管のオンライン化 | クラウドサイン |
| ファイル共有・ストレージ | ファイルの保管、社内外との共有 | Box、Dropbox |
| 業務アプリ作成・ECサイト構築 | ノーコードでの業務アプリ作成、ネットショップ運営 | kintone、Shopify |
| ERP(基幹業務) | 会計・販売・在庫などの基幹業務の統合管理 | NetSuite |
総務省の「通信利用動向調査」(令和6年・企業編)では、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合が8割を超えています。利用内容は「ファイル保管・データ共有」が71.0%、「社内情報共有・ポータル」が57.6%、「電子メール」が56.8%の順で、「給与、財務会計、人事」での利用も5割を超えました。なお、この調査の対象は常用雇用者100人以上の企業です。メールやファイル共有のように、SaaSという言葉を意識せずに使っている分野がある一方、会計・人事労務・営業支援などの基幹的な業務は、紙やExcel、インストール型のソフトから段階的に移行している企業も多く、「どこまでSaaSに置き換えるか」を検討する段階にある分野といえます。
業務ツール単位でさらに詳しく知りたい場合はSaaSの具体例|業務ツール別に解説、個人でも使うメールやストレージなど身近な例から知りたい場合はsaasって何?身近な例でわかるSaaSの意味、マルチテナント型などSaaSの型そのものを知りたい場合はSaaSの型と具体例をやさしく整理もあわせてご覧ください。
NISTの定義で見るSaaSの位置づけ
代表例を正しく分類するための基準として広く参照されているのが、NISTが公表した「SP 800-145(The NIST Definition of Cloud Computing)」です。この文書では、クラウドのサービスモデルをSaaS・PaaS・IaaSの3つに分けています。SaaSは「提供者のアプリケーションを利用者が使う」形態で、利用者はその下にあるネットワーク、サーバー、OS、ストレージ、さらにアプリケーションの機能そのものも管理しません(一部の設定を除く)。つまり、上の表のサービスは、いずれも「完成したアプリケーションをインターネット経由で使うだけ」という点で共通しています。
この定義に照らすと、「クラウドで動いているもの」すべてがSaaSというわけではないことが分かります。後半で紹介するPaaSやIaaSは、利用者が自分でアプリケーションを作ったり、OSを管理したりする層のサービスです。代表例を調べるときは、そのサービスが「そのまま業務に使える完成品か」を見ると、SaaSかどうかを判断しやすくなります。SaaSそのものの定義やASPとの違いはSaaSとは|PaaS・IaaS・ASPとの違いと選び方の基準で詳しく解説しています。
会計・経理系の代表例|freee会計・マネーフォワード クラウド会計
会計・経理は、中小企業や個人事業主がSaaSを使い始める分野として代表的な領域です。freee会計やマネーフォワード クラウド会計に代表されるクラウド会計ソフトは、従来のインストール型会計ソフトとは使い方の前提が異なります。
| 比較項目 | クラウド会計(SaaS) | インストール型会計ソフト |
|---|---|---|
| データの取り込み | 銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取得できる | 手入力やファイルの読み込みが中心 |
| 利用できる場所 | インターネットにつながれば場所や端末を問わない | インストールしたパソコンに限られる |
| 税制・法令改正への対応 | 提供側のアップデートで反映される | 新バージョンへの更新作業が必要な場合がある |
| 税理士との共有 | アカウントを発行して同じデータを同時に見られる | データファイルの受け渡しが必要 |
| 費用の形 | 月額・年額の継続課金 | 購入時の一括支払いと保守費用 |
会計SaaSの価値は、「記帳を速くする」ことよりも「記帳の元になるデータを自動で集める」ことにあります。明細の取り込みと、取引内容から勘定科目を推測する機能を組み合わせることで、経理担当者は入力作業から確認作業へと役割が変わります。また、請求書の発行や経費精算、給与計算といった周辺業務のSaaSを同じシリーズでそろえると、データが自動で連携し、二重入力が減る点も特徴です。
