副業における勤怠管理とは?通算ルールを踏まえて詳しく解説
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- 副業制度を採用する場合、通算ルールに基づいて労働時間を管理する必要がある
- 「4つの義務」への対応が必須であり、労働時間を通算しないケースにも注意が必要
- 副業の労働時間管理の方法はいくつかあるが、勤怠管理システムの導入が最もおすすめ
働き方改革によって副業を解禁する企業が増加し、これから副業制度を導入しようと検討している企業も多いでしょう。本記事では、副業における労働時間管理の重要性や割増賃金の支払い義務、副業の労働時間管理を行う注意点、労働時間管理の方法などについて解説します。
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副業における労働時間管理の重要性

近年、働き方改革の1つとして注目されているのが副業です。昔は副業禁止の企業が多かったものの、現在は副業制度を取り入れる企業が増えています。
副業は従業員にとって収入を増やせるのが利点であり、企業側にとっても従業員のスキルアップや働き手の確保につながることなどがメリットです。しかし、従業員の健康管理義務や通算ルールの割増賃金の計算など、注意すべき課題もあります。
本記事では、副業の通算ルールがどのようなものなのか、注意点や管理方法などを解説します。
副業制度には通算ルールを用いる
2020年に厚生労働省による「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の見直しがあり、改定が行われました。副業の通算ルールに従い、企業側は本業と副業の労働時間を通算して管理しなければなりません。
例えば、本業の所定労働時間が6時間で副業が2時間勤務なら、合計して通算8時間です。ただし、企業側だけが管理するのではなく、従業員が一定期間の総労働時間を計算し、上限に近い段階で報告するのが前提です。
定められた労働時間を超過しないように、企業側と従業員の両者で管理しましょう。
36協定の上限は本業・副業それぞれで規制される
従業員を労働させても良い時間は、1日8時間まで・1週間40時間までと上限が定められています。法定労働時間を超えた場合は残業として法定外労働時間となり、割増賃金が発生します。
時間外労働時間は「月45時間・年360時間以内」、特別条項を設けた場合では「年720時間以内」の上限がありますが、これらは事業場単位の規制のため労働時間は通算されません。しかし、下記の上限に関しては従業員個人への規制となります。
- 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
- 時間外労働と休日労働の複数月平均が80時間以内
これらの上限に関しては、従業員個人への規制となります。本業と副業で時間外労働時間に通算ルールが適用されるため、注意が必要です。
労働時間を通算しないケースもある
副業といっても勤務形態は幅広く、さまざまな業種や働き方があります。副業の法定労働時間として通算する必要があるのは、雇用契約を結ぶ正社員や契約社員、パートタイムなどの「労基法に定められた労働時間規制が適用される労働者」のみです。
つまり、フリーランスや経営者は雇用契約をしていないため適応外となります。また、農業や水産業など労働基準法の労働時間制度が適応されていない副業も、通算ルールが適応されません。労働時間の管理は、従業員の副業の勤務形態を確認してから行いましょう。
割増賃金の支払い義務について

副業制度を取り入れる企業は、通算ルールにおける割増賃金についても知っておく必要があります。ここでは、割増賃金の支払い義務について解説します。
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勤怠管理の目的
所定労働時間の通算ルール
従業員が勤務する時間は本業と副業を合計し、法定労働時間と時間外労働時間の範囲内に収めるのが通例のルールです。法定労働時間は1日8時間まで、1週間で40時間までと定められています。
まずは、本業と副業の通算労働時間が法定労働時間を超過していないかを確認しましょう。本業と副業で労働時間を合計し、所定労働時間を超えていたとしても、法定労働時間内に収まる場合は通算ルールにおける割増賃金が不要です。
本業と副業で通算して法定労働時間を過している場合は、割増賃金を支払う必要があります。ただし、通算ルールが適用されるのは労働基準法のある就業形態のみとなります。
所定外労働時間の通算ルール
従業員の勤務時間は本業と副業を合わせて、法定労働時間となる1日8時間・1週間で40時間を超えてしまうと、通算ルールとして割増賃金を支払わなければなりません。
例えば、1日の勤務時間において本業の所定労働時間が4時間・所定外労働時間が2時間、副業の所定労働時間が3時間・所定外労働時間が2時間だったとします。本業も副業もそれぞれは法定労働時間に収まっていますが、両方を通算すると8時間を超えてしまいます。
この場合、副業となる企業(雇用契約が後の企業)が超過した所定外労働時間2時間分の割増賃金を支払う必要があります。
なお、割増賃金は本業の企業で所定外労働時間を超える労働がある場合、副業先ではなく本業の企業が自社の所定外労働時間を超える部分の割増賃金を支払います。
管理モデルのルール
副業の通算ルールは企業側と従業員との両者での管理が必要ですが、従業員の自己申告となる部分が大きく、企業は管理が難しいです。そこで、厚生労働省は企業と従業員の負担を減らし管理しやすくなるように、「管理モデル」を推奨しています。
管理モデルとは、法定労働時間を超えた時間数が時間外労働の上限になるように、あらかじめ本業と副業で勤務時間数の範囲を決めておく仕組みです。時間外労働の上限は、単月100時間未満、複数月平均80時間以内となっています。
法定労働時間を超えた場合は、時間外労働があった企業が割増賃金を支払いますが、従業員が労働時間を申告することで企業側の管理にかかる手間が省けます。管理モデルは、本業企業が管理モデルを求め、従業員を通して副業先が応じることで導入可能です。
副業の労働時間管理を行う注意点

本業の企業は、従業員の副業の労働時間も管理する必要があります。ここでは、副業の労働時間を管理する際の注意点について解説します。
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副業の労働時間管理を行う注意点
「4つの義務」への対応に注意する
副業の労働管理には、安全配慮義務・秘密保持義務・競業避止義務・誠実義務の4つの義務があります。それぞれの内容を理解し、副業を行う従業員に開示しておきましょう。
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安全配慮義務
副業を行うと従業員は法定労働時間を超過してしまうケースが多いため、気を付けたいのは健康管理です。長時間労働で心身ともに疲れていると、重大な労働災害を引き起こしてしまう可能性があります。
労働契約法の第5条において、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」という安全配慮義務が定められており、企業側は従業員に対する配慮が必要です。
特に、副業が従業員の健康を害する可能性がある業務内容の場合、その仕事の禁止または制限をかけるようにしましょう。
秘密保持義務
従業員が複数の企業に従事していると、故意ではなくても自社の情報を副業先に流してしまうリスクがあります。そのため、従業員には業務上の秘密情報を副業先に漏らさないように、注意喚起しておかなければなりません。
また、自社の情報が漏洩する可能性が高い場合は、従業員の副業を禁止・制限可能です。本業の企業は、副業がどのような企業・仕事内容なのかを事前に把握しておきましょう。
競業避止義務
副業先が本業の企業と同業種の場合は、従業員の副業で本業の企業に不利益となるリスクがあります。競業行為で自社の損失が懸念される場合は、副業を禁止・制限できます。
なお、副業の競業行為が考えられる場合は、あらかじめ従業員に対しても注意喚起しておくのがおすすめです。
誠実義務
従業員は、従事する企業で誠実に業務に取り組む必要があります。仮に、従業員が副業によって本業の企業の名誉や信頼を損なう行為を行った際には、副業を禁止・制限するようにしましょう。
これは、副業に限らず本業のみの従業員にもいえることですが、現代はSNSの普及で簡単に勤務先の業務内容や上司の愚痴などが拡散されがちです。大きな問題に発展させないためにも、企業側と従業員が双方を不当に侵害しないように配慮することが大切です。
健康管理が労働者の自己管理になることに注意する
従業員が副業を行う場合、基本的には従業員が自身で本業と副業の総労働時間を管理して、上限になる前に企業に報告するのが前提です。
しかし、従業員が労働時間を自己管理すると、法定労働時間を大幅に超過してしまう可能性があり、健康被害や過労死のリスクが考えられます。そのため、従業員が黙って副業を始めたり報告を怠ったりしないように、企業内でのガイドライン作成が有効です。
企業側も従業員の健康状態を気に掛け、定期的に注意喚起を行うようにしましょう。
副業を認める企業が勤怠管理で整備すべき社内ルール