注意したいのは、会計SaaSを入れただけで経理が完結するわけではない点です。インボイス制度や電子帳簿保存法への対応機能はサービスごとに範囲が異なり、社内の証憑の受け取り方や保存ルールをあわせて見直す必要があります。制度の具体的な対応要否は国税庁の公表資料や顧問税理士に確認してください。本記事の内容は一般的な情報提供であり、税務・法務上の助言を目的としたものではありません。
人事・労務SaaSが広がった理由|紙の手続きがオンラインに置き換わる業務
人事・労務SaaSは、「紙の手続きをなくす」効果が従業員全員に見えやすいため、SaaSの代表例として語られることが多い分野です。会計SaaSが主に経理担当者の作業を変えるのに対し、人事・労務SaaSは従業員一人ひとりがスマートフォンなどから自分で情報を入力する形になるため、社内の多くの人がSaaSを体験するきっかけになります。
人事・労務SaaSで置き換わる代表的な業務
- 入社手続き:従業員が住所・口座・扶養情報などをフォームに入力し、担当者は内容を確認して承認するだけになります。
- 雇用契約書・労働条件通知書:書面の印刷・郵送・回収に代えて、オンラインで交付・同意を得られます。
- 年末調整:質問に「はい/いいえ」で答えていく形式にすることで、記入ミスや問い合わせを減らせます。
- 社会保険・雇用保険の手続き:電子申請(e-Gov)に対応したサービスでは、役所への書類提出をオンライン化できます。
- 従業員情報の管理:異動や住所変更の履歴が1か所にまとまり、給与計算や人事評価のデータとして再利用できます。
人事・労務SaaSが広がった背景には、SaaSという提供形態との相性の良さがあります。社会保険料率や税制は毎年のように変わりますが、SaaSであれば提供側のアップデートで対応されます。また、従業員数が増えれば利用人数を増やすだけで済むため、成長段階の中小企業でも導入しやすい料金体系になっています。
一方で、人事・労務のデータは個人情報やマイナンバーなど機密性の高い情報を多く含みます。導入時には、アクセス権限を担当者ごとに細かく設定できるか、退職者のアカウントを速やかに止められるか、データの保管場所や第三者認証の取得状況はどうか、といった点を確認しておくことが大切です。
とくに、人事評価や各種の届出が紙で回っている会社では、書類の発送・回収・転記が評価の時期に集中しがちです。評価・労務・人材情報を1つのシステムで扱えるかどうかが、紙の手続きをまとめてオンラインに移せるかの分かれ目になります。この場合の一例が、株式会社プラスアルファ・コンサルティングの「タレントパレット」です。商品ページでは、人事評価や労務管理をはじめとする幅広い領域の「人事DX」を実現できる点、健康管理・ストレスチェックの機能、組織診断や適性検査、人事異動シミュレーションを備えて人材情報を一元管理できる点が紹介されています。注意点として、無料トライアルがなく、必要な機能と不要な機能の見極めに資料での確認が欠かせません。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
タレントパレット
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
タレントパレット
多言語対応◎eラーニングも活用していきたい企業におすすめ

出典:タレントパレット
導入企業:パナソニック株式会社、ソフトバンク株式会社など
口コミ
初見で感じたのは、やはりUIのわかりやすさです。日本人的な感覚にとてもマッチしているなと感じました。機能面では分析機能が非常に充実しています。いずれも見せかけの機能ではなく、人事情報を扱う側に立ち「これ、必要だよね」と話しかけてくるような機能が多数あり衝撃を受けました。タレントパレットの作りが、我々が目指している形そのものになっていて。何より集積したデータの分析によって、組織をより良くしていきたいという思想を感じたんですよね。マーケティングが基盤にあり、数字を根拠に結果を出していくという考え方で開発されているので、説得力があるなと感じています。
経営戦略実現に向けタレントパレットを導入
多数精鋭組織を育成するニトリHDの構想とは https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/case/details/nitori.html
ここがおすすめ!
- 多様な人材データに基づいて人材管理
- 活用が可能人事と従業員にとって使いやすいデザインと操作性
- 人事評価や労務管理をはじめ、幅広い領域の「人事DX」を実現
- 「健康管理」「ストレスチェック」機能を活用し、健康的かつ長く働きやすい環境に!
- 組織診断や適性検査機能や人事異動シミュレーションを備え、人材を一元管理できる
ここが少し気になる…
- 高機能・多機能な反面、無料トライアルは設けていないため必要な機能や不要な機能の判断が難しい
-
上司との面談の際は、こちらのツールをみながらフィードバックなどをもらっています。考課の際は進捗状況などこちらを確認すればOKです。オンライン研修もできるのは便利だと思いました。
-
自身のスキルや経験を可視化できるため、これまで意識していなかった強みやキャリアの方向性を客観的に見直すきっかけになりました。 また、性格テストから自分の仕事観等が分かり、新たな発見も期待できる点、メンバーの仕事の価値観も参照すれば、どのように接してほしいか等のヒントが見つかるかもしれない点がメリットかもしれないです。
-
Todoをシステム側に通知できるので、システムに入りさえすればやらなければいけないことが流れずにまとまって閲覧できた。また、同様に動画研修への動線もスムーズに配置でき、受講漏れなどが減った。
能美防災株式会社は、年度末に約2,000名分の人事評価の書類を全国の拠点へ発送・回収していた運用を、タレントパレットでペーパーレス化しました。評価時期のピーク時の業務負荷を、体感で約7割削減できたと紹介されています。
出典:能美防災株式会社 導入事例(タレントパレット)
ここまでの内容をもとに、自社の人事・労務の手続きがどの程度、手作業で回っているかを確認してみましょう。
人事・労務の手続き、今のやり方で足りる?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
業界特化型(Vertical SaaS)の代表例
ここまで紹介したのは業種を問わず使われる「Horizontal SaaS(ホリゾンタル型)」の代表例ですが、特定の業界向けに設計された「Vertical SaaS(バーティカル型)」も重要な分野です。業界特有の帳票や商習慣、法令に合わせた機能を持つため、汎用ツールでは対応しきれない業務をカバーできます。
| 業界 | 代表的なVertical SaaSの種類 | 業界特有の対応内容の例 |
|---|---|---|
| 医療・クリニック | クラウド型電子カルテ、Web予約・問診 | 診療報酬の算定、医療情報の取り扱いに関するガイドラインへの配慮 |
| 建設 | 施工管理、図面・現場写真の共有 | 多重下請け構造での情報共有、工事写真の整理 |
| 不動産 | 物件管理、賃貸管理、電子契約 | 重要事項説明や契約手続きの流れへの対応 |
| 飲食・小売 | POSレジ、モバイルオーダー、在庫管理 | 複数店舗の売上・在庫を本部で把握 |
| 物流・製造 | 配車・運行管理、生産管理 | 運行記録や工程ごとの進捗の管理 |
Vertical SaaSは、対象業界が限られる分、一般の知名度はHorizontal SaaSほど高くありません。そのため「SaaSの代表例」として検索すると、SlackやSalesforceのような汎用ツールばかりが目に入りがちです。しかし、自社が特定の業界に属している場合、業務の核心部分を支えるのはむしろVertical SaaSであることが多く、汎用ツールとの組み合わせで全体を設計するのが現実的です。なお、SaaSを提供する側の視点(PLGやThe Model型など)はSaaSマーケティングとは|PLG・The Model型とDX活用の設計で解説しています。
Vertical SaaSを選ぶときは、業界の法令や業界団体の指針への対応状況、同業他社での導入実績、既存の汎用SaaS(会計や人事労務など)とデータ連携できるかを確認しておくと、導入後に手作業が残るリスクを減らせます。
PaaS・IaaSの実例|SaaSとの違いを代表例で比べる
PaaSはアプリケーションを開発・実行するための環境、IaaSはサーバーやストレージなどのインフラそのものを提供するサービスで、どちらも主にエンジニアやシステム部門が使う層です。SaaSの代表例を理解するうえでは、この2つと並べて「利用者がどこまで管理するか」を比べると違いが明確になります。
| サービスモデル | 提供されるもの | 利用者が管理する範囲 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| SaaS | 完成したアプリケーション | アカウント、権限、一部の設定、入力するデータ | Microsoft 365、Slack、freee会計、カオナビ |
| PaaS | 開発・実行環境(OS、ミドルウェア、データベースなど) | 自社で開発したアプリケーションとデータ | Google App Engine、Heroku、AWS Elastic Beanstalk |
| IaaS | 仮想サーバー、ストレージ、ネットワーク | OS、ミドルウェア、アプリケーション、データ | Amazon EC2、Google Compute Engine、Azure Virtual Machines |