従業員の副業を認める企業が増える中で、適切な勤怠管理を行うためには社内ルールの整備が欠かせません。本業と副業の労働時間を把握できていないと、長時間労働や労務トラブルにつながる可能性があります。
副業の申請制度を設けて勤務状況を把握する
副業を認める場合は、従業員が副業を始める前に企業へ申請する制度を設けることが重要です。申請時に副業先の業種や勤務時間、雇用形態などを確認すれば、本業への影響を事前に把握できます。
副業の内容によっては、本業の業務に支障が出る可能性や競業リスクが生じる場合もあるため、企業側が状況を把握できる仕組みを整えておくことが大切です。副業の申請制度を設ければ、従業員の勤務状況を把握しながら適切な勤怠管理を行いやすくなります。
副業の労働時間の申告ルールを明確にする
副業をしている従業員の労働時間を把握するためには、労働時間の申告ルールを明確にしておく必要があります。例えば、副業先での勤務時間を定期的に報告させる方法や、勤怠管理システムに入力させる方法などが考えられます。
申告ルールを整備しておくことで、本業と副業の労働時間を把握しやすくなり、長時間労働の防止が可能です。企業は従業員の自己申告を適切に管理しながら、健康面や労務管理の観点からも勤務状況を把握していくことが求められます。
副業の労働時間管理の方法

副業の労働時間管理には、ExcelやICタイムカード、勤怠管理システムの活用がおすすめです。ここでは、従業員の副業を適切に管理するためにおすすめなツールについて解説します。
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副業の労働時間管理の方法
Excel(エクセル)
Excelは多くの企業が業務で使用しており、汎用性が高いツールです。Web上にテンプレートが公開されているため、簡単にフォーマットを構築でき、関数で管理表を作成して自社に合った表で労働時間を管理することも可能です。
しかし、簡単に扱いやすい万能ツールだからこそ、入力ミスやデータ改ざんのリスクも考えられます。特に、従業員の人数が多い中規模・大規模の企業は、Excelより高機能な勤怠管理システムの使用がおすすめです。
ICタイムカード
多くの企業が採用しているのが、ICタイムカードです。専用の機器でカードを打刻し、従業員のICカードに設定されている識別番号をもとに勤怠情報を管理できます。ICカードを機器にかざすだけで打刻できるため、従業員の負担が少なく簡単に使用可能です。
さらに、交通系ICカードなど従業員の手持ちのICカードと紐付けできるサービスや、交通費の管理もまとめてできるタイプの機器もあります。ただし、勤怠管理作業の効率化には有効ですが、本業の時間管理のみで副業の時間管理には向いていません。
勤怠管理システム
勤怠管理システムは、パソコンを利用した出勤・退勤の打刻をはじめ、残上時間の申請などの手続きを行えるシステムです。その他、シフト作成や給与ソフトとの連携など、まとめて記録と集計ができるものもあります。
勤怠管理システムにはクラウド型とオンプレミス型があり、クラウド型はサーバー上で管理できるためソフトウェアが不要です。自社サーバーで安全に勤怠を管理したい企業には、オンプレミス型が向いています。
勤怠管理システムは機能が豊富で副業の管理もしやすいため、勤怠管理を効率化したい企業におすすめです。

勤怠管理システムとは?機能やメリット・デメリット、導入手順も解説
勤怠管理システムは、従業員の出退勤の時間や労働時間を適切に管理できるシステムです。給与計算など他システムとも連携でき、業務の効率化や不正打刻の防止にも役立ちます。本記事では、勤怠管理システムの機能やメリット・デメリット、選び方などを解説しています。
勤怠管理システムの導入メリット
勤怠管理システムは、副業を含めた多様な勤務形態に対応できますが、それ以外にも以下のような導入メリットがあります。
- 法改正に手間なく対応できる
- 不正を防止できる
- 給与計算を効率化できる
特に、クラウド型のシステムは労働基準法などの法改正があった際、ベンダーが自動でアップデートするため、常に最新の法令に準じた管理が可能です。
また、勤怠管理システムはICカードや生体認証などを用いた正確な出退勤の打刻が可能であり、従業員による不正を防止できます。さらに、給与計算ソフトと連携させることによって勤怠データが自動反映されるため、煩雑になりがちな給与計算業務の効率化も可能です。
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まとめ

従業員の副業は、本業と合わせて総労働時間を通算ルールに則って管理する必要があります。副業制度を導入する企業は、両方の勤務先での労働時間を合わせて法定労働時間を超えていないか確認しなければなりません。
企業側は、通算ルールで法定労働時間を超過した場合は割増賃金を支払う義務があるため、厚生労働省推奨の管理モデルで、負担が無いよう管理するのがおすすめです。また、副業をする従業員の健康管理や安全配慮などにも注意しましょう。
副業は従業員自身の収入の上昇だけでなく、本業のスキルアップにもつながります。副業の勤怠もまとめて管理できる勤怠管理システムもあるため、自社への導入を検討してみましょう。
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