身近なたとえでいえば、SaaSは「家具付きの賃貸物件にそのまま住む」、PaaSは「内装は自分で整えるが建物と設備は用意されている」、IaaSは「土地と建物の骨組みだけを借りて、あとは自分で整える」イメージです。下の層に行くほど自由度は高くなりますが、管理の手間と必要な専門知識も増えます。
中小企業が日常業務で直接使うのは、ほとんどがSaaSです。PaaSやIaaSは、自社独自の業務システムを開発したい場合や、既存のオンプレミス環境をクラウドへ移したい場合に、開発会社や情報システム部門が選ぶ層になります。SaaSとPaaS・IaaSの違いをさらに整理したい場合はSaaS・PaaS・IaaSの違い|3層モデルとASPの位置づけもご覧ください。なお、kintoneのようにSaaSとして提供されながら、利用者が業務アプリを作れるサービスもあり、SaaSとPaaSの中間的な位置づけで語られることもあります。
代表例に共通するSaaSのメリット・デメリット
ここまで紹介した代表例は分野こそ違いますが、SaaSという提供形態から来るメリットとデメリットは共通しています。代表例を比較する前に、どのサービスにも当てはまる性質を押さえておくと、個別のサービスの違いを見極めやすくなります。
| 観点 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 導入 | サーバーの用意やインストールが不要で、申し込み後すぐに使い始められる | 汎用的な設計のため、自社独自の業務に合わせたカスタマイズには限界がある |
| 費用 | 初期費用を抑え、月額・年額の利用料で始められる。利用人数に応じてプランを変更しやすい | 継続課金のため、長期間使うと総額が膨らむ。使っていないサービスの費用が残りやすい |
| 運用・保守 | アップデートやバックアップ、サーバー保守は提供者が行い、常に最新の機能を使える | 提供者側の障害やメンテナンス中は利用できず、仕様変更やサービス終了の影響も受ける |
| 利用場所 | インターネットにつながれば、オフィス・自宅・外出先から同じデータにアクセスできる | 通信環境に依存し、社外からのアクセスを前提にしたアカウント管理が必要になる |
| セキュリティ | 提供者が専門的なセキュリティ対策を講じたインフラを利用できる | データを社外に預けるため、提供者の対策状況の確認と、利用者側の権限設定が欠かせない |
デメリットの多くは、SaaSが「提供者の用意した完成品を複数の利用者で共有する」仕組みであることから生じます。そのため、代表例を比べるときは機能の多さだけでなく、障害時の告知やサポート体制、データのエクスポート可否など、提供者側の運用がどこまで明示されているかも確認しておくと安心です。なお、SaaS・PaaS・IaaSのほかにも、デスクトップ環境を提供するDaaSのように「○aaS」と呼ばれる提供形態がありますが、業務アプリケーションとして日常的に使うのはSaaSが中心です。
SaaSの代表例を選ぶ際によくある失敗
代表例は「多くの企業で使われている」ことを示すだけで、「自社に合う」ことを保証するものではありません。代表例を参考にツールを選ぶ際に起こりがちな失敗と、その回避策を整理します。
| よくある失敗 | 起こる問題 | 回避策 |
|---|---|---|
| 知名度だけで選ぶ | 大企業向けの機能が多く、使いこなせないまま費用だけがかかる | 自社で手間がかかっている業務を先に書き出し、必要な機能から逆算する |
| 分野ごとにバラバラに導入する | 従業員情報や顧客情報を複数のSaaSに二重入力することになる | API連携や同一シリーズでの連携ができるかを事前に確認する |
| HorizontalとVerticalを混同する | 汎用ツールで業界特有の帳票に対応できず、手作業が残る | 業界特有の業務は業界特化型で、共通業務は汎用型で、と役割を分ける |
| 契約後の管理を決めていない | 退職者のアカウントが残る、使われていないSaaSの費用が払い続けられる | 管理担当者と、年1回程度の契約・アカウントの棚卸しを決めておく |
| セキュリティ確認を省く | 個人情報を扱う業務で、データの保管場所や権限設定が不十分なまま運用する | 第三者認証の取得状況、権限設定、データのエクスポート可否を確認する |
とくに注意したいのは、SaaSでは「インフラの管理は提供者、アカウントやデータの管理は利用者」という責任の分担がある点です。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」では、付録として「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」が公開されています。また、政府機関向けにはクラウドサービスの安全性を評価する制度(ISMAP)があり、登録サービスの一覧が公開されています。民間企業が選ぶ際にも、こうした公的な情報を判断材料の一つにできます。
人事データがバラバラになったときの対処|統合型の考え方
分野ごとにSaaSを導入すると、従業員の氏名・所属・雇用形態といった情報が、勤怠・給与・ワークフローなど複数のサービスに分かれて残りがちです。その状態だと、異動や組織変更のたびに、それぞれのサービスのマスタを手作業で更新しなければなりません。対処の基本は、従業員情報の「元データ」を1か所に決め、ほかのサービスはそれを参照・連携させる形にそろえることです。
この考え方に沿った一例が、jinjer株式会社の「ジンジャー人事労務」です。商品ページでは、従業員情報を1つのデータベースで一元管理でき、情報が自動で時系列にまとまる点や、組織図・業務テンプレート・データベースの項目・権限設定を企業に合わせてカスタマイズできる点が紹介されています。マイページから、ジンジャーシリーズの各プロダクトと連携して申請や書類提出を行える点も特徴です。注意点として、申し込みから運用開始まで最低2-3か月程度かかるため、導入時期には余裕を持つ必要があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

出典:ジンジャー人事労務
導入企業:株式会社モスフードサービス、エイブル保証株式会社など
口コミ
ジンジャー導入前は、システム間のデータ連携処理に相当な時間がかかっていました。
月中に入社する社員もいるため週次でこの処理が発生するのですが、人事から勤怠、人事から給与…とそれぞれで連携処理をおこなう必要があり、各連携には1時間ほどかかっていましたね。週で換算すると10時間ほどかかっていたと思います。ジンジャーではこの連携処理にかかる時間がゼロになったので、業務が止まってしまったり、PCの動作が重くなったりすることもなく助かっています。
統合型データベースの活用で、データ連携処理にかかる時間を年480時間削減!スピーディーな運用開始に成功
株式会社ABC Cooking Studio https://hcm-jinjer.com/results/136203/
ここがおすすめ!
- 1つのデータベースで人事情報を一元管理でき、ペーパーレス化・業務効率化につながる
- 豊富な機能によって企業独自のカスタマイズが可能で、理想を実現できる
- 従業員に関する情報は自動で時系列ごとにまとめられ、いつでも確認できる
ここが少し気になる…
- 申し込みから運用開始までに最低2~3ヶ月程度かかる
株式会社インフォファームは、勤怠・給与・ワークフローなどのシステムが分かれ、異動のたびに5つ以上の人事マスタを手作業で更新していた課題を、ジンジャーで人事マスタを1つに統合して解消しました。導入後は、複数システムへの手入力の手間が減り、情報の更新性・正確性を保てるようになったと紹介されています。
出典:株式会社インフォファーム 導入事例(ジンジャー)
導入するSaaSが増えてきたら、契約中のサービス名・利用部門・管理担当者・更新日・アカウント数を1枚の一覧にまとめることから始めます。数が多くなった場合は、利用中のSaaSを把握・管理するための管理ツールを使う方法もあります。
3サービスの役割を比較表で見る導入効果をどう確認するか|人事労務SaaSで簡易試算
SaaSの導入効果は、「どの作業が何分減るか」を業務単位で見積もると、社内に説明しやすくなります。ここでは、効果が見えやすい人事・労務の手続きを例に、紙とExcelで行っていた手続きがオンラインに置き換わった場合の時間削減を簡易的に試算してみます。
人事労務手続きの時間削減 簡易シミュレーター
年間の削減時間の目安:40時間
※入力値を掛け合わせただけの簡易計算です。実際の効果は業務の内容、既存の運用、サービスの機能によって変わります。
試算で出た時間は、そのまま費用に置き換えるのではなく、「その時間で何ができるようになるか」とあわせて考えるのがポイントです。たとえば、担当者が手続きに追われなくなった分を採用や定着支援に充てられるのであれば、単純な時間削減以上の効果が期待できます。
導入後は、次のような指標を導入前と比べると効果を確認しやすくなります。
- 手続き1件あたりの処理時間と、担当者の月間作業時間
- 書類の不備や差し戻しの件数
- 従業員からの問い合わせ件数(年末調整の時期など)
- 紙の印刷・郵送・保管にかかっていた費用
- SaaSの利用率(招待した従業員のうち実際にログインした割合)
効果を最大化するには、導入前に「どの手続きから移すか」を決めておくことも大切です。年末調整や入社手続きのように、全従業員が関わり、毎年必ず発生する業務から始めると、効果が見えやすく社内の理解も得やすくなります。商品ページでは、カオナビの労務管理について、入社手続きの煩雑な業務が1つの操作で完結する点や、年末調整にかかる担当者の負担を軽減できる点が紹介されています。試算の前提になる「1件あたりの削減時間」は、資料で対応する手続きの範囲を確かめてから見積もると、現実に近づきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. SaaSの代表例にはどのようなものがありますか?
A. オフィススイートのMicrosoft 365やGoogle Workspace、ビジネスチャットのSlack、Web会議のZoom、会計のfreee会計、人事・労務のカオナビやタレントパレット、ジンジャー人事労務、CRMのSalesforceなどが代表例です。業務分野ごとに11ジャンル程度に整理すると、有名なサービスの全体像をつかみやすくなります。
Q2. 日本の三大SaaS企業はどこですか?
A. 「三大SaaS企業」という公式な定義はありません。売上高、利用企業数、知名度など、どの基準で見るかによって顔ぶれが変わります。企業の知名度で選ぶよりも、自社の業務分野で実績のあるサービスを、機能・連携・サポートの面から比べるほうが、導入後のミスマッチを減らせます。
Q3. SaaSの身近な例にはどのようなものがありますか?
A. メールのGmail、ファイル保管のDropboxやGoogleドライブ、Web会議のZoom、ビジネスチャットのSlackなど、ブラウザやアプリから使うサービスの多くがSaaSです。会社の業務では、会計や人事・労務、営業支援のサービスも身近な例にあたります。
Q4. SaaS・PaaS・IaaSの違いと代表例を教えてください。
A. NISTの定義では、SaaSは完成したアプリケーションを利用する形態(例:Microsoft 365、Slack)、PaaSはアプリケーションの開発・実行環境を利用する形態(例:Google App Engine、Heroku)、IaaSはサーバーやストレージなどのインフラを利用する形態(例:Amazon EC2、Google Compute Engine)です。下の層ほど利用者が管理する範囲が広くなります。
Q5. 人事・労務SaaSではどのような業務をオンライン化できますか?
A. 入社手続き、雇用契約書の交付、年末調整、社会保険・雇用保険の手続き、従業員情報の管理などです。サービスによって対応範囲が異なるため、自社で手間がかかっている業務に対応しているかを、資料で比較して選ぶことが大切です。
Q6. 代表例のSaaSを選べば失敗しませんか?
A. 代表例は多くの企業で使われていることを示すだけで、自社に合うとは限りません。必要な機能、既存ツールとの連携、セキュリティ、契約後の管理体制を確認したうえで、無料トライアルなどで試してから選ぶと失敗を減らせます。
まとめ|代表例は「分野」と「層」で整理する
SaaSの代表例は、業務分野ごとに整理し、NISTの定義に沿ってPaaS・IaaSと層で区別すると、全体像を正しくつかめます。最後に、この記事のポイントを4つにまとめます。
- SaaSの代表例は、グループウェア・会計・人事労務・営業支援など11ジャンル程度の業務分野で整理する
- SaaSは完成したアプリを使う層、PaaSとIaaSは開発やインフラを管理する層として区別する
- 代表例は知名度ではなく、自社で手間がかかっている業務と連携・セキュリティの条件から選ぶ
- 紙やExcelの手作業が多い分野から、サービスの資料を取り寄せて比較する
まずは、紙やExcelで時間がかかっている業務を1つ選び、その分野のサービスの資料を取り寄せて比べてみることから始めてみてください。
参考文献
- NIST「SP 800-145, The NIST Definition of Cloud Computing」https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/145/final
- 総務省「通信利用動向調査」(令和6年調査の結果は同ページから確認できます)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html
- ISMAPポータル(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)https://www.ismap.go.jp/
- 株式会社カオナビ「日本ペイントホールディングス株式会社 導入事例」https://www.kaonavi.jp/showcase/npc/
- 株式会社プラスアルファ・コンサルティング「能美防災株式会社 導入事例」https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/case/details/nohmi.html
- jinjer株式会社「株式会社インフォファーム 導入事例」https://hcm-jinjer.com/results/144108/
